狙うは“一億総平家”!?　セガのiPhone/iPadアプリ「源平大戦絵巻」は「収集」「交換」「対戦」を取り入れた新しいタワーディフェンスだ

　セガは本日（6月2日），iPhone/iPod touch/iPad用アプリ「源平大戦絵巻 〜白の波濤、紅の雲霞〜」の配信を開始した。通常価格は1200円だが，配信開始記念として，一定期間，セール価格の350円で提供される。またステージを限定した無料版も配信される。

「源平大戦絵巻 〜白の波濤、紅の雲霞〜」公式サイト

「源平大戦絵巻 〜白の波濤、紅の雲霞〜」購入ページ（iTunesが起動します）

　源平大戦絵巻は，トレーディングカードゲームの要素を取り入れたタワーディフェンスタイプのゲームだ。世界観は源平合戦をモチーフとしており，グラフィックスも中世〜近世日本の絵巻物風になっている。
　ゲーム画面は，絵巻物を意識した横長タイプ。画面右側から源氏の兵士が攻め寄ってくるので，プレイヤーは指揮官となって5×5のマスに平家の兵士を配置し，画面左端の大将を守ることとなる。
　兵士は歩兵/槍兵/弓兵/騎馬兵など，それぞれ長所と短所を持っている。また，将棋の駒のように兵種に応じて移動可能な方向が設定されており，一度配置したあとも別のマスに移すことができる。
　源氏は，1ステージにつき10波（ウェーブ）で攻めてくる。それを迎撃し，見事，大将を守りきれば次のステージに進める。ゲーム本編は全20ステージ（無料版は4ステージ）で構成されており，それぞれ5段階の難度を選択可能だ。


　このタイトルの最も大きな特徴は，トレーディングカードゲームのように，プレイヤーが自由にデッキを構成できる点だ。兵士はそれぞれ絵札として表現され，1プレイごとに1枚ずつ獲得できる。また，アプリ内課金システムを使って，別途，絵札パック各種が販売される。
　絵札は全部で60種類以上用意されており，特殊な効果を持つ武将や龍神などのレアな絵札も存在する。ゲーム中では一度配置した兵士に同種類の絵札を重ねることで，その兵士を最大5レベルまで強化することも可能だ。
　デッキは最大40コスト（初期状態では20）で構成されるので，さまざまな武将の絵札を組み込んだり，同種類の絵札を多めにして兵士の強化を狙ったりと，プレイヤー各自の戦略/戦術を反映できるというわけである。

　そうやって構築したデッキが，ゲーム中では山札となり，「銭」を消費することで初めて手札に追加できる。「兵士徴用」ボタンをタッチすると，松/竹/梅と銭の消費量の異なる三つの玉手箱が表示されるのだが，松が一度に最も多くの手札を獲得できる。
　しかし銭は2秒につき1ずつ増えていく仕様なので，多数の敵兵士が大将に迫っているような場面では，少ない銭──すなわち短い時間で手札を追加できる梅のほうが便利ということもあるだろう。そうした戦局に応じた判断を求められることも，このタイトルの一つの特徴といえる。


　さらに源平大戦絵巻には，Bluetoothの機能を使った二人用の通信対戦モードも用意されている。基本的には一人プレイのときと同じように5×5のマスに兵士を配置していくのだが，対戦モードでは攻めてきた敵を迎撃するだけでなく，味方の兵士を敵陣に攻め込ませることができるのだ。実際に対戦してみると，攻防それぞれに配慮しながら戦うことになるので，タワーディフェンスというよりも，将棋やチェスなどを遊んでいる感覚に近い。
　また，同じくBluetoothを介して絵札のトレードも可能。対戦/トレードは，iPhoneとiPadといったように異なった機種間，あるいはアプリの無料版と有料版の間でもできるようになっている。

　外見的な特徴としては絵巻物風のグラフィックスが挙げられるが，兵士が倒れるときに出血表現がなされたり，プレイヤー敗北時に大将の生首を持ち去る兵士の姿が描かれたりといった，ある意味，大人向けな表現がなされているのも見逃せない。
　また，世界観を盛り上げるべく，琵琶奏者として知られる田原順子さんの演奏を収録・アレンジしてBGMにするなど，サウンド面にも力が入れられている。

J-Bonzeこと新小田夢童氏（左）とキラ・ロッソ氏（右）

　さて4Gamerでは，源平大戦絵巻を企画・開発した新小田夢童（しんおだむどう）氏と，自称“悪徳プロモーター”のキラ・ロッソ氏に話を聞くことができた。何でも新小田氏は“平家の末裔”とのことで，常日頃，平家復興を目指した啓蒙活動をしているそうだ。まあ信じるかどうかは，読者にお任せしたいところである。

　どうにも胡散臭い二人を見て「2012年のNHK大河ドラマ『平清盛』に便乗して作ったゲームなんじゃないの？」と問い詰めてみたところ，「確かに平家が注目されている昨今の機運に乗ったことは否定できない」とキラ・ロッソ氏はニヤリ。
　しかし，その一方では“This is Japan”を掲げて「これが日本のゲームだ！」ということを海外にアピールしていくという。そういった目的があるからこそ，グラフィックスは日本の絵巻物をモチーフにし，音楽にも本物の琵琶奏者を起用するなど，日本の伝統を大きくフィーチャーしたというわけだ。

　また，ゲーム部分にも抜かりはなく，最大の特徴となる部分の企画，開発にあたっては，セガの人気アーケードゲーム「戦国大戦」「三国志大戦」を生み出したディレクター，大原 徹氏からのアドバイスを元に，作り込みやバランス調整を行っているという。トレーディングカードゲームの持つ「収集」「交換」「対戦」という魅力を，いかにしてタワーディフェンスに盛り込むかというところに，最も注力したとキラ・ロッソ氏は述べる。

　なお新小田氏とキラ・ロッソ氏は，今後，さまざまなイベントに登場し，“一億総平家”を掲げて平家復興と源平大戦絵巻をアピールしていくとのこと。もしどこかで出会ったら，「お仕事とはいえ大変ですね」とか「深編笠って暑くて重いんでしょう？」と優しい声をかけて労ってあげると喜ぶだろう。
　また，新小田氏はTwitterでも「J_Bonze」（アカウントはJ_Bonze）名義で活動しているので，ぜひフォローしてほしいと話していた。
　それでは最後に，お二人からいただいたメッセージを掲載し，記事を締め括ろう。

「もう“一億総平家”というくらい，今の日本では平家に流れが来ています。源平大戦絵巻は，App Storeのアカウントが同じなら，一度購入すれば複数のiPhoneやiPadにインストールできますから，ご家族で遊んでいただけます。『これからは平家だなあ』『一家でJ-Bonzeファミリーに入ってしまおうか』と，話も弾むのではないでしょうか。無料版でも相当遊べますので，ぜひ一度試してみてください」（キラ・ロッソ氏）
「喝ッ！」（新小田氏）

「源平大戦絵巻 〜白の波濤、紅の雲霞〜」公式サイト

「源平大戦絵巻 〜白の波濤、紅の雲霞〜」購入ページ（iTunesが起動します）

※2011年6月2日17：56，セガから「本人が『やっぱりヒラロッソよりキラ・ロッソのほうがいいかな』と言い出してしまった」旨の連絡が入ったため，ヒラロッソ氏の名前をキラ・ロッソ氏に修正しました