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愛のために地獄へ堕ちた狂戦士の物語,「ダンテズ・インフェルノ 〜神曲 地獄篇〜」のファーストインプレッションを掲載
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印刷2010/02/20 00:00

プレイレポート

愛のために地獄へ堕ちた狂戦士の物語,「ダンテズ・インフェルノ 〜神曲 地獄篇〜」のファーストインプレッションを掲載

画像集#001のサムネイル/愛のために地獄へ堕ちた狂戦士の物語,「ダンテズ・インフェルノ 〜神曲 地獄篇〜」のファーストインプレッションを掲載

 エレクトロニック・アーツは2月18日,PlayStation 3/Xbox 360用ソフト「ダンテズ・インフェルノ 〜神曲 地獄篇〜」(以下ダンテズ・インフェルノ)を発売した。本作は14世紀のイタリアの詩人,ダンテ・アリギエーリが書いた長編叙事詩「神曲」の“地獄篇”をモチーフとしたダークファンタジ−だ。ご存じのように,PSP版も予定されているが,こちらは3月18日の発売になっている。

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画像集#003のサムネイル/愛のために地獄へ堕ちた狂戦士の物語,「ダンテズ・インフェルノ 〜神曲 地獄篇〜」のファーストインプレッションを掲載

 圧倒的なグラフィックスで描かれる地獄を舞台に,醜悪な魔物達と血みどろの戦いを繰り広げて行く三人称視点のアクションゲームである本作。ここではXbox 360版を実際にプレイした感想を交えつつ,ゲームの概要をお届けしていこう。


大胆にアレンジされた「神曲」の世界
“最狂”で“最恐”の地獄がここにある


 冒頭でも書いたように,歴史的な文学作品である「神曲」をテーマにした「ダンテズ・インフェルノ」。原作では作者であるダンテ自身が,地獄,煉獄,天国の三界をめぐるという物語になっている。
 ゲームでも,原作と同じく主人公の名前は「ダンテ」だが,職業は詩人ではなく十字軍の元戦士。ゲーム冒頭で多数の敵兵を相手に大立ち回りを演じたり,魂を刈りに来た死神から大鎌を奪い取って返り討ちにしたりと,実在の詩人ダンテとは似ても似付かぬバイオレンスっぷりだ。
 堕天使ルシファーに奪われた恋人,「ベアトリーチェ」の魂を救うため,自らも地獄に堕ちたダンテは,残酷な旅の中でかつて自身の犯したさまざまな罪と向かい合っていくことになるのだ。

 ストーリーや設定はかなり大胆にアレンジされているが,独特の地獄観は間違いなく「神曲」をベースにしたもの。原作を知っていれば「うお!」っと思うようなシーンが満載だ。
 クリーチャーのデザインも凄まじく,巨大な船と同化したアケローン川の渡し守「カロン」や盲目で蛇の尾を持つ「ミノス王」,そしてなんと世界三大美女に数えられる「クレオパトラ」までが凶悪な魔物として登場するのだ。まさか後世で愛欲地獄の支配者にされるとは,本人も思いもよらなかったことだろう。

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罰し殺す大鎌と,裁き赦す十字架
「暴虐」と「神聖」の戦士ダンテ


 ダンテの使用する武器は,前述した“死神の大鎌”とベアトリーチェから受け取った“聖なる十字架”の2種類。それぞれに対応する「暴虐」「神聖」の特性が,本作では大きな意味を持ってくる。

 まず,死神の大鎌は変幻自在でダイナミックなコンボ攻撃を繰り出せるほか,崖の向こう側に飛び移ったり,ギミックを動かす際にも使用可能。さらに,弱った魔物や道中で出会った罪人を“罰する”ことで暴虐の経験値を得ることができる。
 一方,十字架は上空や接近が困難な敵など,鎌の攻撃が通用しづらい相手に遠距離からダメージを与えられる武器で,弱った魔物や罪人に“裁き”を下して罪を赦(ゆる)すことが可能だ。罰するのではなく赦した場合,神聖の経験値を得られる。

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地獄では罪を抱えた歴史上の人物と出会うこともある。“罰する”を選べば即座に大鎌で切り裂き,経験値を得られるが,“赦す”場合は音ゲーのようなミニゲームへ移行。成績によってボーナスが獲得できるが,こうしたゲームが苦手な場合は苦労する
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 このように,神聖と暴虐の経験を重ね,レベルを上げていけば,「魂」と引き替えに新たなスキルをアンロックできるのだ。
 なお,初回のプレイでやりがちなのだが,神聖と暴虐のどちらか一方だけに偏ってしまうのはあまりよろしくない。直接攻撃系やステータス強化系など,それぞれ覚えられるスキルがまったく違うので,よく考えて強化しないとあとあとツラくなってくるのである。
 筆者の場合,死神の大鎌を用いたド派手な殺戮の爽快さに酔ってしまったため,暴虐のレベルばかり上がってしまい,ボス戦で大いに後悔した。人生,怒るも赦すもホドホドが一番ということだろう。まさか地獄でそれを教えられるとは思っていなかったが。

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 ちなみに本作では,ゲーム中いつでも難度変更が可能となっている。一番簡単な「Classic」,標準的な「Zealot」,難しい「Hellish」,そして一度クリアするとアンロックされる最高難度の「Infernal」と4段階あり,選んだ難度によってゲーム性は大きく変わる。

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 Classicはそれこそ拍子抜けするほど簡単で存分に爽快感を味わえるが,Zealot以上の難度は,ある程度アクションゲームに慣れていないと厳しい。敵は強いし罠はエグいしで,最初のうちはとにかく死にまくるだろうが,そのぶんクリアできたときの達成感は格別だ。

 また,地獄には多数の仕掛けや謎解きも存在する。床から吹き出る炎や崩れる床,ロープの反動がなければ渡れない足場など,失敗すれば即死というシーンも多いため,常に冷静かつ迅速な判断が必要となる。実際,戦闘以外でよく死ぬゲームだ。
 ボス戦では,ただガムシャラに攻撃するだけでは倒せない場合が多い。基本はアクションアドベンチャーなので,フィールドを注意深く観察し,頭を使って攻略法を編み出すことが重要だ。

 なお,PlayStation 3/Xbox 360版のみ,ゲーム中さまざまな場面で「遺物」という特殊アイテムを入手できる。装備すれば,レベルに合わせて攻撃や防御,回復能力が強化されたり,ダンテが新たな能力に目覚めることもあるのだ。戦闘が厳しくなってきたと感じたら,一度装備している遺物の効果を見直してみるといいかもしれない。

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巨大な猛獣の頭部に死神の鎌を突き立てることにより,コントロールを奪うことも可能。豪快なアクションで魔物共をゴミのように蹴散らせ!
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ダンテは物語の進行にあわせて魔法も習得できる。魔法は非常に強力だが,発動には「マナ」が必要で,なかにはリスクを伴なうような危険なものも存在する
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ここまでおぞましい地獄を創り出した精神に感服
陰惨な世界観を受け入れられるならばオススメ!


 PlayStation 3/Xbox 360版に関しては,とにかく目を見張るほど衝撃的なグラフィックスに注目したい。おぞましい肉の壁から滝のように流れ出す亡者の群れや,本能的に恐怖感を覚えるデザインの魔物など,こと地獄の描写力に関して本作を超える作品はそうそうないだろう。その魅力を最大限に引き出すためにも,ぜひ大画面ディスプレイにHDMI接続してプレイしていただきたい。無理にとは言わないが。

 一方,PSP版はグラフィクスのレベルと,ゲーム中に遺物が登場しない部分が異なるが,ストーリーやゲームシステムは基本的に共通であり,アクションは問題なく楽しめる。魅力としては,携帯機の強みである「いつでもどこでもプレイが可能」なので,ちょっとした時間にゲームを遊ぶというスタイルの人にオススメだ。

 地獄という,これ以上ない陰惨な世界観はプレイヤーを選びそうだが,“魔物”とか“魔獣”とかの単語にキュンときちゃう人なら間違いなく買いだ! それにしても,今回は地獄篇をモチーフにした作品となっているが,神曲といえばまだ煉獄篇と天国篇が残っている。果たして続編はあるのか……? そのへんにも注目しよう。

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