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[GDC 2009#18]OpenCLによる「Havok Cloth」に,ネットワークレンダリング,「Ruby 2009」制作発表も飛び出したAMDセッション
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印刷2009/03/27 17:08

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[GDC 2009#18]OpenCLによる「Havok Cloth」に,ネットワークレンダリング,「Ruby 2009」制作発表も飛び出したAMDセッション

画像集#002のサムネイル/[GDC 2009#18]OpenCLによる「Havok Cloth」に,ネットワークレンダリング,「Ruby 2009」制作発表も飛び出したAMDセッション
 GDC09で,AMDは「Bringing Cinematic Realism to Your Games」と題したセッションを開催した。「Cinematic Realisim」(映画のような写実感)と題されていたので,「Cinema 2.0」的なレンダリング関係の話なのかなと思って参加したのだが,実際には,物理シミュレーションやネットワークレンダリングといった,AMDが取り組んでいるGPU関連技術の最新情報が詰め込まれたものになっていたので,まとめて紹介したい。


AMDとHavokの提携が実を結び,

布の表現を行う「Havok Cloth」をOpenCLで実装


 まずは物理シミュレーション関係から紹介しよう。
 物理シミュレーション(=物理演算)は,ゲームの内容とビジュアルの両面から注目されている。しかし同時に,ゲームにおける物理シミュレーションの抱える課題としては,

  • GPUで行う場合,レンダリング能力と物理効果のトレードオフになる
  • 現状のゲームとは違ったシステムになる
  • ハードごとに互換性がない
  • ツール不足や開発コストの問題がある

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といったものが挙げられるが,それに対する回答として提示されたのが,「ATI Stream Physics」だ。ATI StreamはAMDのGPGPUブランドなので,その一環として,GPUを使った物理シミュレーションを実現しようという動きになる。言ってしまえば,「NVIDIA PhysX」のAMD版である。

 ただ,GPU Physicsを始めるに当たって,NVIDIAがAGEIA Technologiesを買収したことからも窺えるように,GPU Physicsというのは,素人が手を出して一朝一夕に実現できるようなものではなく,ある程度の知識と経験が必要だ。そのため,AMDは2008年6月の時点でIntel傘下のHavok.comと戦略的提携を行っていたのだが,今回のATI Stream Physicsは,その成果第1弾ということになる。

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 さて,AMDはATI Streamでオープンスタンダードのサポートを強く謳っているが,ATI Stream Physicsでもその路線は踏襲しており,「OpenCL」(Open Computing Language)ベースの物理エンジン構築を目指している。
 OpenCLは,数値演算を行うに当たって必要となる標準なAPIをまとめたもの。CPUやGPU,OSを問わずに利用できるため,業界標準規格として注目されているのだが,ATI Stream Physicsではその手始めとして,「Havok Cloth」の実装を行うという。

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 Havok Clothについては,Havok.comのセッションについてレポートした2009年3月26日の記事をぜひ参照してほしいのだが,布切れ1枚を表現するだけでも,たくさんの要素が並ぶ構造を内包しているので,物理シミュレーションのなかでも,並列化がしやすい題材である。
 下に示したのは,OpenCLで書かれたという,Havok Clothのデモ「Samurai Warrior」を直撮りしたものだ。名前の割に全然侍じゃないのはご愛敬だが,キャラクターの衣服や槍の先に巻かれた布,幟(のぼり)などでHavok Clothが使われているという。ちなみに,このOpenCLデモは数週間という短期間で作られたそうだ。



AMD Fusion Render Cloudを推進するOTOYは

LightStageを使ってRubyの新作ムービーを制作へ


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 続いては,今年の1月にその名が出てきた「AMD Fusion Render Cloud」の話。AMD Fusion Render Cloudについては,連載「奥谷海人のAccess Accepted」第202回でお伝えしているので,記憶にある人もいると思うが,AMDと,元AMDのスタッフが立ち上げたOTOYという会社が共同で展開するこれは,要するに,膨大な演算能力を持ったGPUサーバーで3Dグラフィックスをレンダリングして,端末側で“再生”するというサービスだ。なお今回は,「OTOY Fusion Render Cloud」という名称で紹介されている。
 3月21日に,離れたところにあるPCのGPU性能をリモートで使えるようにする製品「ELSA VIXEL V200」のテストレポートをお伝えしているが,あれの接続先がデスクトップPCではなく,レンダリングサーバーになったようなものだと考えると分かりやすいかもしれない。

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 OTOYのやり方は,3Dレンダリングをとにかく大量に行えるサーバー群を提供しようというもの。高性能なゲーム機はおろか,ハイエンドクラスのデスクトップPCですらまだ手の出ない,リアルタイムレイトレーシングなどを,3D性能の低い端末から簡単に利用できるようになる可能性があるというわけだ。
 OTOY Fusion Render Cloudで採用される「FRCサーバー」(FRC:Fusion Rendering Cloud)では,DirectX 11もフルサポートされる予定だ。さらに将来的には,「無限の描画能力を持つサーバー」として構築される見込みという。

 そんなOTOYは,セッション中,同社の「LightStage」を使ってRubyの新作ムービー,「Ruby 2009」(仮称)を制作すると発表した。「LightStageって何?」と疑問符が頭に浮かんだ場合は,ざっとでかまわないので,いったん2008年10月1日の記事に目を通してから戻ってきてほしい。

LightStageのもたらすリアリティの一例
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 そういえば,AMDのGPU部門トップがそんな話をしていたなあと思い出した人もいると思うが,いろんな話がこんなところにつながっていたのである。

2009年のRubyは,より写実性を帯びることになりそうだ。登場は,DirectX 11対応の次世代GPUに合わせて,か?
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 ところでOTOYは,Adobe SystemsやAutodesk,SolidWorks製のアプリケーションと同社のレンダリングシステムを連携させるプラグインをいくつか用意するという話をしていたのだが,そこで目玉として紹介されたのが,シリコンスタジオによるポストエフェクト専用エンジン,「YEBIS」との連携が可能であるという点だ。
 YEBISは,シェーダ業界の大御所である川瀬正樹氏が開発に参加していることで知られるエンジン。CEDECのレポートで何度か紹介したことのある“写真シミュレータ”(関連記事)などの機能も盛り込まれており,端的に述べてものすごい内容になっている。

YEBISの概要
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 余談だが,リアルタイムレイトレーシングによるRubyのムービーを紹介した記事で筆者は,「レンダリングクオリティは高いが,映像のデキは悪い。川瀬氏を見習うべき」と書いた記憶があるのだが,まさか本当に川瀬氏らと組むとは……。

なお,OTOYはLightStageの軽量版「Portable LightStage」も発表していた
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  • 関連タイトル:

    AMD Stream(旧称:ATI Stream)

  • 関連タイトル:

    Havok

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