連載
インディーズゲームの小部屋:Room#753「Trombone Champ」
庭木の柚子の葉を食い荒らすアゲハチョウの幼虫と,日々,一進一退の攻防を繰り広げている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第753回は,Holy Wowの「Trombone Champ」を紹介する。本作はその名のとおり,トロンボーンの演奏に特化した音楽ゲームだ。殺すのも忍びないので,見つけるたびにそっとつまんで遠ざけるけど,気づくとまた戻ってきているのが困りもの……。
本作は,画面を右から左に流れてくるノートに合わせて楽器を演奏し,ハイスコアを競うという音楽ゲーム。これだけだと,ほかのゲームととくに違いがなさそうだが,何よりも大きな特徴となっているのが,プレイヤーが演奏する楽器がトロンボーンであるということ。遊び方は簡単で,マウスを上下に動かしてノートの高さ(=音程)にカーソルを合わせ,左クリックもしくは任意のキーで音を鳴らす仕組みだ。
一般的な音楽ゲームでは,正しいタイミングで正しいボタンを押すことが重要になるが,本作ではそれに加えて「全体的な音の正確さ」が重視されている。それぞれのノートは音の長さが異なるだけでなく,途中で音の高さが変化することもあり,それを正確になぞるように音を鳴らし続けることが高得点のコツだ。
実際にやってみるとこれがかなり難しいが,うまく演奏できなくても気に病んではいけない。というのも,本作では途中でどれだけミスをしても最後まで演奏を続けられ,むしろヘタクソな演奏のほうが,聴いていてもプレイしていても楽しく感じられてしまうからだ。ステージ演出もユーモラスで,自分のアバターが調子っぱずれのトロンボーンを気分よく吹き鳴らしている姿を見るだけで,思わず頬が緩んでしまう。
ゲームには,運動会の定番曲「ウィリアム・テル」や「お馬はみんな,ぱっぱか走る」の歌詞でおなじみの「オールド・グレイ・メア」,モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」やベートーヴェンの「交響曲第5番」,イギリス国歌「ゴッド・セイヴ・ザ・キング」やアメリカ国歌「星条旗」,そして日本人には「蛍の光」として親しまれているスコットランド民謡「オールド・ラング・サイン」など,20曲以上を収録。多彩なジャンルの名曲をトロンボーンで演奏できる。
曲を演奏し終えると,スコアに応じて「TOOTS」という通貨のようなものを獲得でき,これを使って全50種類の「トロンボーナーカード」をランダムで入手できるというのも面白い要素だ。カードにはトロンボーンの歴史や有名なトロンボーン奏者の紹介が書かれており,中にはそれらにまったく関係のないジョークカードも混ざっている。カードはダブって入手することもあるので,コンプリートを目指して何度もプレイしたくなる。
そんな本作はSteamにて1520円で発売中なので,失敗を気にせず陽気にトロンボーンを吹き鳴らしたい人はぜひどうぞ。オススメです。
■「Trombone Champ」公式サイト
https://www.trombonechamp.com/- この記事のURL:
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