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やや地味だが相当遊べる“一騎当千アクション”。前作から大きな進化を遂げた「NINETY-NINE NIGHTS II」のレビューを掲載
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印刷2010/10/09 14:46

レビュー

一騎当千タイプのアクションゲームが好きな人には,ぜひ一度はプレイしてもらいたい意欲作

NINETY-NINE NIGHTS II

Text by 御簾納直彦

画像集#001のサムネイル/やや地味だが相当遊べる“一騎当千アクション”。前作から大きな進化を遂げた「NINETY-NINE NIGHTS II」のレビューを掲載
 KONAMIは7月22日,Xbox 360用ソフト「NINETY-NINE NIGHTS II」(以下,N3II)を発売した。本作は2006年に発売されたXbox 360用アクションゲーム「NINETY-NINE NIGHTS」(以下,N3)の続編だが,開発元が変わっていることもあり,ゲーム性にもかなりの変化が見られる。
 約4年ぶりの新作ということで,N3ファンにとっては「待ってました!」といえるタイトルだろうが,他社の同ジャンルアクションと比べると,(主にキャラクター面で)若干地味な印象を受けるというのも確か。しかし,ゲームそのものは非常によくできており,個人的には「一騎当千アクションの中ではこれが一番」だと思っていたりもする。
 本稿では,そんなN3IIの概要と魅力をお伝えしていこう。発売から数か月が経過しているタイトルだが,この手のアクションゲームが好きな人には,声を大にしてオススメしておきたい秀作だ。

画像集#023のサムネイル/やや地味だが相当遊べる“一騎当千アクション”。前作から大きな進化を遂げた「NINETY-NINE NIGHTS II」のレビューを掲載

「NINETY-NINE NIGHTS II」公式サイト



ぶっ飛んでるキャラクターは登場しないが

だからこそ素直に没入しやすい本格ファンタジー



古より神々に愛されてきたこの世界は、奇跡と魔法がみじかに存在し、人間をはじめ、エルフ、ゴブリン、オーガなど、様々な生命で満ちあふれていた。
肥沃な土地に恵まれた中原は、いくつもの大国が覇をとなえては、やがて亡んでいくことを繰り返してきた。
そんな混沌と平和が繰り返されているある日。
 
中原に”夜の王”が現れた。

画像集#002のサムネイル/やや地味だが相当遊べる“一騎当千アクション”。前作から大きな進化を遂げた「NINETY-NINE NIGHTS II」のレビューを掲載

夜の王は夜の軍勢を率い、次々と大国を討ち滅ぼした。その破壊は津波となり、わずか三ヶ月で中原の全てを焦土に変えた。
そして、夜の王は最後の目的地である北の聖地へと向かった。夜の王が誕生してから九十二日。夜の軍勢は、聖地オルフェアを包囲しつつあった…。

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夜の王が率いる夜の軍勢に包囲されつつある、聖地オルフェア。
その大軍の一角を、閃光と轟音が切り裂く。
爆炎の中から現れる一人の超戦士。たった一人、夜の軍勢を蹴散らしながら、無人の野を駆けるがごとくオルフェア城へと進んで行く。



 以上がN3IIの導入ストーリーだ。見てもらえれば分かると思うが,前作同様,かなり本格的なファンタジー世界を舞台としており,人間,エルフ,ダークエルフ,ゴブリンといった幻想世界のお馴染みの種族が,重厚なドラマを展開していく。

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 ちなみに本作には,いわゆる萌え要素やギャグシーンはほとんどなく(まぁ多少はあるが),物語的にはかなりシリアスな内容となっている。このあたりは硬派なキャラクターデザインとも相まって,好き嫌いが分かれる部分かもしれないが,重厚な世界観やストーリー展開が好きな人には強くアピールする要素と言えるだろう。

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画像集#010のサムネイル/やや地味だが相当遊べる“一騎当千アクション”。前作から大きな進化を遂げた「NINETY-NINE NIGHTS II」のレビューを掲載
 N3IIの基本的な操作方法は,左アナログスティックでキャラ移動,Aボタンでジャンプ,Bボタンでキャラクターアクション,Xボタンで弱攻撃,Yボタンで強攻撃,左トリガーで防御,右トリガーで緊急回避,RBボタンでオーブアタック,オーブスパーク(長押し)となる。基本的なゲーム展開は,無数の敵をなぎ倒しつつストーリーを追っていくという,いわゆる“一騎当千”タイプのアクションで,前作や,同種のアクションゲームが好きな人であれば,ゲームの遊び方はすぐに理解できるはずだ。
 ちなみにオーブアタックとは,敵を倒したりアイテムを取ったりすることで増えていく“オーブゲージ”を消費して発動する必殺技で,キャラクターごとに異なるアクションが用意されている。オーブアタック中はキャラクターが無敵状態となり,敵に囲まれたときや大型の敵と遭遇した際には非常に有効なので,ぜひとも「ここぞ」という場面で使ってみてほしい。

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 一方のオーブスパークも,オーブアタックと同じくオーブゲージを消費して発動させる技なのだが,こちらは一定範囲内にいる敵をまとめて吹き飛ばす。威力もさることながら見た目もド派手なので,爽快感もバツグンだ。
 オーブゲージは全部で3本分ストックでき,1本しか溜まっていない状態で使うのと,3本溜まっている状態で使うのでは,当然威力が異なる。プレイ中は状況を見極めつつ,上手くオーブアタック/オーブスパークを使うことが攻略のポイントなのだ。


前作に比べ移動速度が格段にアップ!

アクションの幅もより広がった


 N3IIの特徴として,筆者が真っ先に挙げたいのは「移動速度の速さ」だ。前作N3では,移動速度が少々遅めに設定されていたため,ゲームのテンポがやや悪かったように思う。しかし本作では,N3よりもキャラクターの移動速度がかなり速いので,移動に関するストレスはほとんど感じないどころか,とても快適だ。
 それに加え,敵の配置と出現数が絶妙で,広大なマップのステージをプレイするときにも冗長にならず,常に一定の緊張感を持ってプレイできる。これはアクションゲームにとって,実に大切な部分だろう。

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 また,キャラクターのアクションをキャンセルして別のアクションに移行させられる点も,ゲームの手触りを良くしている要素だ。たとえば,正面の敵を攻撃中に後方から敵に襲われた場合,攻撃をキャンセルしてジャンプor緊急回避し,被ダメージを抑えることができるし,通常攻撃を用いたコンボ中に,オーブアタックを割り込ませることも可能だ。
 もちろん,すべての動作をキャンセルできるわけではないが,この仕様のおかげで,行動のバリエーションがかなり豊富になっている。キャラクターを自分の思うままに操り,ストレスのないハイスピードアクションを満喫できることは,本作の大きな魅力の一つと言えそうだ。
 そのあたりについては,「こちら」のプレイムービーをチェックすれば一目瞭然。これまで本作をノーチェックだったというアクションゲームファンも,グッと興味がわいてくるのではないだろうか。

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 ステージ内のギミックを解く際に使用する,キャラごとの固有アクション(キャラクターアクション)も重要な要素だ。固有アクションは,たとえばグレンというキャラなら“破壊”で障害物を壊して先に進む,セフィアなら“風”で炎の壁を消したり,仕掛けを作動させたりするなど,それぞれ用途が異なっている。
 キャラクターアクションはギミックを解くだけではなく,グレンなら敵を刺したまま移動できる,マジニなら相手を掴んで吹っ飛ばせるといったように,地味ながらもバトルで活用することもできるため,その性能の違いがキャラクターの個性を際立たせることにもつながっている。
 基本的にはギミックを解くためのスキルとして考えがちなキャラクターアクションだが,アレコレ工夫して使いどころを探してみれば,思わぬ戦術が生まれるかもしれない。


キャラクターがどう成長するかはプレイヤー次第

好みに合わせてレベルアップさせよう


画像集#014のサムネイル/やや地味だが相当遊べる“一騎当千アクション”。前作から大きな進化を遂げた「NINETY-NINE NIGHTS II」のレビューを掲載
 本作では,キャラクターにアクセサリを装備させることによって,さまざまな種類のスキルが使えるようになる。スキルは,アクセサリを装備した部位に応じて,LBボタンを押しながら,Aボタン,Bボタン,Yボタン,Xボタンで発動できる。
 スキルには飛び道具系のものも多く,遠方の敵はもちろん,ボスクラスの敵と戦う際にも非常に重宝するので,戦術の幅を広げるためにも,どんどん活用していきたい。
 ただし,スキル発動後はスキルゲージがカラになってしまうため,ゲージがチャージされるまで,スキルの再使用はできない。よって,スキル一辺倒で戦うことは難しい。使う際は通常攻撃と織り交ぜつつ,使いどころを考えながら戦術を組み立てていこう。
 ちなみにスキルは,通常攻撃から繋げて使うこともできる。対戦格闘ゲームのような……といったら言い過ぎかもしれないが,かなり気持ちよく暴れられるので,自分なりのコンボを模索していくといいだろう。

 お次は成長システムについて説明しておこう。本作では,敵を倒したり宝箱を開けたりすることで,ソウルポイントが手に入る。ソウルポイントとは,キャラクターを強化する際に必要なポイントのことで,いわゆる“経験値”に相当する。ステータス画面の「LEVEL UP」から使用できるので,溜まってきたら惜しみなく使うようにしよう。

画像集#015のサムネイル/やや地味だが相当遊べる“一騎当千アクション”。前作から大きな進化を遂げた「NINETY-NINE NIGHTS II」のレビューを掲載

 なおN3IIでは,キャラクターレベルはもちろんのこと,武器やアクセサリ等の装備品もレベルアップの対象となっている。キャラクターレベルはHPの増量,武器レベルは攻撃力,アクセサリレベルはスキル威力や効果が上昇,といったように,それぞれ強化されるステータスが異なる。
 筆者の場合,グレンやマジニといったパワータイプのキャラクターは,武器を中心にレベルアップさせ,長所を伸ばす形で強化した。そしてセフィアやザジといったスピードタイプのキャラクターは,HPを中心に上げていき,長期戦に備えてみた。もちろんこれはレベル上げの一例に過ぎないので,どのキャラクターをどう育てようが自由だが,普通にレベルアップさせていれば,ゲームが行き詰まることはまずないので,いろいろと試行錯誤しつつ楽しむと良いだろう。
 ちなみに本作のマルチプレイでは,Xbox LIVEを使って世界中のプレイヤーと協力プレイが楽しめるのだが,中には驚かされるような育て方をしている人もいて,遊んでいると新たな発見をすることがある。機会があったらぜひ試してみてほしい。


使用できるキャラクターは少ないが

その分ストーリーは充実


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画像集#017のサムネイル/やや地味だが相当遊べる“一騎当千アクション”。前作から大きな進化を遂げた「NINETY-NINE NIGHTS II」のレビューを掲載
 N3IIのプレイアブルキャラクターは,グレン,セフィア,ザジ,マジニ,レフの5人。最近の同ジャンルゲームと比べると,プレイアブルキャラの数が少々物足りないが,その分,それぞれのストーリーはしっかりと描かれているため,キャラクターに対する感情移入度はかなり高いように思う。
 感情移入に関しては,キャラクターにどれだけ愛着が持てるか,共感できるかといった要素も絡んでくるので人それぞれだが,少なくとも筆者がプレイした限りでは,キャラクター設定はしっかりと作られている印象で,それぞれ違った気持ちでゲームを楽しめる。またストーリーに関しても,王道ファンタジーならではのドラマチックな要素が満載で,ゲームプレイの快適さも相まって,モチベーションを保ったまま最後まで没入できた。
 ちなみに個人的には,前作でいうところの“テュルル”のような,魔法主体のキャラクターを追加して,既存キャラクターとの差別化を図ればさらに面白くなりそうな気がしたのだが,そこは(あるのなら)次回作に期待したい。

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 と,ここまで良い部分をピックアップしてきた本作だが,不満点もあるにはある。これはおそらく多くのプレイヤーが感じる部分ではないかと思うが,本作では1ステージの長さの割に,中間地点(セーブポイント)が極端に少ない。そのため,ゲームオーバーになると,場合によってはずいぶんと手前に戻されてしまうため,ゲームに不慣れな人にとっては,少々厳しい場面もあるのだ。
 N3IIはどちらかというと難度が高いゲームで,アクションゲーム慣れしている人でも,初回プレイでノーコンテニュークリアすることは結構難しいと思う。それは,手応えのあるゲームを求めている人にとってはむしろ嬉しい要素なのだが……中には心がくじけてしまう人もいるだろう。個人的には手応えのあるゲームが好きなのだが,中間地点,もしくは回復アイテムがもう少し多めに設置されているモードがあっても良かったような気がする。

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 また,これも難度の高さに直結する部分だが,中盤以降に出てくる敵があまりにもカタく,なかなか倒せないところも個人的には気になった。歯ごたえがあるといえばそうなのだが,これによって少なからず,ゲーム本来の爽快感が損なわれている場面もあるように思う。


一騎当千タイプのアクションとしては間違いなく良作!


 N3IIの特徴や魅力についてアレコレと紹介してきたが,間違いなく言えることが一つある。それは,本作が一騎当千タイプのアクションゲームとして,想像以上に“遊べる”作品だということ。個人的には,数多く発売されている同タイプのアクションゲームの中でも,N3IIはもっとも好きなタイトルだ。無数の敵をばったばったとなぎ倒すというゲーム性に,キャラクターの移動速度や敵の配置,各種アクションなどがうまく結びついており,ゲームジャンルの魅力を確実に高めている。連続アクションの組み立てに関する自由度の高さも,アクションゲームとしての魅力に貢献している要素だろう。

画像集#021のサムネイル/やや地味だが相当遊べる“一騎当千アクション”。前作から大きな進化を遂げた「NINETY-NINE NIGHTS II」のレビューを掲載

 先述したように,全体的にやや難しめのゲームなので,どうしてもクリアできないという人も中にはいるだろうが,そのあたりに関しては,キャラクターの成長システムをうまく利用すれば,攻略に行き詰まるということも少ないだろう。そもそも本作は,「ボタンを連打していればOK」というゲームではないので,プレイヤーの知識の蓄積が進み,立ち回りの工夫ができるようになれば,間違いなく上手く遊べるようになる。その確かな手応えを感じられたとき,本作が良作であることが強く理解できるはず。この手のゲームが嫌いでない人には,ぜひプレイしてもらいたい一本だ。

画像集#022のサムネイル/やや地味だが相当遊べる“一騎当千アクション”。前作から大きな進化を遂げた「NINETY-NINE NIGHTS II」のレビューを掲載

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