レビュー
2008年XBLAタイトルの中でもトップクラスの評価を受けた横スクロールアクション「Braid」を紹介
» 今回の極私的コンシューマゲームセレクションでは,ライターのAlexander服部氏が,Xbox LIVE アーケードタイトル「Braid」を,ムービーを交えつつ紹介する。パッケージ版のみがゲームにあらず! と声高に主張するだけあり,確かにXBLAには良作が多そうだ。
パッケージ版のみがゲームにあらず!
Xbox 360で遊んでいる人の多くは,オンラインで対戦を楽しんだり,ダウンロードコンテンツを活用したりしつつ,アクティブにゲームをプレイしていることと思う。しかし,Xbox LIVE アーケード(以下,XBLA)タイトルを積極的にチェックし,ダウンロード購入しているという人は,意外と少ないのではないだろうか。一般的なコンシューマゲーマーにとって,ダウンロード専用ソフトというものはまだまだハードルが高く,新作タイトルの露出も(パッケージ版に比べて)多いとはいえないので,あまり話題になることもないのが実情だ。しかしXBLA作品にも,パッケージ商品に負けず劣らずの素晴らしいゲームが揃っている。
とくに“遊べる”タイトルをざっと列挙してみると,トレジャーが開発した名作シューティング「斑鳩 IKARUGA」や,ファミコン版で評価の高かったワイヤーアクションのリメイク「バイオニックコマンドー マスターD復活計画」,未だフォローワーすら登場していない斬新な傑作パズル「Portal: Still Alive」,シンプルながらもゲーム性豊かな「N+」,シューティングの基本でありながら,すべてが詰まっている「Geometry Wars: Retro Evolved 2」。自分以外のキャラを脱出させるというアイデアが秀逸なパズルゲーム「EXIT」,ベルトスクロールアクションの一つの完成形「Castle Crashers」……などなど,本当にきりがない。
上で紹介したXBLAタイトルは,あくまで全体のごく一部だ。ほかにも,有名タイトルの続編や,過去の名作の移植タイトルなど,さまざまなタイプのゲームが存在している。つまり,“最高のゲームを発掘する作業”というものがもし存在するのであれば,パッケージ商品をチェックしているだけでは全然足りないわけである。
「バイオニックコマンドー マスターD復活計画」 |
「Castle Crashers」 |
「Geometry Wars: Retro Evolved 2」 |
「斑鳩 IKARUGA」 |
「ルミネスライブ!」 |
「N+」 |
「Portal: Still Alive」 |
注目作や良作がこんなにも多いXBLAのゲームの中から今回紹介する「Braid」は,海外のゲーマーから突き抜けた評価を得ている。その理由は,革新的なアイデアにある。
ゲームオーバーは存在しない
時を操るアクションゲーム
Braidでは,プレイヤーが時間を巻き戻すことができる。普通のアクションゲームであれば,敵に接触するとミスになるわけだが,Braidでは“接触前の時間に戻す”ことで,ミスをなかったことにできる。たとえ奈落の底に落ちようとも,時間を戻せばOKなのだ。そのことからこのゲームには,ゲームオーバーという概念がない。
それだけであれば,ちょっとアイデアがおもしろいアクションゲームでしかないが,本作のキモは“時間をコントロールすることで謎をとく”というレベルデザインの部分にある。
トライ&エラーで数々の謎に挑め!
本作は,基本的には移動とジャンプ,タイムコントロールという3種類の操作しかない。それらのアクションを駆使して,オブジェクトや時間,はたまた雲や敵までをも利用して,パズルのピースを集めていく。パズルのピースを入手するための謎解きが絶妙で,攻略のヒントが必ずどこかに用意されている。当然ながら正解が一つとは限らないので,腰をすえてじっくりと謎に取り組むのがいい。
パズル要素の強いアクションゲームなので,クリアの方法がわかってしまえば非常に短時間でクリアできるという欠点もあるのだが,ゲームにはタイムアタック要素も盛り込まれているので,頭と腕に自信があり,チャレンジ精神が旺盛ならば,遊びの幅はグッと広がることだろう。
以下の映像では,少しだけ謎を解いているので,ネタバレを嫌がる人は見ないでいただきたい。しかし,本作に興味を抱きはじめている人には,ぜひとも見てもらいたい。こういった,思いつけばすぐに解けるけるが,思いつくまでに何度も失敗してしまうという謎が,ゲーム内には山ほど用意されているのだ。しかもそのほとんどに,時間をコントロールするという要素が絡んでおり,実に奥が深い。
優れたゲーム性と雰囲気のある世界観が魅力
まずは体験版でBraidの実力を確認してほしい
やや暗めの物語とBGMや,温かみと不気味さを併せ持つ不思議なステージ,主人公ティムの“過去の過ち”と,お姫様への“後悔”。ストーリーも,ピースを組み合わせたパズルの絵も,何かのメタファーとしか思えない内容。Braidにはゲーム性意外の部分にも,妙な魅力があるのだ。あまり詳しく書くとネタバレになってしまうので,気になる人は実際にプレイして,自分の目で確かめてほしい。
本作は,純粋なアクションパズルとしても秀逸だが,世界観や物語もかなり印象的だ。本作の“裏テーマ”については,プレイヤーによって受け取り方が異なりそうだが,時間操作を軸としたアクションを駆使し,試行錯誤しながら謎を解いていくゲーム展開は,オールドゲーマーにとっては“懐かしい感覚”を,比較的若いゲーマーには新鮮で濃密なゲーム体験を与えてくれるだろう。
XBLAの作品ということで,Braidの存在を知らなかったというXbox 360ユーザーもいるだろうが,本稿を通じて興味を持ってもらえたなら幸いだ。パッケージ版のゲームと異なり,XBLA作品にはほぼすべてに体験版が用意されている。インターネット環境さえ整っていれば,シルバー会員でも利用可能なので,まずは体験プレイから楽しんでみよう。
なお4Gamerでは,「Xbox LIVEって何?」という人に向けて,下記のような記事を掲載済みだ。こちらもぜひ参考にしてほしい。
いま,あらためて知っておきたい「Xbox LIVE」徹底研究<前編>
いま,あらためて知っておきたい「Xbox LIVE」徹底研究<後編>
動画撮影機材:トムソン・カノープス HDRECS
動画編集用ソフト:トムソン・カノープス Edius Pro 5
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Braid
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