インタビュー
「ハンゲームフェスティバル★2012は,来ていただければ絶対楽しめます」。計9時間以上に及ぶステージとアトラクションを仕掛ける2人のキーマンに聞く
オンラインゲームの老舗として長い歴史を誇る同社だが,その一方で,これまで大規模なオンラインイベントを行うことはあまり多くなかった。この1年ほどの取り組みの経緯と反響,そして,今回のハンゲームフェスティバルに対する想いはどのようなものなのだろうか。NHN Japan ゲーム本部 ゲームエンタープライズ事業グループ 副事業グループ長 森 健志氏と,ハンゲームキャラバンでは「ハンゲ太郎」の名前でおなじみの,ゲームエンタープライズ事業本部 パブリッシング支援室 イベントチーム マネージャー 荒井 淳氏に詳しく話をうかがった。
「NHN Japan」公式サイト
「ハンゲームフェスティバル★2012」
コミュニケーション強化のためのオフラインイベントへの取り組み
オンラインゲームに携わって今年で12年目になる森氏は,その長年の経験の中で,「共通の話題で会話できる場」「お客様と対面できる場」「日頃の感謝の気持ちを表現できる場」という3点から,オフラインイベントの重要性を意識していたという。
こういった考えから森氏は,入社2か月後である昨年8月には,早くも「ドラゴンネスト ファン感謝祭」を実施。その後も,同年9月に「ドラゴンネスト Battle Tournament 2011 in Osaka」,10月には「エルソード Battle 3on3 in 東京」「スペシャルフォース 日本代表決定戦 2011」と立て続けにイベントを行っている。
また,「スペシャルフォース 日本代表決定戦 2011」では,初めての試みとして,アークによるゲーミングデバイスの物販コーナーを設置。ここでは会場内の導線を工夫したこともあり,アーク側の担当者も驚くほどの販売数を記録したそうだ。
これらのイベントを通して,「オフラインイベントの重要性を再認識した」と森氏は述べる。しかし,森氏には運営統括の業務もあるため,今後のさらなるイベント実施にあたっては専任の担当者が求められる。
そこで森氏が抜擢したのは,オフラインイベント関連で豊富な実績をもつ荒井氏だ。荒井氏は昨年11月1日にNHN Japanへ入社し,その直後の11月20日には,早くも「エルソード ファン感謝祭」を担当。その後も,荒井氏は「ドラゴンネスト Battle Tournament 2011」や「スペシャルフォース ネットカフェツアー」などのイベントを立て続けに実施するという豪腕ぶりをみせ,森氏も「今後のイベントを任せられる」と判断したそうだ。
そして昨年末からは,いよいよ「ハンゲームキャラバン」のプロジェクトが始動。ハンゲームキャラバンは全国のネットカフェ等を巡回するオフラインイベントだが,これまでのネットカフェイベントと違う点として,「単発で終わらせない」「扱っているタイトル数を増やす」「大会系以外のイベントも行う」「東京/大阪以外の場所でも開催する」といったテーマを掲げたそうだ。
そこで,今年3,4月に行われた「ハンゲームキャラバン2012春」(関連記事1,関連記事2)では,「ドラゴンネスト」「ELSWORD」「SPECIAL FORCE」の3タイトルを扱い,東京,京都,北海道,名古屋,福岡,兵庫,仙台の全国7か所を縦断することとなった。
初めての試みということで来場者数は想像がつかなかったそうだが,いざ蓋を開けてみれば,いずれの会場でも大盛況となり,全会場合わせて1000人近くの来場者数を記録。ニコニコ生放送やUstreamでの総視聴者数も,11万人を超えたそうだ。
さらに,イベントの内容も,各タイトルごとのユーザー特性に合わせて工夫したと荒井氏は述べる。たとえばELSWORDの場合は,来場者をグループ分けして「ELSWORDを盛り上げるにはどうしたらいいか?」と話し合う「座談会」を実施。まるで入社試験のグループディスカッションのような内容だが,これも会場では大盛り上がりだったそうだ。
こうしたイベントの実施は,ユーザーの活性化にもしっかりとつながっており,とくにELSWORDについては,プレイヤーのアクティブ率が大幅に増加したらしい。
なお,実は当初からハンゲームフェスティバル2012の開催も視野に入れた上でプロジェクトを進めていたらしく,春のキャラバンには「ハンゲームがオフラインイベントに注力している」というイメージを浸透させる狙いもあったそうだ。
そして,7月から8月にかけて行われた「ハンゲームキャラバン2012夏」では,前回の経験をもとに,「ハンゲームのオフラインイベントは楽しい」と感じてもらうことをテーマに実施。扱うタイトル数を前回の3タイトルから「ドラゴンネスト」「ELSWORD」「スペシャルフォース2」「TERA」の4タイトルに増やし,全国7か所(前回とは一部開催地域を変更)を巡っていった(関連記事)。
その結果,イベントの応募者数や来場者数が前回から増加しており,中でも東京会場でのドラゴンネストのイベントについては,定員50名に対して600名以上の応募があったという。
なお,夏のキャラバンではほぼ毎週土日ごとに全国各地を訪れるスケジュールとなっていたため,荒井氏は「相当ハードだった」と苦笑する。ただ,そうした中でも荒井氏は,来場者からのアンケートを読むことで大きな活力を得ていたという。
なお,このアンケートの中には「イベントに来る動機」についての質問(複数回答可)があったが,ここで上位に挙がっていた回答は「イベント内容」(40%),「リアルガチャ」(40%),「(運営や友人との)コミュニケーション」(37%)の3点とのこと。そしてこの中でも「コミュニケーション」については,荒井氏の経験上,イベントがゲームタイトルに良い影響を与えていることを示すバロメータになるのだという。そのため,今後は来場の動機の6,7割をコミュニケーションにすることを目標にしているそうだ。
そのための工夫の一例として荒井氏が紹介したのは,イベントの来場者に配布される「コミュニケーションカード」である。このカードには自分のキャラクター名などを記入できるようになっており,会場内で知り合った人と名刺代わりに交換することで,ゲーム内でも“再会”しやすくなるというわけだ。ほかにも,全国各地で来場者が寄せ書きをしていく巨大フラッグや,ギルド/クランのメンバーを募集するイベント内コーナーなど,さまざまな取り組みを行っているのだという。
オンラインゲーム史上でもトップクラスの規模となる
「ハンゲームフェスティバル★2012」
すでにタイムテーブルや会場マップ等は発表されてはいるが,ステージイベント以外にも,会場内にはさまざまな催しものが用意されており,あたかも会場全体が一つのテーマパークになっているような印象を受ける。
ざっと内容を挙げるだけでも,来場者全員にゲーム内アイテムを入手するためのシリアルコードがプレゼントされたり,多種多様な試遊台が設置されていたり,ゲーム内キャラに扮した総勢30人のコンパニオンと写真撮影ができたり,各コンテンツにちなんだアトラクションで遊べたり,TERAの生イラスト制作現場を見学できたり,各コンテンツにちなんだグッズが販売されていたり,スタンプラリーに参加できたり,豪華商品の当たる大抽選会が行われたり……と,盛り沢山にもほどがある。
中でもとくに注目すべきは,会場内で利用できる「ハンゲームチケット」の存在だ。これは入場時に1人1枚ずつ配られるほか,各タイトルの試遊や,アトラクションなどを遊ぶごとに獲得できるものである。
集めたチケットは,ゲーム内シリアルコードが得られるガチャ(1枚で1回)やプレミアムガラポン(3枚で1回)のほか,コスプレ写真コーナーでの写真プレゼントや,TERAの「イラストお持ち帰り」にも利用できるのだという。なお,ハンゲームチケットとはまた別に,来場者全員がゲーム内シリアルコードを1つもらえるそうだ。
会場内を回ってできるだけ多くのチケットを獲得し,それを使ってゲーム内アイテムやお土産などに引換える,といった内容には,ゲーマー心をくすぐられるという人も多いのではないだろうか。
また,各コンテンツに関連したアトラクションも全8種類用意されている。いずれも,オフラインイベントならではの遊びが楽しめるようになっており,中には成績次第でハンゲームチケットが獲得できるような,ゲーム性の高いものもあるそうだ。
さらに,会場内全体を廻りながら,スタンプラリーにも参加できる。会場内に約107個のスタンプが用意されているらしく,中には謎解きクエストをクリアして獲得できるスタンプもあるとのこと。集めたスタンプ数に応じてハンゲームチケットがもらえるらしいので,ぜひ全種類コンプリートを目指したいところである。
各キャラクターに扮したコンパニオンは,総勢30名が登場。キャラクターのイメージに合ったコンパニオンを選ぶため,森氏と荒井氏は4時間以上にもおよぶオーディションを行ったそうだ。
珍しいところでは,「キッズコーナー」も設置されているのもポイントの一つ。これまでのイベントにも親子連れの来場者が少なからずいたとのことで,家族でも安心して来場してもらうための取り組みとなっているそうだ。
ほかにも,物販コーナーにてシルバーアクセサリーの受注販売が行われたり,原画コーナーで200点以上の原画を展示したり,協賛企業によるブースを出展したりと,会場を一通りチェックするだけでも,あっという間に1日が過ぎてしまいそうなボリュームだ。
ステージでは,SPECIAL FORCE,スペシャルフォース2,ドラゴンネストの3タイトルの大会が開催されるほか,kz(livetune)さんやViViDによるライブも行われる。さらに,現時点では詳細不明だが,新作タイトルについての情報も“複数”発表されるようだ。
登壇者も非常に豪華で,3人のMC(山田太一さん,萩原秀樹さん,井澤詩織さん)に加え,ゲストには堀江由衣さん,梁田清之さん,レイザーラモンHGさん,武井壮さん,kz(livetune)さん,ViViDも登場。
大会の演出についても非常に力が入っているらしく,フラグムービー上映が予定されているほか,クランや選手の呼び込みについては,なんと総合格闘技「PRIDE」などでお馴染みのレニー・ハートさんが担当するそうだ。あの特徴的なボイスで自分のクランやキャラクター名を呼ばれるとなると,出場者にとっても一生ものの思い出になりそうだ。
ステージイベントのタイムテーブルを見ているだけでも,あまりのボリュームにめまいを覚えそうなほど。だが,荒井氏によると「最初はもっと長かった」らしく,内容を絞りに絞った結果でこの長さだという。
ただ,これだけの大規模のイベントを入場無料で行うからには,開催にあたっての予算も相当な規模になっているに違いない。それでもなお,大きなコストを投入してイベントを行うことに,どういった意図があるのだろうか?
これは,森氏がNHN Japanに入社した当時「既存のお客様向けのイベントをあまり行っていない」と感じたことが大きなきっかけになっているらしい。これまでのオフラインイベントも今回のフェスティバルも,既存のお客様向けのサービスをしっかり行うことで,より長くゲームを楽しんでほしい,といった狙いがあるそうだ。
そのため,会場内で販売するグッズや飲食物などで利益を上げるといったことも考えておらず,可能な限りコストを抑えて販売する予定だという。あらゆる部分でファンサービスに徹底しているわけだ。
ステージイベントを観覧しても良し,会場内のアトラクションや出展物を自由に楽しんでも良し。入場料も不要なため,とにかく会場まで行けば1日中とことん楽しめる,というイベントだといえよう。
また,今回のフェスティバルを終えた後も,冬には再度キャラバンが予定されているという。扱うタイトル等の詳細は未定らしいが,荒井氏は「これまでよりもコミュニケーションの部分を強くする」ことを次回のテーマに考えているそうだ。
さらに,荒井氏は「僕たちが公式で行うイベントに加えて,プレイヤーさん主催のイベントもやっていただきたい」と今後の構想を明かす。各地のプレイヤーが中心になってイベントを行う際には,荒井氏がゲストとして参加したり,ゲーム内アイテムを提供したり,といった形で運営側からも支援を進めていくそうだ。
最後に,荒井氏と森氏から,プレイヤーに向けてのメッセージをいただいた。
荒井氏:
皆さんにコミュニケーションをとってもらったり,その場で楽しんでもらったりしてほしい。ハンゲームフェスティバルには,僕たちのそんな想いが詰まっています。「イベントに来ていただければ楽しめる」ということを約束しますので,ぜひご来場ください。
森氏:
荒井も言っていますが,「来ていただければ楽しめる」というのは確実です。自分も遊びが大好きですが,少なくとも自分が楽しめるものに関しては,とことん詰め込んだつもりでいます。ハンゲームタイトルのプレイヤーであれば間違いなく楽しめますので,ぜひ遊びにきていただければと思います。
両氏がしきりに強調していたのは「来ていただければ楽しい」ということだ。オンラインゲームを頻繁に遊んでいても,オフラインイベントにはなかなか足を運ぶ機会がない……という人も少なくないだろう。しかし,今回のハンゲームフェスティバル★2012は,近年のオンラインゲーム業界でもトップクラスの規模のイベントとなっており,非常に盛り沢山の内容となっているので,実際に行けば確実に楽しめるはずだ。普段はこういったイベントに尻込みしている人も,まずは(入場も無料なので)実際に行ってみよう。
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