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“イトケン節”がPCオンラインゲームに! 「CroXino -クロシーノ-」のイメージソングを手がけた伊藤賢治氏インタビュー
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印刷2009/01/27 11:00

インタビュー

“イトケン節”がPCオンラインゲームに! 「CroXino -クロシーノ-」のイメージソングを手がけた伊藤賢治氏インタビュー

 こちらのニュース記事でもお伝えしているとおり,ジークレストの新作MMORPG「CroXino -クロシーノ-」のイメージソング,「Beyond The Decision -Theme of CroXino-」を,あの伊藤賢治氏が手がけることが発表された。

画像集#001のサムネイル/“イトケン節”がPCオンラインゲームに! 「CroXino -クロシーノ-」のイメージソングを手がけた伊藤賢治氏インタビュー

4Gamer読者枠(500名)で「CroXino -クロシーノ-」クローズドβテストに応募する


画像集#002のサムネイル/“イトケン節”がPCオンラインゲームに! 「CroXino -クロシーノ-」のイメージソングを手がけた伊藤賢治氏インタビュー
 伊藤氏といえば,かつてスクウェアに在籍し,「サ・ガ」を始めとした数多くのシリーズの作曲などでよく知られる人物。氏が作り出す独特の世界観や曲調は“イトケン節”と称され,植松伸夫氏と共に,スクウェアサウンドの礎を築き上げた一人といっても過言ではない。とくにバトル曲の数々は,今聞いても胸の奥からアツいものが込み上げてくる,という人もきっと多いことだろう。
 そんな伊藤氏は今回,何をイメージしてBeyond The Decisionを作り上げたのか。そしてそこに至る経緯は? といったあたりを,昨年(2008年)に伊藤氏自身が立ち上げた自主レーベルなどの話題もからめつつ話を聞いてきた。

 ……といっても実は,このインタビューを収録したのは2008年10月20日のこと。その段階では,まだゲームのタイトルは「紡がれた運命 -Chain of Destiny-」だったし,楽曲自体も制作がスタートしたばかりといった状況。諸事情により掲載が遅れに遅れてしまったのだが,伊藤氏がこの楽曲を手がけるに至った経緯や,楽曲に込めた思いなどが激変してしまったということはないはず。
 というわけで,当時うかがったお話のまま,お届けすることにしよう。


歴史的な雄大さや壮大さを感じられる楽曲に


4Gamer:
 本日はお会いできて光栄です。
 今回,「CroXino -クロシーノ-」のイメージソングを手がけられるとのことですが,伊藤さんはこれまでにオンラインゲームというものに接したことはありますか?

画像集#003のサムネイル/“イトケン節”がPCオンラインゲームに! 「CroXino -クロシーノ-」のイメージソングを手がけた伊藤賢治氏インタビュー
伊藤賢治氏(以下,伊藤氏):
 実はまだ,オンラインゲームにプレイヤーとして深く立ち入ったことはないんです。でも作り手側の立場としては,従来型のパッケージ販売のように国内に限定された販売や流通などのしがらみが少なく,ワールドワイドに展開できるという意味で,大きな可能性を感じています。

4Gamer:
 実際,世界中で楽しまれているオンラインゲームも数少なくないですし,多くの場合,ゲームで使用されている音楽も同じですからね。
 では今回,このゲームのイメージソングを担当することになった経緯を教えてください。

伊藤氏:
 ジークレストさんの事業部にいる方と,以前,ゲーム音楽の仕事でご一緒させてもらったことがあるんです。そのときのツテで,声を掛けていただいたという流れですね。
 ジークレストさんとは初めて一緒にお仕事することになりますが,頑張って良い楽曲を提供できればと思っています。

4Gamer:
 今回の曲のコンセプトは,どのようなものですか?

伊藤氏:
 ジークレストさんからは,「ファンタジーっぽさが根底にありつつ,歴史的な雄大さや壮大さを感じられるもの」というリクエストがありました。その方向であれこれ試行錯誤しており,現在はイントロ部分がようやく形になりつつあるかな,といったところです。
 今回の曲はボーカルが入る予定なんですが,先日ようやく「この人なら自分の期待以上に歌ってくれるかな」という人が決まりました。またマニピュレータの候補が決まるなど,音作りの地盤も固まりつつあるので,これから急ピッチで作業を進めていきます。

4Gamer:
 「***の曲のような雰囲気で」みたいな,細かいリクエストというわけではなかったんですね。

伊藤氏:
 ええ。基本的には自由にやらせてもらっています。自由にやらせていただけるというのは,今までの僕の活動を信頼してくれるということなので,とてもありがたいですし,光栄に思っています。なので今回は,僕が今まで積み重ねてきたキャリアを存分に生かせればと思ってるんですよ。


今回の曲は女性ボーカル入りのものに


4Gamer:
 作曲時に頭の中で思い描いている特定の地域や,風土といったものはありますか?

伊藤氏:
 そういったのはとくにないですね。民謡やトラディショナルなども含めた,ボーダーレスなものをイメージしています。

4Gamer:
 では逆に,イメージ作りにおいてとくに意識している部分は?

伊藤氏:
 インストゥルメンタルな部分では,話の深さやストーリーのシリアスな部分を感じさせることを意識しています。歌の部分では,架空の歌姫が歌う,伝承歌のようなものをイメージしています。オンラインゲームのテーマ曲でボーカル入りのものはあまりないようですが,楽曲としてのクオリティや方向性さえズレていなければ,意外といろんなシーンに合うんじゃないかなと思っています。

4Gamer:
 となると,どんな方が歌うのか? というのが,やっぱり気になります。

画像集#004のサムネイル/“イトケン節”がPCオンラインゲームに! 「CroXino -クロシーノ-」のイメージソングを手がけた伊藤賢治氏インタビュー
伊藤氏:
 藤本記子さんという女性です。
 この方は以前,“BohBah”(キングレコード)という二人組のユニットで活動していて,数年前からソロプロジェクトに転向しています。その後は,第一回河島英五音楽賞で最優秀賞も獲得されているなど,実力派のシンガーなんです。

4Gamer:
 なぜ藤本さんを起用することになったんですか?

伊藤氏:
 実は,デビュー当時のBohBahがDJをやっていたラジオ番組をよく聴いていて,彼女の喋り方やライブでの生の声がとても好きだったんです。別に知り合いというわけではなく,ただのファンというか。それでも,「いつか一緒に仕事ができればいいなぁ……」と,漠然と考えていたんですよ。
 ところがちょっと前に,思いもよらないことがきっかけで,彼女とコンタクトを取れたんです。すると先方もゲームで僕の音楽に触れたことがあるらしく,逆に「こちらこそぜひ!」と言っていただけたんです。

4Gamer:
 なんだか運命的な出会いですねぇ。

伊藤氏:
 ですよね。それをきっかけにいろいろとお話をさせていただいたんです。例えば以前僕が出したオリジナルアルバムでは,コーラスとして参加してもらったこともあります。そういった流れがあったので,今回の話もスムーズに決まりました。

4Gamer:
 では藤本さんは今回,どんな歌を歌うんでしょうか?

伊藤氏:
 ジークレストさんから,キーワードとなるものをいくつか提示してもらっています。僕の中では「この人なら」,という作詞家が決まっていますので,作曲が終わってからお願いするつもりです。

4Gamer:
 なるほど,まずは曲が出来上がってから,ということなんですね。
 では今回の作曲にあたり,苦労されている点などはありますか?

伊藤氏:
 そうですねぇ……。先ほども言いましたが,まだイントロの部分だけが出来上がりつつあるという段階で,これから10日〜半月程度をかけて仕上げていく予定です。なので本格的に苦労するのは,きっとこれからになるでしょうね。

4Gamer:
 伊藤さんの手がけられる楽曲は,イントロでまず聴き手を掴むような印象があります。実際の制作時には,どういう順番で曲を作っていくんですか?

伊藤氏:
 確かに自分でも,“イントロ命!”みたいなところはありますね。曲によっていろいろなパターンはあるんですが,僕の場合はほとんどイントロから始まっているという意識があります。逆に言えば,この部分さえ固まれば,曲が完成するまでの道のりがほぼ見えて,最後までスムースに進むことも多いんです。

4Gamer:
 ということは今回の楽曲についても,道のりは見えているわけですね。

画像集#005のサムネイル/“イトケン節”がPCオンラインゲームに! 「CroXino -クロシーノ-」のイメージソングを手がけた伊藤賢治氏インタビュー
伊藤氏:
 ええ。ただまあ,実際には「イントロが出来上がりました。完成まではあと●日です」みたいになるわけではありません。要は,自分の中に“音楽の神が降りるか降りないか”ですね。そのタイミングさえ掴めれば,一気に仕上げられることも多いんです。


4Gamer:
 これまでの作品の制作中には,どんなタイミングで神が降りてきましたか?

伊藤氏:
 なかなか思いどおりに降りて来てくれなくて困ってるんですよ(笑)。まぁ,それは半分冗談なのですが,集中すべきタイミングがあるのとないのとでは,全然違ってきますね。事務的作業であれば,掛かる時間などをおおむね予測できたりしますが,作曲は精神的な部分や,ランダムな部分も多く関わってきますし,なかなか難しいです。

4Gamer:
 では,集中するためのコツは?

伊藤氏:
 作曲というのはとにかく孤独な作業です。僕はフリーランスで活動しているためか,場合によっては5日くらい一切外出せず,ひたすら集中して作業を続けてしまうこともあります。そんなときは,人と話をするように心掛けているんです。親しい音楽仲間なんかに,仕事中で申し訳ないなと思いつつも,よく電話をしています。

4Gamer:
 なるほど,人と話すことが良いリフレッシュになっているんですね。


“作曲家としての伊藤賢治”はプラットフォームにとらわれない


4Gamer:
 最初のお話にも通じることなんですが,パッケージのゲームと,オンラインゲームとで,作曲時に意識する部分や手法は変わったりしますか?

伊藤氏:
 それこそスーパーファミコンの頃と比べると,ハードウェアの進化によって作り手にとっての幅は広がりましたね。でも音楽制作そのものの手法は,当時と比べてそれほど変わっていないと思いますよ。
 ただ,ハードウェアごとに音質が大きく違うのは確かです。現在のパッケージソフトだとCDと同等のクオリティの音質も実現できますが,PCのオンラインゲームではデータ量の問題もあってまだそこまでは達していません。そのあたりは今後の発展に期待したいところです。

4Gamer:
 音質が向上してサウンドがリッチになっていく一方,最近では8ビットサウンドが再評価を受けたりもしています。制約が多い中でのゲーム音楽も素晴らしかったよね,的な。かつてゲームボーイ用の音楽も手がけられた伊藤さんとしては,そういう状況についてどのように思われていますか?

画像集#006のサムネイル/“イトケン節”がPCオンラインゲームに! 「CroXino -クロシーノ-」のイメージソングを手がけた伊藤賢治氏インタビュー
伊藤氏:
 たとえ音がチープだとしても,聞く側にとってはそれがイメージを膨らませるための一つの要素だったんですよね。聞き手一人一人それぞれの頭の中に,自分だけの音楽が展開しているという意味では,今の音楽にはない独特な世界観がありました。
 聞く側のイメージを育てたり,期待させたりといった意味では,ああいったジャンルは重要ですし,近頃再評価されていることについても嬉しく思っています。

4Gamer:
 それとはまったく逆に,例えばオーケストラの生音を入れてみるなど,音楽だけで成立させようという動きも,珍しくなくなっています。

伊藤氏:
 シンセサイザーも含めると,オーケストラっぽいサウンドはだいぶ増えてきましたよね。やっぱり作曲家としては,一度はああいったフルオーケストラをやってみたい,という欲求を持っている人が多いんだと思うんです。ある意味,音楽として究極の姿の一つですから。

4Gamer:
 そんな中,伊藤さんは最近だと携帯電話用のゲームに楽曲を提供するなど,良い意味でプラットフォームを選ばない作曲家,という印象を受けます。今回はPC用ということで,作曲時におけるハード面の制約などといったものは感じられましたか?

伊藤氏:
 ハードによる制約は,あまり感じませんね。
 それよりも自分が重要視しているのは,曲そのものだけでなく,“作曲家としての伊藤賢治”を見てくれているかどうか,という部分です。先程も申し上げた曲のタイプというよりは,音楽的な部分のリクエストに自分が応えられるかどうか,という部分に強いやりがいを感じますね。


若さを失っても音楽家として立ち止まるわけにはいかない


4Gamer:
 実は私個人もなんですが,伊藤さんのファンの中には,派手なバトル曲が今でも忘れられないという人もいると思います。そのように思われることについては,どのように受け止めていらっしゃいますか?

伊藤氏:
 そのような印象を持っていただいたり,過去の楽曲が今でも注目されたりすることについては,とてもありがたく思っています。でも僕は,本来バラード曲なんかも大好きなんですよ。ちょうど先日(2008年),「Gentle Echo」という自主レーベルを立ち上げたんですが,これからは例えばヒーリングやリラクゼーション音楽といった,今までとは別のベクトルの作品も積極的に出していければと考えています。

4Gamer:
 派手でエモーショナルな楽曲とは,相当違う方向ですね。

伊藤氏:
 ええ。ですから今回提供する楽曲についても,耳に聞こえる部分の派手さとかではなく,メロディラインで心に訴えかけられればいいなぁ……と考えながら作っているんです。バトル曲のファンに対しても,今回の曲を通じて自分の中の新しい部分をアピールしたいですよね。

4Gamer:
 年齢を重ねることで作風が変わりつつあるか。それとも,キャリアを積み重ねたことによる変化ということなんでしょうか。

画像集#007のサムネイル/“イトケン節”がPCオンラインゲームに! 「CroXino -クロシーノ-」のイメージソングを手がけた伊藤賢治氏インタビュー
伊藤氏:
 きっと,両方なんだと思います。
 分かりやすい形で感じるのは年齢ですが,それとは別に,昔作った楽曲を聴きなおしたりすると,メロディやサウンドの方向性の視野が狭かったなぁ,と感じることがあります。凄く粗い部分があったり,こうすればもっとカラフルで良くなったはずなのに,という部分が沢山見つかったりするんです。ある意味,勢いに任せて曲として形にできた部分もあったな,と。

4Gamer:
 決して情熱がなくなってきたというわけではないですよね?

伊藤氏:
 そういうわけじゃないですよ(笑)。“作曲家としての伊藤賢治”という軸は,以前から変わっていませんし。
 結局,これまでのキャリアで積み重ねてきた感性や,耳があるからこそ,こういうことを思うんでしょうね。それは,自分自身が成長している証拠でもあるかもしれません。確かに勢いだけで突っ走るような若さは失ってしまいましたが(笑),音楽家として立ち止まっているわけにはいかないし,さらに上を目指すべく,これからも常に新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。

4Gamer:
 伊藤さんは2001年にスクウェアから独立をされたそうですが,もしかしたらこれも,音楽性の違いのようなものが理由だったんですか?

伊藤氏:
 いえいえ(笑)。
 当時,フリーで活動していた方々がどんどん入社してきたり,契約したりといったことが増えていたんですね。その中の一人に崎元 仁さん(現:ベイシスケイプ主宰)がいたんですが,彼に強い影響を受けたんです。僕は彼と同い年なんですが,フリーランスとして世間の荒波にもまれてきた話を聞いていると,「自分はここにとどまり続けていいのだろうか?」と考えさせられたんです。
 1年近く悩んではいたんですが,ちょうど30歳近くという年齢的なものもあって,「今,動かなかったらいつ動くんだ?」と結論に至って,独立したんですよ。

4Gamer:
 独立前と独立後で,大きく変わったことはありますか?

伊藤氏:
 フリーになってからは嬉しいことも,つらいことも,すべてダイレクトに自分に来るわけです。誰も自分を守ってくれないし,自分で受け止めるしかない。そういった意味で,ものすごく貴重な経験をさせてもらっていると感じています。独立してからまだ10年も経っていないですが,スクウェア時代に過ごした11年と比べて,おそらく2倍から3倍は密度の濃い日々を過ごしてるんじゃないかと思います。
 その結果,現在もこのようにお仕事をいただいたり,独立時からの宿願だった自分のレーベルを立ち上げられたりと,今のところはとても順調に進んでいますね。


新レーベル「Gentle Echo」ではヒーリングミュージックを


4Gamer:
 独立された時点で,レーベルを立ち上げる夢があったわけですね。その当時にレーベルで作り上げたいと思い描いていたジャンルも,ヒーリングミュージックのようなものだったのでしょうか?

伊藤氏:
 ええ。もともと学生の頃から,“ウィンダム・ヒル”というレーベルがとても好きで,いつかはああいったものをやっていきたいと考えていました。僕は彼等のようなナチュラリストというわけではないですが,ウィンダム・ヒルは映像までも含めた活動をしていて,その音楽だけにとらわれない姿勢に前から憧れていたんです。

4Gamer:
 確かに会社に所属していては,そのような幅広い活動は難しかったかもしれませんね。
 今後,Gentle Echoというレーベルでは,どういった活動を行っていく予定ですか?

伊藤氏:
 分かりやすく言えば癒し系などの,新しいタイプの仕事にも積極的に挑戦していきたいです。そして音楽だけでなく,映像なども含めた総合的な演出を行っていければと考えています。
 近頃はiTunes Storeなどを通じて全世界に向けての同時リリースも可能で,国境に縛られずボーダーレスに活動していける環境も整いつつありますし。

4Gamer:
 映像まで手を広げられるんですか?

画像集#008のサムネイル/“イトケン節”がPCオンラインゲームに! 「CroXino -クロシーノ-」のイメージソングを手がけた伊藤賢治氏インタビュー
伊藤氏:
 近年ではFlashアニメや,インターネット上でのTV番組といったものも,少しずつやりやすい形になっています。映像をどうしてもやりたい! というわけではなく,表現したいものがあった場合の,候補の一つとして考えています。
 例えば,クライアントからの「こういったものを作ってください」という要望に応えるだけでなく,仮に「こういったものが作りたいんだけど」という要望があるのなら,一緒に話し合いながらリリースの仕方や資金運用なども含め,総合的なコンサルティングが行えるレーベルを目指していきます。
 あ,もちろん,ゲームの仕事を辞めるつもりはありませんので,今後ももちろん並行して続けていきますよ(笑)。

4Gamer:
 ではレーベルとしてではなく,伊藤さん個人として,これから作り上げたい音楽のヴィジョンといったものはありますか?

伊藤氏:
 自分の根本的な部分という意味では,ピアノにはこれからもこだわっていきたいですね。ピアノ1台だけで表現できる音楽は,今後もやっていくでしょうし,もしそれをゲームに反映できるなら,進んで展開していきたいです。

4Gamer:
 最近ではスクウェア・エニックスの音楽ユニット「The Black Mages」のライブに参加したり,ピアノでのライブ活動も行われていますよね。こういったライブ活動についてはいかがでしょうか?

伊藤氏:
 ええ,今後も力を入れていく予定です。年末にもライブがありますし,まだ公表はできないのですが,来年以降にもいくつかのプランを具体的に検討しています。

4Gamer:
 例えば,ピアノだけでゲームミュージックを作曲というのはどうでしょうか?

伊藤氏:
 それはかなり実験的ですね。以前テレビアニメで,ピアノ2台だけで音楽を作り上げた作品があるのを知ってはいますが,もし実現性があるのなら,自分でもチャレンジしてみたいです。ただ,仮にそれが実現したとしても,ピアノの演奏は僕よりもっと上手い人に任せてしまうかもしれません(笑)。

4Gamer:
 さて,最後になりますが,伊藤さんが提供した楽曲が聞きたくて,このゲームに触れようと思う人もいると思います。そういった人に向けてのメッセージをお願いします。

伊藤氏:
 今回担当させてもらったイメージソングは,ゲームを構成する要素の中でも大きな役割を持っていると思います。それを担当させてもらったことはとても光栄ですし,同時に強いプレッシャーも感じています。
 それでも,僕の曲がゲームという作品の一部となり,ゲームが世の中に浸透するのに力添えできるのであれば,それに勝る幸せはありません。僕の音楽だけとか,ゲームだけとかじゃなく,すべてひっくるめた一つの作品として楽しんで頂けたら嬉しいですね。

4Gamer:
 ありがとうございました!


 冒頭にも記したとおり,このインタビューを収録したのは2008年10月20日のこと。当時は「イントロ部分がようやく形になりつつある」という段階だったようだが,それから3か月以上の時を経て,昨日(1月26日)より「CroXino -クロシーノ-」公式サイトでは,イメージソングが公開されている。もちろん,藤本記子さんのボーカル入りだ。
 最初にできたというイントロや,「架空の歌姫が歌う,伝承歌のような」歌が気になる人は,今すぐ公式サイトでチェックしてみよう。


4Gamer読者枠(500名)で「CroXino -クロシーノ-」クローズドβテストに応募する


【テスター募集要項】

■募集対象者
2008年11月7日(金)〜2008年11月14日(金)に実施した『紡がれた運命 -Chain of Destiny-』先行体験テストのテスターに当選されていない方
※応募者多数の場合、抽選とさせていただきます。
※テスターに応募する際に、希望される方は「ご意見番頭さん」にも応募することができます。

■募集期間
2009年1月26日(月)16:00〜2009年2月16日(月)19:00

■当選発表
2009年2月17日(火)15:00頃


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