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ARM,新世代グラフィックスIPコアであるMali-T800シリーズを発表
Mali-T800シリーズ | |||
配信元 | ARM | 配信日 | 2014/10/31 |
<以下,メーカー発表文の内容をそのまま掲載しています>
英ARM社(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:横浜市港北区、以下ARM)は、リッチなビジュアルコンテンツを効率的に実現するために設計された統合型Media IPスイートを発表しました。このARM Mali Media IPは、現在10億台市場に拡大しているスマートフォンやタブレット機器などハイボリュームなセグメントに対応したソリューションです。
ARM Mali Media IPは、強力なグラフィックス性能を必要とするコンテンツを低消費電力と最高のユーザーエクスペリエンスとのバランスを取りながら、最も適したプロセッサに処理させることができる、ARMが考えている最新の分散型プロセッシングを実現したものです。コンフィギュレーションの柔軟性と拡張性をもつこのIPスイートはMali-V550 ビデオアクセラレータ、Mali-DP550 ディスプレイプロセッサ、Mali-T800 GPUファミリーで構成されており、ARMパートナのマルチメディア系SoC開発の多岐にわたるニーズに対応しています。
高効率化のための統合化と最適化
メディアIPによるシステムレベルのアプローチとしてARM Frame Buffer Compression(AFBC)のようなメモリ帯域削減のテクノロジを用いた電力効率向上が可能になります。。また、MaliGPUが既にサポートしているAdaptive Scalable Texture Compression(ASTC)、Transaction Eliminationに加え、すべてのMali MediaIPが持つ Smart Compositionテクノロジを使うことで 同様に大きな電力削減を、、さらに、Mali-V550とMali-DP550プロセッサはMotion Search Eliminationテクノロジで従来より35%の電力削減を実現します。こうした最新テクノロジは今後さらに高まる電力効率とより複雑なユーザー要求に応えるモバイルデバイスをリードします。
ARMのメディアプロセッシンググループジェネラルマネージャーMark Dickinsonは、次のように述べています。「みなさんのモバイルデバイスは既にみなさんのコンピュータデバイスになっています。メーカ各社はこれらデバイスのバッテリ寿命を延ばしつつ、より高い性能や機能を常に提供する必要があります。ARM Mali MediaIPは、適切なタスクを適切なプロセッサに割り当て、かつすべてのIPブロックがもつ最新技術を活用することでシステムレベルの低消費電力化を実現します。 わたくしたちはSoCパートナ各社により良い製品つくりを実現して頂くためこうしたMediaIPスイートを提供してまいります。」
様々なユーザー需要に対応する幅広いGPUプロダクトレンジ
モバイルユーザが必要とするコンテンツが多様化してきたことにより、メーカ各社は、最適なデバイスを適切な価格で提供するという課題にに直面しています。新しいARM Mali Media IPスイートは 、幅広いパフォーマンスニーズに応えるスケーラブルなソリューションをもってこの課題に挑戦します。
Mali-T820、Mali-T830、Mali-T860 GPUの特長は、以下のとおりです。
- Mali-T820は、Mali-T622より性能を最大40%向上、エントリレベルの製品向けに最適
- Mali-T830は、Mali-T622より性能を最大55%向上、性能と効率性のバランスに優れている
- Mali-T860は、Mali-T628より電力効率を45%向上、非常に高いビジュアルエクスペリエンスを必要とするモバイルデバイスに最適
ARM Mali-T800 GPUファミリはOpenGL ES 3.1、DirectX、OpenCL、RenderScriptなど最新のAPIをサポートし、AFBCを用いたロスレス圧縮、入力帯域幅を削減するSmart Composition など最新機能をサポートします。Mali-T820とMali-T830は最大4コアまで、Mali-T860は最大16コアまでシェーダコアを拡張可能です。
IP業界初のHEVCビデオエンコードデコードに対応したシングルコアビデオソリューション
High Efficiency Video Coding(HEVC )スタンダードは既に普及し始めています。このビデオフォーマットによるコンテンツのデコードはソフトウェア処理からハードウェア処理へ移行しつつあります。Mali-V550ビデオプロセッサは、HEVC スタンダードをサポートし、高解像度でかつセキュアなHDコンテンツのビデオ配信を低消費電力で実現することが可能です。
Mali-V550の特長は、以下のとおりです。
- 1コア設定で1080p60fpsまで、8コア設定で4k120 fspまで拡張が可能
- ARMのIPとしては初めてHEVC(H.265)を含むマルチスタンダードコーデックをサポートし、 1コアでエンコードとデコードの両方を処理
- Multi streamをサポートしエンコードとデコードを同時に実行可能
- ビデオエンコーダ内でMotion searchを有効にするかどうか動的に判断し切り替える低消費電力化機能、Motion Search Eliminationを搭載
Delivering Energy Efficiency to the Screen
Mali-DP550は、Composition、拡大縮小、回転、画像などをGPU処理から移行することにでデバイスのバッテリ寿命を最大化することが可能です。
Mali-DP550の特長は、以下のとおりです。
- イメージレンダリングの最適化最大7レイヤーのコンポジションをサポート
- ARMパートナ各社のIPブロックとのインテグレーションを容易にするインタフェース
- さまざまな解像度に対応するコンフィギュレーション
ARMのシステムレベルの設計アプローチは、ARM DS-5 Streamlineパフォーマンスアナライザを使うことで、機器メーカやLSIメーカが今すぐに利用可能なテクノロジを提供しています。開発者はCPU、GPU、システムIPの内部動作を表示でき、システムレベルでのボトルネックを明確化できるため、システム全体をより最適化することが可能になります。また、ARMのエコシステムパートナは豊富なツールと高品質なドライバを1つにまとめたシームレスなソフトウェアスタックを提供しは、ARMパートナ各社の開発期間の短縮、開発コストの削減に貢献します。
ARM Mali mediaIPスイートは今すぐライセンスが可能で、2015年後半から2016年前半には搭載されたLSIが市場に展開されることが期待されます。
パートナ各社のコメント
英Apical社の最高経営責任者(CEO)であるMichael Tusch氏は、次のように述べています。「スマートフォンやタブレットのユーザは、デバイスを使用するところが暗い部屋であっても、太陽の下であってもビジュアルの品質に妥協を許しません。しかし、従来のディスプレイ技術では、そのニーズに応えることが困難でした。ARMとApicalは、さまざまなプロジェクトでうまく協力しあっています。新しいARM Mali-DP550とApicalのAssertive Display技術を統合することで、太陽光の下でもシームレスで品質の高い表示や、バッテリ寿命の大幅に延長を可能にしたのです。」
米ケイデンス社のIPグループ担当上級副社長であるJack Guedj氏は、次のように述べています。「最先端のディスプレイ技術向けの要求をARMと協力し合うことで、柔軟性と電力効率の高いARM Mali media IPシステムによって利用が可能となる、さまざまなディスプレイで求められるコントローラやPHYインターフェースを、共通の顧客に対して提供することが可能になります。グラフィックスがより複雑になると同時に、ARM Mali製品に搭載された新しい処理能力は、モバイルでの4Kの実現に対応していきます。」
台湾MediaTek社のワイヤレス通信担当上級副社長兼ジェネラルマネージャーであるJeffrey Ju氏は、次のように述べています。「新しいMali mediaIP製品群により、MediaTekのOEMパートナは、システムレベルでエネルギー効率を改善することが可能となります。AFBCなどのテクノロジは、データ転送を大幅に削減し、その結果として最終製品のバッテリ寿命を延長することができます。消費者は、高い品質のグラフィックスやユーザエクスペリエンスを長時間楽しめることになります。新しい製品群は、市場のあらゆる価格帯に対応し、特定のニーズに合わせた製品の開発を可能にします。」
- 関連タイトル:
Mali,Immortalis
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