想像以上に“しっかり遊べる”カジュアルMMORPG，「キノスワールド〜パジャマの騎士〜」のプレイレポートを掲載

　6月30日〜7月6日の約1週間にわたってプレミアサービス（クローズドβテストに相当）が実施された，MMORPG「キノスワールド〜パジャマの騎士〜」（以下，キノスワールド）。日本展開を意識したキャラクターデザインの全面リニューアルや，韓国版にはないオープニングムービーの追加，メインシナリオの修正など，大幅なカルチャライズが行われている本作だが，具体的にはどのようなゲームなのだろうか。実際にプレイしてそのあたりを確認してみたので，プレミアサービスに参加できなかった人は，ぜひ本稿に目をとおしてほしい。

冷蔵庫から召喚される，夢の世界「キノスワールド」

　パジャマの騎士というサブタイトルを見て，「なんでパジャマなの？」と疑問に思った読者は多いのではないだろうか。これは冒頭で述べた，日本独自のメインシナリオと関係している。ごく普通な日常を送っていた主人公（つまりプレイヤー）は，不思議な黄色い鳥を助けたことをきっかけに，モンスターによって汚染されてしまった夢の世界「キノスワールド」に召喚される。そして夢の世界と，本作のヒロインNPCである「レイチェル」を救うべく，冒険を繰り広げていくのだ。どこかで聞いたことがあるようなシナリオ設定だが，夢の世界が舞台ゆえに，キャラクターの初期装備はパジャマと枕＝パジャマの騎士というわけだ。
　キャラクター作成時に選ぶのは男女の性別，パジャマの色，髪型，目のタイプなど見た目に関するものだけで，この時点ではまだステータス値や職業のことは意識しなくてもよい。プレスカンファレンス（関連記事は「こちら」）で公開された韓国版LUDIX ONLINEのキャラクターの，少々のっぺりとした顔つきや，下着一枚という姿に比べると，確かにキャラデザインは日本人好みの可愛いものになっているように思える。

操作はいたってシンプル

フィールド上の仕掛けで増すアクション性

レイチェルはチュートリアルから登場し，クエストの進行に合わせてさまざまな情報を提供してくれる。いわばプレイヤーにとっての水先案内人だ

　キャラクター作成後には，基本操作を学ぶためのチュートリアルをクエスト形式でプレイすることになる。とりあえず，上下左右の移動はカーソルキー，攻撃はXキー，ジャンプはCキー，ドロップアイテムの取得はスペースキー，フィールド上のブロックを持ち上げるにはカーソル＋Xキーと，これだけ覚えておけば操作に困ることはまずない。
　このほかにも，コンボを使うにはZキー，2段分の高さを乗り越えるためにはジャンプしつつ↑キーといった，チュートリアルでは教えてくれない操作方法もあるのだが，画面上に操作方法やタイミングが表示されるのでまったく問題はない。
　インタフェースは画面左下にチャットウィンドウとアイテム/スキルのショートカット，左上にHP/MPや取得経験値といったキャラクター基本情報，右上には現在いるフィールドの全体マップが表示される。「メイプルストーリー」や「ラテール」といったカジュアル系オンラインゲームのプレイ経験があればもちろんだが，キノスワールドが初めてのオンラインゲームという人でも非常に分かりやすい，オーソドックスな画面構成だ。

最初から手にしている「羊枕」を振り回して，ヒヨコ型モンスター「ペイモン」を倒す。モンスターに触れるとダメージとノックバックをくらう代わりに，数秒間は無敵状態になる

チュートリアルを兼ねた初心者用のクエストをこなせば，経験値とゲーム内通貨「ルス」，そしてちょっと性能が良い「硬い羊枕」か「硬い豚枕」のどちらかがもらえる

敵を閉じこめてゆっくりとHP回復。序盤の敵はそれほど高度な攻撃をしてこないので，町に戻らなくても安全に休憩がとれる

　キノスワールドの世界は，トゥーンレンダリングが特徴的な3Dグラフィックスで描かれており，町中では一般的な3D MMORPGのように奥行きが表現されている。一方フィールドでは，横スクロール型の2Dアクションゲームのようなモードに切り替わり，ジャンプして梯子に飛びついたり，モンスターの攻撃をたくみに避けつつ反撃したりと，アクション性の高いプレイが楽しめる。
　それだけならば，既存のカジュアルゲームと大差はないのだが，キノスワールドではフィールド上に出現するさまざまなオブジェクトが，単調になりがちなプレイにメリハリを付けている。
　例えば木箱，ブロックなどは，壊して中のアイテムを取り出すこともできるが，持ち上げて重ねれば，通常のジャンプでは届かない場所にあるアイテムを取るための足場になる。あるいは，モンスターを倒さず二つのブロックの間に閉じ込めておき，安全地帯を作ってゆっくりHPを回復といった使い方も可能なのだ。一生懸命ブロックを運んでいる時に限って，そうとは知らない他プレイヤーに壊されてしまうことも多いのだが……。
　また，ボタンを押すと反応する「ゲート」や「架橋」などもいくつか設置されていた。現時点ではあまり使い道がないのだが，今後のアップデートを通じて，こういったオブジェクトにも何らかの意味が与えられるのかもしれない。

レバーをXキーで操作すると，壁が開閉する。誰かがあけてくれない限り，マップの上からぐるっと回り込まねばならない

攻撃を加えると，数秒後に爆発する爆弾も存在する。モンスターを大量に集めてブロックで封鎖し，爆弾を放り込めば美味しくいただけそうだ

洋式トイレがら次々出てくるモンスター，ウンチョ。周囲に仲間がいる状態で攻撃すると，合体して巨大なウンチョになってしまう

　このほかにも，水ボトルやトイレといったオブジェクトがあり，これらは「水モン」「ウンチョ」といった一部のモンスターが出現するジェネレータになっている。例えば水モンの場合，大きな水タンクから一定間隔で飛び散る水滴が地面に落ちて，モンスターに変化する。水タンクは壊してしまっても構わないが，ブロックや木箱同様に持ち上げることもでき，マップ内の人の少ない場所に持ち込めば，まったりと経験値稼ぎができそうだ。クエストの中にはこのシステムを上手に利用することで，あっという間にクリアできるものもあるので，うまく活用したいところ。ひたすらモンスターを倒すだけではなく，プレイヤーのアイデア次第で多様なプレイが楽しめる仕掛けが，なかなかユニークである。

序盤はチャレンジ精神で育成し，適性を見極める

　キャラクターの育成はモンスターを倒したり，クエストをクリアしたりして経験値を貯め，それが一定値に達すればレベルアップするというスタイルだ。レベルアップ時には能力値ポイントを入手し，これをHP，MP，STR，DEX，INT，POT（潜在力）の6つに割り振って，好みのキャラクターに育てていく。レベル10になると最初の転職が可能になり，ファイター/シーフ/アーチャー/メイジの4つからクラスを選べる。
　なお本作では，装備条件さえ満たしていればどんな武器でも装備できる。防御力も攻撃力もそこそこ強い盾＆片手剣，見た目がスマートで遠距離攻撃も便利なライフル，有効範囲は広いが攻撃力はちょっと劣るワンドなど，武器の種類は豊富だ。モンスターからのドロップ率もそれなりに良いので，拾った武器を次々と試しつつ，そこから1次転職の職業を決めてステータスを伸ばしていくのがいいだろう。

剣，ワンド，弓，ライフル，槍，片手鈍器，両手剣など武器の種類は豊富だ。片手剣のカテゴリだが，ホウキの形をした可愛いアイテムもある

レベル7ぐらいまでは，ステータスをまったく割り振らなくてもモンスターは余裕で倒せる。転職を視野に入れつつ，キャラ育成の方向性を固めていこう

　約1週間のプレミアサービスを体験した限りでは，ゲームに大きな不具合はなく，バックストーリーとクエストの紐付けなども自然で好感触だった。適度なアクション性とフィールドオブジェクトを用いたパズル要素も，プレイを邪魔することなくむしろ楽しみ方を増やす良い方向に働いている。ただ，レベル6あたりからレベルアップの速度がグンと落ちていき，相当まじめにプレイしないと1週間での転職は難しい。序盤のレベリングはもう少しテンポがよかったら嬉しいな……と感じた。
　横スクロール型のアクションゲームと聞くと，低年齢層向けのタイトルと思い込んでしまいがちだが，キノスワールドは予想以上に完成度が高く，大人がプレイしても十分楽しめる内容となっている。興味が湧いたという人は，7月11日から始まるオープンβテストにぜひとも参加してみてほしい。