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KONAMIはダンジョンRPG「Chaotic Eden」で,シングルプレイより面白いマルチプレイを目指す
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印刷2008/10/24 13:22

インタビュー

KONAMIはダンジョンRPG「Chaotic Eden」で,シングルプレイより面白いマルチプレイを目指す

画像集#001のサムネイル/KONAMIはダンジョンRPG「Chaotic Eden」で,シングルプレイより面白いマルチプレイを目指す
 ちょっと前の話になってしまうが,東京ゲームショウ2008の一般公開日(10月10,11日)には,KONAMIブースの一角に,PCオンラインゲームとして唯一「Chaotic Eden」(カオティックエデン)が出展されていた。
 これまでにお伝えしてきたとおり,本作は企画とシナリオをKONAMIが担当し,サーバープログラミングなどを韓国のUNIANAが担当するという,日韓共作のタイトルだ。韓国では2度のクローズドβテストを終え,現在は次のフェーズへの準備が進められている段階だが,日本でのサービスは2009年春としか発表されておらず,その動向が注目されている。

 本作は,いわゆる“ローグタイプ”(最近では“不思議のダンジョンタイプ”のほうがとおりがいいか)のダンジョンRPGをオンラインゲーム化したもの。とはいえ,実際にどんなオンラインゲームになっていくかという部分については謎が多い。

画像集#002のサムネイル/KONAMIはダンジョンRPG「Chaotic Eden」で,シングルプレイより面白いマルチプレイを目指す
 TGS 2008でプレイアブル出展されていたバージョンでは,あらかじめ用意されたキャラクターを使い,「エテルナイ」という町にいるNPC「兵士ラザン」からクエストを受注し,4階層あるいは5階層からなるダンジョンでボスを倒すまでの流れを一通り試すことができた。
 しかし,町中にほかの試遊機で動作させているキャラクターの姿は見えるものの,パーティプレイなどには対応しておらず,ソロプレイでローグタイプの新作ダンジョンRPGを試せるのみにとどまっていたという印象だ。
 それでも,装備している武器や防具がそのままキャラクターの外観として反映される「バトルルック」だけでなく,装備品の効果はそのままに外観だけを変更できる「アバタールック」が用意されているなど,オンラインゲームっぽさは確認できた。
 しかしやはり,オンラインゲームとして,ダンジョンRPGというジャンルをどのように描いていくのか? ビジネスモデルをどのように考えているのか? といったあたりを中心に疑問は尽きない。そこで本作のプロデューサーを務めるKONAMIのオンラインコンテンツプロダクション オンライン制作グループの山根清彦プロデューサーと,同じくオンライン制作グループの大和久宏之ディレクターに話を聞いたのが,このインタビューである。

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マルチプレイの仕様は,現在も試行錯誤中


「Chaotic Eden」のディレクター,大和久宏之氏
画像集#007のサムネイル/KONAMIはダンジョンRPG「Chaotic Eden」で,シングルプレイより面白いマルチプレイを目指す
4Gamer:
 大和久さんにお話を伺うのは,G★2007以来ですね。当時は発表会の前ということで,詳しいことは教えていただけなかったのですが,ようやく日本でのサービスも発表されたということで,いろいろと聞かせてください。
 まず,「Chaotic Eden」とはどういうゲームなのか? という部分をあらためてお願いします。

大和久宏之氏(以下,大和久氏):
 Chaotic Edenは,いわゆるローグタイプのダンジョンRPGをオンラインゲームにしたものです。ソロプレイ専用のダンジョンRPGは数多く存在しますが,ここにオンラインのマルチプレイを取り込んで,新しい楽しさを形にしようとしています。
 そしてさらに,ゲームだけでなくコミュニティまでをも含めた一つの世界をサービスとして作り上げようというプロジェクトでもあるんです。

4Gamer:
 ダンジョンRPGにおけるマルチプレイというものを,うまくイメージできないのですが,具体的にはどういったスタイルになるんでしょう?

大和久氏:
 そこに関してはまだ言えないところがあるんですよ。というのも現在,まさに試行錯誤を繰り返している段階なんです。プロトタイプはできたんですが,「ソロプレイより面白い」と言い切れるところまでは,もう少しの改良が必要なので。

山根清彦氏(以下,山根氏):
 先に公開したプロモーションムービーの中に,少しだけマルチプレイのシーンが登場しているんですが,あれがプロトタイプのイメージです。

4Gamer:
 あのムービーからさらに変化している真っ最中なんですね。

大和久氏:
 プロトタイプのマルチプレイもけっこう楽しめるんですが,ソロプレイと比べて圧倒的に面白いかというと,まだそこまで至っていないという認識です。

4Gamer:
 ではなぜ,ダンジョンRPGというジャンルのオンラインゲームを企画されたんですか?

大和久氏:
 そこは逆の発想なんです。

4Gamer:
 といいますと?

画像集#008のサムネイル/KONAMIはダンジョンRPG「Chaotic Eden」で,シングルプレイより面白いマルチプレイを目指す
大和久氏:
 オンラインゲームを作ろうということになったときに,従来型のMMORPGでは,もう誰も見てくれないと思うんですよね。では,オンラインゲームとして手つかずのジャンルは何か? ということから考えて,このジャンルを選びました。
 ダンジョンRPGって,一人でコツコツやっていくイメージの強いゲームですよね。でも,例えばアイテムをきっかけに,ほかのプレイヤー達と繋がれるんじゃないか? と発想を展開させたんです。

4Gamer:
 なるほど。

大和久氏:
 で,アイテムを交換したり,合成などで協力したり……というところで,オンラインならではの楽しさをダンジョンRPGにも加えられるのではないか,と。
 さらにオンラインゲームにするならば,どんな形のマルチプレイがいいのかといった流れで考えてきました。

4Gamer:
 事前の発表などを見る限りですと,基本的にダンジョン内はMOタイプで,町の中がMMOなんですよね。きっと町の中でパーティメンバーを見つけて,一緒にダンジョンへ……という流れなのかなとは思うのですが,ではダンジョン内で各プレイヤーはどう動くんだろう? 誰かのあとを自動でくっついていくわけじゃないよなぁ……なんて思うと,ダンジョンRPGのマルチプレイって何? という疑問にぶち当たってしまうんです。

山根氏:
 そのあたりは,乞うご期待ということで!(笑)
 マルチプレイに関する研究は長い間やってきていまして,悪いところもいいところも見当がついてきました。その結果,Chaotic Edenのマルチプレイも「面白いかな?」というところまで来ているのは確かなんです。ただ,先ほど大和久が話しましたとおり,ソロプレイの面白さと比べると,まだ納得できるものにはなっていません。ですので,納得いく段階になるまで,お見せできないんです。


マルチプレイの仕様は一つとは限らない……?


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4Gamer:
 とはいえ,サービスインに向けての時間も,それほど余裕はないですよね。

山根氏:
 当初の予定から比べると……遅れています。

4Gamer:
 やはりマルチプレイの仕様が固まりきらないのが,主な原因ですか?

大和久氏:
 それもありますが,韓国で行ったクローズドβテストの結果,さまざまなご意見をいただいていますので,それらを反映させる時間も必要になっているんです。

山根氏:
 韓国ではダンジョンRPGというジャンルが珍しいので,正直なところ私達にも不安はあったんですが,ありがたいことにテスターからは好意的に受け止めてもらえたようです。ただやはり,マルチプレイへの期待度は高いですし,それに応えられるだけのものを用意したいと考えているので,ちょっと時間がかかっているんですよ。
 仕様にしても,一つにこだわる必要はないですし,いろいろなパターンを用意してもいいと思っています。

4Gamer:
 というと,パーティプレイだけでなく,PvPモードとかもありうるということでしょうか?

山根氏:
 プレイヤーが選択できて,盛り上がったものを拡張していこうとは考えています。ただ,ローグタイプの考え方を大きく崩したくはないので,どこでバランスをとるべきかは悩ましいですよね。確かに韓国ではPvPを求める声も大きいですが,これを実現するとなると……ゲームとしてどうするべきかは難しいところですし。

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4Gamer:
 プレイヤー同士が一歩ずつ近付いていくような図を想像すると……。マップの広さによってはかなり地味なことにもなりそうです。

山根氏:
 ただまあ,将棋ってターン制なんですよね。将棋を例に考えると,何らかの答えはあるような気はしているんですが。

4Gamer:
 あ,確かにそうですね。ただその場合,ダンジョンをみんなで冒険して,アイテムを拾って……というゲームとは違うものになりそうです。

山根氏:
 そのあたりも含めて,作っては崩し,作っては崩しを繰り返しているので,ちょっと時間がかかっちゃってるんですよ。

4Gamer:
 この仕様ではダメかもしれないけど,大丈夫かもしれないからサービスインしちゃえ! ってわけではないんですね。

山根氏:
 そんな気分になりそうだったこともありますけど(笑)。

4Gamer:
 そこは踏みとどまった,と。

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ゲームの中心になるのはアイテムの存在


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4Gamer:
 ではマルチプレイ以外の部分について教えてください。
 このゲームにおいて,プレイヤーに継続的に遊んでもらうためのポイントはどこにありますか?

山根氏:
 一部,韓国では発表したんですが,プレイヤーがダンジョンを作ってほかの人に遊んでもらうシステムや,家を持って内部を飾って楽しむシステム,さらにブログシステムといったものを用意しています。でもやはり,重要なのはゲームの本質の部分ですね。

4Gamer:
 本質……?

山根氏:
 ダンジョンRPGというのは,その核にアイテムの存在があると思うんです。このアイテムをいかに活用していくか? というのを,コミュニティ形成の根っこの部分に据えています。

4Gamer:
 先ほど大和久さんが,アイテムの交換や合成で協力できるようなことをおっしゃっていましたが,そういうことですか?

山根氏:
 コミュニケーションの入り口になるのは,やはりアイテムのトレードになるでしょうね。

4Gamer:
 その場合,プレイヤー間でアイテムが現金を介してやりとりされるようなケースが増えそうな気もしますが……。

山根氏:
 そうなんですよね。そのリスクは承知しています。やっぱりゲームの中で経済も含め,いろいろなバランスをとっていますから,できればそういったことはやってほしくないですよね。ただ……。

4Gamer:
 ただ?

山根氏:
 そういうことが起きるとしたら,それはゲームがちゃんと面白く遊べて,プレイヤーも集まっているのが前提だと思うんですよ。ですから我々としてはまず,ゲームをちゃんと作り上げていきたいなと。

4Gamer:
 確かに,まず優先すべきはそちらかもしれませんね。
 アイテム繋がりでお伺いしますが,Chaotic Edenは基本プレイ料金無料のアイテム課金制でサービスされる予定になっていますよね。有料アイテムにはどういったものをお考えですか?

山根氏:
 ゲームの基本は,ダンジョンで冒険して,その中でアイテムを集めていく部分にあると思うんです。ですから回復アイテムなどの消費系や,プレイヤーをちょっと補助するようなものを中心に考えています。率直に言ってしまうと,欲しいものは何でもダンジョンで拾ってください,いらないものはトレードしてくださいという考え方なんですよ。

4Gamer:
 では,強力な武器や防具を販売するということは?

山根氏:
 コンシューマゲーム的な発想かもしれませんが,ゲームバランスのことを考えると,私としてはやりたくないですね。

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有料アイテムを買わなくても十分楽しめるようにしたい


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4Gamer:
 ダンジョンRPGというと,ダンジョン内で拾った武器を鍛えて強くしていったり……というのも楽しみの一つですもんね。あれ? 鍛えた武器を失ったりすることもあるんですか?

山根氏:
 失う……というより,効力がなくなるんです。効力がなくなったら,鍛冶屋に持って行くとゲーム内マネーで鍛え直してくれます。

4Gamer:
 あ,これもゲーム内マネーだけで完結しているんですね。

山根氏:
 ゲームにはあまり影響が出ないようなスペシャルアイテムを販売していく予定はありますが,無料でも十分に楽しめるようにします。

4Gamer:
 そういえば,キャラクターの装備品には「バトルルック」と「アバタールック」というものが用意されてうましたね。アバタールック用の個性的なアイテムが有料で……というのがありそうな気がしました。

山根氏:
 さて,どうでしょう?(笑)

4Gamer:
 期待してます!
 では,だいたいのイメージでけっこうなんですが,有料アイテムを購入するプレイヤーの1か月の課金額は,どのあたりに設定していますか?

山根氏:
 マーケティングデータなどから見ると,月額課金制のものも含めてだいたい1000〜1200円ぐらいに落ち着くものが多いのかなと思っています。ただ,それよりも少し低めにはしたいですよね。アイテム消費型のゲームで,あまりお金を取りすぎたくはないですから。

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4Gamer:
 プロモーションムービーのアニメなどを見ると,低年齢層も意識しているのかなと思ったのですが,そういったことも関係していますか?

山根氏:
 メインデザイナーが,あの手の絵柄を得意としているのもあるんですが,ターゲットとしては小学校高学年以上を視野に入れています。もちろん,大人でも楽しめるように作っていますが。課金額を考えるにあたって,このあたりも考慮しないといけないですよね。

4Gamer:
 ただそうなると,プレイヤー数はどれぐらいを想定しているのだろう? という点も気になります。

山根氏:
 難しいですねぇ。でも他社と遜色ないぐらいにはしたいですよね。MMORPGクラスはまだまだ難しいかと思うのですが,MO型でもいろいろなタイトルがありますので,それには負けないくらい。じゃないと赤字になっちゃいますし(笑)。

4Gamer:
 でも,なるべく課金額は抑える方向なんですよね?

山根氏:
 無理矢理低めに設定しよう! というわけでもないんですけどね。ただ,ダンジョンRPGなので,うまくなれば消費系アイテムだってゲーム内で手に入るものだけで間に合うと思うんですよ。そういう人に同じような回復アイテムを買ってもらい続けることはできないでしょうし。

4Gamer:
 うまくなればお金がかからなくなる! というのは,プレイヤーとしてはちょっと嬉しい部分ですね。
 そういえば,世界観の設定で気になる点があります。Chaotic Edenの舞台である「オデッセイ王国」とか,モンスターの「プーニャ」なんかは,アーケードのメダルゲーム「エターナルナイツ」と一緒ですよね?

山根氏:
 はい。詳しいことはまだお話できないんですが,エターナルナイツのプロデューサーといろいろと相談しつつ,考えている段階です。現時点では,「兄弟タイトルなのかな?」ぐらいにしておきましょうか(笑)。

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オンラインゲームのノウハウを今まさに吸収中


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4Gamer:
 がらっと話題を変えます。
 2007年11月に韓国でこのタイトルを発表したときの反応はいかがでしたか?

山根氏:
 正直なところ,「ダンジョンRPGです」と言っても,韓国ではなじみの薄いジャンルなので,すぐに注目を集めるようなことはありませんでした。ただ,KONAMIというブランドが韓国のオンラインゲーム市場に本格的に参入するという部分については,UNIANAさんのおかげで想像以上にニュースとして取り上げられたような気はしています。

4Gamer:
 オンラインゲームのパブリッシャとしては,UNIANAにあまり強い印象はなかったんですが,マーケティングなどにおいてそういった部分への不安はありませんでしたか?

山根氏:
 それはないです。韓国では大手だけじゃなく,小さい会社が大手をうまく使うマーケティング手法などがスタンダードになっていますし,UNIANAさんもうまくやってくれていますよ。

4Gamer:
 なるほど。KONAMIさんにとって,韓国の企業と組んでオンラインゲームをゼロから開発するというのは初めてのことですが,何か考え方の違いなどはありましたか?

山根氏:
 ええ。制作のスタイルや作り方,あとは目指すクオリティのポイントがやっぱりちょっと違ったりします。やっぱり韓国が育んできたオンラインゲーム文化と,我々がコンシューマで作り上げてきたゲーム文化とでは,ぶつかる部分もありますし。

4Gamer:
 ぶつかる部分とは?

山根氏:
 具体例は挙げにくいので漠然とした説明になってしまいますが,先方が言っていることは正論だと思いますし,僕らが考えていることも正論ではあると思うんです。だからこそ衝突してしまいがちなんだと思うんですよ。そこのバランスをとっていくのが,今回の大きなゴール地点じゃないかなと。

4Gamer:
 そういったやりとりをしながら,オンラインゲームの作法のようなものを韓国から取り入れているわけですね。

画像集#005のサムネイル/KONAMIはダンジョンRPG「Chaotic Eden」で,シングルプレイより面白いマルチプレイを目指す
山根氏:
 そうですね。オンラインゲーム開発の技術やノウハウ,運営手法など,正直なところまだまだ弱い部分があると思います。そこを強化するために,本場韓国のスタッフが持つノウハウを吸収していきたいというのは,一番大きいです。

4Gamer:
 これまでやってきて,吸収できているという手応えはありますか?

山根氏:
 まさにいま,吸収しているところですね。運営についてはこれからになるんですが,マーケティング手法や,オンラインゲーム的な考え方のようなものについては,かなり勉強させていただいています。逆に我々も日本のゲーム開発のノウハウやクオリティといった部分は,UNIANAさんに伝えていきたいですよね。そうやってお互いにいい影響を与え合いたいですし。

4Gamer:
 端的に言って,オンラインゲームとコンシューマゲームで異なるポイントはどこにあると感じていますか?

山根氏:
 コンシューマゲームは売り切り型のビジネスモデルで,オンラインゲームは継続型です。そのため,ゴール地点が違うというのがまず一つあります。

4Gamer:
 それはよく分かります。

山根氏:
 さらに言いますと,コンシューマゲームのゴール地点というのは,発売日の時点までに目指すところが非常に高いんです。でもオンラインゲームは,ゴール地点が点ではなく長い期間にかかるもので,運営しながら積み上げていかなければいけないものですよね。だから途中経過のレベルやクオリティに関する考え方が違うんだなと感じています。
 もちろん,ゲーム性やGUIについての考え方などもいろいろ違いはありますが,プロデューサーの立場からすると,ゴール地点に対する考え方が一番異なるのかなと。

4Gamer:
 短距離走と長距離走では必要な筋肉の種類が違うというのに似ているかもしれませんね。


日本での配信は「i-revo」から。ただし,窓口を増やす可能性も?


画像集#006のサムネイル/KONAMIはダンジョンRPG「Chaotic Eden」で,シングルプレイより面白いマルチプレイを目指す
4Gamer:
 日本でのサービスは2009年春とのことですが,それより先に韓国でのサービスインなんですよね。とりあえず韓国では,いつ頃になりそうですか?

山根氏:
 調整中なので具体的な日程は言えませんが,日本より先にサービスを開始したいと思います。

4Gamer:
 サービス開始後は,韓国版と日本版が並行して運営されることになると思うのですが,内容は同じなんでしょうか?

山根氏:
 基本的には同じです。ユーザーインタフェースを変更したり,アイコンを変えたり,あるいはアイテムを変えたりといった違いは出てくると思いますが。

大和久氏:
 それぞれのプレイヤーの意見を聞きながら調整はしていきますが,基本的には同じものです。

4Gamer:
 というと,プレイヤーの要望次第では違う方向にアップデートされていく可能性もゼロではないんですか?

山根氏:
 開発リソースなどを考えると,できれば最大公約数的なところを探って同じものにしたいですけどね。ただ,本当にプレイヤーからの要望次第です。

画像集#024のサムネイル/KONAMIはダンジョンRPG「Chaotic Eden」で,シングルプレイより面白いマルチプレイを目指す
4Gamer:
 日本での配信は「i-revo」が行うと発表されましたが,運営はどちらが担当されるんですか?

山根氏:
 運営もi-revoです。

4Gamer:
 パートナーとして,i-revoを選んだのはグループ会社だから……ということですか?

山根氏:
 それも理由の一つではありますが,あくまでも二次的なものですね。i-revoがこれから本格的にオンラインゲームに力を入れていくということと,現在行っているチャネリングでi-revoが抱えるオンラインゲームプレイヤーが増えてきたということが大きいです。

4Gamer:
 では,i-revo以外のゲームポータルにChaotic Edenを配信する可能性も?

山根氏:
 そういう考えももちろんあります。複数の入り口を持つことがオンラインゲームのスタンダードであるならば,私はアリだと思っていますから。入り口を一社だけで抱え込んでやっていくのは,オンラインゲームというものに合わないとも思いますし。

4Gamer:
 そのあたりの展開も楽しみにしていますね。
 本日はありがとうございました。


 KONAMIが手がける(手がけた)オンラインゲームには,「ときめきメモリアル ONLINE」や「遊戯王オンライン」,そして「武装神姫」などがある。しかしそれでも,事業の主軸をコンシューマゲームに置いているのは明白で,オンラインゲームについては様子を見つつ実験を繰り返しているような印象を受ける。
 そんな中,Chaotic Edenではオンラインゲームの本場ともいえる韓国のUNIANAとタッグを組むことで,韓国流オンラインゲームの作法や流儀を吸収しようという姿勢を見せている。個人的には,ここでKONAMIが得たものがChaotic Edenのみに費やされるのか,それともさらにその先を見据えているのかといったあたりも気になるのだが,さすがにそれを言うのは時期尚早かもしれない。

 まずは,Chaotic EdenでKONAMIが何を見せてくれるのかに期待したいところだ。なにせ,詳細こそ語られることはなかったものの,「ソロプレイより面白いと言い切れる」マルチプレイに向けて,試行錯誤が繰り返されているというのだから。
 日本でのサービス開始までは,もう少し時間がかかりそうだが,開発日記をはじめ,少しずつコンテンツが拡充されている公式サイトをチェックしつつ,その日を待ちたい。

「Chaotic Eden」公式サイト


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