2月19日に発売予定のWii用ソフト「
デッドライジング ゾンビのいけにえ」は,2006年9月にXbox 360向けに発売された「
デッドライジング」のリメイク版だ。ちなみに,Xbox 360版はCEROレーティングZ(18歳以上のみ対象)だったが,Wii版はCEROレーティングD(17歳以上対象)と,若干年齢制限が引き下げられている。今回,発売に先駆けて本作を体験する機会を得たので,そのプレイレポートをお届けしよう。
本作の主人公フランク・ウエストはフリーのジャーナリストで,「今,ウィラメッテが事件らしい」という情報をキャッチし,カメラ一つを持ってアメリカ・コロラド州のウィラメッテという街に乗り込んだのだった。
ヘリで街を訪れてみると,なんだか様子がおかしい。街の中心にあるショッピングモールを見て事態異常さを察知したフランクは,単身で潜入することに。モールに降り立ってみると,そこはゾンビだらけの地獄絵図。フランクは果たして迎えのヘリが来る3日後(72時間後)まで生き残れるのだろうか――というのが,おおまかなプロローグである。
主人公のフランク(左)と謎の美女イザベラ(右)
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本作のプロデューサーの
中井 実氏によれば,なぜWiiでリメイクしたのかについて,「
バイオハザード4 Wii edition」の操作システムを使って何か新しいタイトルを作るというのが出発点で,最終的に選ばれたのが「デッドライジング」だったという。単なる移植ではなく,操作体系に合わせて一から作り直したため,ゲーム性はがらりと変わっているとのこと。視点も「バイオハザード4 Wii edition」同様,キャラクターの背中越しのビハインドカメラ視点となっている。
ゲームの大枠はXbox 360版と同じで,72時間モールで生き残ること,ゾンビ発生事件の真相に迫ることが目的である。なおWii版では,操作性だけでなくゲームのシステムに一部変更が加えられている。
一番の違いは“カメラでスクープ写真を撮る”という表向きの目的が基本的に省略されたこと。本作では,ショッピングモールの各所にいる生存者を救出するというミッションをクリアしていくことでストーリーが進み,ゾンビ発生事件の謎に迫っていくという形になる。
Xbox 360版では,ゲームプレイ中に時間が経過し続け,時間軸に沿ってイベントが発生していたが,Wii版では基本的にミッションをクリアすると次のミッションが出現するという,ミッションクリア方式へと変更された。なおWii版の時間の経過はミッション中のみで,ミッションとミッションのインターバルでは時間が経過しないようになっている。
本作では,ゾンビを倒したり生存者を救出したりすることで,PP(Prestige Point)というポイントが溜まっていく。PPを溜めると主人公フランクのレベルが上がり,持てるアイテムの数が増えたりサブウエポンの攻撃力/耐久力が上がったりと,どんどん強くなるわけだ。Xbox 360版では,スクープ写真を撮ることでもPPがたまったのだが,前述のとおりWii版では写真撮影の要素は省略されている。その代わり,ゲーム内のミニゲームでPPを溜められるようになった。
たとえば,ショッピングモールの中庭から入場できる地下駐車場では,「いろんな乗り物に乗ってゾンビを轢きまくる」というミニゲームがプレイできた。一気に数百体のゾンビを倒すことも可能なので,写真が撮れなくなったからといってPPが溜めにくいということはなさそうだ。今回のプレイで確認できたミニゲームは一つだけだったが,そのほかにも用意されているかもしれない。
なおWii版では,ゾンビを倒したりミッションをクリアしたりすると,お金が手に入る。ストーリーを進めると“ガンショップ”がオープンし,さまざまな武器や“書籍”などを購入できるようになる。なお,フランクが覚えられるスキルの数はレベルアップで増えるのだが、“スープレックス”などのスキルを覚えるには,書籍を別途購入する必要がある。
次に,本作の操作について紹介しよう。移動はヌンチャクのコントロールスティックで行い,上下で前進/後退,左右は右旋回/左旋回となる。後退しながらZボタンを押すと180°ターンとなる。バイオハザードシリーズに似た移動方法なので,経験者ならすんなりなじめるだろう。
武器はメインウエポン/サブウエポンの2種類。銃などのメイン武器は,WiiリモコンのBボタンを押すと武器を構え,Bボタンを押したままAボタンを押すと攻撃する。照準はWiiリモコンのポインティングで行う。なお,Bボタンを押して構えた状態で十字キーを押すと,装備武器の変更やメイン武器のリロードができる。武器を構えた状態でWiiリモコンを振ってもリロードは可能だ。
本作では,舞台となるショッピングモールにある無数のアイテムが武器(サブウエポン)として使用可能である。日本刀やバットといった武器らしい武器はもちろん,ショッピングカートやらベンチやらパラソルやら,スケートボードまで武器として使えるのだ。ただし,サブウエポンとなるアイテムには耐久値が設定されており,使い続けているといつかは壊れてしまう。
これらサブウエポンの攻撃は基本的にAボタンで行うのだが,Wiiリモコンを振ることで“強”攻撃を出せる。また,アイテムによってはWiiリモコンを振ってゲージを溜めることで強攻撃を繰り出せるものもある。
Wiiリモコンを振るのは,「ゾンビを振り払う」「サブウエポンの強攻撃」「メイン武器のリロード」といったところ。サブウエポンの強攻撃は使う頻度はあまり高くないし,リロードはBボタン&十字キーで代用できる。Wiiリモコンの振り過ぎで疲れないか心配していたものの,1時間ほどプレイしても気になるほどではなかった。
中井氏は,Wiiリモコンを振るのがおっくうになってしまうようでは本末転倒なので,「Wiiリモコンを“振らされる”のではなく“振りたい”と思えるようなもの」が本作のコンセプトであると語っていた。そのため,ゾンビを振り払うときにWiiリモコンを振る回数も,意図的に少なくしたとのことだ(実際,数回Wiiリモコンを振るだけで済む)。
Xbox 360版では,画面からあふれんばかりの多数のゾンビがモール内を徘徊していたが,Wii版ではグラフィックス処理能力の違いから,“近くにいるゾンビだけを表示する”という形に変更された。フランクの移動に合わせてゾンビが出現して襲い掛かってくるような形で,表示数はXbox 360版ほどではないものの,“常に多数のゾンビに囲まれている”という感覚は実現できているように感じられた。
また,Wii版で追加されたゾンビプードルやゾンビインコといった新クリーチャーは,動きが速くやっかいな敵だ。ただ,武器の照準はWiiリモコンによるポインティングで直感的に行えるので,攻撃が間に合わないというほどではなく,よりスリリングな戦闘が味わえると思う。
そのほかWii版では,ストーリー進行の特定タイミングでセーブできるようになったり,セーブポイントが複数あってリトライをしやすくなったりと,よりプレイヤーに優しい設計になっている。
発売日の2月19日まであと2週間弱と迫った「デッドライジング ゾンビのいけにえ」は,Xbox 360版のグラフィックスには及ばないものの,今回のレポートで紹介したように,ゲームシステムに大幅な変更が加えられており,Xbox 360版とは別のゲームとして楽しめそうだ。Xbox 360版の単なる移植だと思っていると痛い目(?)を見るかもしれない。