［Gamescom］合図を送ればエツィオに代わって仲間が仕事をしてくれる。さらなるディテールが公開された「Assassin's Creed: Brotherhood」

　昨年（2009年）のGamescomでは，そのとき発売予定だった「Assassin's Creed II」（PC/PlayStation 3/Xbox 360）の説明に使用されたムービーの冒頭に，“E3 version”と書かれていて，ちょっぴり残念な気がしたのだが，今年は堂々と“Gamescom 2010 version”とあって期待させてくれたのが，Ubisoft Entertainmentの人気シリーズ最新作「Assassin's Creed: Brotherhood」（以下，Brotherhood。PC/PlayStation 3/Xbox 360）だ。
　今年のGamescomでは，会場ブースでのプレイアブル展示のほか，ビジネスエリアに設けられたシアターで，実際のプレイの様子が公開。期待作なだけあって，ドイツっ子が長蛇の列を作っていた。

　欧米では2011年11月に発売が予定されているBrotherhoodは，前作Assassin's Creed IIの終了後となる1499年からスタートする。モンテリッジョーニの豪壮な邸宅で，奥さんのカテリーナといちゃいちゃしているのは，前作に引き続き本編の主人公となる，エツィオ・アウディトーレだ。すでに40歳になった彼は，マスターアサシンとしてアサシン教団を率いる身。
　そんなところへ，前作に登場したロドリード・ボルジアの息子，チェーザレ・ボルジアに率いられたテンプル騎士団が総攻撃をかけてくる。無数の大砲や攻城塔まで持ち出す本格的なものだ。
　戦闘の中，チェーザレの銃で叔父のマリオが殺され，カテリーナは捕らわれてしまう。からくも脱出したエツィオは，アサシン教団の仲間（ブラザーフッド）とともにテンプル騎士団の本拠地であるローマに向かう。そして1503年，ローマの巨大なコロッセウムの壁をスイスイと登っていくエツィオ達の姿が……と，このあたりのことは6月19日のE3レポートでも書いたとおりだ。
　大砲の撃ち合い，銃つき剣による戦闘，馬によるスピーディな脱出劇など，ゲームが始まってすぐにプレイヤーはBrotherhoodの世界に引き込まれていくはずだ。少なくとも，私はそうだった。

　Gamescomでは，その後のミッションの一部が紹介された。上記のレポート記事中に掲載したムービーでは，チェーザレとテンプル騎士団が警備を固めるなか，法皇アレクサンデル6世の暗殺に向かうエツィオの姿が収められているが，あれとまったく同じミッションがゲーム本編にもあるのだ。
　つばの広い，赤い帽子がオシャレな枢機卿達が群れ集う広場を見下ろすエツィオ。屋根の上にはテンプル騎士団の兵士が銃を持って警備しており，エツィオのいる位置からは，彼を倒すにしてもちょっと面倒そうだ。ではどうするのかといえば，エツィオは軽く左手を上げた。すると“イーグルジャンプ”のときの鷹の「ピー」という鳴き声と共に，待機していた仲間のアサシンが屋根の上の敵を一瞬で片付けてくれたではないか。
　地上に降りたエツィオはムービーと同様，枢機卿らの間をぬって，ゆっくり歩き続ける。当然，数人のテンプル騎士団がバラバラと飛び出してきて，彼の行く手をさえぎるのだが，そこでまたピー。すると，どこからともなく飛んできた矢が敵兵士を射ぬく。教会に入り，警備の兵士もろともターゲットにクロスボウの矢を射込んだエツィオが再び広場に戻ると，チェーザレらが剣を抜いて待ち構えている。多勢に無勢，勝ち目はない。でも大丈夫だ。またもやピーで，仲間が次々と現れて，集団対集団の激しい戦いが繰り広げられていく。

Ubisoft Entertainmentのモントリオールスタジオで，「Assassin's Creed: Brotherhood」のプロデューサーを務めるVincent Pontbriand氏。Assassin's Creedシリーズには，第一作から関わっているベテランだ

　ブラザーフッドがエツィオに協力してくれるというシステムは，ゲームの開発発表の頃から本作のポイントの一つとして挙げられていたが，具体的な使用方法が公開されたのは，たぶんこれが初めてだ。
　ピーだけでいいんだから，ゲームの進行がやたらと簡単になるのではないかという気がするが，「もちろんそんなことはない」と語ってくれたのは，本作のプロデューサーを務めるUbisoftのVincent Pontbriand氏だ。いつでも仲間が助けてくれるわけではなく，マップによってはすべて自分で挑まなければならない場合も多いし，また上にもあるように，ターゲットの暗殺といった重要な仕事は自分でやる必要がある。
　仲間がいれば彼らの技術が使えたり，ミッション攻略の手段が増えたりするわけだが，暗殺者をリクルートするのは一仕事であり，また仲間の経験値を増やしたりといった，アフターケアも必要になってくる。このへんのマネジメントが本作の面白い部分というわけだ。

　E3のレポートにもあるように，暗殺者となってローマの街を舞台に追いかけっこをするユニークなマルチプレイや，前作にあった「投資」による「街の復興」を使ってローマの街を再建し，ボルジア家の影響を減らすというシステムなど，単純に暗殺をこなすだけでなく，ゲーム内のさまざまな部分がパワーアップした印象の強いBrotherhood。エツィオの新たなムーブが追加され，敵AIの攻撃方法もより多彩になるなど，アクション部分も十分に強化されており，幅広いプレイヤーが自分なりの楽しみを見つけられそうだ。
　欧米では，PlayStation 3版のマルチプレイβが2010年10月4日から開始されると発表されるなど，開発も順調のようだ。長くなるのでここには書き切れないが，ほかにも情報をいろいろと聞いたので，いずれ稿を改めて紹介したい気持ちでいっぱいです。

　せっかくプロデューサーと話ができたのだから，ということで，最近ちょっと噂が出ている「Assassin's Creed III」について聞いたところ，さすがに答えてはもらえなかった。とはいえ，現在いろいろなアイデアを検討している段階であり，さらにプレイヤーからのフィードバックなども考慮して，ファンが納得できる作品にしたいとのこと。ヒット作の続編作りはプレッシャーのかかる仕事だとは思うが，そちらも期待したい。

「Assassin's Creed Brotherhood」公式サイト