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[E3 2018]Ubisoftのプライベートブースで,「Beyond Good and Evil 2」のゲームプレイを見てきた
「Beyond Good and Evil 2」公式サイト
「Beyond Good and Evil」よりも前の時間軸に設定される続編。前作の主人公Jadeは,悪役として登場か
前作のクリエイターは,日本での知名度はあまり高くないものの,Ubisoftの代表的シリーズである「レイマン」を手がけたことでも知られるMichel Ancel氏。昨年のE3でこのAncel氏が登壇し,14年ぶりの続編開発を正式に発表したのだ(初出は2008年5月のパリのイベントだったが,以来,新情報はまったくといっていいほど出てこなかった)。
このとき公開された動画が,下のものになる。
当時のコンシューマ機のハード的な限界もあったのだろうが,前作のグラフィックスはややコミックス風で,ゲーム展開やボス戦などでも,レイマンを思わせる漫画的な表現が多かった。しかし,公開されたBGE2の映像は,まるでハリウッド映画の予告編のようで,超リアルな映像に終始していた。
登場人物達が楽観主義的な雰囲気をまとっているところはレイマンテイストというか,Ancel氏特有の世界観によるものである気がするが,いずれにせよ「前作とはかなり違ったゲームになりそうだ」ということを強くファンに感じさせた。
それから1年が経過したE3 2018でも,BGE2の予告映像が公開された。それがこちらだ。
テイストは昨年の映像とよく似ているが,映像の最後に登場するJadeは敵味方が逆転しているように見える。BGE2は続編ではあるが,時間軸として前作以前になることがこの1年のうちに決定したようで,このあたりが,Jadeの立場が昨年の映像とは異なる理由だと思われる。
キャラクターメイキングで好きな主人公を設定可能に
プライベートブースでは,開発途中のα版のビルドを使い,ゲームプレイがどのようなものになるのかについて,本作のプロデューサーを務めるGuillaume Brunier氏が解説してくれた。
なお,ゲーム画面の撮影は禁止されていたので,この記事に掲載したものは,E3 2018に合わせて公開されたアートワークであることをお断りしておきたい。
BGE2は前作のようにあらかじめ設定された主人公キャラクターを操作してプレイするのではなく,ゲーム開始時にキャラクターメイキングを行って,自分だけのオリジナル主人公でプレイできるようになったという。
ゲームの世界観は我々の現実世界につながるものとして設定されており,現在から数百年が経過した未来が舞台となる。宇宙開拓のため,動物の遺伝子を活用した新生物達が活躍しているという設定で,本作に登場するキャラクターには,ブタや猿以外に,サメ,カメレオン,トラ,犬,水牛,ジャイアントパンダ(!)などもいるという。キャラクターメイキングでどんな動物種族が選べるのか,現在は不明だが,多種多様な種族が選べそうだ。
ちなみに,デモを見る限りオンラインマルチプレイに対応しているようだが,クライアントサーバー型のMMOタイプなのか,それとも「Destiny」シリーズのようなPeer to Peer(P2P)型のシングルとマルチが緩く交差するようなタイプなのかは分からない。
ゲームシステムはオーソドックスな三人称視点のアクションを踏襲か
デモでは,人間型のキャラクターと,猿型のキャラクターによる,2人同時プレイが披露された。
基本的な画面構成は,カメラをキャラクターの後方に置いた一般的な三人称視点で,公開されたシーンは,「トゥームレイダー」シリーズの遺跡を思わせる地下施設内部。ここで秘密裏に行われている違法な人体改造施設に潜入する,という内容のミッションだ。
ここでBrunier氏は,本作のアクション部分を解説してくれた。各キャラクターは,攻撃や防御のシールドを張ることが可能で,また,ジャンプアクションに加えて一定時間飛行できるジェットパックを背負っている。さらに,各キャラクターは特殊能力(アビリティ)を持っており,それらを強化することでさまざまな攻撃アクションが行えるという。
デモで見られたのは,発動すると半球状のエネルギードームが展開し,中に包まれた敵は時間が遅くなるという特殊能力だった。なお,プレイ担当の2人のスタッフが味方同士で攻撃し合うところを見せて(笑いをとって)いたので,プレイヤー同士の戦闘もできるようだった。
キャラクターは標準で「スパイグラス」と呼ばれるAIゴーグルを装備しており,これを使えば,生物,無生物を問わずゲーム内オブジェクトのステータスを知ることができる。初見のエリアにやってきたときは,まずこれを使って周囲を観察することがダンドリになるようだ。スパイグラスで敵兵をスキャンすると,敵の能力や装備が分かる。
戦闘はリアルタイムで進行し,ひとたび戦闘が始まると,敵味方入り乱れての肉弾戦や,レーザー光線が飛び交うSF映画のような銃撃戦が楽しめる。Brunier氏が得意げに見せてくれたのは,2人のプレイヤーが,それぞれまったく別の経路を通って敵兵がいるエリアに到達するところだ。事前にマップを探索していれば,二手に分かれての挟撃なども行えるという。
宇宙船同士の戦いにシームレスに移行
戦闘システムの解説を終えたあと,Brunier氏は「ゲーム世界の探索」についての解説に入った。
ゲーム世界は,超高層ビルなどの建築物が並び,無数のNPCが思い思いに動き回るオープンワールド的なものになっている。SF映画「フィフス・エレメント」よろしく,空飛ぶ自動車が空中を走り回る立体的な交通網が完成しており,プレイヤーは各自のジェットパックや空飛ぶバイク,あるいはもっと大きい宇宙船などに乗って,立体的な街の探索が行える。
ここでBrunier氏は,宇宙船のカスタマイズについて触れた。宇宙船は,基本タイプを選んだあと,パーツ単位でカスタマイズが可能で,武装の変更だけでなく,飛行能力や見映えも自分好みに仕上げられるという。デモでは,宇宙海賊であるにもかかわらず,自分の宇宙船に宇宙警察のラッピングを施したりして,ここでも笑いを誘っていた。
BGE2では,キャラクターを動かしている状態から宇宙船に乗り込むことで,宇宙船同士の空中戦へシームレスに移行する。ミサイルや機関砲が飛び交う様子は,宇宙ものの3Dシューティングそのもので,かなりカッコいい。
技術的に驚かされたのが,空中戦に参加していないもう1人のプレイヤーが空戦の様子をビルの屋上から眺められることだ。かなり小さくはなるが,爆炎やレーザー光線が飛び交う戦いの模様が,遙か上空に見えるのだ。
宇宙規模の地形をシームレスで描画?
ここから,Brunier氏は,グラフィックスエンジンの紹介へ移った。
グラフィックスエンジンは,「宇宙規模のシームレス地形描画」に対応しているとのことで,Brunier氏はキャラクターを建造物の屋上に立たせ,星の景色が遙か遠方まで描かれていることをアピールした。こうしたオープンワールドタイプのゲームではグラフィックスエンジンの都合上,あるいはメモリシステムの都合上,「暗黙の描画境界」とでも呼べるものがあり,この境界より向こうの建造物や植物は描かれず,遠方専用に用意された画像だけ表示されるケースが多い。
最近のオープンワールドタイプのゲームでも,プレイ中,一定の距離に入った建物や植物がポコポコと出現する描画を見たことがあるはずだが,BGE2には「そうした制限がない」というのだ。
続いてBrunier氏はキャラクターを宇宙船に乗せ,最初の街から飛び出して高度を上げながら,惑星上を飛行する様子を見せた。今までいた街の建物がまったくカクつくことなくスムーズに小さくなり,次の大陸が見えてきたかと思うと,そこにある街がどんどん大きくなってきた。
Brunier氏は音速状態のまま,機首を直上に向けてどんどんと高度を上げる。気づけば大気圏ギリギリの超高度で,そこでキャラクターを宇宙船の船外へ出し,惑星を見下ろす。すると眼下には美しい大陸の景観と小さく輝く街の光が見えた。
ここでBrunier氏が「大陸をよく観察してほしい。大陸のある箇所に大きな無数のクレーターが見えるだろう。ここまで上がるとクレーターだと分かるが,あそこに下り立つと山と谷があるようにしか見えない。BGE2の地形デザインは,このレベルで作り込んでいる」と述べた。
そして「こちらの大陸を見て,何か気がつかないかな。そう,ナスカの地上絵で有名な猿(クモザル)だ。BGE2で冒険することになる惑星の大陸には,こうした怪しげな地上絵が描かれていることがある。これが地上絵だと分かるには,高高度から大陸を観察しなければならない。こうした大局的な視点での観測が楽しいのも本作の魅力だ」と続けた。
ここで,プレイヤーキャラクターに上記のスパイグラスを装備させ,大陸の街に合わせてズーム率を上げると,街の景観が分かるようになった。さすがに個々のNPCが見えるほどのズームはできなかったが,街全体が見えるほどの倍率で,そこにちゃんとスパイグラスが探知した情報が添えられていたのだ。
Brunier氏いわく,「このスパイグラスは,遠方の対象物に使えば宇宙船,惑星,大陸,街など,巨大な対象物の情報を調べることもできる」とのこと。
Brunier氏は,再びキャラクターを宇宙船に乗せ,今度は宇宙船の飛行速度を亜光速にまで引き上げた。すると大陸はみるみる小さくなり,惑星としての形,すなわち球体へとまとまっていく。BGE2では,ビルの屋上から惑星上空へ移動して,その景観の移り変わりをシームレスに楽しめるのだ。
Brunier氏はここで,星系が描き込まれた地図を見せた。BGE2は「システム3」と呼ばれる恒星系が舞台になるのだが,この地図はゲーム用の地形を描くグラフィックスエンジンの機能を使って生成されているため,探索済みの星なら,自在なズーム率で観察ができるとのことだった。
デモを見る限り,広大な地形を描くことについてBGE2のグラフィックスエンジンは,業界最高レベルの性能といってもいいだろう。
Brunier氏に,「BGE2の宇宙は,手作業で作られているのか,プロシージャル技術によるものなのか」について質問したところ,地形生成などの一部にはプロシージャル技術が使われているが,基本的には手作業による作り込みだと答えてくれた。
また「No Man’s Sky」のように膨大な星々があるわけではなく,BGE2のストーリーに関係する星々しか登場しないとのことで,BGE2はあくまでスペースオペラ的な物語を楽しむゲームであり,「No Man’s Sky」のような探索に主眼が置かれた作品ではないという。
BGE2の発売時期は未定で,現在はPCおよびPlayStation 4,Xbox One向けに開発が進められている。前作が日本でほとんど無名であることが気になるものの,ぜひとも日本での展開をお願いしたいところだ。
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4Gamer「E3 2018」特設サイト
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