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緻密な世界設定と無数の選択肢が生む,圧倒的な没入感。傑作RPG「Dragon Age: Origins」のレビューを掲載
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印刷2011/01/29 10:57

レビュー

自分に似せたキャラを作れば面白さが倍増。没入感満点の大作RPG

Dragon Age: Origins


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 スパイクは1月27日,PlayStation 3 / Xbox 360用タイトル「Dragon Age: Origins」を発売した。
 本作は「Mass Effect」シリーズや「Star Wars: The Old Republic」の開発元として知られるBioWareが手がけた王道ファンタジーRPGだ。プレイヤーは,数世紀にわたり世界の秩序を守ってきた戦闘集団“グレイ・ウォーデン”の一員となり,混乱する世界でさまざまな出会いと別れを繰り返しつつ,魔物どもと戦うことになる。
 プレイヤーの選択によって展開を変えるストーリーと,豊富なサブクエストが大きな魅力となっており,これまでに全世界で320万本以上の売り上げを記録。プレイボリュームは80時間を超えるとのことで,その圧倒的なテキスト量から,当初は日本語版の発売は難しいだろうと言われていた。
 国内のコアなRPGファン・洋ゲーファンの期待を一身に受け,ついに日本上陸を果たした「Dragon Age: Origins」。本稿では実際にプレイした感想を交えつつ,ゲームの魅力をお伝えしていこう。
 なお,本作はCERO「D」指定(17歳以上対象)のタイトルであり,原稿内には若干刺激的な表現や画面写真が含まれている。その点についてはあらかじめご了承を。

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「Dragon Age: Origins」公式サイト



“生まれ”がストーリーを左右する

キャラメイクが楽しい正統派RPG


 ゲームをスタートしてまず行うのは,自らの分身となるキャラクターの作成。外見を40種類以上もの項目で非常に細かくカスタムできるほか,種族(人間 / エルフ / ドワーフ)やクラス(戦士 / 魔道士 / ローグ)なども決めることになる。

筆者は人間の戦士を選択。どう見ても山賊だけど,これでも貴族なんです
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 キャラクターメイキングでとくに重要なのは,選んだ種族とクラスによって決まる“生まれ”だ。この生まれによって,ゲーム冒頭のストーリー展開が大きく異なる点は,本作の大きな特徴となっている。生まれには,“人間の貴族”“メジャイ”“ドワーフの貴族”“ドワーフの平民”“デイルズエルフ”“シティエルフ”の6種類が用意されており,性別も含めれば組み合わせのバリエーションは全部で16種類。ちなみにドワーフのみ,魔法に対して先天的な耐性があるため,魔道士になることができないという制限がある。
 なお,生まれごとの冒頭ストーリーはこちらの記事で分かりやすくまとめられているので,プレイ前に予習しておきたければ本稿とあわせてチェックしておこう。

人間の貴族だと冒頭ストーリーはこんな感じ。どう見ても息子って顔じゃないのは置いといて,栄光溢れる名家が,ある日何者かの裏切りにあうという重い話になっている
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 戦闘システムは,敵をターゲットして任意のタイミングでタレントやスペルを叩き込む,オーソドックスなスタイルになっている。戦闘はリアルタイムで進行するが,メニューやショートカットを通じてキャラクターに指示を出すタイプなので,RPGというジャンルを遊んだことがある人なら,理解が難しいところはほとんどないはずだ。

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 バトルにおいて,アクションゲームのような爽快感には期待できないが,じっくり自分好みに育成したキャラクターへ,状況に応じた的確な指示を与えていく楽しみは,「RPGは腰を据えてプレイしたい」という人にはたまらないものだろう。
 また,ゲームを進めていくと,クラスごとに4種類存在する専門特化職“サブクラス”を,最大2つまで習得できるようになる。キャラクターが育てば育つほど,戦闘での選択肢も増えていき,戦術性はどんどん深くなっていくのである。

戦士系サブクラス

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狂戦士は憤怒に身を任せ,力と耐久力を高めたサブクラス。スタミナを犠牲にして最大ダメージを叩き出し,敵をノックアウトできるので,前線での活躍が期待できる。しかし長期戦では疲労しやすいという面も
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リーヴァーは恐怖で敵を怯えあがらせるなど,敵の精神面のコントロールを得意とする。敵対する者を恐怖におののかせ,倒した敵の魂を喰らって自らの傷を癒やし,血を見ることで興奮し,自らが死に近づくにつれてその力を増していく
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チャンピオンは歴戦の戦士で,戦いにおいては熟練の指揮官となる。味方を鼓舞できるほどの武術の腕前を誇り,雄叫びを上げて敵をはねのけることができる。敵集団へ我先にと切り込み,困難な状況を打開する
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何世紀にもわたり,魔術の使用と拡散を制する者として教会に仕えるテンプル騎士。魔法への耐性と,それを解呪する力を持つ彼らは,背教者となった魔道士たちにも恐れられている。戦士の強靭さと魔道士の魔力を併せ持つバランス型

魔道士系サブクラス

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武術の力量を高めるために魔術の訓練を積んだ魔法戦士は,スペルによる間接攻撃と,魔法戦士固有の能力による近接戦闘を得意とする。魔法戦士は筋力の代わりに魔力の強さを基準にして高レベルの武器や防具を装備できるのだ
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自らの体を動物の姿に変身させる秘技を知る変身使いは,その珍しい術により前線で活躍できる高い近接攻撃能力を発揮する。肉体の制御を極めることで,人間の姿でもある程度の防御力を得ているため,頼れる存在となるだろう
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ブラッドメイジは,魔族から教わったとされている邪悪な儀式により,血の力を利用して生命をマナへと変換し,他者の精神を操る能力を持つ。自分もしくは味方の体力を犠牲に強大な力を使うことができ,敵の精神を乗っ取り味方として戦わせたりもできる
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世界に存在する善なる生命エネルギーから力を呼び寄せることで肉体を癒し,病気を治療することができる精霊の癒し手。死亡した仲間を蘇生させたり,味方全員の体力を回復させたりと,パーティの生存の要となる存在である

ローグ系サブクラス

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アサシンは,毒を駆使する戦い方や,敵に重篤な傷を負わせる特殊な攻撃を好み,隠密行動と効率を芸術の域まで高めている。手段を問わずに与ダメージの最大化にこだわる彼らには,戦闘におけるフェアプレイの精神など備わっていない
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デュエリストは軽装鎧を好み,素早く正確な攻撃で相手を仕留める手練れである。超人的な反射神経の持ち主で,緩慢な敵の攻撃を回避したり,驚異的な精度で攻撃を繰り出したりすることが可能
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絶え間ない小競り合いの中で,暗殺者や密偵として暗躍してきた吟遊詩人。歌や踊りを究めてさらなる高みに至った彼らは優れた演奏家で,人を操る術に長けており,歌や物語を通じて味方を鼓舞したり,敵の戦意を砕いたりする
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野外での単独行動を得意とするレンジャーは,周囲の自然環境のあらゆる利点を活用して戦い,野性動物達へ,敵を襲うよう仕向けたりもできる。レンジャーのコントロール下に置かれた野獣は,大きな戦力となるだろう

 ちなみに戦闘の難易度は,ゲーム中いつでも変更可能で,最も簡単な“カジュアル”であれば,敵は目に見えて弱くなる。アクション性は薄いので,RPG初心者でも問題なくプレイできるだろうが,ちょっと心配だという人は,ゲームに慣れるまでカジュアルで進めてみるといいかもしれない。

難易度はカジュアル,ノーマル,ハード,ナイトメアの4段階。ハード以上はフレンドリーファイアもアリの凶悪な設定になっている。ある意味詰将棋的な極限バトルを楽しみたいコアプレイヤーなら,一度はナイトメアでプレイしてみたいところだろう
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俺が主人公で主人公が俺で!

ドップリ浸れる圧倒的没入度


 本作最大の魅力は,膨大なテキスト量と選択肢の数から生まれる,プレイヤーキャラクターの行動バリエーションの豊富さかもしれない。ゲーム中,プレイヤーはさまざまな場面で選択を要求される。もちろん,選択肢に対してどんな言動を選ぶかはプレイヤーの自由であり,その結果は,以降のストーリー展開に大小さまざまな影響を及ぼす。
 ちょっとした会話シーンにもまったく印象の異なる選択肢が用意されており,徹底して“プレイヤー=主人公”を貫いた作りには,個人的に感動すら覚えた。「進む道を自分で選んでいる」という強い実感に引っ張られ,気が付けばドップリと,本作のゲーム世界へ入り込んでいたのである。

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 国産RPGではあまり見られない,リアリスティックな表現も大きな魅力で,シーンによっては過激すぎて軽く引いてしまうほどだ。本作においては,海外版に含まれる表現の変更/削除が一切行われておらず,戦場には敵の残虐行為によってバラバラになった死体や,槍の穂先に晒された生首などが,そこら中に転がっている。戦闘時に浴びる返り血の量も凄まじく,直後の会話シーンで,主人公が血塗れのままトークしていたりするのがグロテスクを通り越してシュールですらある。筆者同様,描写が生々しければ生々しいほどワクワクするというコアゲーマー達には,ぜひ実際にプレイして確認してもらいたい要素だ。

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 なお,本作では多くのキャラクターを仲間にする機会があり,その中から最大3名までの同行者を選んでパーティを組むことができる。パーティメンバーは基本的に,それぞれのAIに応じたオート戦闘を行うが,事前にメニュー画面で作戦を組んでおけば,それに即した行動をとってくれるし,戦闘中にポーズをかけて個別に指示を出したり,方向キーの上下で瞬時に操作キャラクターを切り替えたりできる。
 とくに,敵/味方を問わずアイテムをくすねることができる“盗み”や,回復薬などを自作できる“薬草学”のスキルを持ったキャラクターは,積極的に使っていきたいところ。クエストによっては,連れているキャラクターによって展開が変わったりすることもあるので,行き詰まったときには気分転換がてら,パーティメンバーをチェンジしてみるのもいいだろう。

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ギャルゲーも真っ青の好感度システム

これが大人のロマンスというものだ


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 本作では,パーティメンバーとの交流を重ね,仲を深めることができる。それぞれ主人公に対する“好感度”が設定されており,それが会話内容や,クエストでとった行動によって変動するのである。
 好感度が高くなると,ステータスにボーナスがついたり特有のクエストが発生したりと良いことだらけだが,逆に好感度が下がりすぎると,裏切られたりパーティから抜けられたりといった最悪の展開もありえる。勇者的な行動ばかり選んでいれば印象が良くなるというわけでもなく,キャラクターによっては外道プレイを重ねることで好感を得られることもあるのが,本作における人間関係の難しいところだ。
 ただ,好感度は宝石や嗜好品といったギフトアイテムをプレゼントすることでもある程度調整可能なので,実はそこまでガチガチに気にする必要はない。世間の目を気にするより,自分の好きなように生きるのが一番だ。だから筆者は,当然のように行き倒れている人から装備を剥ぎとります(悪人ロールプレイです)。

悪徳商人の喉を掻っ切る選択をすると,魔女モリガンは喜ぶようだが,元テンプル騎士のアリスターはドン引きする
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大教母を脅迫する神をも恐れぬ主人公。これまたモリガンは大喜びだが,信心深いアリスターはめっちゃ怒る
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 ちなみに一定以上仲が深まると,そのキャラクターとの間にロマンスが発生することもある。筆者は当初知らずにプレイしていて,ある夜のキャンプで突然大人のぶつかり稽古がおっぱじまったときには,驚きのあまりコントローラを落としてしまった。
 なお,ロマンスは異性だけでなく,同性相手でも発生する。本作における自由度は,当然のようにここでも満喫できるのだ。

自分をモデルにキャラクターを作ってしまったばかりに,何とも言えない気分になってしまったワンシーン。頼むから切なげな目をやめろ。そして乳首を見せるな俺よ
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RPG好きなら絶対プレイするべき傑作


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 シングルプレイRPGでは,現時点で最高峰の完成度を誇る傑作。遊んでも遊んでも底が見えない圧倒的なボリュームは,時間泥棒と呼ぶほかない域に達している。「ほかにやることいっぱいあるのにこんな面白いゲーム出しやがって!」と,つい嬉しい罵声を飛ばしたくなる。

 気になる点をしいて挙げるとするならば,ローディングが若干長いのと,過激な表現が多いので友人などに勧めにくいところだろうか。しかし,腰を据えてRPGを遊びたい17歳以上のゲーマーには,そんな些細なことは気にせず,ぜひともプレイしてほしい。

 ちなみに日本語版には,これまでに海外で有料配信されたダウンロードコンテンツのうち,以下の6種類が同梱されている。これはお買い得!

同梱DLCリスト

・ブラッドドラゴンアーマー(Blood Dragon Armor):追加アイテム
・ウォーデンの要塞(Warden’s Keep):本編シナリオ拡張
・囚われし石像(The Stone Prisoner):本編シナリオ拡張
・オスタガーへの帰還(Return to Ostagar):本編シナリオ拡張
・レリアナの歌(Leliana’s Song)……新シナリオ
・アムガラックのゴーレム(Golems of Amgarrak):新シナリオ


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