レビュー
失われた王国の平和を取り戻すため,4人の勇士が立ち上がった
ダンジョン シージ 3
2011年7月28日,スクウェア・エニックスから,アクションRPG「ダンジョン シージ 3」(PC/PlayStation 3/Xbox 360)が本日(2011年7月28日)発売される。これまではPCで展開されてきた「ダンジョン シージ」シリーズだが,6年ぶりの新作となる本作で初めて,コンシューマ機版が登場することになった。
ダンジョン シージ 3の舞台となるのは従来作と同様「エッブ王国」だ。かつては騎士団が存在し,彼らが国を守っていたのだが,ジェイン・カシンダーという人物によって騎士団は崩壊し,同時に国も分裂してしまう。
騎士団は消滅してしまったが,それに満足しないジェインは国中に刺客を放ち,彼らの子や孫まで根絶やしにしようとする。かくして,国中に散った騎士団の子供達は,刺客の目を逃れ,息を潜めて暮らさなくてはならなかった。だが,そんな状況の中,彼らに集結の報が届く。失われた騎士団を再建し,エッブ王国に平和をもたらすため,子孫達の活躍が始まったのだ。
……というのが,ダンジョン シージ 3のごく大まかなストーリーだ。ゲームの序盤はチュートリアルになっており,新しい要素が出てくると説明がポップアップし,その都度教えてくれる。したがって,マニュアルを読まず,いきなりゲームを始めても大丈夫だ。
本作のローカライズは,英語音声に日本語字幕というおなじみのスタイル。この記事はXbox 360版でプレイしているが,文字が読みにくいということもなく,安心して遊べるクオリティだと筆者は感じた。今回掲載したスクリーンショットも,Xbox 360版のものを使用しているが,開発中のバージョンでプレイしているため,製品版と異なる可能性があることはあらかじめご了承願いたい。また,本作には最大4人のプレイヤーが参加できるオンラインCo-opが用意されているが,発売前でマルチプレイはできなかったので,今回はシングルプレイのインプレッションをお届けしたい。
「ダンジョン シージ 3」公式サイト
4人のキャラクターはそれぞれ個性的
好みのプレイスタイルによって選ぼう
さて,ダンジョン シージ 3には,4人の主人公が存在する。順に紹介していこう。
・ルーカス・モントバロン
・アンジャリ
・カタリーナ
・ラインハルト・マンクス
プレイヤーは,この中から好きなキャラクターを一人選んで冒険を楽しむことになる。上にも書いたように,それぞれのキャラクターは独自の戦闘スタイルを持ち,ルーカスなら懐に飛び込んで敵をバッサバッサと斬り倒せるし,カタリーナなら華麗な銃さばきが楽しめたりと,選んだ主人公ごとにプレイフィールはかなり異ってくる。
最近の海外産RPGには,豊富なキャラクターカスタマイズ機能を持ち,自分だけの主人公を作成できるものが多いが,本作にその要素はなく,オリジナルの顔を作るといったことはできない。その代わり,上記のようにキャラクターそれぞれにしっかりとしたバックグラウンドが用意されており,さらに装備品を取り替えることで,多少は見た目を変えられる。
難度は「イージー」「ノーマル」「ハードコア」の3段階があり,プレイヤーの腕に応じて選べるようになっているので,好きな難度を選ぼう。始めてから難しすぎると感じた場合でも,ゲーム中いつでも難度を変えられる親切設計なので,心配する必要はない。
キャラクター紹介でも触れているように,それぞれのキャラクターには2種類の攻撃方法が用意されており,適宜,LBボタンを押してそれを切り替えつつ,戦闘を進めていくというスタイルになる。基本的な操作方法としては,左スティックでキャラクターの移動,Aボタンで通常攻撃,X/Y/Bボタンで後述する「アビリティ」の使用という感じだ。
また,敵と遭遇したときに左スティックをその方向に倒すと,ロックオンされる。これを使えば,相手に攻撃を次々に当てていけるわけだ。とはいえ,敵もバカではなく,ロックオンされていないヤツが背後から攻撃してきたりするので,油断禁物だ。戦闘中に危ないと感じたら,Lトリガーを引いて防御体勢を取ろう。さらにLトリガーを引いた状態で左スティックを倒すと,その方向に緊急回避動作を行える。こちらもよく使うアクションの1つで,使いこなす必要がある。まあ,慣れればそれほど難しいものではない。
戦闘で失った体力は,緑の光の玉(オーブ)を拾ったり,アビリティを利用して回復する。オーブは敵を倒したときや,フィールドに落ちている樽や壷などを破壊したときに出現するが,時間が経つと消えてしまうので,見逃さないようにしたい。
同時に出現する敵の数は結構多く,気づくと瀕死の状態ということもよくあるので,画面左下に表示される体力バーのチェックは頻繁に行おう。
アビリティを習得し,攻撃の幅を広げよう
どのように強化するかはプレイヤーにおまかせだ
4人いるキャラクターにはそれぞれ「アビリティ」が用意されており,アビリティは,敵にダメージを与える「攻撃系」と,ライフを回復するなどの「サポート系」に大きく分けられる。アビリティを発動すると「フォーカス」が消費されるが,フォーカスはライフと同様に青いオーブを入手するか,敵を攻撃することで回復できる。
ここで,アビリティの一例を紹介しよう。ルーカスには「シールド・アタック」というアビリティがあり,これは敵を盾で殴りつけて物理ダメージを与えると共にスタン状態にする効果がある。また,アンジャリの「ハール・スピア」は,槍を投げつけて射線上にいる敵にダメージを与えることができるというものだ。
アビリティは「ベーシック」「アドバンス」「マスター」の3段階に分かれており,それぞれに3種類ずつ用意されているので,合計9つになる。言うまでもないが,アドバンスやマスターに属するアビリティのほうが効果は大きいが,序盤はレベルが足りないため,すぐには習得できない。地道にレベルを上げてアンロックしていくことになるわけだ。
アビリティの強化は,キャラクターのレベルアップ時に得られる「アビリティ強化ポイント」を自由に割り振って行うことになる。前述のシールド・アタックを例に挙げると,強化の方針としてダメージを増加させる「強打」か,敵を一定確率で転倒させる「強振」の2つの方向性があり,これらをバランスよく配分してもいいし,どちらかに全振りしてしまってもいい。ここはもちろんプレイヤーの裁量次第なので,個性的なキャラクターを作れるというわけだ。
また,アビリティのほかに,「タレント」というカテゴリもある。タレントには「攻撃時のダメージアップ」「敵を攻撃した際,一定確率でライフが回復する」など,全部で10種類のものが用意されており,こちらも主人公の強化に役立つ。タレントは文字どおりそのキャラクターが備えている能力で,習得すれば効果は常に発動しているため,使いどころを考える必要はない。
アビリティと同様,レベルアップ時にポイントが得られ,習得および5段階の強化が可能だ。
話は戻るが,アビリティには「熟練度」というものがあり,あるアビリティを使えば使うほど,熟練度のゲージが溜まっていくという仕組みだ。そして,ゲージを一杯にすると「パワーアビリティ」という,通常よりさらに強力な効果を持つアビリティが使用できる。ただし,パワーアビリティを使用するには,「パワースフィア」という力が必要になり,消費してしまった場合,敵にアビリティを当てたり,防御したりすることで回復する。そのため,連発できない点に注意が必要だ。
メインクエストやサイドクエストは豊富にある
プレイヤーは好きなものをチョイスして挑戦可能だ
本作は,プレイヤーに達成すべき目標(メインクエスト)が与えられ,これをクリアしていくことでストーリーが進んでいくというおなじみのシステムになっているが,このほかにも多数のサイドクエストが用意されている。
ゲームの舞台となるエッブ王国には,いくつもの街や村があり,歩いてみると頭上に「!」マークのついたNPCが見つかるはず。そんなNPCに話しかけることで,サイドクエストを請け負うことができる。話かけたからといって,必ず引き受ける必要があるわけではないが,クリアすることでお金やアイテム,経験値といった報酬を得られるので,プレイしておくことをオススメしたい。
親切なのは,十字キーの上を押すことでガイドが起動し,現在アクティブになっているクエストの目的地を指し示してくれる機能だ。具体的には,光る玉が一列にならんでくれるのだが,各地域がシームレスにつながったエッブ王国はかなり広いので,この機能はとても便利だ。地図を見るのが苦手という人でも,迷うことなく目的地に行けるだろう。
クエストの内容は,難所を越えて指定された人物に会いに行ったり,依頼された人物を始末したり,特定のアイテムを回収したりなど,なかなかバラエティ豊富だ。サイドクエストにボスモンスターが出てくることもあり,そんなときはテクニックとアビリティを駆使して倒さなければならない。逆に自分が倒されたらセーブポイントからやり直しになるが,セーブポイントは比較的多くの場所に用意されているので,こまめに保存しておくと,いざというときも安心だ。
ただし,操作はAIに任せられるものの,パートナーの装備品の選択やアビリティの習得などは,プレイヤーが行わなくてはならない。自分のキャラクターに足りない部分を補うように装備品を決めるなど,いろいろ考えるのはなかなか面白い。
ちなみに,ゲームを進めていくと,さまざまなNPCと会話するシーンがあるが,ここでの会話の選択がストーリー展開や,パートナーの信頼度などに影響を与えたりするようだ。信頼度が高いと,さまざまなボーナスが得られるらしいので,相手の気持ちを損ねないような選び方が必要になる。会話の返答次第では「武勲」が得られ,こちらはプレイヤーにステータスボーナスを与えてくれる。
ゲームのプレイ感覚は良好
なんとなく長く遊べそうな良作
6年ぶりのシリーズ最新作であり,コンシューマ機版が初めて登場することになったダンジョン シージ 3だが,豊富に用意されたメイン/サイドクエストに挑戦したり,数多いアイテムを蒐集たりと,いろいろなスタイルで楽しめそうだ。4人用意されたメインキャラクターは,鍛え方次第でさまざまな表情を見せるので,テーマを決めて育成するのも面白いだろう。
もともとPC向けタイトルとしてスタートしたダンジョン シージシリーズだが,操作方法もゲームコントローラー向けに練られたものになっており,気持ちよく,快適に操作できた。
ゲームシステムもそれほど複雑ではなく,チュートリアルも充実しているので,アクションRPGにチャレンジしてみようという人には良い選択肢になりそうだ。いわゆる「超大作」ではないかもしれないが,細かいところまで丁寧に作られており,好印象を持てる。キャラクターのグラフィックスも強烈に「濃い!」というほどでもないので,興味を持った人はぜひ手にとってほしい。
「ダンジョン シージ 3」公式サイト
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