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nForce 700
  • NVIDIA
  • 発表日:2007/12/17
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nForce 790i Ultra SLIチップセットが対応するEPP 2.0&ESAの価値は?
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印刷2008/04/11 12:00

テストレポート

nForce 790i Ultra SLIチップセットが対応するEPP 2.0&ESAの価値は?

MB-N790-IUL9
メーカー:PINE Technology(XFX)
問い合わせ先:シネックス(販売代理店) [email protected]
実勢価格:5万円前後(2008年4月11日現在)
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 「GeForce 9800 GX2」「GeForce 9800 GTX」のレビュー記事で用いたPINE TechnologyのXFXブランド(以下,XFX)製マザーボード「MB-N790-IUL9」は,「nForce 790i Ultra SLI」チップセットを搭載した,NVIDIAリファレンスデザインの製品だ。nForce 790i Ultra SLIは,2008年4月時点におけるNVIDIAのフラグシップチップセットとなるわけだが,先のレビューで示したNVIDIA SLI(以下,SLI)の広範なサポートという点以外に,自作派PCゲーマーを魅了する何かがあるのだろうか。今回は,この点をチェックしてみたいと思う。


2000MHz相当での動作が可能なEPP 2.0と

PC全体の統合的な管理機構を提供するESAに対応


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 「nForce 790i Ultra SLIとは,いかなるチップセットか?」については,2008年3月18日に掲載した筆者の記事「NVIDIA,Quad&3-way SLI対応のフラグシップチップセット『nForce 790i』」を参照してほしい。最大のポイントとしては,基本的な仕様において「nForce 780i SLI」を踏襲しつつ,メインメモリとしてDDR3 SDRAMをサポートしたことが挙げられよう。
 またnForce 790i Ultra SLIではそれに合わせて,NVIDIAがCorsair Memoryと共同で策定したメモリモジュール拡張規格「EPP」(Enhanced Performance Profiles)のDDR3メモリ対応版「EPP 2.0」にをサポート。これにより,EPP 2.0対応モジュールであれば,メモリクロック2000MHz相当(実クロック1GHz)での動作を実現する。EPP 2.0を利用できるのは(少なくともいまのところ)nForce 790i Ultra SLIのみなので,メインメモリへのデータ展開が多いゲームタイトルで違いが出れば,“nForce 790i Ultra SLIならではの魅力”になるはずだ。

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 もう一つの特徴は,「ESA」(Enthusiast System Architecture)のサポートである。nForce 780i SLIで初めて導入されたESAの概要については2007年11月5日の記事が詳しいが,簡単にまとめると,PCケースや電源ユニット,さらに水冷ユニットなどシステム全体のデバイスを統一的に管理/制御する,NVIDIA提唱の規格。対応デバイスを用いて,対応マザーボードとUSB接続すると,NVIDIAコントロールパネルからそれらを制御できるようになる。NVIDIAいわく「統合的に管理することで,より安定したより高性能なシステムの構築が可能」とのことだ。


nForce 780i SLIとの比較で

DDR3&EPP 2.0のメリットを探る


 さて,まずはEPP 2.0から見ていくことにするが,仕組み自体はEPPと同じで,メモリモジュールのSPD(Serial Presence Detect)――正確にはSPD情報の書き込まれたEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)だが,SPDという理解でかまわない――に,通常動作用のタイミングパラメータなどとセットで高速動作用の拡張情報が格納されており,マザーボードのBIOSから有効にすることで利用できる。

MB-N790-IUL9のBIOSメニューより。「EPP 2.0 Memory」という,そのものズバリの項目が用意されている
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 nForce 790i Ultra SLIリファレンスデザインの,「Desgined by NVIDIA」マザーボードとなるMB-N790-IUL9の場合,BIOSメニューの「FSB&Memory Config」に「EPP 2.0 Memory」という項目が用意されており,対応モジュールを装着していれば,設定を変更することででEPP 2.0を利用可能だ。なお,MB-N790-IUL9だと設定項目には「CPUOC 0%〜5%」と,CPUのオーバークロックも並行して行うための選択肢が用意されているが,BIOSメニューの注意書きによれば「Auto」が最適なEPP 2.0設定になるそうなので,本稿では「Auto」でテストを行うことにした。

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BL2KIT12864BE2009
メーカー&問い合わせ先:Lexar Media
メーカー直販価格:649.99ドル(2008年4月11日現在)
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Striker II Formula
3-way/Quad SLI対応のDDR2モデル
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) [email protected]
実勢価格:4万3000円前後(2008年4月11日現在)
 使用したメモリモジュールは(Micron Technology傘下である)Lexar MediaのCrucial Ballistixブランド製品「BL2KIT12864BE2009」。1GBモジュール2枚セットのいわゆる“2GB Kit”だ。基本的には1333MHz相当で動作するPC3-10600 DDR3 SDRAMモジュールだが,EPP 2.0をサポートしており,EPP 2.0有効時には2000MHz相当での動作が可能になる。
 比較対象としては,PC2-6400 DDR2 SDRAM環境としてnForce 780i SLIマザーボードから,ASUSTeK Computer製「Striker II Formula」を用意。一般的なDDR2-800環境と,DDR3-1333あるいはDDR3-2000環境を比較しようというわけだ。

 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション5.2となるが,ForceWare Release 170世代ではどうも4Gamerが用意したリプレイファイルと相性が悪いようで,「Half-Life 2: Episode Two」ではリプレイファイルが強制終了してしまう不具合が発生。そのため,同タイトルでのテストは省略した。そのほかテスト環境はのとおり。

※メモリ性能テストにはWindows XP,ESAの検証には32bit版Windows Vistaを用いた
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DDR3メモリの効果は確かにあるが

EPP 2.0はレイテンシの高さが致命的か


 グラフ1,2は,「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)の実行結果だ。
 ……ほとんど誤差のような違いしか生じていない。よく見ると,DDR3-1333(PC3-10600)はDDR2-800(PC2-6400)に対して若干のスコア向上を確認できるものの,DDR3-2000動作時はDDR3-1333より低くなり,DDR2-800の後塵を拝することすらある。

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 続いてFPSの「Crysis」における「Benchmark_GPU」の実行結果がグラフ3,4となる。CrysisではDDR3-2000がDDR2-800を下回ることはなかったものの,DDR3-1333と比べてフレームレートの向上は確認できない。

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 さらに,TPSの「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下,ロスト プラネット)から,実際のゲームプレイに近い「Snow」の結果をグラフ5,6にまとめたが,ここもCrysisと似た傾向だ。やはり,DDR3-2000とDDR3-1333の間にスコアの違いはほとんどない。付け加えるなら,DDR3-1333とDDR2-800の違いが「標準設定」の1024×768ドットでしか生じていないのもCrysisと同じである。

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 だが,すべてそんな傾向かというとそうでもなく,FPS「Unreal Tournament 3」ではDDR3 SDRAMの効果がかなりはっきりと出ている(グラフ7)。比較的描画負荷の低い局面では,DDR3-1333がDDR2-800に対して意味のある違いを見せている。もっとも,DDR3-2000とDDR3-1333の間に差がないのはCrysisやロスト プラネットと同じだ。

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 最後はRTS「Company of Heroes」の結果だが,Unreal Tournament 3と似たような結果になっているのが分かる(グラフ8,9)。DDR3-1333とDDR2-800の差は最大で6%だ。

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 以上,ゲームテストにおいては「描画負荷の低い局面でDDR3 SDRAMがDDR2 SDRAMよりも有利になりがちだが,スペック的にはDDR3-1333で十分。DDR3-2000=EPP 2.0の効果はまったくない」という結果になったわけだが,なぜDDR3-2000に効果がないのだろうか。

 CPU情報表示ツール「CPU-Z」(Version 1.44)でDDR3-1333とDDR3-2000のメモリレイテンシを確認してみると,DDR3-2000は確かに動作クロックこそ上がっているものの,Cycle Time(tRAS)やBank Cycle Time(tRC)など,レイテンシが大きくなってしまっている。スコアが上がらない原因の一つには,レイテンシの増大を指摘できそうだ。

CPU-Z実行結果。左がDDR3-1333,右がDDR3-2000である
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 さらに,メモリの基本性能を見るため,統合ツール「Sandra XII」(Version 2008.1.12.34)のメモリバス帯域幅テスト「Memory Bandwidth」を行った結果がグラフ10だ。ご覧のとおり,DDR3-1333はDDR2-800に対して順当な帯域幅の向上が見られるのに対し,DDR3-2000ではDDR2-800を下回るスコアしか出せていない。
 同じく統合ツール「EVEREST」(Version 4.2.0.1170)の「Memory」テストで転送レートをチェックした結果をまとめたのがグラフ11で,ここではメモリリード/ライト/コピー時の転送レートを見ているが,やはりDDR3-2000が大きくスコアを落としている。
 先ほど,レイテンシの大きさが原因の一つと指摘したが,レイテンシだけで転送レートが大きく落ちるとは考えにくい。そのため現時点では,メモリモジュール側かチップセット側のいずれか(あるいは両方)がDDR3-2000を満足に動作させられていないと考えられる。

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 念のため,システム全体の消費電力をワットチェッカーで測定し,その結果をまとめたのがグラフ12だ。今回は,OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,3DMark06を30分間連続実行して最も消費電力の高かった時点を「高負荷時」,さらに,メモリモジュールの品質評価ツールである「Memtest 86+」を30分間連続実行し,メモリモジュールに負荷を掛けた状態を「Memtest時」としてそれぞれの消費電力を測定している。
 結果は一目瞭然で,メモリ動作電圧がDDR2の1.8Vから1.5Vへと下がるDDR3-1333では,いずれのテストにおいても低消費電力という結果になった。厳正を期せば,DDR3とDDR2ではマザーボードが異なるため,この違いがすべてメモリモジュールに起因すると断言できるわけではないが,DDR3 SDRAMの導入によって,消費電力の低減を期待できるのはまず間違いない。
 ところで,DDR3-2000だと消費電力が上昇し,DDR2-800と変わらないスコアになっているが,これはEPP 2.0によってメモリ動作電圧が1.9Vに,さらにノースブリッジとなる「SPP」の動作電圧が1.3Vから1.4Vへと引き上げられているためだ。EPP 2.0を有効にすると,動作電圧が上がってしまう点は憶えておいたほうがいいだろう。

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少しずつ登場してきたESA対応製品

しかし現時点ではESA=ファンコントロール機能


 メモリ周りのテストに続いては,ESAである。
 発表された2007年11月時点では,“絵に描いた餅”だったESAだったが,あれから5か月が経過し,少しずつ対応する液冷ユニットやPCケース,電源ユニットなどが登場してきている。一部は日本市場にも投入されているが,今回はNVIDIAから以下の機材を借用した。

●液冷ユニット:
「Thermaltake Technology「BigWater 780e」(型番:CL-W0169)

メーカーWebページ

5インチベイ3段分のポンプ&ラジエータユニットにESA対応の制御基板が取り付けられている液冷ユニット。制御基板には独Silicon Laboratories製のUSBマイクロコントローラ「C8051F320」が取り付けられており,これがファン回転数制御や温度センシングといった機能を提供する
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●PCケース:
Thermaltake Technology「ARMOR+」(型番:VH6001BWS)

メーカーWebページ

10本分の拡張スロット用スペースを用意するフルタワーPCケース。5インチベイ×7,3.5インチシャドウベイ×7を用意し,5インチベイの一つにESA対応の制御モジュールを搭載する。ちなみにこの制御モジュールが搭載するのもC8051F320だ
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●電源ユニット:
Topower Computer Industrial「TOP-1100P10」

メーカーWebサイト
ESA対応のためのコントローラなど内蔵し,電源ケーブルといっしょにUSBケーブルが伸びている。ファン構成はいわゆるストレート仕様で,排気ファンの反対側にも80mm角のファンを搭載
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 いずれの製品も,マザーボードのUSB用ピンヘッダと接続するためのESAケーブル(※USBケーブルだが)が伸びている。PC自作の経験がある人にとってESAの導入は極めて簡単で,ESA対応マザーボードのUSBピンヘッダと接続し,あとはマザーボードに付属するソフトウェア「NVIDIA Control Panel Utility」をインストールするだけだ。ただし,少なくとも現時点で対応OSは32/64bit版Windows Vistaのみで,Windows XPはサポートされていない。

テストの模様。右はUSBピンヘッダ部をアップで撮影したものだ。今回は液冷ユニット,PCケース,電源ユニットをESAで制御するため,USBピンヘッダを占有してしまい,PCケース前面のUSBコネクタは利用できなくなった
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 セットアップが正常に終了すると,NVIDIAコントロールパネルの「Performance」以下の「Device settings」に「PowerSupply」(電源ユニット),「Chassis」(PCケース),「WaterCooler」(水冷ユニット)のアイコンが表示され,クリックするとそれぞれ設定が可能になる。以下,設定できる内容を個別にまとめてみたので参考にしてほしい。

●「WaterCooler」
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 「PWM Pump」(ポンプ)の流量と「PWM Fan」(ラジエータに取り付けられた冷却ファン)の回転数が設定できる。PWMとはパルス幅変調(Pulse Width Modulation)のことで,両者が同方式に対応していることを明示しているわけだ。
 まず,流量は0〜100%の間で1%刻みに設定可能で,それぞれにおける流量は0%で910rpm,100%で2700rpm,初期状態の50%で1860rpmとなった。なお,rpm表記なのは流量を水車で検出して表示しているため。つまり,回転数が高ければ水量が多く,低ければ少なくなる。
 一方ファンの回転数も0〜100%の間で1%きざみに設定可能で,0%で620rpm,100%で2540rpm,初期設定の50%で1100rpmとなった。ちなみに100%に設定するとかなりうるさかった。

●「Chassis」
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 「HDD Fan」と「Rear Fan」の回転数の変更が可能。HDD FanとはPCケース前面のファン,Rear Fanは文字どおり背面のファンを指している。いずれも0〜100%の範囲で回転数を設定できるようになっているが,0%ならファンを停止できるというわけではないようだ。ARMOR+のケースファンで試したところ,0%で450rpm,100%で1500rpmとなった。なお初期状態は50%で,このときの回転数は700rpmとなっていた。

●「PowerSupply」
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 各出力の電圧と電流,それに消費電力を表示。電流と消費電力が表示される点はなかなかユニークといえる。しかし,内蔵するファンの回転数はモニターできず,変更もできなかった。

「Profile Policies」からプロファイルの編集/保存が行える
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 設定可能な項目や範囲(※ファン回転数など)は製品によって異なり,今回紹介している内容が,あくまでテストした製品についてのものであることには注意してほしい。それぞれのステータスはNVIDIA独自の,3Dユーザーインタフェースを採用したモニタリングツール「NVIDIA System Monitor」から確認できるようになっており,上記の回転数はすべてこのNVIDIA System Monitorを利用して取得したものだ。インタフェースのイメージは下に示したとおりである。
 また,設定内容はNVIDIAコントロールパネルからプロファイルとして個別に保存できるようになっており,例えばゲームの起動や終了をそれぞれトリガーにして,ゲームが起動したらすべて最高回転数で“ブン回し”,終わったら自動的に回転数を落とすといった自由度は確保されている。

NVIDIA System Monitor。3Dユーザーインタフェースを採用している。視覚的で分かりやすくはあるものの,使いやすいかといわれるとやや微妙
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SLI&DDR3マザーとしての価値はあるが

EPP 2.0とESAの有用性は現時点において疑問


MB-N790-IUL9の背面I/Oインタフェース
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 というわけで,EPP 2.0とESAについて試してみたわけだが,まずEPP 2.0については現時点においてあまり意義が感じられなかった。CPUの究極的なオーバークロックを試したりしてはいないから,「意味がない」と断じることまではしないが,少なくとも「EPP 2.0で直接的にゲームのパフォーマンスが向上する」という期待はしないほうがいいだろう。
 コストパフォーマンスを考えずに,ゲームにおける最高性能を求めるのであれば,DDR3-1333という選択肢は確かにアリだ。しかし,EPP 2.0も必要かというと疑問が残る。

ARMOR+のESAモジュールからは「For Temp.sensor(VGA)」という2ピンのセンサーが伸びているのだが,これを取り付けられるような場所はGeForce 9800 GTXリファレンスカードに用意されていない
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 一方のESAについて,最大限ポジティブに評価するなら,「“普及すれば”大きなメリットになる」といったところか。現状ではほとんど“モニタリング機能付きファンコントローラ”だ。
 ただ,それならそれで「ファン回転数を変えることでCPU温度やGPU温度がどう変化するかをチェックしたい」ニーズに応えてほしいのだが,いちいちNVIDIAコントロールパネルから回転数を設定して,それからNVIDIA System Monitorを起動してやらねば確認できなかったりする。
 もっといえば,nForce 790i Ultra SLIはESA対応を高らかに謳っていながら,リファレンスデザインを採用するマザーボード“自前”のチップクーラーすらESAで制御できないのはいかがなものか。nForce 790i Ultra SLIマザーボードはESAプラットフォームとして“ESAのためにUSBピンヘッダを貸している”だけで,この点にも不満は残る。GeForce 9800 GTX搭載グラフィックスカードのGPUクーラーも,自動制御ならせめてファン回転数くらいは見せてほしいのだが,それもない状態だ。

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 本当にESAの普及を図りたいのであれば,NVIDIAは,他社のチップセットを採用したマザーボードでもESAを利用できるようにしたり,自社のチップセットやGPUを制御できるようにしたりする必要があるのではないか。ESAという規格だけが先行し,NVIDIA自社製品も含めて対応デバイスがついてこられていない印象を強く受ける。

 nForce 790i Ultra SLIの下位モデルには,EPP 2.0をサポートしない以外同じ仕様の「nForce 790i SLI」が存在する。そのため,EPP 2.0に大きなメリットが見い出せない以上,2008年4月時点において,nForce 790i Ultra SLIは微妙な存在と言わざるを得まい。
 しかし,現時点でnForce 790i SLIを採用したマザーボードが市場に登場していないという事情もある。同チップセットを搭載するマザーボードが登場するまでという期限付きではあるが,3-way/Quad SLIをサポートし,メモリ回りでもDDR3 SDRAMによる高速化を図れるチップセットとして,nForce 790i Ultra SLIには価値があるといえるだろう。
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