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[GDC2008#29]Electronic Artsが特別イベント「ウィル・ライトとの夕べ」を開催
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印刷2008/02/22 23:29

イベント

[GDC2008#29]Electronic Artsが特別イベント「ウィル・ライトとの夕べ」を開催

画像集#001のサムネイル/[GDC2008#29]Electronic Artsが特別イベント「ウィル・ライトとの夕べ」を開催
 GDC08が巨大化するにつれ,会場外でのイベントも急激に増えつつある。とくに顕著なのがElectronic Artsで,今年(2008年)は期間中,毎日のように何らかのオフイベントを開催。4日目の夜には,「An Evening with Will Wright」(ウィル・ライトとの夕べ)と題された,エクスクルーシブなトークライブ&パーティが開催された。

 このイベントの主役は,もちろん「The Sims」シリーズや「シムシティ」シリーズを生み出した人気のカリスマ開発者,Will Wright(ウィル・ライト)氏である。Wright氏自身は毎年のようにGDCで講演を行っているものの,年内発売予定の期待作「Spore」は,かなり早い段階からゲームの紹介をし過ぎていたせいか,かなり自粛気味のご様子。GDCでのセッションは部下に任せており,今回Wright氏が公の場に顔を見せるのは,このイベントだけとなった。
 もっとも,トークライブでもSporeのゲームシステムに関することは語られずじまい。その代わりに,Wright氏の考えるブランド戦略が,いつものWright節で面白おかしく解説されたので紹介しておこう。

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 まず,Wright氏は「The Simsは,当初は実験でしかなく,30万本のセールスがノルマだった」と内情を明かす。ところが,発売されるや予想を裏切って(?)前代未聞のロングセラーとなったことで,拡張パックや2作目のシリーズ,各種ウェブサービスなども含めて,総計24作の大ブランドに発展したのだ。これを受け,Wright氏らEA Maxisチームは,Sporeを当初からブランドとして捉えており,発売後にはさまざまな形で追加ソフトやサービスを展開していく予定であるのだという。

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 「しかし……」と,Wright氏。Sporeをブランド化するにあたり,いったいブランドとはどのように作っていくべきかについては,大いに考えさせるものがあったのだとか。The Simsシリーズとの対比で,日本怪獣映画の傑作「ゴジラ」が計28本ものシリーズであることを説明したWright氏は,「面白いことに,1954年に人類の敵として登場したゴジラが,回を重ねるごとに大衆化していき,目が愛らしく表現されたり,息子のミニラを育てたりというような子供向けの擬人化が60年代なかばから70年代にかけて進んだ。その反動として,80年代に新しいシリーズが誕生したときには,再び獰猛な顔つきになっていたのだ」と続ける。
 ゴジラは,Wright氏の記憶に残る最も古いイメージであるそうだ。4歳のときにテレビで放映されていた初代ゴジラを1人で見てしまい,当時の報道ニュースはすべて白黒だったため,本当に起こっている事件だと錯覚。小学校に入ってゴジラは作り話だったということに気付くまで,大きなトラウマとして残っていたのだと面白おかしく思い出を語る。

(C)東宝
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 ところがWright氏は,ゲームやテレビ番組ではまったく逆のパターンになっていることを指摘。シムシティは回を重ねるごとにゲームシステムが複雑化し,大ヒットした「シムシティ4」はノービスユーザーの受けは良くなかったらしい。そのこともあって,これまでの流れとはガラリと異なる「シムシティ ソサエティーズ」が発売されたという経緯があるのだ。アメリカのテレビ番組も,シーズンを重ねるごとに展開が複雑に,さらには大人向けになることで,視聴者の減少につながっている要因になっていることを示唆した。
 Wright氏のトークらしく,このあたりから話は連鎖的に脱線していく。テレビ番組「LOST」で描かれている無人島が,古典小説「トレジャーアイランド」の島の形状に極似していることや,21作ものシリーズがある映画「007」が,常に型にはまったストーリーでしかないこと,さらには,オサマ・ビンラディンが007の悪役のように扱われているといった話題から, Wright氏が講演のときには無理やり持ち出してくるRussian Spacecraft Moment(ロシア製宇宙船の小話)という唐突なコーナーまで,参加者を抱腹絶倒させるような会話を,スライドを目まぐるしく変えながら続けていった。

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 結局,「Sporeはブランド化/シリーズ化する」ということ以外は,さして目新しい情報もなかったわけだが,Wright節がこのような形で聞けただけでも,パーティのゲストはハッピーだったのかもしれない。もはやGDC名物になっているWill Wright氏の講演は,来年にはSporeのポストモーテム(発売後の自己評価)として行われることに期待したい。
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    Spore(Macintosh)

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