男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第487回「『Fallout Shelter』は遊んで損をしないゲイム」

著者近影

　サッカー日本代表が負けたわね。
　結果だけ見ると，試合開始早々に退場者が出て10人になったコロンビア相手にしか勝てず，あとは引き分けがあっただけで1勝しかできなかった大会となってしまったわ。ただ。今大会の“勝利条件”は何だったかというと，グループリーグ突破だったんじゃないかしら。
　もちろん，個々の立場によって異なる勝利条件を設定していた人もいたでしょう。優勝を目指していた人もいたでしょうし，勝ち点1を目指していた人もいたはず。ただ，日本代表を応援するファンのなんとなくの認識としては，グループリーグ突破だった。そして，それを成し遂げてくれた。
　もっとも，グループリーグ3戦目の負けている状態でのボール回しに関しては，批判もあるみたいね。でも，日本代表を応援するファンがなんとなく掲げていた勝利条件は“グループリーグ突破”。それを実現するために，日本代表と西野監督はあの戦い方を選んだんだと思う。なんなら，あそこで攻撃に転じて玉砕することもできた。でも，日本で応援してくれる人達のため，そして将来的には今後のアジアの出場枠確保のためにも，ああしたんだと思う。
　そして，決勝トーナメントではちゃんと自分達のやりたい戦い方を見せてくれた。これは私が美化しすぎなのかもしれないけど，ベルギー戦の日本代表は，のびのびプレイしていて楽しそうだったのよね。そして，何より試合が面白かった。
　繰り返すけど，トータルで言うと，今大会の日本は1勝2敗1分で負け越しているのよ。でも，3戦目以外はどれも面白かった。ここがすごいと私は思う。

　過去のW杯で，日本がグループリーグを突破したときのサッカーは，勝ったことへの喜びはあるけれど，正直そこまで面白いものではなかったわ。でも，今回はどれも面白かった。唯一，突破にこだわった第3戦が面白くなかったくらいで。これが日本代表の積み上げてきたものなのかな，と思う。
　技術的なことは私には分からない。でも，見ていて面白いかどうかは私にも分かる。そういう意味で，サッカー日本代表は成長している。面白いものを見せてくれているモノに対し，私はリスペクトするしかない。だから，恥ずかしげもなく手のひらを返すわ。
　極論を言うと，今批判している人って自分のために批判しているのよね。一見すると理にかなった正しい意見で批判する。確かに筋は通っているかもしれない。でも。どこかで批判すること自体が快感だから，批判している。自分の快楽のため，正しい意見を盾に他人をおとしめる。で，結果を出したら手のひらを返して喜ぶ。または，別の切り口で批判する。そのループ。
　……こう書くと批判することが悪いと私が捉えていると思われるかもしれないけど，私が言いたいのはそうじゃないのよ。批判に関してはね，もうしょうがない。人目に触れるコンテンツはとくに。理由をつけて文句を言いたいだけの人が必ず出てくる。そして，それが無料で体験できるものであれば，さらに批判は増える。ろくに見ていなかったり，お金を使ったりしていない人でも，体験した気になって自分がすっきりするための意見を述べることができるわけだから。
　もうね，これに関しては仕方がない。私が思うのは，そういう批判との付き合い方が大事だなってことなの。例えばSNSやまとめサイトなんかで自分が携わったものが批判されていたとしましょう。でも，気にするだけ無駄。だって，批判している人って手のひらを返すもん。今回の日本代表についてのメディアのように。で，結果を出しても文句を言う人は言う。正確には，文句を言いたい人は言う。
　いいんです。好きに言っていただいて。そういう楽しみ方も提供してるんです。批判を嫌がってもしょうがない。だから，頑張っているのに文句を言われがちで悩んでいる人が，もしもこの記事を読んでいるならば。気にしないっていうのは無理だろうけど，そこに合わせた考え方はするな。批判されたときに目を向けるべきは，内容が正しいかどうかではなく，悪意があるかどうか。どれだけ正しい内容の意見だろうが，悪意があれば気にしないでいい。それは突き詰めれば，自分がすっきりしたいがために批判しているだけだから。
　……っていうことを日本代表の戦いから思い知らされました。そういう意味でもありがとう日本代表。

画面はPC版です

　さて，だいぶ長くなった前段だけど，今週はPlayStation 4版の「Fallout Shelter」。あの「Fallout」シリーズのスピンオフ作品。ダウンロード専用のタイトルで，シェルターを運営していくゲイムね。基本プレイ料金無料でアイテム課金制。これがね，すごく面白い。ソーシャルゲイム的な面白さ。
　古いタイトルの例えで恐縮だけど「THE TOWER」の地下シェルター版といったイメージかしら。地下シェルターにいろいろな部屋を作っていって生き延びようっていうゲイム。とはいっても，そんなに住人は死にはしないので，生き延びるために電気や食べ物や水を生み出す施設，または暮らしをより良くする施設を作ってそれを運営していくっていう。ただ，何かを生み出すのに時間がかかるから，短い時間でヤリ尽くすタイプのゲイムではない。毎日ちょっとずつプレイする感じのゲイムね。
　でも，男女のカップルから子供が生まれてシェルターの人口が増えるのは楽しいし，有用な部屋が増えていってシェルターが成長していくのも楽しい。要は，プレイしていてマイナスがそんなにないのよね。毎日ついついプレイしてしまいたくなる，いいゲイムなんじゃないかしら。何より，基本プレイ料金が無料っていうのがいい。
　さっき前段で「無料で体験できるコンテンツは文句を言う人が増える」って述べたけど，このゲイムに関しては無害すぎて文句のつけようがない。このゲイムをプレイすると人生観が変わる……っていう感じの主張はゲイムから伝わってこないわ。でも，プレイしていると何かしら楽しいし，損はしない。こういうゲイムのあり方があってもいい。
　ゲイムだけでなく，エンターテイメントって，きっとそういうもので。勝敗自体を楽しむものもあれば，勝敗だけでなく過程を楽しむものもあっていいし，成長を楽しむものがあってもいい。それに加えて，なんとなく，ただ楽しい，ぼーっとできるっていうものだって立派なエンターテイメント。要は，人生に何かしらのいい時間を与えてくれるものであれば，エンターテイメントに存在意義があると私は信じているのです。
　その中には，文句を言ってすっきりするっていう楽しみ方も含まれているわ。それを否定はしない。私は文句を言う時間があまり好きではないから，なるべく必要としないようにしているけど。
　ともあれ。Falloutの世界を知っていても知らなくても，なんとなく楽しい時間が過ごせるFallout Shelter，オススメです。無料であることも含めこんなにプラスしかないゲイム，近年あまりないわよ。ぜひ一度。文字通り，損はしないから。


　てなわけで，4年に一度のW杯ももう残りわずかになってまいりました。日本が残っていないのは残念だけど，それでもサッカー好きとしては残る試合も楽しみで仕方がない。ただ，優勝が狙える国っていうのは国民もやたらと期待しているだろうから，選手達は楽しむどころではないんでしょうね。
　昔，オウンゴールを献上したDFが帰国後に射殺されるという痛ましい事件も起きたぐらいだから。そういう意味で言えば，まだ“楽しめる”という範囲で接することができるのって，これはこれで幸せなのかもしれないわね。閉幕するまでのあと2週間，なるべく楽しもうって決めている。そんな感じでまた来週。

今週のハマりゲイム
PlayStation 4：「Fallout Shelter」
Nintendo Switch：「マリオテニス エース」「アーケードアーカイブス ドンキーコング」
iOS：「PUBG MOBILE」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，7月8日に東京・両国KFCホール大会「高梨将弘デビュー15周年記念大会〜世の中に下戸のたてたる蔵もなし〜」を開催します。この日の前売り券は完売していますが，DDT UNIVERSEで生中継予定。また，10日には新木場1stRING大会「DDT LIVE！ マジ卍 #11」を開催します。こちらはAbemaTVで生中継予定。ディーノ選手は，「家から出なくてもプロレスを楽しめる時代ではあるんだけど，家から出なくても海外で行われているサッカーの試合を見られる時代はずいぶん前から到来していたのよね」と語っておりました。