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2倍のユーザーが同時に使っても性能は前世代以上。GPU仮想化ソリューション「GRID 2.0」の特徴をNVIDIAが解説
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印刷2015/12/21 15:01

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2倍のユーザーが同時に使っても性能は前世代以上。GPU仮想化ソリューション「GRID 2.0」の特徴をNVIDIAが解説

 去る12月17日,NVIDIAは,東京都内にて,同社が展開するGPU仮想化ソリューション「NVIDIA GRID 2.0」(以下,GRID 2.0)の説明会を開催した。NVIDIAのGPU仮想化ソリューションは,仮想マシン実行環境上で仮想GPU(以下,vGPU)を利用して,GPU対応アプリケーションを実行できるようにするもので,2015年9月に提供を開始したGRID 2.0では,第2世代Maxwellアーキテクチャを採用するGPUに対応したことが大きな特徴だ(関連記事)。

Jeremy Main氏(シニアソリューションアーキテクト,エンタープライズビジネス事業部,NVIDIA)
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 基本的にはGPU対応アプリケーションを使う企業や学術機関向けのソリューションであり,ゲーマーが直接利用するものではないが,GPU仮想化技術の最新事情として,概要を簡単にレポートしたい。説明を担当したのは,NVIDIA エンタープライズ ビジネス事業部のJeremy Main氏(ジェレミー・メイン)である。


第2世代Maxwellへの移行で対応ユーザー数が2倍に


 GRID 2.0は基本的に,仮想マシン環境を使った「Virtual Desktop Infrastructure」(仮想デスクトップ基盤,以下,VDI)上で利用するものだ。ココでいうVDIとは,個々のユーザーが利用するアプリケーションを,すべてサーバー側で実行する仮想マシン上で管理するものだ。各ユーザーはPCやシンクライアントなどを利用して,ネットワーク経由でサーバーに接続して,仮想マシンを利用する。
 余談だが,NVIDIAのGPU仮想化ソリューションは,システムインテグレータがハードウェアとともに企業ユーザーに販売する方式のほか,Amazon.comが展開しているように,クラウドサービス事業者がサービスとして提供する方式で提供されている。そのため,NVIDIA自身が企業ユーザーにVDIサービスを提供するわけではない。

 話を戻そう。これまでのVDIは,GPUをサポートしておらず,ソフトウェアで仮想マシンのハードウェアをエミュレーションしていた。そのためグラフィックス性能は非常に低く,GPUを正確に再現することもできなかったので,GPUを利用するアプリケーション――たとえば業務用のCG制作アプリケーションやCADアプリケーションなど――が利用できなかったという。

デザイナーやパワーユーザーが利用するアプリケーションの多くが,GPUを事実上必須としているとMain氏。また,医療現場などでは非常に高解像度のグラフィックスが使われるため,ここでもGPUが必要になるという
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 だが,NVIDIAの仮想GPU技術を使えば,サーバー側に装備されたGPU(以下,物理GPU)を仮想化し,各ユーザー側の仮想マシンでGPU対応アプリケーションを利用できるようになる。また,1台の物理GPUを複数の仮想マシンに振り分けることで,複数のユーザーによる処理を同時にこなすことも可能だ。これによって,CG制作アプリケーションやCADアプリケーション,あるいはCUDAによるGPU演算を使ったアプリケーションを同時に複数のユーザーが利用できるようになるわけだ。

仮想マシンにおけるGPUの仮想化には,いくつかのパターンがある。最も一般的なのは,ホストOS側でのソフトウェアエミュレーション(CPUエミュレーション)だが,性能や互換性で問題がある。NVIDIAのGRIDサービス(※図の右から2つめ)は,物理GPUの性能を効率よく仮想マシン側で利用できるそうだ
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 NVIDIAによれば,前世代の「GRID 1.0」と比べて,GRID 2.0はおよそ2倍の性能があるという。対応GPUは,第2世代Maxwellアーキテクチャの「Tesla M60」,または「Tesla M6」となり,GPU 1基あたりのメモリ容量は,従来の4GBから8GBに倍増。これにより,同時利用ユーザー数は従来比で2倍の32人に増加し,ユーザー数が同一ならば,ユーザーあたりのグラフックス性能を2倍にすることも可能となったそうだ。

GRID 2.0をサポートするGPUは,Tesla M60とTesla M6の2製品。どちらも8GBのグラフィックスメモリを搭載する
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GRID 1.0と2.0の性能を比較したグラフ。「集約率」とは,物理GPU 1基でサポート可能なVM数=同時利用ユーザー数のこと。GRID 2.0では,最大32ユーザー(32VM)まで同時に処理でき,16ユーザーまでのGRID 1.0と比べて倍のユーザー数をサポートしている
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集約率を同じにすると,GRID 2.0の処理性能は,GRID 1.0の倍になる(左)。また,最大メモリ容量が増えたので,GRID 2.0では,1ユーザーに対して最大8GBのグラフィックスメモリを割り当て可能になった(右)
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 そのほかにも,GRID 2.0ではLinux用の仮想GPUドライバが提供されるようになり,仮想マシン側のゲストOSとして,WindowsだけでなくLinuxも利用可能になったことも特徴であるとのことだった。

 さて,GRID 2.0が登場したことにより,同じGRIDの名を冠するGRID Game Streaming Serviceのほうも,GRID 2.0ベースにアップデートされたのかどうかが,ゲーマーとしては気になるところかもしれない。だが,説明会でGRIDの導入事例を紹介したエンタープライズソリューションプロダクト事業部の澤井理紀氏や,テクニカルエンジニアの矢戸知得氏に確認してみても,GRID Game Streaming ServiceがGRID 2.0ベースになったのかどうかは,不明であるとのことだった。

 ただ,最近は北米で,Androidベースの据え置き型ゲーム機である「SHIELD」が好調なこともあってか,ユーザー数が急激に増加したことにより,NVIDIAのクラウドゲームサービスである「GRID Game Streaming Service」がアクセス人数の上限に達したこともあったそうだ。
 GRID Game Streaming ServiceもGRID 2.0ベースのシステムに移行すれば,より多くのユーザーが同時にゲームをプレイすることも可能になるはずで,それはゲーマーにとってもメリットをもたらすことになるだろう。

NVIDIA GRID 公式Webページ

  • 関連タイトル:

    NVIDIA RTX,Quadro,Tesla

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