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【ミートたけし】人知れず消えた「攻略本」文化と,人に教えてもらうことの良し悪し
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印刷2024/07/31 07:00

連載

【ミートたけし】人知れず消えた「攻略本」文化と,人に教えてもらうことの良し悪し

ミートたけし /  川村 竜  / ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー

画像集 No.001のサムネイル画像 / 【ミートたけし】人知れず消えた「攻略本」文化と,人に教えてもらうことの良し悪し

ミートたけしの「世界の平和が俺を守る!」

ミートたけしYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@meatalk


第10回:人知れず消えた「攻略本」文化と,人に教えてもらうことの良し悪し


 「サ終」というワードを最近よく聞くようになった。アプリゲームなどで「サ終」を悲しむ人を,しばしばお見かけする。
 しかしながら,こうやって終わりを正式に告知されるだけでも,自分自身の心や思い出にくさびを打つことができていいのではないか,と思う。
 なんせ,世の中には人知れずその役目を終え,人知れず消えていくものも多く存在する。そんな儚く切ないモノに想いを馳せるとしたら……それは私にとっては「攻略本」という文化である。

著者近影
「デッドプール&ウルヴァリン」最高でした
画像集 No.002のサムネイル画像 / 【ミートたけし】人知れず消えた「攻略本」文化と,人に教えてもらうことの良し悪し

 もしかしたら10代の若者の中には「攻略本」の存在そのものを知らない子だっているかも知れない。ゲームをクリアするために,何をどういう手順で進めればいいのかがまとまった,参考書のようなものだ。
 「ドラゴンクエスト」シリーズなんかは上下巻に分かれた参考書のような分厚いボリュームだったことを思い出す。ほかのゲームの攻略本も,内容も攻略だけではなく設定資料集や4コマ漫画もあったりして,そのゲームを遊んだことがなくても読んでいるだけでドキドキできた。
 スクウェア・エニックスからは,ゲーム内の情報をビジュアル含め網羅した「アルティマニア」という攻略本シリーズが現在でも発売されているが,完璧な設定資料集のような雰囲気で,かつてのような「攻略本」としての趣は薄いように思える。

 さて,「攻略本」がなぜ静かにその役目を終えていったのかというと,ネットでの情報更新スピードに対してどうしても遅れを取らざるを得ない紙の出版物が,その存在意義を失ってしまったからにほかならないだろう。もちろん,大枠で見ると出版不況といった問題もあるのだろうが,ややこしくなるのでそこは省略。

 ともあれ,個人サイトやまとめサイトにおける攻略のスピードは,発売日の翌日には基本シナリオの攻略はもう済んでいて,そこから細かいサブクエ,隠し要素などがどんどん追加更新されていくほどに早い。その驚異的なスピード感には若干の恐怖を覚えるほどだ。
 昨今,何かと話題になっているAIの台頭により,その存在を脅かされ始めているさまざまな職業が取り沙汰されているが,実はすでにこうして「インターネット」の普及と共に存在を脅かされるものは生まれていたのだなあ……と,つくづく考えさせられる。
 いくらコレクション的な観点で「攻略本」の良さを唱えようとも,一人で何千冊,何万冊も購入する人がいない以上は,「閉店が決まった飲食店を惜しむ声」なんかと一緒で,その終焉を止めることも先延ばしにすることもできないのだ。

 「攻略本」へのノスタルジックな想いを今回のメインテーマにしてしまうと話はここで終わってしまうので,そもそもの「攻略」という部分にフォーカスし,ここからは筆を進めていきたい。


「攻略」つまり「教え」を人に請うということについて


 攻略本,攻略サイトの話をする前に,そもそもこれらの必要性というものについても考えておきたい。
 攻略法を知るというのは,人から教えを請うのと同義だと考えている。しかもどの段階でその教えに頼るのか,ということも重要で,そのスタンスや頻度で個々の思考,姿勢がある程度分かってくる。

 例えば,最初から自分で考えるといったことはせずに,1から100まで人に教えを請い,それを基準として疑いも持たず進む。
 はたまた,基本的には自分の力,思考のみで物事を進め,行き詰まってしまったときに,ある種のSOSとして人に教えを請う。
 時としてすべて自分で考え,己の行動のみで物事を進め,ある程度の自信はありながらも確認や検証といった意味合いを込めて,人からの教え(この場合は意見,とも言えるだろう)に耳を傾ける。

 全体的なバランスとして最初に述べたスタンスが一番多いように思える。もっとも「ゲーム」における場合には,最初のスタンスだってとくにトラブルに見舞われるケースはそうそうないだろう。「ゲーム」だからね。しかしながら現実社会,実生活においては先述のスタンスや考えの違いで,なんらかの齟齬が発生してしまうことも少なくない。

 少し余談になるが,人生を成功させる……なんて言うと,成功の定義について若干語弊を生むかも知れないので,もう少しかみ砕いて,“人生を豊かにするうえで最も必要な能力”として,自分は“リカバリー能力”を提唱させてもらっている
 よくピンチがチャンス,なんて言葉を耳にするが,リカバリー能力がなければピンチは一生ピンチのままだ。そしてそのリカバリー能力がどのようなもので構成されているかというと,経験値と思考力にほかならないと思っている。

 閑話休題

 今回,トピックとして取り上げた「攻略」ひいては「教え」というものに,このリカバリー能力の有無が非常に大きく関わってくる。


教えを信じて疑わないことの危険性


 そのリカバリー能力の礎となる経験値と思考力の多寡も,先ほどあげた「教わる」ということへのスタンスで違いが生じる。当然「教わる」ことへの依存度が高ければ高いほど,得られる経験値,そしてそこで養うべき思考力はどうしても少なくなっていくだろうし,「教わる」ことに対し依存せず,むしろ疑いすら持つような人間の経験値,思考力はまったく逆のものになっていくだろう。
 どちらが良いかと言われれば当然後者をオススメする。人生という長旅を続けるにあたって,本当に必要なものは金や地位や名誉ではなく,経験値と思考力だと思うから。
 もちろん,ほかにもいい人間関係,交友関係,環境なども大事な要素だが,それらもこの経験値,思考力に付随してくるものなのでここでは割愛する。

 経験値とは読んで字の如く,自分自身で経験したものを積み重ねてきたものの総量だ。人から聞いた話,本で読んだ話だけではなかなか経験値たり得ることはない。しかしながら「教わる」ことに依存してしまうと,自分で経験していないにも関わらず,それを自身の経験と錯覚しやすくなる。
 そしてそんな状態では,自分で思考するなんてことにつながるわけもなく,これが続くと想定外のトラブル,不慮の事故に対してまったくリカバリーが効かなくなってしまう。これこそが「教わる」ことへの依存が引き起こす危険性そのものなのだ。

 はい。ギブアップ。

 真面目な文体で書くと文字数も稼げるんだけど,自分が疲れてくるのでこのへんでやめるわ。


実際どっちが良いの? 悪いの?


 ラフな文体に戻したところで,じゃあ実際,経験値とか思考力とか言ってるけど,それを手にすることが良いことなの? 悪いことなの? って話をしなきゃいけないと思うんだけど。

 個人的にはどっちでもいいと思う。

 別に無責任に言ってる訳じゃない。めちゃくちゃタイムリーな話題になるが,最近,エリック宮城さん本田雅人さんといった日本の音楽シーンを支えてきた超一流のミュージシャン達が,YouTubeでの楽器レッスン動画に対して警鐘を鳴らし,音楽業界を騒がせている。興味がある方は自分で調べてみてほしいんだけど,実はこの話も先ほどの「実際良いの? 悪いの? どっちなの?」という話に関わってくる。僕の見解としては「プロを目指すなら気にしろ」「趣味でやるなら気にするな」というものになる。

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エリックさんと筆者。どっちが私でしょう?
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本田雅人さんと著者。なんで怒られてるのか覚えてません

 趣味ってさ,真面目にやんなくていいところが最高だと思うんだよね。だって趣味なんだからさ。逆に真面目にやってもいいしね。というか,好きにやりゃいいと思うんだよね。だって趣味なんだから。
 だけど,趣味でもずっと続けているとこじらせてしまう人も出てくる。例えば,プロに対して偉そうなことを言い出しちゃうアマチュアとかがまさしくそれなんだけど,もう言っちゃうと「アマチュアは黙ってろ」って話になってくる。
 こういうことを言うと,よく「見下してる!」とか「音楽は誰でも楽しむ権利がある!」とか反論されることが多いんだけど,「頼むよ,そんなこと一言も言ってないよ」で話は終わってしまう。

 みんな知らないかも知れないけど,プロでやってくってけっこう大変よ? 僕も動画や配信でけっこうキツめなことを言ってるけど,それはさっき言ったラインを超えてくる人達に向けてであって,趣味で音楽を楽しんでいる人,人生を楽しんでいる人には言うべきことなんて何もない。
 だけどそれを仕事として,プロとして,生業として取り組むんだったら,「あんまり甘ったれたこと言ってんじゃないよ?」って言いたいだけ。そのあたりの意識のすみ分けが,とっても大事になってくるんじゃないかなと最近は思う。「誰もあなたに言ってないよ?」ってことで怒ってる人,すごく多いしね。

 なので「世界の平和が俺を守る」ってのを提唱している以上,やっぱり世の中ハッピーなほうがいいから,みんなにもこのあたりについて考えてみてほしい。
 というわけで,今月はこんなところで終わりたいと思うんだけど,近況報告としては最近,「ストリートファイター6」をベガで頑張っている。以前,「キャラ萌え」なのでコーディーが出るまでやらん! なんて言ってたけど,それを読んだコーディー軍団から,「数年後,コーディーが出たとしてもそこから始めたんじゃ,おじリーガーどころか,誰にも勝てねぇぞ!? 甘ったれてんじゃねぇ!」という熱いメッセージ(意訳)をいただき,マントコスのグリーンカラーのベガがMARVELのヴィラン「Dr.DOOM」に似ているという,無理やりなこじ付けでキャラ愛に着火させて楽しんでいる。

ベガコスの筆者を描いてもらいました! 頑張るぞ!
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 で,楽しんでいたらさ! さっきニュースでさ! MARVEL映画の新作でアイアンマン役だったロバート・ダウニー・Jr.がDr.Doom役でシリーズに復帰だっつーじゃん!?
 まじかよ!? このタイミングで!?

 かーーーーーーー!!

 やっぱ俺,世界の平和に守られてるわ!!
 というわけで,ベガ頑張ります!
 また来月もよろしくね!

■■ミートたけし / 川村 竜(ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー)■■
ベーシストとして国内外各所でライブやコンサートで演奏活動をしつつ,配信活動も活発に行っているミートたけしこと川村 竜さん。現在は主にYouTubeチャンネル「ミートたけし-MEAT TAKESHI-」とTwitchチャンネル「ミートたけしの『太くてニューゲーム』」で,雑談配信をしたりゲーム配信をしたりと大忙しの様子です。
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