「脳トレ」シリーズ最新作では川島教授が“鬼”に。岩田氏が直接ファンに語りかける第3回「Nintendo Direct」詳細レポート

　任天堂は2012年2月22日，同社の代表取締役社長 岩田 聡氏によるプレゼンテーション録画映像「Nintendo Direct」を，Ustreamおよびニコニコ生放送で配信した。Nintendo Directは，岩田氏が任天堂のゲーム情報を，ファンに直接届けようという主旨で配信されている映像シリーズ。第3回となる今回は，脳トレシリーズ最新作を始めとした最新情報が公開されているので，改めてその内容をお伝えしよう。
　なお，本稿で使用している画像は，配信映像からキャプチャしたものとなっているので，その点はご了承を。

任天堂 代表取締役社長の岩田 聡氏。ちなみに岩田氏のいるこの場所は，任天堂本社の地下にあるサウンドスタジオなのだとか

　映像では，まず岩田氏が「最初に残念なお知らせです」として，広告サービス「Wiiの間」が4月30日に終了すること（関連記事）をあらためて語り，楽しんでいる人にお詫びの一言を送っている。すでにお伝えしたとおり，3月3日からサービス終了の4月30日まで，Wiiの間卓上カレンダーやオリジナルグッズのプレゼントキャンペーン「ありがとうの間」が実施されているので，サービス終了の報にしょんぼりしている人は，ぜひ積極的に利用してほしい。

　さて，今回のNintendo Directも，トピックスは下記のとおり多岐にわたっている。以下，箇条書きで，各項目で新情報のあったタイトルをピックアップする形でお伝えしていこう。

■任天堂製タイトル

• 「新・光神話 パルテナの鏡」
• 「ファイアーエムブレム 覚醒」
• 「ポケモン＋（プラス）ノブナガの野望」

■5月以降に発売されるタイトル

• 「マリオテニス オープン」
• 「零 眞紅の蝶」
• 「カルドセプト」
• 「カルチョビット」

■サードパーティ製タイトル

• 「KINGDOM HEARTS 3D [Dream Drop Distance]」
• 「ルーンファクトリー4」
• 「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D」

■ニンテンドーeショップで販売される3DSダウンロードソフト

• 「電波人間のRPG」
• 「ザ・ローリング・ウエスタン」

■サードパーティの新作タイトル

• カプコン，セガ，バンダイナムコゲームス3社の協同プロジェクト
• 「世界樹の迷宮IV 伝承の巨神」

■初公開タイトル

• 脳トレシリーズ最新作

■その他

• 「モンスターハンター3（トライ）G」　ほか

任天堂製タイトル

・「新・光神話 パルテナの鏡」（3DS）
発売日：2012年3月22日 価格：5800円（税込）


　今回のNintendo Directでは，「新・光神話 パルテナの鏡」のディレクター・桜井政博氏が，直接本作の魅力を語った。本作には，3vs.3の「天使の降臨」や，個人戦となる「バトルロイヤル」といったモードが搭載され，マルチプレイでは“スマッシュブラザーズ”顔負けのスピーディーな戦闘が展開されるという。

　本作のプレイとキモとなるのは，「神器」「奇跡」「アイテム」の3つ。神器はそれ自体が“キャラ”だと言えるほど個性豊かにキャラクターの能力を左右するもので，神器と神器を「融合」して能力を高めたり，すれ違い通信で「神器のタネ」と呼ばれるものをほかのプレイヤーとやりとりすることで，新たな神器を獲得できたりするという。さらにマルチプレイモードでは，「ジェネシス」という3つのパーツを組み合わせて作り出せる超強力な武器が存在しており，同武器の使い方が勝敗を分けるとのことだ。


　また今回は詳しく語られなかったが，今作では「悪魔の釜」という，ゲームをプレイするうえで欠かせない「ハート」の増減を司る要素があるという。
　本作では難度のコントロールなどで消費するハートの管理が重要となる。「悪魔の釜」を追加した意図などについては，「社長が訊く」の最新トピックで，直接桜井氏の話を聴くことができるので，気になる人は「こちら」をチェックしておこう。

下画面にある「悪魔の釜」が導入された意図とは……？

　なお，本作のパッケージ同梱物は，友達と戦わせられるARキャラクターを表示できるARカード6枚（絵柄はランダム）と，ニンテンドー3DS専用スタンドになるとのこと。専用スタンドを使えば，3DSを机などから少し浮いた状態で固定できるため，タッチペン＋スライドパッドといった操作が容易になるようだ。

ARカード

ニンテンドー3DS専用スタンド

・「ファイアーエムブレム 覚醒」（3DS）
発売日：2012年4月19日　価格：4800円（税込）


　今作では，有料の追加コンテンツの配信が予定されている。配信されるのは「マップ」と「エピソード」で，特殊な状況で戦えたり，シリーズ過去作品のキャラクターが登場したりと，ファンには見逃せない内容となる模様。
　なお追加コンテンツの第1弾は，本作が発売される4月19日から5月31日までは，なんと無料で配信されるという。プレイ予定の人はこの点を覚えておこう。
　さらに，任天堂では，本作をモチーフにしたオリジナルのニンテンドープリペイドカードも発売する予定とのこと。取り扱い店などの詳細については，後日，任天堂の公式サイトなどで告知される予定とのことだ。

5月以降に発売されるタイトル

※本項目の速報記事は「こちら」

・「マリオテニス オープン」（3DS）
発売日：2012年5月24日　価格：4800円（税込）


　これまで「マリオテニス（仮称）」とされていたシリーズ最新作が，「マリオテニス オープン」というタイトル名となることが明らかにされた。
　今作では，ボタンでの操作はもちろん，タッチ操作にも対応。下画面をタッチすることで，トップスピンやロブといった打ち分けが可能になっているという。またジャイロセンサーを使用しているため，本体を動かして狭いコースへとボースを打ち込んだりすることもできるそうだ。
　さらに本作はインターネット対戦モードも搭載しており，ほかのプレイヤーと対戦ポイントやレーティングポイントで競ったりすることもできる。すれちがい通信や，プレイヤーキャラクターのカスタマイズにも対応しているとのことだ。



・「零 眞紅の蝶」（Wii）
発売日：2012年6月28日　価格：6800円（税込）


　本作は，2003年に発売された「零」シリーズ第2弾「零〜紅い蝶〜」から，グラフィックスとキャラクターモデルを一新し，同時に，Wiiリモコンを使った操作に最適化するため，視点や操作性などの仕様を徹底的に見直したという作品。任天堂とコーエーテクモゲームスとの共同制作となるリメイク作品だ。
　今作では，Wiiリモコンを懐中電灯に見立てて操作できるうえ，リメイクにあたって，2人で楽しめる遊びや，新しいモードも搭載されているという。7月前後という発売日も，ホラー作品らしい日取りだ。



・「カルドセプト」（3DS）
発売日：2012年6月28日　価格：4800円（税込）


　3DS発売前からバランス調整が続いているという作品。これまでのすべてのシリーズからカードが厳選され収録されているほか，新カードも多数登場する，シリーズ集大成となるタイトルだという。
　ローカルおよびインターネットでのプレイに対応しており，シリーズ未経験の人のために，行動やカード使用方法についてアドバイスしてくれる機能が搭載される。
　かなり長期間の開発となったが，今回ようやく，発売のメドがついたとのことだ。



・カルチョビット（3DS）
発売日：2012年7月　価格：4800円（税込）


　サッカーを意味する“カルチョ”と，“ちょびっと”を合わせた造語がタイトル名となっている，6年振りのシリーズ最新作。プレイヤーが監督となり，試合と特訓をくりかえすサッカーシミュレーションゲームだ。
　面白いのは，本作に搭載されたレーティングによるランキングシステム。本作においては，全国ランキングに参加するには，自チームの所属する市町村で代表権を獲得しなければならない。代表枠を獲得してやっとハイレベルなステージに上がれるため，初期の地域選びも重要となってくるのだ。

サードパーティ製タイトル

　サードパーティ製タイトル紹介のくだりで話題となったのは，「KINGDOM HEARTS 3D [Dream Drop Distance]」「ルーンファクトリー4」「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D」という，3DSの3作品。大きな新情報こそなかったが，キングダムハーツは9分におよぶPVが，またルーンファクトリーに関しては，初公開となる映像が公開された。
　以下に，それぞれの映像のキャプチャ画像を掲載しておこう。

ニンテンドーeショップで販売される3DSダウンロードソフト

配信日：配信中　価格：800円（税込）

・電波人間のRPG


　“日常の電波の周りを漂う不思議な生き物”こと「電波人間」を，プレイヤーが探し，捕まえ，チームを組んで冒険させるRPG。電波人間は，プレイヤーの周りを3DSのカメラを通して見ることで発見・捕獲できる仕組みになっており，そんな彼らを捜すところからゲームが始まる。
　電波人間は，色，形，能力など無限のバリエーションを持っており，同じ場所では同じ電波人間が捕まえられる。つまり，友達と互いに3DSを持って同じ場所を見ると，同じ電波人間を発見できるというわけだ。
　現在ニンテンドーeショップでは製品版および体験版が配信中で，体験版のセーブデータは製品版にも引き継げるとのこと。気になる人はぜひプレイしてみよう。



・ザ・ローリング・ウエスタン
配信日：2012年2月22日　価格：1000円（税込）


　西部開拓時代を舞台に，アルマジロの主人公が活躍する爽快なアクションゲーム。バンプールが手がける「チンクルシリーズ」の世界観を踏襲したシュールな世界設定で，プレイヤーがアルマジロの主人公を操作して，迫り来る謎の岩石生命体を倒していくという内容だ。
　本作はアクション要素のほか，砲台などを設置して敵から本拠地を守るタワーディフェンスの要素も併せ持っている。今回のNintendo Direct終了後から販売が開始されているので，気になる人はぜひチェックを。


　なお，岩田氏によると，ニンテンドーeショップの3DSタイトルおよび，バーチャルコンソールのタイトルは，いずれも50本を突破したという。さらに3月中旬からは，ゲームギアのソフトも配信予定だ。

サードパーティの新作タイトル

・カプコン，セガ，バンダイナムコゲームス3社の協同プロジェクト


　まぁ今のところ情報はこれだけなのだが，上記のようなプロジェクトが進行しているとのこと。発売はバンプレストであるとの情報以外は何もないので，こちらはアレコレと想像しつつ，続報を待とう。


・「世界樹の迷宮IV 伝承の巨神」
発売日：2012年7月5日　価格：6279円（税込）
※本項目の速報記事は「こちら」


　アトラスが手がける「世界樹の迷宮」シリーズの最新作となる「世界樹の迷宮IV 伝承の巨神」が，ニンテンドー3DSで7月5日に発売されることが明らかにされた。
　「3Dダンジョンゲームは裸眼で3Dを楽しめるハードと相性が良いのではないか」というファンからの声を機に開発が始まったという本作。今作では，気球艇に乗って空から広い大地を旅していくというタイトルになっているという。

初公開タイトル

・脳トレシリーズ新作
発売日：2012年夏　価格：未定


　本作は，任天堂と，「脳を鍛える大人のDSトレーニング」を始めとした「脳トレ」シリーズの開発に携わった，東北大学の川島教授によって共同開発が進められているタイトル。
　岩田氏によれば，ニンテンドーDSが発売された2004年12月2日，岩田氏は川島教授に会うために東北大学を訪問。その時にプロトタイプのソフトを川島教授に見てもらったことが，脳トレシリーズが世に出るキッカケになったという。
　その後，岩田氏と川島教授の間では，「次に出すなら，もっと新しい“特別な何か”が生まれたときにしましょう」という意見で一致していたが，川島教授から3年ほど前に，最新の脳科学に基づく，新しい手法のトレーニングに関する提案があり，この最新タイトルに着手したのだという。

　今回テーマは，「集中力」と「ワーキングメモリ」を鍛えること。ワーキングメモリとは聞き慣れない言葉だが，これは，脳に入ってきた情報を一時的に保ちながら，それを操作したり利用したりする記憶の過程・領域のことだという。この2つを鍛えることで，勉強・家事・スポーツといったさまざまな効果を発揮できるという。

　ただし，集中力とワーキングメモリを鍛えるには，それなりにハードなトレーニングが必要になる。そのため今回，川島教授は“鬼”となり，実際に鬼の姿でゲームに登場する。そしてその時のトレーニングは「鬼トレ」と呼ばれるという。


　鬼トレは，1日5分以上集中すると効果が出るが，長時間は無意味。そのため本作では，鬼トレを5分以上集中して行えるように，また逆に長時間できないように工夫されているらしい。難度の自動調整機能もあるとのことなので，自信のない人も気軽に始められそうだ。

　老化防止はもちろん，“今まさに勉強している人におすすめしたい”と岩田氏が語る本作は，「今年の夏までに発売したい」とのこと。この夏再び脳トレブームが吹き荒れるのか，要注目だ。

その他

・モンスターハンター3（トライ）G

　本作はその豊富なボリュームから，本編だけでも十分に長く遊べるが，カプコンでは定期的なダウンロードクエストの配信が考えられているという。
　そしてこのNintendo Direct終了後，さっそく3つのチャレンジクエストの配信が開始されている。

　また以下の画像にあるとおり，ニンテンドーeショップで配信される体験版や3Dムービーも発表されているので，こちらも合わせてチェックしておこう。

任天堂公式サイト