週刊ヤングジャンプで連載中の将棋マンガ「ハチワンダイバー」の世界観を忠実に再現した将棋ソフト,Wiiウェア
「ハチワンダイバーWii」が3月24日に,ニンテンドーDS用ソフト「
ハチワンダイバーDS」が本日(3月26日)発売された。価格は,Wiiウェア版が1000Wiiポイント(1000円相当),NDS版が4980円(税込)。
本作は,かつてプロ棋士を目指していた主人公菅田健太郎が,“アキバの受け師”に導かれて“ハチワンダイバー”を名乗り,真剣師への道を歩み始めるという原作のストーリーを追体験できるタイトルだ。
NDS版の発売前日となる3月25日,秋葉原にあるメイドカフェ「ぽぽぷれ」で,開発元のシルバースタージャパン主催による発売記念イベントが開催された。マンガ「ハチワンダイバー」原作者の
柴田ヨクサルさん,同じくマンガ「ハチワンダイバー」監修の
鈴木大介八段,そして特別ゲストとして
藤田 綾女流初段が出演し,トークショーやゲームでの対局を披露してくれた,本イベントの模様をお届けしよう。
会場となったメイドカフェ「ぽぽぷれ」
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菅田健太郎となり,原作を追体験
簡単システムで将棋入門にも最適
シルバースタージャパン代表取締役社長の山本成辰氏
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イベントは,シルバースタージャパン代表取締役社長の
山本成辰氏の挨拶からスタート。山本氏は,個人的にも大ファンであるという「ハチワンダイバー」のゲーム化にかなり力を入れたとのこと。「原作のポリシーでもある将棋が分からない人でも楽しめる,将棋が分かる人は,さらに楽しめるというコンセプトで,原作の熱いテイストを再現した」「キャラクターの知名度に頼り切ったような作りはしていません。将棋ソフトとして十分に楽しめる仕上がりになっております」と,テーブルゲームソフトを中心に開発を行っており,将棋ソフトについては10年の開発実績がある同社らしい,自信にあふれたコメントだった。
続いて,本作のプロデューサーである
棚橋雅憲氏よりゲーム概要について紹介された。ここでは,その内容を簡単にまとめておこう。
「ハチワンダイバーWii」と「ハチワンダイバーDS」は,「将棋を知らないハチワンダイバーファンも楽しめる将棋ゲーム」「将棋を始める入り口となるゲーム」という,二つのコンセプトで作られた。良手か悪手かの二者択一で将棋を指せる“イージーガイド”や,原作お馴染みの必殺技で最善の指し手を示してくれる“ダイブ”といった,独特のシステムが特徴だ。
また,プレイヤーの棋力に合わせ,イージー/ノーマル/ハードの三段階から難度を選択可能。ハードモードではほかの将棋ゲームにひけを取らない強さを発揮する。一方,イージーモードの弱さは“将棋ゲーム史上最弱”を誇るという。
Wiiウェア/NDS版ともに用意されるモードは,ストーリー/VS対局/将棋教室の三つ。Wiiウェア版は容量の関係でモードが少ないが,その代わりに思考時間が短く,NDS版の十分の一以下になっているとのことだ。
ストーリーモードでは,原作の主人公菅田健太郎となり,「ハチワンダイバー」の物語を追体験することになる。イベントの選択肢や対局の勝敗によって,中静そよの好感度が変化し,好感度に応じてエンディングが異なるものになる。
VS対局モードは,キャラクターを選択して対戦できる対CPUの対局で,将棋教室モードはみるくが将棋のルールを基礎から教えてくれるというものだ。
そのほかNDS版では,ソフト1本で二人対戦(対局)ができる「2P対局モード」,ニこ神が出題する全100問の詰め将棋問題を解く「修行モード」,原作の名棋譜を鑑賞できる「名局鑑賞モード」,なるぞうくんとハチワンくんで対局する「なるぞうくん はさみ将棋」などが収録されている。Wiiウェア版/NDS版のプロモーション2本をアップしたので,興味を持った人はぜひ観てほしい。
リアル菅田健太郎VS.“アキバの受け師”?
柴田さんと藤田女流初段のガチンコ対局
そのあとは,柴田さん,鈴木八段,藤田女流初段の3名が登壇。目立っていたのが藤田初段で,原作の“アキバの受け師”こと中静そよをイメージしたのか,メイド服に身を包んでの登場だ。
柴田さんは,「ハチワンダイバー」誕生の経緯について,「僕はそうとうなレベルの将棋ファンなんですよ。将棋をマンガにする機会は何度かあったんですが,その時はとてもじゃないけど将棋が分からない人に面白さを伝える実力がありませんでした。十数年マンガ家をやって,やっと面白さを伝えられる実力を手に入れました。それが『ハチワンダイバー』を描きはじめたきっかけですね」と語った。
鈴木八段は,「ハチワンダイバー」を監修することになったきっかけについて,「共通の知り合いから紹介していただいたんです。僕自身,将棋マンガの監修というのは初めてだったので,どういう感じでやればいいのか分かりませんでした。柴田先生がアイデアをどんどん出してくれて,柴田先生の情熱にほだされてお引き受けする形になりました」とコメントしていた。
鈴木八段には,一番考えるのに苦労した棋譜はどれかという質問に対して,二こ神VS.菅田戦と回答。「柴田先生から『これを参考にしてほしい』と,絶版になった『雁木伝説』という定石書が送られてきたんです。私が生まれる前に流行った戦法なので,大変でした」と語っていた。
特別ゲストの藤田女流初段は,「ハチワンダイバー」の大ファンとのこと。原作については,「本当に内容が濃くて,面白いです。私には将棋を知らない友達もけっこういるんですが,そういう人達でも読んでいますね」と感想を述べた。また,メイド服について感想を聞かれると,「ちょっと恥ずかしい……」と照れ気味に答えていた。
また柴田さんは,ゲームをプレイした感想について,「僕のマンガではテンポの良さを一番大事にしているのですが,それが本作にはあるんですよ。打ち合わせのときなど,話が良くできているという意味合いで『パキッとしてる』という表現を使うのですが,本作は本当にパキッとしているんですよね。なので,プレイしているとテンポにどんどん引き込まれていくと思います」と述べていた。
最後は特別イベントとして,「ハチワンダイバーDS」の対局機能を使い,鈴木八段の解説で柴田さんと藤田女流初段の対局が行われた。じつは柴田さん,将棋のプロを目指したことがあり,奨励会に入る寸前までいったほどの実力者。藤田女流初段がメイド服という出で立ちということもあり,まさに原作の菅田VS.中静戦をほうふつとさせる対局となった。
対局開始前に「柴田先生と“ハチワンシステム”という戦法を編み出したので,それが出るかもしれない」と,鈴木八段がコメントしていたのだが,対局中に見事に柴田さんのハチワンシステムが発動(?)。最初から最後まで柴田氏が優勢を維持し,柴田さんが103手目で見事勝利を納めた。