［TGS 2012］「ロックスミス」試遊レポート。ギタービギナーや，練習したけどダメだったという人にオススメのタイトルであることを実感

　東京ゲームショウ2012のソニー・コンピュータエンタテインメントブースで，ユービーアイソフトが2012年10月11日の発売を予定しているリアルギターゲーム「ロックスミス」のプレイアブル展示が行われていた。ロックスミスは，本物のギターを接続して演奏が楽しめるという，史上最も本格的といってもいいような気がする音ゲーだ。

ブースにはイケベ楽器店オリジナルの「Epiphone LIMITED MODEL Les Paul Junior」が2本置かれていた。これは，「ロックスミス」とギターがセットになった「ギターセット」で選べるものの一つだ

　普段は格闘ゲーム関連の記事ばかりを書いている筆者だが，実は，毎日ギターを弾かないと気が済まないという，いわゆる三十路ギターキッズ状態だったりする。しかし，東京ゲームショウ2012期間中は家に帰れず，ギターに触れられない悶々とした日々が続いていた。そこへロックスミス！　なんたる僥倖！　しかも財布には愛用のピック，JAZZ IIIが入ってるし（いついかなるときでもジャムれるよう，ピックを常に携帯しておくのがギターキッズのたしなみだ）！
　というわけで，短い時間だったが，本作を実際にプレイしてきたので，ヘタの横好き程度のギター弾きとして，プレイフィールをお伝えしたい。

「ロックスミス」公式サイト

　まず，画面のインタフェースについてだが，画面下部に指板を裏から透かして見たものが表示されている。楽曲が始まると，画面奥から押さえるべきフレットを示すノート（音符）が迫ってくるので，これが指板のラインに来たタイミングで弦をピッキングすれば良いというわけだ。ノートは弦ごとに色分けされていて，フレットナンバーも画面に表示される。「ギターヒーロー」シリーズに近い直感的なインタフェースと言えそうだが，操作できるボタン（というか弦というか）は段違いに多い。

　なお，ギター弾きの視点から言わせてもらうと，タブ譜では一番下に書いてある6弦が，ロックスミスでは一番上に表示されているため，経験者はちょっと戸惑うかもしれない。かくいう筆者も最初は戸惑ったのだが，少し遊んでいたらすぐに気にならなくなった。また，ゲームの設定により，タブ譜と同様の並び順に変更することも可能とのことだ。


　楽曲演奏中は，ピッキングの成否に応じて，難度がシームレスに変化していく。一般的な音ゲーとは違い，いくらミスしてもゲームオーバーにはならない。そもそも本作は音ゲーではなく，エンターテイメント色のめっぽう強い「ギター練習用ソフト」という位置づけ。あくまでも自分の腕前に応じて，練習を続けられるわけだ。

　最初は単音だけを弾いていくシングルノートから，ロックには欠かせないパワーコード，さらにはバレーコードと，難度の段階もかなり豊富に用意されている。これらをミスなく弾いていけば，表示されるノートがどんどん原曲に近付いていく仕組みだ。試遊中にはお目にかかれなかったが，ギターならではの演奏テクニックであるビブラート，スライドやチョーキングなどもあるという。プレイを続けていれば，難しい音楽理論を覚えることなく，さまざまな演奏技術を身に付けられそうだ。


　なお，ピッキングの成否についてもう少し深い話をすると，本作はうまく弾けたかどうかを，ギターから出た音の“音程”で判定しているという。そのため，異弦同音――，例えば6弦5フレット目を指示するノートが迫ってきたとき，5弦の解放を鳴らしたとしても（※），ゲームは正しい演奏として判定してくれるのだ。
　したがって，経験者が自分のスタイルで弾いた場合も，音程さえ合っていればスコアが加算され，難度もアップしていく。また，ノートがない場所でいくらかき鳴らそうがスコアには影響しないので，アドリブもし放題。このあたり，経験者にも納得できるシステムになっている。
（※）レギュラーチューニングの場合はどちらもA（ラ）の音程になる

実は筆者，Lenny Kravitzの「Are You Gonna Go My Way」をプレイする気満々だったのだが，少なくとも試遊版には収録されていなかったというオチ！　幕張メッセに来る前に，しっかりソロを練習しておいたのに……

　「1960年代から最新のヒット曲まで！」と銘打たれた収録楽曲は，The Rolling StonesやCream，Nirvana，そしてRed Hot Chili Peppersとさまざまで（公式サイトのトラックリスト），いずれもギターリフがメインとなる楽曲だ。単にカラオケに合わせて弾くだけではなくて，ギターサウンドもちゃんとそれっぽくなってくれるのが嬉しい。筆者はThe Rolling Stonesの名曲「（I Can't Get No) Satisfaction」をプレイしたのだが，オールドなFUZZっぽいギターサウンドで弾くことができてちょっと感動した。

　この，「テレビとコンシューマ機とギター本体があれば，それっぽく楽しく演奏できる」という点は，本作がギターを始めるときの教材として何より優れている部分だろう。
　エレキギターは確かに楽しいが，それだけあってもダメだ。アンプなどを揃えるのはもちろん，カラオケに合わせて弾くための機材を整えなくては楽しめない。それらをいちいちセッティングするのも面倒だし，始めたての人にはいろいろとハードルの高い楽器なのだ。そうであるが故に，昔買ったギターを押し入れの隅に寝かせている人も多いはず。

「ロックスミス」公式サイト

　しかし，このロックスミスならば，機材の心配をすることなく，手軽にギター演奏が楽しめる。また，演奏だけでなく，“練習を続ける”という観点からも，ロックスミスの手軽さは非常に重要な要素だ。そういう意味で，これから始める人にはもちろん，ギターは持っているけどしばらく弾いていない，という人にもオススメできるゲーム（教材）だと感じた。駆け出しギター弾きの筆者としても，発売日の10月11日が楽しみでならない。


　注意点があるとすれば，収録楽曲はすべて洋楽なので，好みの問題がありそうなところか。Gary MooreやEric Johnson，Joe Satrianiといったインストものもほしかったなぁ……，というごく個人的な感想は置いておくとして，真面目な話，日本向けにアニソンなどがDLC配信されれば，さらに注目されそうだ。声優，豊崎愛生さんのプレイインプレッションも公開されたことでもあるので，とある軽音楽部の曲などはどうでしょうか。あれを見て，レスポールとかムスタングとか買っちゃった人も多そうだし。