15年の時を経て，名作RPGがフルリメイク！　NDS用アクションRPG「エストポリス」が本日発売

　スクウェア・エニックスは，ニンテンドーDS用ソフト「エストポリス」を本日（2月25日）発売した。本作は，タイトーが1995年にスーパーファミコンでリリースした「エストポリス伝記II」をベースに，当時の開発スタッフ自らがリメイクしたものだ。
　「エストポリス伝記II」は，コマンド選択式のオーソドックスなRPGだったのに対し，本作はリアルタイムのアクションRPGへと生まれ変わっている。さらにグラフィックスも，ドット絵から3Dへと変化し，まさに現代のゲームへと進化しているのだ。当時スーパーファミコンで「エストポリス伝記」をやり込んでいたという人はもちろん，本作で初めて知ったという人にも，ぜひチェックしてもらいたい一作である。
　本稿では，そんな「エストポリス」の概要を，実際にプレイした感想を交えて紹介していこう。

「エストポリス」公式サイト

■プロローグ
世界は破壊され、そして再生を迎える――。

幾千年も繰り返されていた、神による破壊と再生の歴史。
人は徐々にその歴史を忘れてしまっていた。

そして現在。
この世界には神が存在すると信じていた人々は
神のもたらせし力『波動器』を用いることで繁栄を享受していた。

空に浮かぶ、巨大な神の遺跡。
その遺跡は“虚空島”と呼ばれ、世界を救うものと云われていた。
だが……

突然鳴り響く轟音。赤く燃える虚空島。
どこからとなく絶望の声が世界に響き渡る。


――我は破壊の神、ガデス。
　　これより世界を破壊する。人間よ、足掻くがよい――

神の復活とともに破壊の時は訪れた。

『波動器』。
それが神に対抗しうる唯一の力。
その力を使いこなす“波動の勇者”が現れたとき、
新たな歴史がはじまる。

アクションRPGへと変化を遂げた戦闘システム

　先述したように本作は，リアルタイム形式のアクションRPGとなっており，敵との戦闘はすべてシームレスで展開される。通常の攻撃はYボタンで発動し，連続でYボタンを押せばコンボへと派生する。コンボは後半になるほど，攻撃範囲や威力が上がっていくが，それに伴って隙も大きくなるので，コンボを途中で止めたほうがいいか，出し切ったほうがいいかは状況次第だろう。
　また戦闘においては，“チャージアタック”も重要な要素である。これはRボタンを押したまま，Yボタンを押すことによって繰り出せる攻撃だ。チャージアタックには，キャラクター特有の攻撃技“Cアタック”のほか，炎や氷など，さまざまな属性を持つ“波動魔法”がある。チャージアタックはIPゲージ（技を使用するときに使うゲージ）を消費するという特徴があるが，IPゲージは時間の経過とともに回復していくので，アクションRPGならではの派手なバトルが楽しめる。


　また，グラフィックスの3D化に伴い“ジャンプ”が可能になった点も，シリーズファンからすると大きな変化だろう。高低差のあるマップを縦横無尽に駆け回りながら敵と戦う爽快感は，「コマンドRPGとパズルゲームの融合」というコンセプトのもとに作られた，スーファミ版「エストポリス伝記II」にはなかった魅力である。アクションRPGになったことで，よりトリッキーな仕掛けが盛り込まれたパズル要素と共に，シリーズファンにはぜひ注目してほしい部分である。

関連記事：発売まであと一週間を切った「エストポリス」プレイムービー第2弾。今回はガイとティアの戦闘シーンをUp

ダンジョン攻略のカギを握るといっても過言じゃない！

ウェーブアーツを使ってさまざまなギミックを解き明かせ

　続いては，本作のキモともいえる“ウェーブアーツ”について紹介しよう。これは，仲間キャラクターが持っている固有技のことで，それぞれ違った効果がある。本作のダンジョンには，いたるところにギミックが存在し，これらはウェーブアーツなしには攻略できない。
　例えば行く手に，通常のジャンプでは飛び越せない大きな溝があるとする（実際，本作には結構な頻度で大きな溝が登場する）。そんなときに役立つのが，主人公“マキシム”のウェーブアーツ，クロスダッシュだ。この技を使うと，剣から炎が噴出して，空中を一気に高速移動でき，少々の溝であればなんなく突破できてしまう。
　ほかにも，“ティア”のウェーブアーツ，フックショットは，フックを飛ばして遠くの物体を引き寄せたり，フックポールにフックショットを飛ばして，引っかけた場所まで移動できたりする。現在公式サイトで判明しているウェーブアーツは，全部で6種類（仲間6人分）。それぞれが違う特性を持っているので，6通りのギミック突破法があるというわけだ。
　ストーリー序盤は，主人公・マキシム一人で行動するため，ギミックの種類も少なく，ウェーブアーツの使いどころもそう多くない。しかし仲間が増えていくにつれ，ギミックの数は次第に増えていく。先に進むためには，必要なウェーブアーツの特性を理解して，それに合わせたキャラクターチェンジが必須となる。


　なお本作では，下画面のフェイスウィンドウをタッチするだけで，瞬時に操作キャラクターを切り替えられる。わざわざメニュー画面を開く必要が一切ないのだ。ダンジョン攻略にパズル要素が盛り込まれたゲームの性質上，キャラクターチェンジをする場面が多い本作だけに，プレイヤーとしては，このインタフェースはかなりありがたい。
　もちろん，ウェーブアーツは謎解きだけではなく，攻撃方法としても使えるため，連続攻撃に組み込むことも可能だ。ウェーブアーツは，使用するとIPゲージを消費するが，先ほど説明したように，IPゲージは時間とともに自然回復する。使い惜しみなどせず，ガンガン使っていき，キャラクターチェンジなども組み込みつつ，独自のコンボを開発してみよう。

　以上のことからも分かるように，本作は淡々と敵を倒していくだけのゲームではなく，基本アクションとウェーブアーツを駆使しながら，パズル感覚で楽しめるアクションRPGに仕上がっている。RPGにおいては，戦闘が一番の魅力と感じる人も多いと思うが，本作では戦闘に負けず劣らず，ダンジョンを攻略すること自体が楽しい。実際にプレイしてみると，今作において開発者が掲げた「アクションRPGとパズルゲームの融合」という目標が，見事にクリアされていることが理解できるはずだ。

関連記事：マキシムとセレナの小気味いいアクションをチェック！　「エストポリス」のプレイムービー2本を掲載

魔石を使った自由度の高いキャラクター成長システム

　本作には，通常の消費アイテムのほかに，“魔石”というアイテムが登場する。魔石にはさまざまなタイプのパラメータアップ効果が付与されており，これを“魔石ボード”に設置することで，キャラクターはその恩恵を受けられる。

　魔石が設置できるのは，「魔石同士が隣接する場所」という制限があるものの，ボード上には最大HP＋50や，魔法ダメージUP，浮き耐性など，いろいろな種類のステータスアップがあるため，かなり自由にキャラクターをカスタマイズできる。

　また，魔石ボード自体にも特殊スキルが散りばめられており，魔石を置くことで，そのスキルを入手できる。魔石を手に入れたら，自分の操作技術やキャラクターの特性などを考慮しつつ，計画的に魔石ボードを埋めていこう。

気になる点はいくつかあれど

全体的に綺麗にまとまっている良作

　実際に「エストポリス」をプレイしてみて，素直に感じた印象は，「綺麗にまとまっているアクションRPGだな」というものだった。ニンテンドーDSというハードの特性上，仕方のないことだが，グラフィックスに関しては「少々地味かな」と感じる。また，カメラの視点によってはキャラクターが小さくなってしまい，戦況が分かりずらくなるところなどは，（キャラクターが魅力的であるだけに）プレイしていて少々気になった。
　だが，ウェーブアーツを駆使した謎解き要素は，単調になりがちなダンジョン探索において，モチベーションを保ついいスパイスになったし，シンプルにまとめられた攻撃システムなども，余計な部分がそぎ落とされ，洗練された印象である。


　さらに，敵にダメージを与えると，一時的に敵の攻撃力がアップするというシステムも，攻撃一辺倒になってしまいがちなアクションゲームにおいては，かなりいいバランス調整になっていると感じた。また細かいことだが，キャラクターを数秒動かさないでいると，キャラクター同士がボイス入りでトークを始めるというのも，キャラクターのファンには嬉しい要素だろう。


　スーパーファミコン版の「エストポリス伝記」シリーズをプレイしている筋金入りのファンはもちろん，本作で初めて「エストポリス」を知ったという人も，アクションRPGに生まれ変わった新たな「エストポリス」の姿を，ぜひ確認してほしい。敵にやられても，レベルが5上がった状態から再挑戦できるシステムも用意されているので，「コマンド選択式ならともかく，アクションはちょっと……」という人でも，十分楽しめるはずだ。

「エストポリス」公式サイト