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任天堂,宮本 茂氏が語った「ゲーム機を介したコミュニケーションの活性化」。新ハードを開発中との発言も出た,第13回文化庁メディア芸術祭「功労賞受賞者シンポジウム」レポート
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印刷2010/02/08 16:05

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任天堂,宮本 茂氏が語った「ゲーム機を介したコミュニケーションの活性化」。新ハードを開発中との発言も出た,第13回文化庁メディア芸術祭「功労賞受賞者シンポジウム」レポート

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 東京・国立新美術館で開催中の「第13回文化庁メディア芸術祭」(関連記事)にて,2月5日,「功労賞受賞者シンポジウム」が行われ,ゲームクリエイターとして功労賞を受賞した任天堂 専務取締役 情報開発本部長 宮本 茂氏が講演を行った。ステージで司会進行を担当したのは,エンターテインメント部門の審査で主査を務めた,スクウェア・エニックス エグゼクティブプロデューサー 河津秋敏氏である。なお,今回の文化庁メディア芸術祭の応募作品総数は2592点で,エンターテインメント部門は622点,そのうちゲームは98点だった。


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スクウェア・エニックス エグゼクティブプロデューサー 河津秋敏氏
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任天堂 専務取締役 情報開発本部長 宮本 茂氏

 受賞の感想を求められた宮本氏は,「ここ数年,何かと功労賞をもらうが,もっと年配の方に授与される印象がある」と,にこやかながらも首をかしげてコメント。また,「若い人達とずっと現場にいるので,歳を取った気がしていない。長い間,業界を見てきた人間として,これからも貢献できるようがんばりたい」と述べた。

 河津氏の「世界的に有名なゲームクリエイターとして,日本のゲーム業界関係者の憧れであると同時に目標でもある」という言葉に宮本氏は,「日本では“世界で有名な”といわれ,世界では“日本ですごい”と紹介されます(笑)。確かにゲームショウなどの特殊な機会には大変な思いをすることもありますが,日常生活では普通の人と変わりません」と答えた。さらに「若い頃は,作ったものが売れると自分自身も有名になりたいという部分もあったが,今は作ったものがすべてと思うようになった」とも付け加えた。

 続けて「日本で作られたゲームは,世界的に評価が高い」ことについて宮本氏は,「日本という国,あるいは東京や京都といった地域の問題ではなく,作っている個人にポイントがある」と述べた。続けて宮本氏自身の体験を引き合いに,世界を意識してゲームを作ることはなく,自分が素直に面白いと思えるものをコツコツ作っているだけ,そうやって京都で作ってきたゲームが,世界に流通するものになったことから,どこで作ったかではなく,誰が何を考えて作ったかが重要であると指摘する。
 宮本氏は「もちろん,世界に憧れを持つことは大事な側面もあるが」と前置きをしたうえで,自分の足元を見てきちんとやっていれば,評価は自ずからついてくるだろうとの見解を披露した。

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 河津氏にこれまでの足跡を尋ねられると,宮本氏は,小学生の頃は人形劇作家,中学生の頃は漫画家になりたかったというエピソードを披露。高校生の頃は一転して工学を志すものの,やはり好きな美術の道を諦めきれず,結局,大学では両者の側面を持つ工業デザインを専攻することになったという。
 大学卒業後,就職した任天堂に対する宮本氏の印象は「トランプで儲かっているので,好きなことをやらせてくれる会社」。というのも,当時の任天堂は花札やトランプだけでなく,ベビーカーや光線銃など玩具を幅広く手がけていたからだ。
 もちろん現実はそう甘くなかったのだが,就職して2年め,宮本氏に転機が訪れる。それが1978年の全国的な「スペースインベーダー」ブームだ。当時,工場と交渉を繰り返す工業デザインの仕事の大変さを実感していた宮本氏だったが,自分だけでコツコツ作業できるデジタルコンテンツの開発は,漫画を描くことに近い部分があると気づき,しばらく続けてみようと考えたという。

 そうして手がけた最初のゲームタイトルがアーケードの「ドンキーコング」だ。当時の任天堂は,業務用ゲームでアメリカに進出したものの思うように売れず,基板の在庫が3000枚ほどあったという。宮本氏は,その在庫に手を加えて何とか捌くという仕事に着手した。誰もやりたがらなかったので自由にのびのびとやれるという環境の中,宮本氏はディレクターとしてゲームデザインを考え,グラフィックスを描き,3名ほどのプログラマーとともにドンキーコングを作り上げた。
 そして見事,3000枚の在庫を6万枚の売上に変えるという偉業を成し遂げた……はずだったのだが,好調な売上に気をよくした当時の任天堂は,ドンキーコングの基板を7万枚作っていたとのこと。宮本氏には,また発生した1万枚の在庫をどうするかという新たな課題ができてしまったわけだ。
 宮本氏はもうネタは出し尽くしたと考えていたのが,同僚の「ドンキーコングで使ってないアイデアスケッチがあるだろう」という言葉に触発され,「ドンキーコングJR.」を開発。以降,ゲームを連作することになったという。


 やがて任天堂はファミリーコンピュータを発売し,業務用ゲームの移植だけでなく,ファミコンオリジナルタイトルを発売するようになる。年間100万台という勢いで売れていたファミコンだったが,発売開始から3年が経つ頃には商品としての寿命が尽きるのではないかとささやかれ始めた。任天堂も従来のカートリッジでのタイトル供給に限界を感じ,大容量で書き換え可能なディスクシステムを開発していた。
 そこで宮本氏らが,“最後のカートリッジタイトル”として開発したのが「スーパーマリオブラザーズ」だった。しかし皮肉なことに,最後のタイトルだったはずのスーパーマリオが大ヒット。エニックス(現:スクウェア・エニックス)の初代「ドラゴンクエスト」の大ヒットも重なり,ファミコン自体がそれまでの“ヒットした玩具”から,“世の中全体にゲームを広めた立役者”となったのである。

 宮本氏は当時を振り返り,「スペースインベーダー以来,久しぶりに世間がゲームを認めた時」と表現する。また任天堂はそうした事態を踏まえ,ファミコンを日本だけではなく,海外でも展開しようと決定したという。

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 スーパーファミコンの「スーパーマリオワールド」の頃になると,宮本氏は同時に複数のタイトルを手がけなければならなくなったため,それぞれにディレクターを立てて,それを取りまとめる役としてプロデューサーを名乗るようになった。しかし,40歳前後になっていた宮本氏には,長く開発現場を離れていることに対する焦りがあったそうだ。
 そこでNINTENDO 64時代には,再びディレクターとしての仕事を始めた。昼はプロデューサーとして複数のタイトルを手がけ,夜はディレクターとして自分のゲームの仕様書を作ってプログラマーの席に置いて帰宅する。大変な生活サイクルだったが,そうやってNINTENDO 64向けタイトルを完成させたときには「まだまだ現役でいける!」と大きな自信になったという。

 そのほか宮本氏は,「スターフォックス64」は,当時の高難度化するシューティングゲームの中,誰でも遊べるものを作ろうと考え,またナムコ(現:バンダイナムコゲームス)のデザインセンスに憧れて作ったこと,「ポケモンスタジアム」はポケモンを3Dで表現したかったから作ったことなど,少々裏話的なエピソードを披露した。
 また「ゼルダの伝説 時のオカリナ」は,海外で任天堂の評価を上げることになったと紹介。以降,任天堂が宮本氏のことを「日本のクリエイター」として世界にアピールするようになったそうだ。

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 また宮本氏は,「スーパーマリオ64」や「ゼルダの伝説 時のオカリナ」が、以降の3Dアクションゲームの基本といわれていることに言及。かねてからPC版の3Dレースゲームに興味があった宮本氏だが,なぜほとんどのタイトルがコクピットからの一人称視点だったのか疑問を持っていたという。
 自分が手がけるからには,やはりプレイヤーが操作するマリオが見えないとダメだろうと考えたが,実行してみるとそれだけ多くの描画処理が必要になると判明。一人称視点のレースゲームでは自車の処理を省くことで,それだけ背景の描写などをリアルにしていたと気づいたそうだ。
 その一方で,宮本氏は,自らの3Dゲームにカメラによる演出を取り入れた。映画のような演出や,プレイヤーを客観的に見る演出(三人称視点)を使おうとすると,複数のカメラが必要になる。そこで,戦闘時には背後に回り込んで誰かにロックオンするカメラ,塔を登るときにはプレイヤーがどこにいても分かるように中心に配置されたカメラというように,いろんなカメラを使うような仕組みを作った。それこそが,3Dアクションの基本になったのではないかと宮本氏は分析し,「自分がやったことのないことに挑戦するのは楽しい」と付け加えた。

 「ピクミン」は,マリオとゼルダを作り続けてきて,「たまには女子高生に受けるようなものを」というコンセプトで挑戦した。その狙いは当たったものの,日本でヒットしたコマーシャルソングは,残念ながら海外では「よく分からない」という評価だったとのこと。
 「ゼルダの伝説 風のタクト」は,3Dで実現した「映像に触れる」という感覚をベースに,アニメ表現に挑戦。また「マリオカート」シリーズは,新しいハードを出すたびにリリースしており,常にヒットしているのは周知のとおりだ。

 さて,ここまで時系列に沿って話を進めてきた宮本氏だが,この時期を境に少しゲームに対する意識が変わりはじめたと述べる。宮本氏やゲーム開発に携わっている人達は,“ゲームを遊ぶ”ことを当然の前提としてゲームの面白さを評価するが,世間の多くの人は必ずしもそうではないことに気づいたそうだ。
 宮本氏は世の中に“よくできたゲーム”“面白いゲーム”があるとし,任天堂はノウハウを蓄積して前者を作れるようになったが,それが多くの人にとって面白いという保証にはならないと指摘する。その証拠の一つが,専門誌で評価が高いゲームであっても,商業的に失敗する事実だ。宮本氏は「より多くの人が面白いと感じるゲームを作らなければならない」と述べる。

 宮本氏は,原点回帰してゲームが持つインタラクティブな面白さとは何かと考えていくうえでは,ハード面も見直さなければならないと述べた。たとえば,ゲームとともに進化したコントローラは,ゲーム初心者にとって複雑すぎる代物になっていたと宮本氏は述べる。そこでニンテンドーDSにおいて,タッチペンで触ったら反応するゲームとしての「nintendogs ダックス&フレンズ」,本やパズルをデジタルに置き換えた「東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング」などを作った。また「Wii Sports」のテニスでは,ゲーム内のキャラクターが勝手にボールに向かって走るので,プレイヤーは腕をフォアハンドで振るかバックハンドで振るかだけすればいいようにしたのも,同様の理由である。
 その一方で,昔から作っていたものの延長として「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」を紹介。宮本氏は,幼少の頃に憧れた「鞍馬天狗」をイメージして,リンクが騎乗するシーンを描いているという。

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 「スーパーマリオギャラクシー」のヒントは,当時,自宅で放し飼いしていたハムスターにあった。どこまでも走っていくハムスターのようにマリオを動かす一方で,3Dゲームを操作することのハードルの高さをどうするかという課題があったと宮本氏は述べる。そこで誰でも遊べるゲームにするため,球体を使って重力を一点に集中させ,漠然と走っていてもそのうち元の場所に戻れるようにするといった工夫を凝らしたという。

 「Wii Fit」は,宮本氏自身の“体重を計り記録していくのが楽しい”という体験をベースに作られたもの。日々体重を気にしているうちに,家族が面白がってグレードの高い体重計をプレゼントしてくれたり,あるいは年頃の娘さんから「最近がんばってるね」「サボってない?」といわれたりと,家族間のコミュニケーションが生まれていったという。
 これは家庭用ゲーム機として極めて大事なことだと考えた宮本氏は,さっそく体重計を作ることにした。任天堂のスタッフはかなり戸惑い,オムロンやタニタといった体重計のメーカーに話を聞きに行ったり,あるいはゲームメーカーが体重計を販売していいものかどうか省庁に確認に行ったりしたという。その結果,Wii Fitは世界で2500万台を販売し,“世界で一番売れた体重計”となった。

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 宮本氏は,そうやって家族がゲームに触れる機会を増やしていこうと考えており,たとえば「お爺ちゃんはゲームをしない」という考え方をしないという。曰く,お爺ちゃんは我々のようにゲームをプレイしないかもしれないが,ひょっとすると電源を入れただけで,リモコンをいじっただけで,すごく遊んだ気分になれるかもしれないというのだ。人それぞれに面白さのレベルがあるし,また,どんなに下手なプレイでも付き合っている彼/彼女が「すごい!」といってくれれば,それだけで楽しくなることもままあるというわけである。
 そうした視点を突き詰めていった結果が,Miiだ。これはWiiの「似顔絵チャンネル」で提供される似顔絵アバター作成機能で作られた“似顔絵”だが,実のところ,似せることは本質ではないと,宮本氏は指摘する。
 宮本氏は,お子さんがMiiを使ってお父さんやお母さんの似顔絵を作ること,あるいは孫がお爺ちゃんやお婆ちゃんの似顔絵を作ることこそが重要なのだと述べる。子どもや孫がMiiを作り,それを父母/祖父母が喜ぶというコミュニケーションを発生させることが本質なのであって,似ているかどうかは二の次というわけだ。そしてそれはゲームにあまり関心のない人達を,Wiiというゲーム機につなげるきっかけともなりうると述べる。

 宮本氏は,「Wii Music」「Wii Sports Resort」「Wii fit Plus」に軽く触れ,話題を「New スーパーマリオブラザーズ Wii」に移行。同作では風船に入ってしまえば何もしなくともゴールにたどり着けるのだが,これに対して宮本氏は,「ゲームが下手でも一緒に遊べる究極のゲーム」と表現した。また河津氏の「なぜ2Dの横スクロールタイプのゲームにしたのか」という質問に対して,宮本氏は「変わらないからいいものもあるのではないか」と回答。
 続編を作る場合に,何かを変えようとすることは間違ってはいないが,プロとしては「前のものを超えられるか」という視点が必要になると宮本氏は指摘する。過去作を分析して「なぜ,そう作ったか」を把握できていなければ,また同じことを繰り返すだけになるかもしれない。実際,いまだに最初のスーパーマリオが一番面白いといわれることがあるそうで,「3Dにすることでもともとマリオが持っていたいい部分が失われているかもしれない」と宮本氏は述べる。

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 またNew スーパーマリオの多人数同時プレイに関しては,「マリオブラザーズ」ですでに独特の面白さを発見していたという。マリオブラザーズは,二人プレイでは協力すれば先に進みやすくなるのだが,何故かお互いの潰し合いに発展するという人間心理をうまく利用したシステムになっていた。以降,宮本氏は何とかして応用できないかと考えていたのだが,ハードウェアの性能などが壁になっていたそうだ。それがWiiの登場で,ようやく実現したというわけである。

 ここで河津氏は,さらに多くの人と一緒に遊べる選択肢として,オンライン化の可能性について尋ねた。宮本氏は,オンラインゲームの面白さを認めたうえで,「自分達よりもっと上手に作れる人がたくさんいるだろう」と述べ,当面は目の前にいる人達と一緒に遊ぶタイプのゲームを作っていくと述べた。
 また宮本氏は一人のゲームデザイナーとして,オンラインゲームに付きものの対戦に頼りたくないという。極論をいえば,人間が二人いてサイコロ二つとドンブリ一つがあれば,際限なく遊べる──そこにゲームデザイナーの存在意義は果たしてあるのか,というわけである。


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 「初めての人も,うまい人も楽しめる」をコンセプトに開発したNew スーパーマリオは,“遊んでいる姿が楽しそう”という部分にも配慮している。宮本氏は,暗い部屋でコントローラを握り締めモニターを凝視するゲームプレイヤー像を見るたびに「いや,ゲームはこんなものじゃない!」と憤慨しているそうだ。そうしたイメージを払拭しようとする努力は「New スーパーマリオブラザーズ Wii」のテレビCMからも垣間見られるだろう。
 家族みんなでワイワイ遊べる,たとえ自分のキャラが力尽きても「クッソー」といいながら笑っていられる,という部分がうまく表現できた結果,世界的なセールスに結びついたのではないかと,宮本氏は分析する。

 そうした世界展開で多くの人に向けたものにするには,配慮しなければならないことも多いのではないかという疑問も生まれるが,宮本氏はとくに意識していないという。かつては差別や宗教に触れないように考えていたこともあったが,今では漢字が読めない人も遊べるようにするかどうかくらいだそうだ。無理に問題を乗り越えようとしたり,あるいは勝ったりしようと考えるよりは,独自のものとして形作るよう努力したほうが楽しく,結果的に効率も上がると宮本氏は自身の見解を述べる。

 また世界展開にあたっては,日本で流行っているものとは組まないようにしているそうだ。もちろんポケモンのような例外もあるが,たとえばかつて糸井重里氏と仕事をしたときは,糸井重里というブランドではなく,あくまでも物書きのセンスを重視していたという。
 売上に関しては,かつては日本:アメリカ:ヨーロッパで1:2:1だったのが,ここ最近は1:2:2になりつつあるという。日本で100万本売れれば,世界で500万本が見込める上に,次回作を作るにあたって圧倒的に有利になるとのことで,宮本氏はそういう意味では世界的なセールスは無視できなくなっているとも述べる。だからといって,世界を目指したゲーム作りをしているかといえば,宮本氏が冒頭から述べているとおり,そうではないわけでなかなか難しいところである。

 今後,宮本氏が注力していく部分は,まず「マックでDS」「イクスピアリ・ニンテンドーDSガイド」のような路線だという。これをベースに,ニンテンドーDSを使った音声ガイドを美術館におけないかといったことを考えているそうだ。また2010年春には,教室で教師のPCと生徒のニンテンドーDSを繋げる「教室システム」をリリースするとのこと。タッチペンで書き込んだ生徒個々人の解答を確認したりできるので,教室全体を把握しながら,1対1のコミュニケーションも図れるようなシステムになっているという。

 また,こうしたインタラクティブ性を組み込んだユーザビリティの高いシステムの開発に関して,日本のゲームクリエイターは世界でもトップレベルにあると宮本氏は指摘。これを上手に活かせば,ゲームに留まらない活躍ができるのではないかと展望を述べた。

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 気になるゲームの次回作に関しては,Wiiでリリースされる「ゼルダの伝説」新作のほか,モーションプラスを使った体感的なものといった,若干曖昧な返答。また新ハードの開発も行っているとのことなので,追って発表されるだろう詳報を待ちたいところだ。河津氏の,「これからも最前線で“すごいもの”“面白いもの”を作り続けてください」という言葉に,宮本氏は「がんばらせてもらいます」と力強く答えた。

 最後に宮本氏は,文化庁メディア芸術祭に関連して,メディアアートにはゲームよりもユニークなものが多いと所感を述べ,アート/アニメ/マンガといった分野のクリエイターに「ゲームはこんなものだろうと思わず」「得意なところを出しあって」ゲーム開発にも参加してほしいと呼びかけ,講演を締め括った。

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