ゲーム業界は不況知らず？ 過去最高益を記録した任天堂の決算発表

　任天堂は本日（2009年5月7日），平成21年3月期の決算短信を発表した。発表によると，今年度の売上高は1兆8386億円で，営業利益が5552億円，経常利益が4486億円，そして純利益は2790億円を記録。過去最高を記録した昨年をさらに上回る数値となっていることが明らかとなった。

　今回の決算について任天堂は，同社が発売するゲーム機「Wii」および「ニンテンドーDS」の売上が好調に推移したためとしており，当期におけるニンテンドーDSシリーズの全世界販売台数が3118万台，Wiiは2595万台を販売したと発表。とくにニンテンドーDSシリーズに至っては，累計販売台数が1億178万台に達し，ゲーム機としては過去最速のペースで1億台を突破している。

　また決算発表の中では，ゲームソフトの売上についても触れられており，ニンテンドーDS用タイトルでは，欧州で未発売ながらも「ポケットモンスター プラチナ」が375万本，「星のカービィ ウルトラスーパーデラックス」が236万本の販売本数を記録したと発表。さらには「川島隆太教授監修　脳を鍛える大人のDSトレーニング」と「川島隆太教授監修　もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング」の合計販売本数も，当期だけで731万本に及ぶなど，新作/定番タイトル共に非常に堅調な売れ行きを示したとした。
　一方，Wii用タイトルでは，「マリオカートWii」が1540万本，「街へいこうよ どうぶつの森」が338万本，「Wii Music」が265万本と，こちらも好調な販売本数を記録。前期に日本で発売されていた「Wii Fit」も海外で大ヒットとなり，全世界で1637万本，累計販売本数1822万本を達成したという。
　ともあれ，決算の大まかな概要は以下のとおり。

■任天堂 平成21年3月期の決算短信

売上高　：1兆8386億2200万円
営業利益：5552億6300万円
経営利益：4486億9500万円
純利益　：2790億8900万円

■2008年度の全世界販売台数/販売本数

ニンテンドーDSシリーズ：3118万台（累計1億178万台）
ポケットモンスター プラチナ：375万本
星のカービィ ウルトラスーパーデラックス：236万本
脳を鍛える大人のDSトレーニング＋もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング：731万本（累計3112万本）
※今期でミリオンセラータイトル数は34本増え，累計で91タイトル

Wii：2595万台（累計5039万台）
マリオカートWii：1540万本
街へいこうよ どうぶつの森：338万本
Wii Music：265万本
Wii Fit：1637万本（累計1822万本）
※今期でミリオンセラータイトル数は28本増え，累計で54タイトル


　さて，サブプライムローン問題に端を発した世界的な信用収縮，また9月以降の金融危機によって，大きなかげりを見せる世界経済なわけだが，今回の任天堂の決算発表は，そんな不況などどこ吹く風といった雰囲気。エンターテイメント業界……なかでもゲーム業界は，昔から「不況に強い」とは言われているのだが，ここまでの数値を見せつけられると，なんとも凄まじい以外の言葉が思い浮かばないといった印象である。
　とはいえ，ゲーム業界全体に目を向けてみれば，「こちら」の記事でもあるように，決して不況の影響を受けていないわけではない。「ゲーム人口の拡大」というスローガンの下，積極的な取り組みを行ってきた任天堂だが，今後は，これまで通りゲーム人口の拡大を行いつつも，自社が開拓したユーザーにどうアプローチしていくのか。その動向が注目される。また“次の一手”として見えてきた「Wiiの間チャンネル」や「DSiウェア」など，新たな取り組みにも期待したいところだ。

　なお任天堂は，次期の見通しについては，「ゼルダの伝説 スピリットトラックス（仮称）」や「Wiiスポーツリゾート」など，さらなる新作タイトルの発売を予定しているとし，ニンテンドーDSシリーズ本体が3000万台，Wii本体が2600万台，ゲームソフトについてはニンテンドーDS用タイトルが1億8000万本，Wii用タイトルが2億2000万本を見込んでいると発表している。

任天堂 平成21年3月期の決算短信（※PDFファイルです）