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印刷2010/07/05 17:26

連載

海外ゲーム四天王 / 第51回:「Sniper: Ghost Warrior」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第51回:今週の狙撃手:「Sniper: Ghost Warrior」
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 マルチプレイFPSをやっていて最も困る敵がスナイパー,つまり狙撃手だ。どこからともかく飛んできた一発の弾丸でバッタリ,などという経験は誰でもあるはず。ついでにいえば「おめえらがそこでゴロゴロしてても,戦争には勝てねえんだよ」と味方からも嫌われることがしばしばある狙撃手。今週の「海外ゲーム四天王」は,そんな狙撃手を大胆にフィーチャーしたポーランド生まれのFPS,「Sniper: Ghost Warrior」を紹介しよう。
 南米のジャングルを舞台に,狙撃手の息詰まる戦いが堪能できるという本作を,最近老眼が進んで小さい文字が読めないため,狙撃手になるのをすっかりあきらめていた編集部の松本がプレイしたのだ。

スコープに敵をとらえ,静かにトリガーを引く…… そんな狙撃手の醍醐味を満喫しようって,あ,外れ?

 

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 City Interactiveは,もっぱら“バリューソフト”と呼ばれる低価格ゲームをリリースしているポーランドのパブリッシャだ。個人的な印象だが,同社は北米のスーパーや家電量販店のゲームコーナーの常連であり,入れ替わりの激しいトリプルAタイトルが並ぶ棚の下のほうに,地味だがいつも名前を見かけるメーカー。価格の安さも手伝って,新作を買いに来たついでに……という感じでつい手が出てしまうのは私だけでなく,そんな様子の人をときどき見かけた。
 ラインナップは多彩で,アドベンチャーからFPS,フライトシムからクイズものまで,なんでもこい。大半はPC向けだが,種類は少ないもののXbox 360やPSP用のタイトルも発売しており,例えばニンテンドーDS向けの「Sushi Academy」なんか,ちょっと気になるなあ。

 

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 そんなCity Interactiveの新作タイトルが,今週の「海外ゲーム四天王」で紹介する「Sniper: Ghost Warrior」だ。開発はCity Ineractive自身が行っているが,ゲームエンジンはCity Interactiveと同じポーランドのデベロッパであるTechlandの「Chrome Engine」を使用しており,これはUbisoft Entertainmentから2009年にリリースされた「Call of Juarez: Bound in Blood」にも使われた,現役バリバリのエンジンだ。

 

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 2010年6月29日に北米でリリースされた本作だが,お膝元のポーランドでは,詳細不明ながらすでに発売済み。PCゲームが依然として大きな市場を占めるロシア/東欧は,個人的にPCゲーマーとして期待している地域なのだが,なにしろ情報が少なかったり,あっても読めなかったりするのが泣きどころだ。ソフトを入手しにくいのも,問題だろう。
 さて,看板どおり,本作はスナイパー,つまり狙撃手を大胆にフィーチャーしたFPSだ。狙撃手……いい響きだ。ゴルゴ氏やジャッカル氏など著名な狙撃手は多いし,「ザ・シューター/極大射程」や「スターリングラード」など,狙撃手を扱った傑作映画も多い。「山猫は眠らない」はとてもカッコよかった。そんなあこがれの狙撃手に,「眼鏡装着」でしかも最近老眼の気味も出てきたのですっかりあきらめていた私でも,簡単になれるわけだ。

 

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 ストーリーは,アメリカ軍の特殊部隊が南米の架空の小国を舞台に,危険なミッションをこなしていくというもの。Isla Truenoは,無慈悲な独裁者のバスケス将軍が支配する軍事国家で,いろいろな悪だくみが進行している模様。そこでアメリカが正義の鉄槌を下すという寸法だ。まあ,「すごくユニークな物語」でもないというか,ありがちな話なので,あまり気にする必要はないだろう。ミッション中,状況が変わるごとに新たな指示が無線で送られてくるので,それに従っていれば,ほぼ大丈夫だと思う。

 

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 本作のポイントは,「精密再現された狙撃」だ。ターゲットまで距離がある場合,スコープの照準に相手の頭を合わせるだけでは命中しない。なぜなら,弾丸は放物線を描いて飛んでいくからで,しかも風の効果などもあるらしい。したがって,十字線のやや下に目標がくるように狙わなければならないのだが,相手が動いている場合,弾が届くまでの時間を考慮して移動方向に補正するという「見越し射撃」も必要になる。うう,これは大変だ。
 とはいえ,私のような狙撃ビギナーには救済策も用意されており,距離に応じてスコープ画面に赤いドットが表示されるので,そこを狙えば当たる。また,しかるべきキーを押すことでバレットタイム状態になり,より正確に照準をつけることが可能になるのだ。
 発動条件が今一つ把握し切れていないのだが,正確なヘッドショットがキマる場合,カメラが弾丸を追うというスタイリッシュな視点に切り替わり,命中シーンがスローモーションで見られる場合がある。これは「Max Payne 2」の狙撃シーンみたいでカッコよく,スナイパー冥利に尽きるというものだ。ふふふ,一撃必殺。

 

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 基本はこうした狙撃だが,それ以外にもスニークでこっそり敵中を突破するミッションや,普通のFPSのようにアサルトライフルを撃ちまくって多数の敵とわたり合うミッションなど,いくつかのバリエーションが用意されており,必ずしも,ひたすら「スコープを覗いて撃つ」を繰り返すわけではないので安心しよう。もっとも,個人的には「スコープを覗いて撃つ」をひたすら繰り返したかったので,普通の撃ち合いは演出としては面白いものの,あまり必要なかったかなとも思う。

 

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 また,ゲームは基本的に一本道で,ポジション取りが自由にできないのも惜しいところだ。Chrome Engineの特徴は広大な土地を一気に描画できることで,スクリーンショットを見てもらえば分かるように,鬱蒼としたジャングルなどを描いたグラフィックスはなかなか。しかも,せっかくマップも細かく作り込まれているので,目標とタイミングだけ与えられ,あとは自由に移動して狙撃するというシステムだったら嬉しかった気がしないでもない。

 そのほか,AI性能に難ありとか,スクリプトがうまく動かないというバグっぽい部分など,バリューソフトっぽさは残っているものの,狙撃の緊迫感は巧みに再現されている。ギリースーツに身を包み,スコープ越しにターゲットを十字線にとらえ,静かに「アディオス アミーゴ」とつぶやいてプシュ! 崩れ落ちるターゲット,というスナイパー気分は十分に味わえるだろう。Valveのデジタル配信システム「Steam」で簡単に買えるし,価格もこなれているので,普通のFPSに飽きたらトライしてほしい。

 

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■■松本隆一(4Gamer編集部/四天王)■■
 アパートのエアコンが不調だという松本。そんなに暑くない日はちゃんと冷風が出てくるので安心だが,暑い日は全然ダメという,どのへんに存在意義があるのか疑いたくなるエアコンなのだそうだ。アパートの大家さんに言って修理してもらえばいいと思うが,どうやら自分で直そうとしてさらに症状を悪化させたらしく,言いにくいのだとか。
  • 関連タイトル:

    スナイパー ゴーストウォリアー【日本語版】

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