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GIGABYTEの簡易液冷クーラー搭載GTX 980 Ti「GV-N98TXTREME W-6GD」レビュー。大がかりな冷却機構搭載の意味を探る
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印刷2015/12/18 05:00

レビュー

簡易液冷クーラー搭載&OC仕様のGTX 980 Tiはどれだけ速いのか

GIGABYTE GV-N98TXTREME W-6GD

Text by 宮崎真一


GV-N98TXTREME W-6GD
メーカー:GIGA-BYTE TECHNOLOGY
問い合わせ先:CFD販売 050-3786-9585(平日10:00〜12:00,13:00〜18:00)
実勢価格:11万9000〜13万2000円程度(※2015年12月18日現在)
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 GIGA-BYTE TECHNOLOGY(以下,GIGABYTE)のグラフィックス部門は最近,ゲーマー向け製品ブランド「XTREME GAMING」の製品ラインナップ拡充を進めているが,今回取り上げる「GV-N98TXTREME W-6GD」は,2015年12月時点における,唯一の簡易液冷クーラー搭載モデルだ。
 「GeForce GTX 980 Ti」(以下,GTX 980 Ti)搭載グラフィックスカードとなる本製品,外観上の最大の特徴は,写真を見てもらえれば分かるとおり,簡易液冷クーラー「WATERFORCE All in One Closed Loop Water Cooling System」(以下,WATERFORCE AiO)を標準搭載するところだが,それを生かした高い動作クロック設定も,大きなポイントとなっている。

 では実際のところ,簡易液冷クーラーを組み合わせたGTX 980 Tiカードには,どれだけの性能を期待できるのだろうか。GIGABYTEから入手した製品版サンプルを用いて,そのポテンシャルに迫ってみたい。


動作モードはOC,GAMING,ECOの3つ

WATERFORCE AiOは純然たる簡易液冷クーラー


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GTX 980 Ti GPU。「GPU Gauntlet Sorting」により,高クロック動作に耐性のある個体のみを採用しているというのがGIGABYTEによるアピールポイントの1つだ
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OC Guru IIで確認したところ,最大動作クロックは1418MHzに達した
 というわけで,まずは気になる動作クロックから確認してみよう。GV-N98TXTREME W-6GDのベースクロックはGTX 980 Tiリファレンスの1000MHz比で約22%高い1216MHz,ブーストクロックはリファレンスの1075MHz比で約23%高い1317MHzとなっている。
 後述するテスト環境で,ゲームアプリケーション実行中のコアクロック推移をGIGABYTE製オーバークロックツール「OC Guru II」(Version 1.92)から確認した限り,ブースト最大クロックは1418MHzに達した。同条件でGTX 980 Tiリファレンスカードだと1202MHzが上限だったので,ブースト最大クロックはプラス約18%という計算だ。

 メモリクロックは7202MHz相当(実クロック1800MHz)で,リファレンスの7010MHz相当(実クロック1752MHz)と比べると約3%高い。

 しかも,話はそれで終わりではない。GV-N98TXTREME W-6GDは「OC」「GAMING」「ECO」という3つの動作モードを持ち,OC Guru IIから切り替えられるのだが,いま紹介した動作クロックは,標準設定となるGAMINGモードのものだったりするのだ。
 では,残る2モードはどうなるかというと,以下のような設定になっている。

  • OCモード:ベース1241MHz,ブースト最大1443MHz,メモリ7202MHz
  • ECOモード:ベース1126MHz,ブースト最大1327MHz,メモリ7010MHz

 ざっくりいえば,OCモードはGAMINGモードからさらにベースクロックを25MHz高めたもので,ECOモードはGAMINGモード比でベースクロックを90MHz低く抑え,さらにメモリクロックをリファレンス相当に抑えたものという理解でいいだろう。
 ただ,ECOモードはその名の割にはGTX 980 Tiのリファレンス仕様と比べて13%もベースクロックが高いわけで,言うほどエコか? という気はする。このあたりの実態は,後段で検証したい。

カードの全長はリファレンスカードとそれほど変わらない。ただ,写真上下方向の占有空間は大きいので注意が必要だ
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 以上を踏まえ,カードを概観してみよう。
 カード長は実測約272mm(※突起部含まず)。GTX 980 Tiリファレンスカードが同268mmだったので,わずかに4mm長い計算となる。ただし,カードをマザーボードに差したとき,マザーボードから垂直方向の長さはリファレンスカード比で9mmほど長い実測約117mmであり,簡易液冷クーラーのホースがさらに伸びることになるため,ホースの剛性も考慮すると(デスクトップ向けのタワー型筐体に搭載する場合)PCケースの横幅はざっくり140mm以上必要になる。この点は押さえておく必要がありそうだ。

ホースはカードの側面から伸びる仕様。カードの背面は熱伝導板と補強板とを兼ねると思われる金属板で覆われていた
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 ホースの話が出たので続けると,目に見えるところで実測約280mmと,ホースはやや短い。PCケースに取り付ける場合,ラジエータを取り付ける先は,事実上,PCケース背面側のみということになるだろう。ラジエータはサイズが実測約120(W)×54(D)×154(H)mmで,120mm角のファンが取り付けられているため,PCケースの背面側に120mm角ファンを取り付けてなお余裕のあるスペースが必要となる点にも留意しておきたい。

簡易液冷仕様のクーラーというと,「Radeon R9 Fury X」をイメージする読者も少なくないと思うが,WATERFORCE AiOのラジエータはそれよりも厚みが9mm少ない,比較的薄型のタイプだった
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 さて,WATERFORCE AiOは,いわゆるハイブリッド仕様ではなく,純然たる簡易液冷仕様のクーラーである。そのため,カードを覆う2スロット仕様のクーラー部にファンはなく,上面のアクリルパネルから覗き込める内部構造でも,確認できるのは,ポンプユニットと水枕,パッシブヒートシンク(&ヒートパイプ)くらいだ。大型のヒートシンクを搭載しないためか,ハイエンド市場向け製品であるにも関わらず,カード自体はとても軽い。

補助電源コネクタの構成は非常にユニーク。ゲーム用(というか一般的なPC用)で使うときは,8ピン×2の電源供給が必要だ
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 カード上の補助電源コネクタ構成は非常にユニークで,まず,カード側面部に8ピン×2があり,それとは別に,基板後方にもう1系統の6ピンコネクタを搭載するというものになっている。
 この6ピンコネクタは,すぐ隣にあるプッシュスイッチと合わせて利用するもので,このスイッチを押すと,通常のグラフィックスBIOS(以下,VBIOS)ではなく,液体窒素冷却に対応した,いわゆるLN2モードのVBIOSに切り替わる仕様だ。ゲーマー向けではなく,オーバークロック競技へ参加するような人向けに,追加の電源供給を行えるようにしてあるわけである。逆にいうと,このスイッチを押さない限り,6ピンコネクタへ電源供給を行う必要はない。
 ちなみに,標準の8ピンコネクタ×2には,どちらも8ピンケーブルの接続が必須だった。片方を6ピンでつないだりした場合,カードは起動できなかった。

カードには6ピン電源ケーブル2本から8ピン×1に変換するアダプターケーブルと,XTREME GAMINGのステッカー,そしてなぜかリストバンドが付属している
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OC Guru IIから設定できるLED STYLEとLED COLOR
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 なお,WATERFORCE AiOの側面にあるGIGABYTEロゴと,クーラーでアクリルパネルを覆う部分に埋め込まれたライン部は,OC Guru IIの「LED STYLE」から光り方と輝度を,「LED COLOR」から色を変更できる。
 光り方は,点灯しっぱなしの「NONE」,ゆっくりと明滅を繰り返す「Breathing」,速い点滅を繰り返す「Flashing」,点滅の回数が2回に増える「Dual Flashing」の4とおりで,デフォルトはNONE。色は「オレンジ」「水色」「赤色」「緑色」「黄色」「紫色」「白色」の7色が標準で,それらがランダムで入れ替わる虹色モードと,フルカラーのパレットから好きな色を選択できるモードも利用できる。パレットといっても単なるスライダーであって,現実には,とてもフルカラー(≒1677万色)から選べるとは言えないが,カスタマイズできるのはいいことだ。

LED COLORのデフォルト7色を設定してみたところ。蛍光灯下の撮影だが,白も含めて色は自然に出ている
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本文で「ライン部」とした部分は,実のところ2か所ある。この角度だと,赤い線で示した部分のLEDは角度の関係でちょうど見えない
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GPUクーラーを取り外して基板をチェック。注目は豪勢な電源回路


外部出力インタフェースはDisplayPort(1.2)×3,HDMI(2.0) Type A×1,Dual-Link DVI-I×1となる
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 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,取り外した時点でメーカー保証は受けられなくなる。そのことをお断りしつつ,今回はレビューのため,特別に取り外してみよう。

 WATERFORCE AiOのカバーを取り外すと,基板側のクーラーが,ポンプと水枕,ヒートパイプ,ヒートシンクが一体化したものであることを確認できる。GPUに接触している銅製の枕は,メモリチップも覆っており,さらに,電源部を覆うヒートシンクから,ヒートパイプで枕へ熱を運ぶような構造にもなっていた。

WATERFORCE AiOのカバーを取り外したところ(左)と,さらにクーラーを基板から外したところ(右)
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本体背面側のカバーも外した基板(左)と,その背面側(右)
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電源部
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 基板の電源部は見る限り12+2フェーズと,かなり豪勢。採用する部材は,機能性高分子アルミ固体電解コンデンサや,“鳴き”につながる振動を抑えた金属製チョークコイル低オン抵抗(低RDS(on))のMOSFETといった,GIGABYTE自慢の品質規格「Ultra Durable VGA」を満たすものだ。また,基板全体には航空宇宙グレードの通気性コーティング「Aerospace-grade PCB Coating」を施し,湿気や埃(ほこり),それに腐食に対して耐久性が高い作りを実現しているという。

 なお,搭載するメモリチップはSamsung Electronics製GDDR5「K4G41325FC-HC28」(7Gbps品)。なので,OCモードやGAMINGモードでは若干ながらチップの仕様を超えたクロック設定で動作することになる。

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見ただけでは分からないが,基板にはAerospace-grade PCB Coatingというコートを施してある
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搭載するメモリチップは7Gbps品で,このあたりはリファレンスのGTX 980 Tiカードと変わらない


3つの動作モードでGTX 980 TiおよびGTX TITAN Xと比較


 今回,GV-N98TXTREME W-6GDをテストするにあたり,比較対象にはベースモデルであるGTX 980 Tiと,上位モデルとなるGTX TITAN Xの両リファレンスカードを用意した。さらに,前述のとおりGV-N98TXTREME W-6GDは3つの動作モードを持つことから,今回は3モードでのテストも行う。以下,グラフ中に限り,製品名の後ろに「OC」「GMG」「ECO」と入れて区別する。
 テストに用いたグラフィックスドライバ,テスト開始時点の公式最新版となる「GeForce 359.06 Driver」。そのほかのテスト環境はのとおりだ。

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 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション17.0準拠。ただし,これまでのレビュー記事でもお伝えしているとおり,筆者の環境では「Crysis 3」が正常に動作しない。そのため,今回は代わりに「Fallout 4」を採用している。

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 Fallout 4のテストは,GPU計28製品で一斉検証を行ったときとまったく同じで,簡単にいえば,「Corvega Assembly Plant」で決まったルートを1分間動き,その平均フレームレートを「Fraps」(Version 3.5.99)で測定するというものになる。テストは条件ごとに3回行い,その平均をスコアとして採用するという流れだ。
 そのテスト条件だが,ここでは,描画負荷が最も高い「Ultra」と比較的低めの「Medium」両プリセットを選択のうえ,さらに後者ではアンチエイリアシング設定の「TAA(Best quality)」,異方性フィルタリング設定の「16 Samples」を無効化し,描画負荷の軽減を図る。

 なお,余談気味に続けておくと,ベンチマークレギュレーション18でFallout 4を採用するにあたっては,シーンの再選定など,さらなる検討が必要だと考えている。今回は時間の都合により先の一斉検証時と条件を揃えているので,その点はあらかじめお断りしておきたい。

 テスト解像度は,GV-N98TXTREME W-6GDがハイエンド向けモデルということもあり,3840×2160ドットと2560×1440ドットの2つを選択。テストに用いたCPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,テスト状況によってその効果に違いが生じる可能性を排除する目的で,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。


GTX 980 Tiよりもざっくり15%は高いスコア

ECOモードでさえGTX TITAN X以上


 グラフ1に結果を示した「3DMark」(Version 1.5.915)から,順番に結果を見て行こう。
 GV-N98TXTREME W-6GDのデフォルト設定となるGAMINGモードは,GTX 980 Ti比で14〜17%程度高いスコア,GTX TITAN Xに対しても10〜12%程度高いスコアを示した。クロックアップモデルらしいスコアだが,それにしても10%以上のスコア差というのはなかなか景気がいい。
 OCモードはGAMINGモードよりも1〜2%程度高いスコアで,逆にECOモードはGamingモード比で約95%のスコアだが,それでもGTX TITAN Xより高い。「エコモード」というより「クロックアップ控えめモード」と紹介したほうがよさそうである。

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 全体的な傾向は,グラフ2,3の「Far Cry 4」でも同じだ。
 GV-N98TXTREME W-6GDのGAMINGモードは対GTX 980 Tiで17〜19%程度,対GTX TITAN Xで11〜15%程度高いスコアを示した。OCモードおよびECOモードとの力関係もほとんど変わらない。描画負荷の下がるMedium設定でスコアが“丸まる”程度だ。

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 今回のテスト対象はいずれもGM200コアを採用するGPUということもあってか,「EVOLVE」でも,ここまでのスコアを踏襲する結果が出ている(グラフ4,5)。レギュレーションでは平均45fpsを及第点としているのだが,GV-N98TXTREME W-6GDのOCモードとGAMINGモードが3840×2160ドットでクリアしてきているのは注目に値しよう。

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 グラフ6,7のFallout 4で,GV-N98TXTREME W-6GDのスコアはとくに優秀だ。GTX 980 Tiに対しては17〜26%程度,GTX TITAN Xに対しても13〜21%程度ものスコア差を付けている。
 動作クロックの違いなどを踏まえると,スコア差は付きすぎといったところだが,その理由の1つには,OCモードとGAMINGモードでメモリクロックが引き上げられていることがあるとは考えている。さらに,簡易液冷クーラーの冷却能力を背景に,より高い動作クロックに留まる時間が多くなっていることもいい結果につながっているのではなかろうか。

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 続いてグラフ8,9は「Dragon Age: Inquisition」の結果だが,ここでのスコア傾向は3DMarkからEVOLVEまでのそれに近い。GAMINGモードのGV-N98TXTREME W-6GDは対GTX 980 Tiで14〜16%程度,対GTX TITAN Xで10〜13%程度のスコア差を付けているので,クロックアップの効果は十分にあると述べていいだろう。

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 「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」公式ベンチマーク(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)のスコアをまとめたものがグラフ10,11である。
 「標準品質(デスクトップPC)」は,もはやこのクラスの製品にとっては描画負荷が低すぎるため,ここでは「最高品質」のスコアで比較していくことになるが,ここでもGV-N98TXTREME W-6GDは,ECOモードでGTX TITAN Xを上回る結果を残した。
 実フレームレートだと,GAMINGおよびOCモードで解像度2560×1440ドット時に堂々の90fps超えである。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
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 「GRID Autosport」も,今回テストに用いているGPUにとっては負荷が低すぎるため,全体としてスコアは似通ったものになった(グラフ12,13)。とくに2560×1440ドットではそれが顕著だが,3840×2160ドット時のスコアに着目すると,GV-N98TXTREME W-6GDが比較対象を確実に引き離しているのが分かる。

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GAMINGモードで消費電力は最大30W弱の増加

WATERFORCE AiOは冷却能力&静音性ともに優秀


 クロックアップモデルというと,どうしても消費電力の増大からは逃れられないが,GV-N98TXTREME W-6GDではどの程度覚悟すればいいだろうか。ログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の消費電力を測定,比較してみたい。
 テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果がグラフ14だ。
 まずアイドル時だが,GV-N98TXTREME W-6GDの消費電力は動作モードを問わず,GBT 980 TiおよびGTX TITAN Xよりも若干高い。ただこれは,豪華な基板設計やポンプユニットを搭載する事実を踏まえるに,妥当とはいえるだろう。
 続いて,各アプリケーション実行時を見ていくと,GAMINGモードにおけるGV-N98TXTREME W-6GDはGTX 980 Tiより10〜27W,GTX TITAN Xと比べると4〜22W高い。クロック上昇分の対価はきっちり払うことになっている印象だ。
 また,ECOモードも,GTX 980 Tiと比べて5〜13W高い。これが文字どおりの「エコ」でないことは誰の目にも明らかだと思う。

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 GPUの温度も,念のため確認しておきたい。ここでは,温度24℃の室内において,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,「GPU-Z」(Version 0.8.6)から温度を取得することにした。
 リファレンスカード2枚はともかくとして,GV-N98TXTREME W-6GDはGIGABYTE独自基板デザインを採用しているだけでなく,そもそもクーラーの仕様が異なる。なので,横並びの比較に意味はないが,それでもこうして並べてみると,WATERFORCE AiOの冷却能力が高いことは十分に確認可能だ。とくに,バラック状態という好条件とはいえ,高負荷時に50℃台というのはインパクトが大きい。

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 気になる動作音は,今回,録音してサウンドファイルにしてみたので,実際に聞いてみてほしい。今回は,カードに正対する形で30cm離した地点にマイクを置き,アイドル状態で1分間放置したあと,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを4分間実行したときの様子をデータ化してある。動作モードは,デフォルトのGAMINGだ。
 最初の1分間は,アイドル時でもラジエータのファンが回転し続けることもあって,アイドル時にファン回転を停止させるという最近の流行に乗ったGPUクーラーと比べて,静音性は譲る。しかし,ベンチマークが始まっても動作音はほとんど変化せず,負荷がかかった状態でも動作音はかなり低いレベルに収まっている。簡易液冷クーラーの場合,PCケース側の冷却能力次第で結果はかなり変わるため,今回のテスト結果はベストケースと理解したほうがいいかもしれないが,それでもこの結果は優秀と述べてよさそうである。

SOUND PLAYER:このブラウザは未対応です。PCをご利用ください。
※再生できない場合は,Waveファイルをダウンロードのうえ,手元のメディアプレイヤーで再生してみてください。


性能も価格も圧倒的。基板設計と簡易液冷ユニットに価値を見出せるかがポイント


製品ボックス
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 以上,GV-N98TXTREME W-6GDの性能は相当に高い。最近のNVIDIAはGTX 980 Tiを4Kゲームプレイ用と位置づけているわけだが,Fallout 4のMedium設定におけるスコアなどは,確かに現実味を感じさせてくれる印象だ。
 また,高い動作クロックに問題なく堪えてくれるであろう基板設計や,WATERFORCE AiOの実力も申し分ない。グラフィクスカードの熱がおおむねPCケースの外へ排出されるというその仕様に魅力を感じる人も多いのではなかろうか。

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 もちろん,やむを得ないこととはいえ,店頭価格は大きなハードルとなる。2015年12月にあって,GTX 980 Tiカードは,ブランドや仕様を問わなければ8万円台中頃で購入できるのに対し,GV-N98TXTREME W-6GDの実勢価格は11万9000〜13万2000円程度(※2015年12月18日現在)である。この価格差は,やはり人を選ぶと言わざるを得ない。GTX TITAN Xリファレンスカードよりは安価で,かつ確実に3D性能は上なので,その点に魅力を感じる人向けの選択肢,ということになるだろう。
 とにかく3D性能とクーラーの冷却能力に期待するというのであれば,GV-N98TXTREME W-6GDはしっかりと応えてくれるはずだ。

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GIGABYTEのGV-N98TXTREME W-6GD製品情報ページ

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