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  • 発表日:2008/03/03
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ゲームをいつ何時間プレイしたかさえチェック可能に? Intel,電化製品の消費電力管理ソリューションを披露
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印刷2010/04/15 16:31

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ゲームをいつ何時間プレイしたかさえチェック可能に? Intel,電化製品の消費電力管理ソリューションを披露

Tunnel Creekを持つDouglas(Doug) L. Davis氏(Vice President, Intel Architecture Group and General Manager, Embedded and Communications Group, Intel)
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 2010年4月13〜14日に中国・北京市で開催された「Intel Developer Forum 2010 Beijing」(以下,IDF 2010 Beijing)。14日の基調講演では,Intelで組み込み&通信ビジネスを統括するDoug Davis(ダグ・デイビス)副社長と,Justin R. Rattner(ジャスティン・ラトナー)CTOが登場。Atomをベースとする次期組み込み向けプロセッサ「Tunnel Creek」(トンネルクリーク,開発コードネーム)と,Intel Labsが研究開発を進めているパーソナル・エネルギーマネジメントシステムが披露された。


通信業界など,中国の組み込み市場へ注力するIntel

省電力プロセッサTunnel Creekを初公開


中国が市場をリードするエンベデッド分野。とくに通信分野では世界規模で影響力を強めつつある
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 IDF 2010 Beijing前日セッションのレポートでもお伝えしたように,Intelは中国市場における組み込み機器ビジネスの可能性を高く評価している。とくに,「通信のエリアで,中国はリーダー的存在」とDavis氏が指摘するように,日本でも高速モバイル通信網の基地局にソリューションやデータ通信端末を提供する華為技術(Huawei Technologies)や,世界最大の携帯電話キャリアである中国移動通信(China Mobile)は,すでに世界市場で大きな影響力を持つまでに成長してきた事実がある。

 Davis氏は,「現在,データ通信の増大により,そのバックエンドを担うサーバーの負荷や設備投資が肥大化している」と現状を紹介したうえで,スウェーデンの通信機器大手であるTelefonaktiebolaget LM Ericsson(エリクソン)が,Xeon 5600シリーズの採用により,設置面積と消費電力をいずれも従来比で約90%も削減できたという事例を紹介。高性能かつ省電力性に優れた組み込み向けプロセッサと,それをベースとした最終製品が,これからの通信インフラ整備に力を発揮するとアピールした。

通信データ量の増大により,バックエンドのスループットも向上させる必要がある。そこで,最新のXeonベースのエンベデッドプロセッサを導入すると,サーバースペースを大幅に削るとともに,省電力化にも寄与するとのこと
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 また,China MobileのCui Chunfeng博士による,「スマートフォンの増加によって,中国においてもインターネットのトラフィックが複雑化しており,ユーザー一人当たりのデータ通信量は大幅に増えているが,一方でプロバイダやキャリアの収益は増えないという状況にある」というコメントを紹介。4GやLTE(Long Term Evolution)といった,より高速な通信環境の整備に合わせ,基地局の統廃合を進めて省電力化,ひいては低コスト化を計っていく意向を示している。

IntelとChina Mobileのコラボレーション。Intelは,こうした通信関連企業に向けて,Xeonベースの組み込み向けCPUや,サーバーボードを展開していたりする
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 なお,China MobileとHuawei Technologies,そしてIntelは今後,高速通信インフラの整備を進めていくうえで,モバイル環境でも充実したクラウドサービスが提供できるようプラットフォームを開発していく計画を持っているとのこと。実際,筆者が現地で話を聞いた中国のゲームデベロッパは「クラウドサービスを利用して,複数のモバイルデバイスから,単一のオンラインゲームを横断的にプレイできる環境が実現される」と見ていた。クライアントを問わないオンラインゲーム環境には,かなりの現実味が出てきた印象だ。


Tunnel Creekを初公開


Atomベースの組み込み向けプロセッサ,Tunnel Creekが初めて姿を見せた
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 さて,冒頭でも紹介したように,Davisは基調講演のなかで,CPUコアにAtomアーキテクチャを採用した組み込み向け省電力プロセッサ,Tunnel Creekを初めて公開した。
 Tunnel Creekは,CPUにディスプレイコントローラや3Dエンジン,ビデオエンジン,メモリコントローラ,サウンドコントローラなどを統合した製品だ。最大の特徴は,チップセットとのインタフェースにPCI Expressを採用することで,これにより,サードパーティ製のカスタムチップなどを容易に接続できるようになっている。

Tunnel Creekでは,CPUコアに加え,さまざまな機能を統合。同時に,チップセットとの接続インタフェースにPCI Expressを採用することで,サードパーティベンダーがプラットフォームをカスタマイズしやすくする
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 Atomプロセッサをベースとする製品群の応用範囲を広げることも期待されるが,その一つとして,このTunnel Creekを軸としたゲーム端末の開発を検討しているところもあるようだ。スマートフォンやタブレット端末向けに開発された(ソーシャルゲームも含む)カジュアルタイトルを楽しめる低価格端末などが,今後,中国のベンダーから登場する可能性はある。

基調講演に登場した華泰汽車集団のB11。AtomベースのIVIが標準搭載され,ネットワーク機能やインタラクティブなメンテナンスサービス機能などが提供される
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 さらに,Davis氏の基調講演では,現行のAtomをベースとしたIVI(In-Vehicle Infotainment,車載コンピュータ)が,中国の大手自動車メーカーである華泰汽車集団(Hawtai Automobile)の最新サルーンカー,「B11」に搭載されることも発表された。
 このIVIは通信機能を統合し,エンジンの温度や走行距離などのデータをディーラーや自動車修理サービスベンダーと共有できるようになっており,インタラクティブにメンテナンスを受けられるという。また,通信機能は,メールやIP電話,ゲームなどにも利用できるようになっており,試作品のメニューには確かに,中国語でゲームを意味する「遊戯」の項目が設けられていた。

Hawtaiが搭載するIVIの試作品。メニューパネルにはゲームの項目も用意される
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個人向けの消費電力管理ソリューションも研究中

ゲーム機などの電化製品も集中管理が可能な時代へ


IT技術を使った消費電力管理について語るJustin R. Rattner氏(Vice President, Director, Intel Labs and Intel Chief Technology Officer, Intel Senior Fellow, Intel)
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 IDF 2010 Beijingにおける基調講演のトリを務めたRattner CTOが披露したのが,パーソナル・エネルギーマネジメントという概念だ。

 パーソナル・エネルギーマネジメントというのは,ITを使って,家庭内の電力消費量や水道使用量などをモニタリングし,それをエンドユーザーに分かりやすい形で情報開示することで,個人一人一人にエネルギー消費削減意欲を持たせようという試みである。

米国の自動車評論家Wayne Gerdes氏による発言が引用された。すべての自動車に燃料消費ディスプレイが搭載されれば,燃費は20%改善するという
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 同コンセプトの基になったのは,ハイブリッド車におけるエネルギー消費状況を表示するディスプレイだったそうだ。米国の著名な自動車評論家が,「「EPA(Environmental Protection Agency,米環境保護庁)が,すべてのクルマにエネルギー管理ディスプレイの搭載を義務づければ,一夜のうちに(全米中の)燃費が20%は改善するだろう」と発言したことを引いたRattner氏は,「消費者が自分のエネルギー消費行動を動的に知ることができれば,省電力への取り組みは加速するだろう」と予測。氏の率いる研究開発機関,Intel Labsでは,家庭内の電化製品が持つ消費電力を手軽にモニタリングできる仕組みを研究しているとした。

家庭内のすべての電化製品や照明などにセンサーを備え付け,電力消費をモニタリングする研究
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 その事例の一つとして,Intelでセンサーコンピューティングの研究を行っているMary Murphy Hoye氏が,アリゾナの自宅で行っているという試みが紹介された。
 この試みでは,自宅にある電化製品や電力&水道メーターなどにセンサーを設置し,PCでモニタリングできるシステムを構築。個別にセンサーを取り付けることで,「息子が『Xbox 360で遊ぶのは,宿題を終えたあと』という約束を破っていたことも分かる(笑)」。デバイスごとに,消費電力や,時間ごとの電力消費パターンを知ることができるようになり,実際に「温水を使うより,冷水を使ったほうが,消費電力は大幅に低減できる」という事実を知り,電気代を節約することができたとのことだ。

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テストでは,フロア見取り図にある●の部分すべてに電力センサーが備え付けられた
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電化製品ごとに電力消費をモニタリング可能。ゲーム機の使用時間も一目でわかる

Intel Labsが開発中のエネルギーマネジメントダッシュボード端末
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 とはいえ,一般家庭ですべての電化製品にセンサーを取り付けるというのは,非現実的だ。そこでIntel Labsでは,家庭用のコンセントにワイヤレスセンサーを取り付けるだけで,各電化製品の持つ電圧パターンを認識して消費電力値を検出,そのデータをPCへ送ることで,簡単に消費電力管理ができる技術を開発中なのだという。また,この技術を使った管理用ダッシュボード端末も披露し,家庭内の電力消費量や,デバイスごとに1か月当たりどの程度の電気代がかかっているかをチェックできるようになるとしていた。

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Intel Labsが研究を進めている無線エネルギーセンサー。各電化製品ごとに特徴のある電圧パターンを読み取り,それぞれの電力消費を計測する
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無線エネルギーセンサーのデモ(左)。右はこのデモに使われたエネルギーセンサーだ

 Rattner氏は,「IT技術を使って,全世界規模で個人個人が消費電力削減に向けた努力ができれば,エネルギー消費量や温室効果ガス排出量を大幅に削ることができる」と主張する。PCユーザーの中でも,消費電力の高いデバイスを使うことが多いゲーマーにとって,耳の痛い話であるとともに,考えさせられるテーマであることは間違いないだろう。
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