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[G-Star 2010]ブラウザゲームが“メインで遊ぶゲーム”となる日が来る? 「三国志を抱く。」プロデューサーに開発の経緯を聞いた
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印刷2010/11/24 15:15

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[G-Star 2010]ブラウザゲームが“メインで遊ぶゲーム”となる日が来る? 「三国志を抱く。」プロデューサーに開発の経緯を聞いた

画像集#002のサムネイル/[G-Star 2010]ブラウザゲームが“メインで遊ぶゲーム”となる日が来る? 「三国志を抱く。」プロデューサーに開発の経緯を聞いた
 韓国NDOORSが開発中のMMORPG「三国志を抱く。」は,今回のG-Starに出展されたタイトルの中でも,個人的にとくに大きな衝撃を受けた作品の一つだ。
 先日お伝えしたように,クライアント型のゲームにしか思えないグラフィックスクオリティを特徴としながら,その実態はブラウザゲームだからである。技術の進化という観点で,大作MMORPGに勝るとも劣らないインパクトがあった。

 本作の開発プロデューサーを務めているのは,「巨商伝」「君主 online」「アトランティカ」などに携わったキム・テゴン氏。MMORPGに政治/経済の概念を取り込むことを得意とする氏が本作で目指しているものは何か? 今回,キム氏に話を聞く機会を得たので,その中で分かったことをまとめてお伝えしよう。

[G-Star 2010]信じがたいがこれは本当に“ブラウザゲーム”なのだ。「三国志を抱く。」のすごさが分かるムービー3本を掲載


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三国志の物語を追体験できる“ゲームドラマ”を作りたい


画像集#004のサムネイル/[G-Star 2010]ブラウザゲームが“メインで遊ぶゲーム”となる日が来る? 「三国志を抱く。」プロデューサーに開発の経緯を聞いた
 まずキム氏は,本作のコンセプトについて「三国志の世界を,テレビドラマを見るかのように楽しんでほしいんです」と,身を乗り出すようにして説明した。
 三国志の物語の中で起こったさまざまな事件を,プレイヤー自身が追体験することで,本で読むのとは異なる楽しみを味わえるような作品,“ゲームドラマ”を提供したいのだそうだ。

 本作では,魏,呉,蜀の3国家それぞれに異なるキャンペーンシナリオが用意されている。
 例えば,蜀の場合,桃園の誓いから始まり,挙兵して黄巾賊を討伐するという展開となる。その後,長い流浪の末に蜀を建国し,三国鼎立の形が定まるという流れだ。

 このように,各シナリオは国ごとの代表的なエピソードで構成されており,それぞれのエピソードをクリアすると時代が進んでいく仕組みとなっている。
 また,物語の大筋とは直接つながりはないものの,魅力のあるさまざまなエピソードを,サブシナリオとして用意する予定とのことだ。

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 これらのキャンペーンシナリオは,羅貫中(ラカンチュウ)が編さんした「三国志演義」がベースとなっている。キム氏によれば,国ごとにシナリオを用意するにあたり,史書である「三国志」より,羅貫中による三国志演義のほうがバランスがよかったため,こちらを採用することにしたという。

 ところで,国ごとの歴史を追体験できると聞くと,プレイヤーキャラクターの位置づけが気になる。物語に登場しないキャラクターが歴史に介入するのであれば,追体験どころか“if”物のゲームになりかねないし,かといって,ゲームに何の影響も与えない“空気”のような存在では,感動を味わうのは難しいかもしれないからだ。

 この点についてはキム氏も悩んだそうだが,最終的には“各国の歴史の傍観者”という位置づけにしたという。
 例えば桃園の誓いでは,プレイヤーは,劉備,関羽,張飛の傍らで,3人が契りを交わす様子を眺めることになる。そして戦闘シナリオでは,一人の兵士として部隊を率い,彼ら3人と共に戦いに挑めるのだ。
 このような方式なら,確かにドラマチックなストーリー展開も楽しめるし,戦闘のスリルも味わえることだろう。

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画像集#011のサムネイル/[G-Star 2010]ブラウザゲームが“メインで遊ぶゲーム”となる日が来る? 「三国志を抱く。」プロデューサーに開発の経緯を聞いた
 また,オンラインゲームとして不可欠な,“ほかのプレイヤーとの関わり”がどのように盛り込まれているかも気になるところだ。
 キム氏は筆者の疑問に対し,プレイヤーごとに異なるシナリオが展開する方式だと回答した。つまり,行ける地域や仲間にできる武将などは,各プレイヤーのシナリオの進み具合によって異なるわけだ。
 しかし,所属国家やシナリオの進み具合にかかわらず,PvPを行ったり,パーティを組んで攻略したりできるエリアも別途用意するという。この説明を聞く限り,シナリオは一人でプレイすることになるものと思われる。

 キム氏が手がけているタイトルなので,採取した素材を加工してアイテムを生産し,ほかのプレイヤーと取引したりといった経済要素はしっかり盛り込まれている。
 ただし政治要素については,三国志の歴史を変えるわけにはいかないため,幾分控えめになるだろうと述べていた。
 そのほかキム氏の話には,細かい説明は聞けなかったものの,武将育成,PvP,サーバー間PvPといった言葉も含まれており,歴史物のMMORPGとして見どころの多い作品に仕上がりそうな雰囲気が感じられた。


ブラウザゲームが“メインで遊ぶゲーム”になる日


画像集#006のサムネイル/[G-Star 2010]ブラウザゲームが“メインで遊ぶゲーム”となる日が来る? 「三国志を抱く。」プロデューサーに開発の経緯を聞いた
 韓国を代表するゲームクリエイターの一人であるキム氏がブラウザゲームを手がけたきっかけはなんだろう。

 近年,スマートフォンが世界的に普及しつつあり,またiPadを筆頭に,いわゆる“タブレット型端末”も続々と登場している。
 OSに依存しないブラウザゲームならば,これらの端末にも対応しやすく,ちょっとした空き時間に,好きな場所で楽しめるゲーム環境として大きな可能性を秘めているといえるだろう。

 しかしキム氏は,現在提供されているブラウザゲームはまだまだだと考えているという。
 キム氏は,もし,ハイクオリティな作品を提供できれば,このタイプのゲームに対する認識が変わり,“メインで遊ぶゲーム”となっていくと見ており,今,それを十分実現できると判断したからこそ,本作の開発に着手したそうだ。
 ……まぁ確かに,あれだけのモノを見せ付けられてしまうと,反論の余地もない。

 とはいえ,ブラウザゲームはさらに大きな可能性を秘めているとも語っていた。前例となる作品がないため試行錯誤の連続で,まだキム氏が持っているアイデアの一部しか実現できていないが,今後,さらにクオリティを高めていけるという。
 キム氏は,クライアント型ゲームにも良い点はたくさんあり,急になくなることはないと前置きしつつ,今後はブラウザゲームがそのシェアを奪っていくのではないかと見ているそうだ。

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 韓国では,2011年の上半期にクローズドβテストが実施される予定だ。ゲームの基盤はほぼ完成しており,今後,三国志の膨大なエピソードを詰め込んでいく作業を進めていくとのこと。ビジネスモデルの詳細は,今のところ決定していない。

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 G-Star 2010の開催に合わせて公開されたムービーが,“英語音声+ハングル字幕”という仕様だったので,本作の海外展開についても尋ねてみた。
 キム氏は,三国志が題材なので,本来は中国語音声にすべきだが,本作は当初から海外展開を目指しているので,英語音声にしたという。

 今回取材を行って,ちょっと大げさかもしれないが,本作はある意味,オンラインゲーム史に名を残すタイトルとなるかもしれないと感じた。「こちら」のムービー紹介記事で,ゲームが実際に動作する様子を確かめてみてほしい。

  • 関連タイトル:

    三国志を抱く

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