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ここから未来のヒットタイトルが誕生する!? マイクロソフトが主催する「マイクロソフト XNA ゲーム ソフトウェア コンテスト 2010」授賞式をレポート
これは,ゲームを個人で制作しているサークル,一般のゲーム開発者,学生など,日本在住のすべてのクリエイターが参加できるコンテストで,マイクロソフトが提供するゲーム開発環境「XNA Game Studio」で制作されたゲームコンテンツを対象としている。
2007年から始まり2010年で3回目となる本コンテストは,従来のXbox 360部門およびWindows部門に加え, 新たにWindows Phone部門が設立され,合計で3部門となった。
応募期間は2009年11月17日から2010年3月31日までで,その間に応募された作品数は全89作品。コンテストは上記3部門の部門ごとに,それぞれ優秀賞1作品(賞金50万円),部門賞2作品(賞金30万円),特別賞1作品(賞金10万円)が選ばれた。
本稿では,本コンテストでの受賞作品と出席者のコメントを中心に,その模様をお伝えしよう。
最初に,マイクロソフトの執行役 常務 ホーム&エンターテイメント事業本部長の泉水 敬氏が登壇し,以下のようにスピーチを行った。
これからも,この三つの画面で,エンターテイメント,特にゲームが発展していくよう積極的に推進していきたいと思います。コンテストは毎回拝見していますが,間違いなくレベルが上がってきています。これからもXNAを積極的に展開して参りますので,皆様もどんどんゲーム開発を行っていただき,ゆくゆくはそれをビジネスにつなげていただければと思います」
本コンテストの審査基準は,以下の三つとされている。
・作品のコンセプトやアイデア,アートデザインなどを評価する“独創性”
・技術的なアイデアや,実装,表現方法などを評価する“革新性”
・感情に訴えかけてくる要素を評価する“面白さ”
さらに特別審査員として,Xbox 360部門には国際ゲーム開発者協会日本代表の新 清士氏,Windows部門にアスキー総合研究所 所長の遠藤 諭氏,そしてWindows Phone部門にケータイジャーナリストの石川 温氏の三名が迎えられた。
以下に受賞作品とその概要,そして受賞者(※敬称略)のコメントを掲載しよう。なお各部門の特別賞については,特別審査員のコメントも合わせて掲載しておく。
Xbox 360部門
【優秀賞】(賞金50万円)
「Ninja360°」
制作者:トライデント+
概要:将軍の命を受けた84歳の隠密忍者ジジ丸が,悪代官の屋敷から小判を奪い,庶民にばらまくという任務に向かうアクションゲーム。小判をすべて集めたらステージクリアとなる。
【部門賞(一般)】(賞金30万円)
「Ninja Escape」
制作者:dot zo games
概要:敵に追い込まれた忍者はやむなくダイブ! 落下する忍者を操作して着地を決める,レトロな雰囲気の漂うアクションゲーム。
【部門賞(学生)】(賞金30万円)
「SAND CRUSH」
制作者:UWAY
概要:“挟んで潰す”をコンセプトにしたアクションアドベンチャー。一人で二つのものを操作することで面白さを演出している。
【特別賞】(賞金10万円)
「REVOLVER360」
制作者:黒巣イーグレット
概要:綺麗なグラフィックスが特徴のシューティングゲーム。ゲームオーバーがなく,約3分間でのスコアを競う。
Windows部門
【優秀賞】(賞金50万円)
「アノソノコノミチャン」
制作者:芸夢中心(深見康人)
概要:“このみちゃん”をゴールの惑星に到達させることが目的のアクションゲーム。世界観が斬新。
【部門賞(一般)】(賞金30万円)
「ナユタの重箱 for Windows Touch」
制作者 : Roots
概要:母の作ってくれた9段重ねの重箱弁当から,同じ食材(牛・豚・鶏・魚)を四つ以上隣接させ,「たべる」ボタンを押して消していくアクションパズルゲーム。
【部門賞(学生)】(賞金30万円)
「BOX」
制作者:α
概要:上から落ちてくるボックスに潰されないようにプレイヤーを操作する。ライトユーザーでも気軽にできる敷居の低さをウリとした3Dアクションパズル。
【特別賞】(賞金10万円)
「WORD’s in BOOK」
制作者:MY☆STARS★
概要:悪い魔法使いの攻撃をくぐり抜けて,バラバラにされた本の単語(ワード)を集めて完成させることが目的のアクションゲーム。
Windows Phone部門
【優秀賞】(賞金50万円)
「かなスナイパー」
制作者:株式会社スマイルブーム(小林貴樹)
概要:窓に照らされたスポットライトを頼りに,暗闇の奥に隠れているひらがなを当てるというパズルゲーム。窓際をタッチすると,スポットライトの移動方向をランダムな方向に変化させられる。
【部門賞(一般)および特別賞】(賞金30万円および10万円)
「ikria」
制作者:kuni
概要:色の付いた粒々を画面の左右まで待っていくゲーム。白い粒々が画面下まで達するとゲームオーバー。バラす,固める,吹き飛ばすといった,“粒々との戯れ”がコンセプト。
受賞者コメント:「評価していただき光栄です。これからもゲームを作っていきたいと思います」 | |
石川 温氏(右写真右端)コメント:「マニュアルがなくても手軽に遊べるシンプルさを評価しました。また,シンプルながらも意外とハマれる奥の深さも好印象です」 |
【部門賞(学生)】(賞金30万円)
「Number Shooter」
制作者:K.S.
概要:画面内にある9つの数字が書かれたターゲットを,数字の小さい順にタッチして消していくゲーム。短時間でクリアするほど高得点となる。
なおノミネート作品の一覧は,XNA CREATORS CLUB ONLINEの公式サイトで確認できるので,興味を持った人はアクセスしてほしい。
「XNA CREATORS CLUB ONLINE」公式サイト
最後に,特別審査員3名からのコメントを掲載しておこう。
新 清士氏:
「どのタイトルも社内評価が非常に高く,すべて甲乙付けがたいものでした。XNAタイトルの水準が上がってきたことを,あらためて感じています。今は,インディペンデントゲーム制作者には黄金時代と言ってもいいと思います。自分の作りたいゲームを作ってそれを全世界に配信できる。これは少し前には考えられなかったことです。特に学生の方にはゲーム業界に来ていただいて,素晴らしいゲームをたくさん作ってほしいなと思います。また,すでにクリエイターデビューしている方は,これを機会にますます羽ばたいてほしいですね。」
遠藤 諭氏:
「インディーズでインディペンデントなゲームが作れるというのは,本当に素晴らしいことだと思います。ゲーム業界の市場はアメリカと日本が圧倒的です。まだまだホームエンターテイメントの世界は広がると思います。日本にいると分からないかもしれませんが,ダウンロード系のゲーム市場もかなり広がっています。こういったふうに世界を見てみると,いろいろとチャレンジできるんじゃないかなと思います。今回は審査自体を楽しませていただきました」
石川 温氏:
「現在,新製品の半分くらいはスマートフォンにしようという話があるくらい,スマートフォンの市場は大きくなっています。そうなってくると,クリエイターの方々も,よりゲームが作りやすくなってくるのではないかと思います。ですので,今後はスマートフォンにより一層目を向けて作っていただけると嬉しいなと思います」
- 関連タイトル:
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