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極私的コンシューマゲームセレクション:第21回「The Warriors」
» 今回の「極私的コンシューマゲームセレクション」では,PSPの「The Warriors」を紹介。持っているハードは国内版なのに海外版ソフトばかり買っているというチャレンジャーなnoguchiだが,実は1979年に公開された原作映画を見たこともあるという,映画好きな一面も持っていたりする。
※編集部で試した限りでは,The Warriorsは国内版のPSPで動作したが,メーカー,4Gamer編集部および筆者は動作を保証しかねるので,あらかじめご了承いただきたい。また本作は英語版のソフトであり,ゲーム画面や各種メッセージ,マニュアルなどはすべて英語なので,注意してほしい。
1979年に公開されたいわくつきの映画が
25年以上の時を経てゲーム化
そんな題材を,アメリカだけでなく世界各国の親御さんに快く思われていなさそうなRockstar Gamesがゲーム化したのが,今回紹介する「The Warriors」だ。もともと2005年にPlayStation 2とXboxで発売されたタイトルだが,ここでは2007年2月に北米で発売されたPSP版を紹介しよう。
さて本作だが,そもそも27年も前に公開された映画のことなど知らないという人も多いと思うので,まずは映画の導入部分を紹介しよう。
ニューヨークのコニーアイランドを根城とするストリートギャング「Warriors」のメンバーは,ニューヨーク最大級の組織「Riffs」(リフス)のリーダーCyrus(サイラス)の呼びかけに応え,ブロンクス公園に丸腰で赴くことになる。
Cyrusは,ニューヨーク中の組織に声をかけており,公園には900人以上のストリートギャングを集結させていた。そこで全員で手を組んで,ニューヨークを牛耳ろうという提案をもちかけるのだが,「Rogues」(ローグズ)のリーダーであるLuther(ルーサー)がCyrusを射殺。しかも,WarriorsがCyrusを撃ったと叫んで犯人に仕立て上げてしまう。その途端Riffsのメンバー達は,WarriorsのリーダーであるCleon(クレオン)を捕まえてしまい,銃声を聞きつけた警察も公園になだれ込んで,園内はパニック状態になる。
Warriorsの面々はリーダー救出をあきらめ,なんとか公園を抜け出すのだが,Cyrusを殺した容疑者として,警察やRiffsに追われることに。とりあえず,27マイル(約40km)離れた地元のコニーアイランドへ帰ればなんとかなるだろうと信じて決死の脱出を図る,というものだ(帰っただけでは何も解決しそうにないが)。
ゲームも基本的にこのストーリーに沿って話が進むのだが,サイラス銃撃事件の前も描かれている。プレイヤーは,ウォリアーズの誰か(ステージによって勝手に決まる)を操作して,ストリートギャングらしく,あんな悪いことやこんな悪いことをしつつ,ミッションを達成していきステージクリアを目指す。ステージとステージの間にはムービーシーンが挿入されており,その繰り返しでストーリーが進んでいく。というわけで,ゲームの目的も映画と同じく,地元であるコニーアイランドへ帰ることだ。
ストーリーを進めるためのキーとなる要素は,主に戦闘(ケンカ)/強盗/空き巣/落書き(グラフィティ)だ。とくに,ニューヨークの地下鉄とは切っても切り離せない落書きは(1990年代中頃から減ったらしい),本作でも重要な要素。映画では,命を狙われている状況にありながらも,他チームのロゴが描かれた場所に赤いスプレーでWarriorsの頭文字「W」を上書きして自己主張をしていたが,ゲームでも同じように,さまざまな場所にある他チームのロゴのうえに,Wを上書きできる。
ステージによっては,他チームのロゴが書いてあるポイントがこっそりと用意されている。プレイヤーがステージクリアまでにそのポイントを,何箇所見つけられ,Wを上書きできたかがカウントされ,その数によって隠し要素がオープンするという仕掛けもある。
ちなみに,強盗も働けるゲームだが,落書き用のスプレーだけはマップ内に点在するNPCから購入しなければならない。スプレー欲しさに通行人を襲ったり,カーステを盗んだりしなければいけないという矛盾を感じつつも,自らのアイデンティティを守るため,落書きを続けるのだ。
車の窓を叩き割るとカーステを盗める。アナログスティックを時計回りに回すと,ネジが外れるという仕組みだ |
通行人を押さえつけて金品の強奪もできる。気絶させたあとよりもちゃんと強奪したほうが収入が多いのは謎 |
プレイヤーが操作するのは,ウォリアーズの誰かだが,一人で行動するということはあまりなく,どのステージも何人か仲間がつるんでいる。基本的にはプレイヤーキャラに続いてぞろぞろとついてきて,プレイヤーキャラがダッシュすれば仲間達もダッシュ,戦いになれば参戦してくれるのだ(大まかな行動方針はプレイヤーが指示を出せる)。
そして,いざ戦闘となれば,数人が入り乱れて戦う乱戦状態となる。味方にも当たり判定があるので,うっかり殴ってしまうことや殴られてしまうこともあり,ゴチャゴチャと戦っている感じがよく出ていてる。敵を羽交い締めにして味方に殴らせるといった攻撃方法もでき,協力して敵を倒したときなどは仲間意識も湧いてくるってものだ。
だが,Cyrusの事件が起きてからは,とにかく逃げることが大きな目的となるため,敵に見つからないように行動する必要が出てくる。ということで,実は本作にはスニーク要素もあり,背後から敵に近づき一撃でのしてしまうことだって可能だ。とはいえ,このスニーク要素は相手の視線を盗んでどこかに隠れるといったものではなく,決められたエリアにいると敵に見つからないという,かなりゆるい仕様になっている。
敷かれたレールのうえでやんちゃするクライムアクション
また,本作での移動手段は徒歩。車を奪って暴走するなんていうことはできない。映画でもメンバー同士で小突き合いをしつつ,遠足気分で地下鉄に乗ってブロンクス公園に向かっていたのだが,ひょっとするとWarriorsには車を運転できるメンバーはいないのかもしれない。まあ,各ステージのマップはそんなに広くないので,ゲームとしては乗り物の必要性を感じないのだが。
Rockstar Gamesのブランド名とストリートギャングというテーマに目を向けると,どうしてもGTA: SAなどを連想して比べてしまうが,本作はそもそも目指している方向性が違う。
前述したように,ステージ制になっており,その中で発生するミッションも,「W」の文字がデカデカと出ているところへ行けば勝手に次の展開が始まるので,あんまり内容を理解していなくてもゲームはサクサクと進む。もっとも,その「W」の文字に行かない限りは,なにも起きないともいえるが,親切といえば親切だ。
映画ではちょこっと映っただけのBoppers(ボッパーズ),地下鉄のトイレでWarriorsと激闘を繰り広げたPunks(パンクス),Warriorsを色仕掛けでだましたThe Lizzies(ザ リジーズ),そして,映画を見た人ならばその強烈な印象が必ず残っているはずの,皮膚呼吸ができなそうなくらい厚化粧のBaseball Furies(ベースボール フューリーズ)など,個性が豊かすぎるさまざまなチームもしっかりとゲームに出てきて戦える。また,1対1,3対3で戦えるRumble Modeでは,プレイヤーがWarriors以外のチームの面々を操作できるというのも嬉しい。
GTA: SAでジャンジャンバリバリ悪事を働いて,組織での立場がグングンアップしているような人ならば,本作ではちょっと物足りないと感じるかもしれない。ただ,あまりにも自由な立場に置かれると,何をしていいのか迷ってしまうという人もいるだろう。筆者もそのクチなのだが,真っ白な画用紙を渡されて,「自由に好きな絵を描きなさい」と言われるよりは,花の絵を描けだとかテーマを指定されたほうが楽だったりする。
ゲームの中で悪事は働きたいけど,オープンワールドのゲームは苦手,テンポ良くストーリーを楽しみつつ悪事を働きたい人などにお勧めしたいゲームといえる。
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The Warriors
対応機種:PSPメーカー:Rockstar Games
発売日:2007年2月12日(※イギリス版)
価格:19.99ポンド(※約4500円)
CEROレーティング:-(※イギリス版/北米版は18歳以上対象)
公式サイト:http://www.rockstargames.com/thewarriors/(要年齢認証)
- 関連タイトル:
The Warriors
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