インタビュー
シューターなのに殴り合い!? 独特の進化を見せる「トイ・ウォーズ」の最新アップデートの見どころと今後の展開を運営スタッフに聞いてみた
トイ・ウォーズは2011年3月のサービス開始から1周年を迎え,今回の「Dimension3.0」は,その節目にふさわしい大規模アップデートとなっているという。今回は,これまでのトイ・ウォーズの歩みや,「Dimension3.0」の見どころ,さらにその先に控えている展開について,運営スタッフに詳しく聞いてきた。
「トイ・ウォーズ」公式サイト
シューターとしては独特の進化を遂げた最初の1年
4Gamer:
本日は,よろしくお願いします。「トイ・ウォーズ」は,2011年3月9日に正式サービスが始まり,3月に1周年を迎えました。この1年を振り返ってみての感想を教えてください。
まず,トイ・ウォーズが1年目を乗り越えられたのは,やはり皆さんが遊んでくださったおかげです。皆さんの思いに100%応えられたかどうかは分かりませんが,運営チームとして精一杯の努力をしてきました。
4Gamer:
現在は,どういったプレイヤー層が多いんですか?
齋藤氏:
アニメ好きなプレイヤーさんもいれば,ガチ要素を好むシューター層もいる。そういった2つの層が入り乱れるような状況になっています。また,年齢層については,10代後半から20代前半が多くを占め,30代前半の方もいらっしゃいますね。
4Gamer:
アニメ好きの層がそれだけいるというのは,やはり主役が「フィギュア」だからなんでしょうか。
齋藤氏:
フィギュアという要素は大きいですが,それに加えて,豪華な声優陣や毎月開催している「フィギュア☆スター」というアニメコラボレーションが,非常に強く影響しているようです。
4Gamer:
アニメとのコラボは,本作を語る上では外せない要素ですよね。コラボアバターを毎月出していくのはなかなか大変ではないですか。
齋藤氏:
ええ,舞台裏は非常に大変です(笑)。ただ,版権元さんも「面白いじゃないですか」と協力してくださっていますので。キャラクターがフィギュアであるという世界観は,ハチャメチャな提案でも,共感してもらえやすいコンセプトなのだと思います。
4Gamer:
では,今後のコラボ予定はどうなっていますか。
齋藤氏:
今はまだ明かせませんが,5月実装のVol.12には「ようやくか!」と思われるようなタイトルが控えています。
4Gamer:
ようやく……どの作品でしょうか。気になりますね。
齋藤氏:
Vol.13は,銃器に特化したアニメのタイトルになると思います。Vol.14では,アニメ好きの層に強い傾向のキャラクターコンテンツを入れようと思っています。
4Gamer:
アニメ好きの層と言っても,幅が広い気もしますが(笑)。ちなみに,コラボについてのプレイヤーからの反応はいかがですか?
齋藤氏:
不満の声は,あまりありません。逆に「このアニメとコラボしてほしい!」という要望の方が多いですね。3月に行いました「第1回トイ・ウォーズ☆ぱーてぃ」でアンケート調査を行ったところ,相当数のタイトルが挙がってきました。そのアンケート結果を集計して「これだけの作品,誰が企画を交渉に行くの……?」と(笑)。
4Gamer:
プレイヤー側からとしては,「頑張ってくださいね!」としか言えません(笑)。ところで今の話からすると,Vol.12〜14のコラボ作品は,イベントのアンケート結果を反映しているということですか?
齋藤氏:
いえ,Vol.14までは,これまでのアンケート調査を参考にピックアップしたものとなっています。Vol.15以降で,イベントの方の結果を反映していきます。
4Gamer:
なるほど。これまで「フィギュア☆スター」は毎月追加されてきましたが,そのペースは今後も維持されるんでしょうか?
齋藤氏:
ええ。毎月やっていきますし,可能であれば,月2本でも良いんじゃないかと思っています。今までの「フィギュア☆スター」ではアバターと武器を用意していましたが,例えばアクセサリーだけのコラボだったりとか,武器セレクションであったりとか,もっとほかのことができないか模索していこうかと思っています。
4Gamer:
アニメによっては,アバターはともかく,武器はどうするの? という作品もありますよね。
齋藤氏:
そもそも,コラボ対象もアニメにとらわれる必要はないと思っています。
4Gamer:
アニメ以外とのコラボレーションというわけですか。それは,もう具体的な企画などが動いているんですか?
齋藤氏:
まだ詳しくは話せないのですが,ファッションデ業界へアプローチをしています。もし,そういった方々が真面目に銃のデザインをしたらどういうものができるだろう? と考えると面白いと思いませんか?
4Gamer:
たしかに。一見奇抜な銃だとか,リアル系FPSだと銃器としてどうなの? というものが出てくる可能性もありそうですが,フィギュアという設定がそれを許容できそうなのは強みですよね。もちろん,そうした方々が作るアバター衣装が,ゲームにどう落とし込まれるのかも楽しみです。
齋藤氏:
もしかしたら,映画やドラマなどの衣装も入ってくるかもしれません。
4Gamer:
人気ドラマとのコラボも楽しそうですね。
齋藤氏:
そういった,いろいろと新しいことにチャレンジしていきたいです。
4Gamer:
分かりました。ちょっと話が戻りますが,先ほどの2つの層のうち,アニメ好きの層の多くには,シューター初心者も多いと思います。両者の住み分けなどはできているんですか?
齋藤氏:
住み分けと言って良いかは分かりませんが……実はいまトイ・ウォーズでは,武器を近接武器のみに制限した戦い方が人気上昇中なんですよ。
4Gamer:
長物を持っての殴りあいですか。
齋藤氏:
ええ。トイ・ウォーズでは,ほかのタイトルでは見ることがあまりない,不思議な光景が広がっています(笑)。フィギュアで戦う「シューティング」としてサービスしている以上,運営チームとしては「認めてしまって良いのだろうか?」と考えたこともありましたが。
4Gamer:
どうして,そんなに近接戦が流行しているんでしょう。
これこそプレイヤー層が関係しているのだと思います。おっしゃるとおり,トイ・ウォーズでは新規にシューターを始める方が多いんです。そういった方が,ほかのFPSを遊んだことがあるプレイヤーさんと当たってしまった場合,惨敗してすぐ辞めてしまうことも少なくないんです。
4Gamer:
シューター経験者と初心者とでは,同時に始めても,すでにスタート地点は違いますね。
齋藤氏:
ええ。そうした初心者の方がプレイを続ける場合,2通りのパターンがあります。地道にシューティングの練習をされる方がいる一方で,近接戦をメインに遊ぶようになる方がいるんですよ。
4Gamer:
それは,どちらも近づいて攻撃するので,腕の差が大きく影響しないから……みたいな理由ですか。
齋藤氏:
それもありますが,トイ・ウォーズにおける近接戦の爽快感が関係していると思います。
TPSだからなんでしょうね。FPSの場合,間合いを把握するのが難しかったり,当てるのも難しいですから。
4Gamer:
たしかにFPSでは,範囲の把握が難しいですね。先ほど,こうした戦い方を「『認めてしまって良いのだろうか?』と考えた」とおっしゃっていましたが。
齋藤氏:
いまは「これもトイ・ウォーズが生み出してきた遊び方の一つとして認めて良いんじゃないか」と考えています。ですので,今後は近接戦を楽しんでいるプレイヤーも対象にした,新たなモードや大会を作っていくことも考えようと思っています。
ガチの撃ちあいで勝ち抜くことができなかった人でも遊べる,「カジュアル」な作品を目指そうと思います。
4Gamer:
なんというか,本作はシューターというジャンルでありながら,独特の進化を歩んでいると感じます。
ところで,ゲームモードに関しては,この1年で,いろいろな種類が追加されてきましたよね。現在は全11モードありますが,どんなモードが人気ですか。
齋藤氏:
人気が高いのは,「チームデスマッチ」「サボタージュ」「キャプチャーザーバッテリー」といった,シューターの「王道」的なものです。逆に,カジュアル系のモードに関しては,運が強く絡むので,ガチなプレイを好むプレイヤーさんには人気がありません。カジュアル系のモードは,「別にやられてもいいや」といったライトなプレイヤーさんが中心となっています。
4Gamer:
では,逆にあまり遊ばれていないモードには,どういったものが?
齋藤氏:
まずは「クラン戦」です。自動でマッチングされた時に「強いクランとぶつかったら勝てるわけがない」と敬遠されている状況です。また,「アームズレース」や「アイテムマッチ」についても,ユーザビリティの問題からあまりプレイされていません。
4Gamer:
そういったモードについて,改修やバランス調整などは計画されていますか?
齋藤氏:
クラン戦についてはマッチングのバランスを調整する予定です。また,アームズレースとアイテムマッチについても大幅なリニューアルを計画しています。さらに,カジュアル志向が強いモードはポイント制にして,キル/デス数を記録しないように提案中です。
4Gamer:
たしかに,運の要素が強いモードでキル/デス数が記録されると,モチベーションに関わりますね。そのほかに,今後の課題となっているものはありますか。
齋藤氏:
コミュニティの拡張も,課題のひとつですね。トイ・ウォーズの場合,「トイ・ウォーズ☆ぱーてぃ」のようなオフラインイベントが非常に人気なんですが,その来場者の中には「友だちに誘われて来た」という新規プレイヤーも多いのです。そういった方々にゲームを続けていただくため,クランなどのゲーム内コミュニティにつながる導線を用意しようと思っています。
4Gamer:
プレイを始めるのは簡単ですが,クランに入るにはちょっと覚悟が必要ですよね。
齋藤氏:
現在も「トイ・ウォーズ訓練校〜クラン1日体験会〜」といったイベントを行っていますが――新たな施策として,私がクランを立ち上げて,その中でずっとアニメの話をするのも良いかなと考えています(笑)。運営スタッフ自ら,共通の話題で盛り上がる枠組みを作って,「●●さんもあの話題が好きなのか」となるきっかけを作ってもらおうと。
4Gamer:
同じ趣味嗜好のプレイヤー同士が,自然と集まれると場ができると良いですね。元々,趣味の近いプレイヤーは多そうですし,きっかけがあれば集まりそうです。
齋藤氏:
そうですね。ほかのタイトルの場合,アニメの話題自体が嫌がられることもありますが,例えば以前,自分が運営スタッフとしてブロードキャストを流した際に,文章が途中で切れて「〜〜ですの」と誤爆してしまったことがありました。その時は,“とある”キャラクターの名前で,一気に大量のログが流れていきました(笑)。
4Gamer:
あー,ジャッジする人ですね。その時の状況が容易に想像できます(笑)。
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