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ATI Radeon HD 3600
  • AMD
  • 発表日:2008/01/23
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DirectX 10.1世代の新ミドルレンジGPU「ATI Radeon HD 3650」レビュー掲載
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印刷2008/01/23 14:02

レビュー

1万円台で購入できるDX10.1対応GPUは,2008年1月時点でどんな価値を持つのか

ATI Radeon HD 3650リファレンスカード

Text by Jo_Kubota

»  AMDから発表された新しいエントリーミドルレンジGPU「ATI Radeon HD 3650」。「ATI Radeon HD 2600」シリーズを置き換える存在として,次世代DirectXであるDirectX 10.1をサポートするのが特徴だが,2008年1月時点の現実的な選択肢としては,どのような価値があるだろうか? Jo_Kubota氏が分析する。


 別記事でお伝えしているように,AMDはATI Radeon HD 3000世代のエントリーミドルレンジGPU「ATI Radeon HD 3650」およびローエンドGPU「ATI Radeon HD 3470/3450」を発表した。コストパフォーマンスを武器に一定の人気を集めた,「ATI Radeon HD 2600/2400」シリーズを置き換える製品だ。
 今回4Gamerでは,AMDの日本法人である日本AMDから,ATI Radeon HD 3650(以下,HD 3650)およびATI Radeon HD 3450(以下,HD 3450)のリファレンスカードを入手したので,さっそく,そのパフォーマンスをチェックしてみたいと思う。

HD 3650(左)とHD 3450(右)の両リファレンスカード
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上位モデルとは異なり,クロックの大幅な向上はなし

既存のエントリーミドルレンジGPUと比較


HD 3650 GPU。ダイサイズは実測で12×9mmだった。なお,HD 3450 GPUは同6×9mm
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 製品の詳細なスペックは別記事に詳しいが,3製品に共通する主なポイントとしては,

  • 55nmプロセスルールを採用
  • DirectX 10.1(Direct3D 10.1,Shader Model 4.1)サポート
  • PCI Express 2.0対応
  • 省電力機能「ATI PowerPlay」対応
  • 基本的な3Dコアアーキテクチャ自体は,置き換え対象となるATI Radeon HD 2000シリーズから変更なし

といったところが挙げられる。

HD 3650リファレンスカードの裏面とGPUクーラーを取り外したところ。カード長は168mmで,GDDR3メモリ搭載版ATI Radeon HD 2600 XTのリファレンスデザインと同じ。CrossFire用コネクタが用意される
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同じく168mm長だが,Low Profile仕様なので小さく見えるHD 3450カード。カードサイズの割には大きめのGPUクーラーを搭載しているのだが,メモリチップには接触しておらず,あくまでGPUだけを冷却する仕様になっていた
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 さて,入手したリファレンスカード×2のスペックについて,TechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.1.5)で確認したところ,HD 3650リファレンスカードの動作クロックはコア722MHz,メモリ1.584GHz相当(実クロック792MHz)。リファレンスクロックは同725MHz,1.6GHz相当なので,ほぼリファレンスどおりのクロックと見ていいだろう。一方のHD 3450リファレンスカードは,同594MHz,990MHz相当(実クロック495MHz)なので,こちらもリファレンスどおりという理解をしておきたい。

GPU-Z実行結果。HD 3450では一部情報を取得できていない
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HD 3650リファレンスカードが搭載していたQimonda製の512Mbit GDDR3メモリチップ「HYB18H512321BF-12」。実動作クロック800MHzをサポートする1.2ns品だ。ちなみにHD3450リファレンスカードは「HYB18T512161B2F-20」だった
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 比較対象として用意したのは,AMDとNVIDIAのエントリーミドルレンジGPU 4製品(表1)。2007年11月15日に発表された上位製品「ATI Radeon HD 3870」では,置き換え対象となる「ATI Radeon HD 2900 XT」に対して大幅に動作クロックが引き上げられていたが,HD 3650は,置き換える対象となる「ATI Radeon HD 2600 XT」(以下,HD 2600 XT)や「ATI Radeon HD 2600 Pro」(以下,HD 2600 Pro)と比べて,特別にクロックが引き上げられたりはしていない。むしろHD 2600 XTとの比較ではコアクロックが下がっており,このあたりがパフォーマンスにどう影響するのか,そもそもパフォーマンスは従来製品を上回れるのかといったあたりがポイントになるだろう。

※1 マルチクロックドメイン設計のため,シェーダユニットは710MHzで動作する
※2 固定シェーダアーキテクチャのためピクセルシェーダユニット数を示した。頂点シェーダ数は5基
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 また,直接のライバルと比べるべく,NVIDIAの「GeForce 8600 GT」(以下,8600 GT)と「GeForce 7600 GT」(以下,7600 GT)も用意。ただし8600 GTに関しては,スケジュールの都合で「GeForce 8600 GTS」搭載カードの動作クロック変更で“8600 GT相当”となっているので,この点はあらかじめお断りしておきたい。

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EAH2600XT/HTDP/256M
オリジナルクーラー採用の2600XT
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) [email protected]
実勢価格:1万8000円前後(2008年1月23日現在)
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EAH2600PRO/HTDP/256M
同じくASUSTeK独自クーラー採用
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) [email protected]
実勢価格:1万6000円前後(2008年1月23日現在)
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WinFast PX8600GTS TDH Extreme
シェーダOCツール付き
メーカー:Leadtek Research
問い合わせ先:アスク(販売代理店) TEL:03-5215-5650
実勢価格:2万9000円前後(2008年1月23日現在)

Maximus Formula Special Edition
ゲーマー向けのIntel X38搭載マザーボード
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) [email protected]
実勢価格:4万1000円前後(2008年1月23日現在)
画像集#015のサムネイル/DirectX 10.1世代の新ミドルレンジGPU「ATI Radeon HD 3650」レビュー掲載
 このほかのテスト環境は表2のとおりで,PCI Express 2.0のポテンシャルを見るべく,今回はIntel X38 Expressチップセット搭載マザーボードをベースとする環境でテストを行うことにした。そのため,HD 3650/3450のスコアは若干有利な傾向になるはずだ(理由は「こちら」)。

 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション5.1準拠。ただし,レギュレーション5.1における「Crysis」と「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下ロスト プラネット)のグラフィックス設定は非常に負荷が高く,エントリーミドルレンジGPUには“荷が重い”ため,Crysisは「システム設定−詳細設定」の「全ての設定を変更」から「中」を選択し,ロスト プラネットでは「Video/Audio Settings−ビデオコンフィグ」から,設定できる項目をすべて「低」に指定した。結果,2タイトルではほかの記事とデータの互換性が失われているが,今回はあえて「描画設定を落としたときにどれくらい遊べるのか」に注目したい。
 また,エントリーミドルレンジGPUという立ち位置を考慮して,解像度は1024×768ドットおよび1280×1024ドットの二つとし,さらに「高負荷設定」を省略。「標準設定」のみのテストとする。

画像集#018のサムネイル/DirectX 10.1世代の新ミドルレンジGPU「ATI Radeon HD 3650」レビュー掲載

 また,より描画負荷の低いタイトルで,どれだけのパフォーマンスが見込めるかをチェックすべく,今回は特別に「真・三國無双 Online ベンチマーク」の「標準計測」と「高グラフィック計測」,「FINAL FANTASY XI」のベンチマークソフト「Vana'diel Bench 3」(Ver1.00)の「Low」と「High」,そして2008年1月21日に公開されたばかりの「ガンダムタクティクスオンライン ベンチマーク」で「3D」のデフォルト値におけるベンチマークテストも試みることにした。


負荷の高い局面で8600 GTを上回るHD 3650

HD 2600 XTとはほぼ互角の結果に


 まずは定番3Dベンチマークソフト「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)の総合スコアから(グラフ1)。HD 3650のポテンシャルはコアクロックが引き下げられた分だけHD 2600 XTより低くなっている印象だ。基本的なアーキテクチャが同じである以上,予想できた結果といえる。
 同時に,HD 3450に関しても,ある意味予想どおりの結果となった。1024×768ドットで7600 GTに倍近いスコア差をつけられているHD 3450を,3Dゲーム用と見なすのはいささか苦しい。同GPUは,フルHDのビデオ再生機能を提供してくれる存在と理解するのが正解だろう。せっかく入手したHD 3450ではあるが,この結果を根拠に,実ゲームのテスト対象からは外すことにして,以後はHD 3650を軸に話を進めていきたい。

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 グラフ2,3は,3DMark06に用意された「Feature Tests」のピクセルシェーダ(Pixel Shader)および頂点シェーダ(Vertex Shader)テスト結果だ。メモリクロックが“効く”頂点シェーダテストの「Simple」でHD 2600 XTのスコアを上回るHD 3650が,コアクロックとメモリクロックが複合的に影響するピクセルシェーダテストで一歩譲る結果となっているのは,やはりコアクロック引き下げの影響と見るべきだろう。

画像集#020のサムネイル/DirectX 10.1世代の新ミドルレンジGPU「ATI Radeon HD 3650」レビュー掲載
画像集#021のサムネイル/DirectX 10.1世代の新ミドルレンジGPU「ATI Radeon HD 3650」レビュー掲載

 3DMarkにおけるバランスの違いが実際のゲームにどう影響するのか,まずチェックするのはFPS「Crysis」のテスト結果だ(グラフ4)。前述のとおり「中」設定となったことで,レギュレーション5.1よりも描画負荷は低くなっているとはいえ,それでも十分に“重”く,さらにはGeForceへの最適化も行われているCrysis。そんな同タイトルにおいてHD 3650(そして,HD 2600 XT)のスコアが8600 GTを上回っているのは大きな発見といえそうだ。実際の画面の動きを見ていても,8600 GTではやや苦しい局面が出てくるのに対し,HD 3650のほうは幾分余裕があり,遊べる印象を受ける。
 なお,試しにレギュレーション5.1準拠の設定で1024×768ドット設定時のスコアを取ってみたところ,HD 3650のスコアは16.7fps。まるでゲームにならない。

画像集#022のサムネイル/DirectX 10.1世代の新ミドルレンジGPU「ATI Radeon HD 3650」レビュー掲載

 続いては,最新世代の3Dゲームとしては比較的負荷が低めのFPS,「Unreal Tournament 3」だが,HD 3650とHD 2600 XT,8600 GTのスコアは互角(グラフ5)。1024×768ドットなら60fps近いスコアが出ており,レギュレーション5.1のグラフィックス設定でもまずまず遊べそうだ。

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 グラフ6は,ATI Radeonに最適化されている「Half-Life 2: Episode Two」の結果だ。1024×768ドットではスコアが飽和気味であるものの,1280×1024ドットになって負荷が高まると,最適化のメリットが出てきている。また,HD 3650とHD 2600 XTの違いは確かにあるものの,GPUコアクロック差ほどはスコアの差が出ていない。

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 ロスト プラネットのベンチマークモード「PERFORMANCE TEST」から,よりゲームに近い状態のスコアを取得する「Snow」の結果をまとめたのがグラフ7だ。同タイトルは雪や爆発といったエフェクトの描画量が多く,一般的なゲームタイトルと比べてフィルレートを要求しがち。レギュレーション5.1の状態からグラフィックス負荷を大きく引き下げた「低」設定でもその傾向は変わっていないようで,メモリクロックが1GHz相当と低いHD 2600 Proのスコアが大きく落ち込んでいる。
 一方,上位陣のスコアはHalf-Life 2: Episode Twoと似た傾向。ちなみに,レギュレーション5.1準拠に設定したときのHD 3650が1024×768ドット時に出したスコアは22fpsで,やはり高めの描画設定だと厳しい。

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 RTSタイトルの「Comapny of Heroes」は,ATI Radeon有利のスコアが出やすく,かつアーキテクチャが同じである場合はコアクロックやメモリクロックの高低が素直にスコアへ顕れやすい。それを踏まえてグラフ8を見てみると,HD 2600 XTがトップ。続いてHD 3650で,Crysisのスコアに似た傾向を示している。

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 レースシム「RACE 07: Official WTCC Game」では,これまでと異なったスコアが出ている(グラフ9)。というか,HD 2600 XTのスコアが少々(かなり?)おかしい。最近のATI Catalystで,RACE 07のスコアがおかしくなったり,スコアを正常に取得できなくなったりする不具合が出ているが,HD 2600 XTのスコアで妥当性を欠くのはこのあたりが原因かもしれない。より新しいATI CatalystドライバスイートやRACE 07の新しいパッチが登場し次第,再度検証する必要がありそうだ。

画像集#027のサムネイル/DirectX 10.1世代の新ミドルレンジGPU「ATI Radeon HD 3650」レビュー掲載

 レギュレーション5.1採用タイトルでの検証が終わったところで,ここからは特別編。まずグラフ10は「真・三國無双 Online」のベンチマークテスト結果である。「標準計測」は1024×768ドット,「高グラフィック計測」は1280×1024ドットでの計測だ。
 結果は一目瞭然,これまでとは傾向が大きく変わり,8600 GTがトップを取った。注目したいのはHD 3650のスコアがまったく振るわないことだが,ここまでのテスト結果から判断にするに,これはドライバのチューニング不足だろう。NVIDIAと比較したときの,ドライバサポートの弱さが出たといえる。

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 続いてはGeForceに最適化されていることで知られるFINAL FANTASY XIのVana'diel Bench 3だが,ここでもGeForceが圧倒(グラフ11)。7600 GTがHD 3650を上回るという結果が出てしまった。

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 パフォーマンス検証の最後はガンダムタクティクスオンラインの結果である(グラフ12)。スコアは若干バラつくので,ここでは3回計測して平均値を求めている(※真・三國無双 OnlineとVana'diel Bench 3はスケジュールの都合もあって“一発取り”だ)。本ベンチマークテストは基本的に解像度1024×768ドットのみサポートしており,描画はウインドウモードで行われる。
 ここでの結果も,先の二つと同様。8600 GTがHD 3650とHD 2600 XTをリードする格好となった。

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消費電力は従来から劇的な変化なし

冷却はカードベンダーのオリジナルクーラーに期待


 恒例,ワットチェッカーを用いた消費電力計測も行ってみよう。Windowsが起動してから放置し,30分経過した時点を「アイドル時」,「3DMark06」を30分間リピート実行し,その間で最も消費電力値の高かった時点を「高負荷時」とし,各時点のスコアをグラフィックスカードごとに取得。参考のため,HD 3450のスコアも計測した。
 その結果をまとめたのがグラフ13だ。HD 3650の消費電力はアイドル時,高負荷時とも意外に高いという印象を受けるかもしれない。ATI Radeon HD 3870/3850とATI Radeon HD 2900 XTの比較(関連記事)では大きな差がついていたのを記憶していた人ほど違和感を覚えるかもしれないが,そもそもあのときは55nmプロセスと90nmプロセスのGPUによる比較。今回は55nm(HD 3650)対65nm(HD 2600 XT)である。ATI PowerPlayの効果もほとんど見えないのはさすがに残念だが,目くじらを立てるほどの値でもないのではなかろうか。

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 搭載するGPUクーラーが異なるため,あくまでも参考値となるが,それを承知でグラフ13の時点におけるGPUコア温度を取得した結果がグラフ14だ。ATI Radeonは「ATI Catalyst Control Center」から,GeForceは「nTune」からGPUコア温度を計測したが,HD 3650,HD 3450とも,リファレンスカード標準のクーラーが持つ冷却能力は必要最小限といった印象を受ける。また,ASUSTeK Computer製のHD 2600 XT/Proカードが搭載する静音タイプの2スロットクーラーと比較すると,さすがに1スロット用ということもあり,それなりの動作音が感じられる。「やかましい」ほどではないものの,静音仕様のGPUクーラーの後に聞くと,やはり騒音は気になる。人によっては,GPUクーラーを交換したり,静音クーラー搭載モデルを待ったりする必要がありそうだ。

画像集#032のサムネイル/DirectX 10.1世代の新ミドルレンジGPU「ATI Radeon HD 3650」レビュー掲載


“洋ゲー”デビューに最適?

いま一つ押しは弱いが,1万円台半ばで登場すれば……


 HD 3650についてざっくりとまとめるなら,「基本的にはHD 2600 XTのマイナーチェンジ版で,シェーダ負荷の高い3Dゲームタイトルではかなりコストパフォーマンスが高い。しかし,HD 2600 XTには一歩及ばないうえ,ドライバサポートの弱さもあって,国内のカジュアルタイトルを前にすると苦戦しがち」といったところ。エントリーミドルレンジGPUは上位製品からいろいろ削られているので,どうしても得手不得手はあるのだが,HD 3650に関していうと,このクラスのGPUの中では比較的(AMDによるドライバサポートが期待できる)“洋ゲー”向きといえるだろう。

画像集#016のサムネイル/DirectX 10.1世代の新ミドルレンジGPU「ATI Radeon HD 3650」レビュー掲載
 ただ,積極的に選ぶに足る何かを持っているかというと,そういった部分で押しの弱さは否めない。HD 3650搭載グラフィックスカードのAMDによる想定売価は99ドル。Crysisやロスト プラネットをプレイする前提なら,それこそ2万円台前半から搭載カードを購入できるATI Radeon HD 3850や,コストパフォーマンスでは群を抜くGeForce 8800 GTといった,ミドルハイクラスGPUのほうが明らかにメリットがある。同時に,DirectX 10.1対応といっても,いつものパターンからすると,DirectX 10.1対応タイトルが登場する頃には,HD 3650のパフォーマンスだと陳腐化しているはずで,次世代DirectXのサポートを根拠にするというのも,少々難がある。

 その意味で,そろそろ製品寿命や故障などで買い替え時となっている「GeForce 6600」シリーズや7600 GT,「ATI Radeon X800」といったDirectX 9世代初〜中期のカードからの買い換え,あるいはグラフィックス機能統合型チップセット搭載マザーボードからのステップアップとして,とりあえず低予算で乗り換えるといったニーズに対しては,店頭価格次第で,相応に意味のある選択肢になり得る存在といえる。
 HD 2600 XT搭載カードと変わらない,1万円台半ばの価格で登場するなら,という留保は必要だが,「3Dパフォーマンスが底上げされるついでに,ビデオ再生支援機能もオマケで付いてくるカード」として,HD 3650搭載製品には価値があるはずだ。
  • 関連タイトル:

    ATI Radeon HD 3600

  • 関連タイトル:

    ATI Radeon HD 3400

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