連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第229回「『STEINS;GATE』,いつやるか?」
文字通り世の中で流行した言葉のことなんだけど,ホントに不思議なもので,流行している時には旬を過ぎている場合が多々あるの。みんなが使い始める前までは,その言葉を使うことで自分も周囲もニヤリとできていても,流行しちゃってからそれを使うと,なんかシャバい的な。
私も一応,リングというキャンバスに何かしらを描く表現者の端くれだから,言葉を使うタイミングには注意を払う必要があるのね。表現者とそれを見る観覧者がいるとすれば,観覧者よりも表現者は何歩か先を行ってないといけないのよ。そして,先に進んでいる場所から,表現者は観覧者に合わせないといけない。表現者が歩み寄るのか,観覧者を引っ張ってついて来させるか,その手法はまちまちだけど。
だから,観覧者がいくら好き勝手に意見を言ってきたとしても,先に進んだ状態でそれを聞かないといけないの。だからよく見聞きする「お客様と同じ目線に立って」という言葉は,もともと違う目線を持っている表現者が,お客様――つまり観覧者に合わせに行くという意味なんだと,私は思うのね。
もちろん,観覧者は体感したものに対して意見を言うのは自由で(自由の中にも責任はあるけど),表現者はその観覧者の意見に対していちいち腹を立ててちゃいかんだろ,不本意なとらえ方をされたのならば,なんでそう思われたのかを先の位置から考えないといかんだろ,と思うわけ。
要するにですね,表現者の端くれとしては,ちょっと前まで使っていた言葉でも,みんなが使っている時期になってから使うと,恥ずかしくなることもあるんだよ,と。先に進んでもいないし,場合によっちゃ観覧者よりも遅れてることにすらなりかねないわけだから。まあ,そういうもんなのよ流行語は。途中で話がそれたけども。
これ,Xbox 360版が発売されたのは2009年10月のことなのよね。当時,「CHAOS;HEAD NOAH」の直接の続編ではないにせよ流れをくんだ科学アドベンチャーのゲイムが,口コミで話題になっていて,それがSTEINS;GATEだというところまでは,私も把握していたわ。
でも,「私はCHAOS;HEAD NOAHをプレイしてないし〜」って思ってて,不覚にもその波に乗り損ねてプレイはしてこなかった。で,今。アニメ化もされて,Xbox 360以外の各プラットフォームにも移植されて,スピンオフ作品も発売されて。ここまでくると,もう存在感が大きくなりすぎて,私としてもこのまま無視はできないと思って,じゃあいつやるの? と。
……言わないよ? だから先に言っておいたのよ。ちょっと前まで使えていた言葉が流行しちゃったらもう使えないって。じゃあいつ使うの? ……だから言わないってば! 絶対って言ってもいいけど,今年の流行語大賞にノミネートされるわよアレ。ヘタしたら大賞を獲得しやがるかもしれない。だからこそ,このタイミングではもう使えない。
そういえば,ちょっと前にこの連載でも,軽ーくそのネタに触れたことがある気がしないでもないけど(証拠),もし流行語大賞に選ばれてしまったなら,今ほどはやる前だったとはいえ,何となく気恥ずかしいので,深夜に4Gamer編集部に忍び込んで過去の記事を改ざんしようと思っているわ。
まずね,乗るまでに時間がかかる。これは,ここ数年のゲイムにしては珍しいものかもしれないわ。今って,ゲイムも回転率重視の時代だから,オープニングデモや冒頭でプレイヤーの心を掴もうとしてくるゲイムが多いの。そんな中,この作品は良く言えば尻上がり,悪く言えばスロースターターなゲイムになっているの。だから,遊ぶ前には序盤の話の見えなさを乗り切る覚悟は必要でしょうね。
プレイし始めたばかりのうちは,登場人物と読み進めている自分がかい離してるんだけど,それがある程度進むと気にならなくなって,そのあたりから物語が急に加速してくるの。で,乗ってきたら,そこからはジェットコースター。なので,そこまで我慢できるかどうかでこのゲイムの印象は変わってくるでしょうね。
あとは,ゲイムにあまり介入できないことについて,どのようにとらえるか。要するに,ほとんど読むだけのゲイムなのよ。ここまで来ると,いっそすがすがしいくらい。
私個人としては,これは正解な気がするの。なぜなら,伝えたいことが明確だから。だからこそ,プレイヤーの介入で話をブレさせたくなかったんでしょうね。もう,この話一本でいくという覚悟めいたものを作品から感じるのよ。だから,介入できないのは必然と言えば必然。
世界観や「厨二病」論議やらから伝わる一種の開き直り。これこそがSTEINS;GATEの魅力だと思うの。プレイヤーがこの作品の何に金を払ってるかと言えば,STEINS;GATEの世界そのもの。言い換えれば,このゲイムにしかない押しつけがましさ。ただし,その押しつけがましさも決してネガティブな意味ではなく,表現者が先に走っていて,その位置から自然に私たち観覧者を導いてくれる類のものなのね。そんな感じのゲイム。
世界観に金と時間を費やして楽しんでやる! という覚悟さえあれば,このゲイムはとてもプレイヤーにとって有意義なゲイムになると私は思う。読み物としてざっくり言えば,基本タイムトラベルもので,時間を遡っても運命が変わってんだか変わってないんだかっていう話。
しかしながら,困るわよね。何がって「いつやるの?」って聞かれたらアレを言わなきゃいけないこの世の中の風潮が。それでいて,アレを言っても言わなくても損をするという。まだ我々はいいわよ。当の本人である林先生は,きっとたまったもんじゃない。私達の知らないところでどれだけ言わされていることか。
芸人さんだったらそれも仕方ないけど,林先生は予備校講師だからね。講義していて自然な流れでアレを言うと生徒がザワつくって,想像しただけで生きた心地がしないわ。沈静化した数年後「うわ! まだ言ってんだ」みたいになるのもつらい。
そう考えたら,私が今,恥ずかしくて言えないのなんて,可愛いものなのかもしれないわね。こうやってSTEINS;GATEをプレイして,まだヤってない人に勧めるのにも,やっぱりね,アレをアレしてアレなんですよ。ホント,おススメなんです。
ただ,最初に発売されてから時間が経っているがゆえに,このような事態になっているだけであって。このタイミングだと思うよ? だから,恥ずかしがらずにね,言ってしまえばいいんですよ! じゃあ,覚悟はいいですね? 私も,あなたも。いきますよ?
STEINS;GATE,いつやるか?
……キャッ! やっぱ言えない! また来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「TOMB RAIDER」
PlayStation Vita:「STEINS;GATE」
PSP:「グラス ハート プリンセス」
Wii U:「ZombiU(ゾンビ U)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「三國志DS 3」
Xbox 360:「トロピコ4 日本語版」
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