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ATI Radeon HD 2600
  • AMD
  • 発表日:2007/05/14
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印刷2007/03/20 22:10

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デュアルGPU搭載グラフィックスカードはニッチから主流へ

 「CeBIT 2007 Hannover」では,AMD製の次世代GPUファミリー「R600」(開発コードネーム)の正式公開が延期されたこともあって,グラフィックスカードの“実機”に関しては話題に乏しい展示会となった。
 だが,そんな状況ということもあってか,グラフィックスカードベンダーは競合との差別化を図るため,さまざまな工夫を凝らしている。なかでもデュアルGPU(グラフィックスチップ)構成のグラフィックスカードと,ヒートパイプや液冷ユニットを使った静音グラフィックスカードの充実が目立った。

■RV6xxのデュアルGPUカードに向けて準備中のAMD陣営
■ハイエンドとミドルレンジの間を埋める製品に


SapphireはデュアルGPUカード×2によるCrossFireのデモを披露
 デュアルGPU搭載グラフィックスカードに力を入れていたのはAMD陣営だ。Sapphire Technology(以下Sapphire)は,日本でも実機が公開されたデュアル「ATI Radeon X1950 Pro」搭載カード「X1950 PRO DUAL」のCrossFire構成デモを披露。GeCUBEも,ATI Radeon X1650 XTのデュアルGPUカード「GC-DU165XTDG3-E2」による4画面出力をデモし,来場者の注目を集めていた。

GeCUBEが公開したデュアルGPUカードのデモ(左)。1スロット仕様のクーラーで動作している。右はカードデザインだ。PCI Express x16をマルチプレクサで両GPUに分配する仕様で,GeForce 7950 GX2と同等のデザインだ。両GPUはもちろんCrossFire接続されている


 ところで,旧ATI Technologiesが「Gemini」の開発コードネームでデュアルGPUソリューションを開発していたのを憶えているだろうか。当時同社は,シングルチップ構成でも(当時の)ライバルとなる「GeForce 7950 GX2」などと戦えると判断し,計画そのものが中止されたという歴史的経緯がある。

 しかし,その流れそのものは止まらず,次世代GPUに受け継がれた。そう,R600のアーキテクチャを採用するミドルレンジ/ローエンド向けGPUである「RV630」「RV610」(開発コードネーム)シリーズには,デュアルGPU構成をサポートする機能があらかじめ実装されているというのだ。

 SapphireもGeCUBEも,この件については堅く口を閉ざすが,ほかのグラフィックスカードベンダー関係者は「両社がこのタイミングでデュアルGPUカードをアピールするのは,後に控えるRV630などのデュアルGPUカードに対する布石」と指摘する。同関係者によれば,RV630やRV610は現行のATI Radeonとピン互換性が確保されており,基板デザインを共通化できるという。今のうちに,デザインを終えておいたということなのだろう。実際,SapphireやGeCUBE以外にも,デュアルGPUカードの開発を進めているベンダーは存在するようだ。

Galaxy Technologyの「GeForce 7900 GT」×2カード「Masterpiece Dual Core」。同社は,具体名こそ明かしていないが,次世代GPUでも同様のコンセプトで製品投入をしたい考えとしており,一説にそれは「G84」×2搭載モデルと伝えられている
 DirectX 10世代のGPUこれまで以上にシェーダーの負荷が高くなり,消費電力も増大する。しかし,ミドルレンジやローエンド向けGPUでは「はいそうですか」というわけにはいかず,消費電力は抑えなければならない。
 ではどうするか。グラフィックスカードベンダー関係者は,AMDのRV630やRV610,NVIDIAの「G84」「G86」(開発コードネーム)では“モバイルGPUデザイン”を採用することで消費電力を抑えているという。
 これは結果として,ミドルレンジ/ローエンド製品とハイエンド製品とのパフォーマンスギャップを広げてしまう。そこで,比較的消費電力の低いこれらミドルレンジ/ローエンドGPUを2個用いることで,ハイエンドGPUとの間を埋める製品を実現できる――これがグラフィックスカードベンダーの思惑であるようだ。

 一部のベンダーは,次世代GPUを2個搭載したカードを2007年6月のIT展示会「COMPUTEX TAIPEI 2007」で公開する計画を持っていると,筆者の取材に対して答えた。なかにはNVIDIAの「G84」=「GeForce 8600」によるデュアルGPUカードを計画しているベンダーもあるようで,デュアルGPUカードは,今後のグラフィックスカード市場において成功の鍵を握るトレンドになりそうだ。

■ハイエンドグラフィックスカードを
■いかにして“黙らせる”かが重要に


 一方,消費電力がひたすらに上がっていくハイエンドグラフィックスカードに対応した静音クーリングソリューションの開発も進んでいる。Thermaltakeは,グラフィックスカードのデザインに応じて“液冷化”できるグラフィックスカードクーラーシリーズを展開。同社の「Tide Water」シリーズと組み合わせて利用できる。「Tide Water」といえば,Sapphire製の「ATI Radeon X1950 XTX」搭載カード「TOXIC X1950 XTX」やASUSTeK Computer製の「GeForce 8800 GTX」搭載カード「EN8800GTX AquaTank」での採用実績があるユニットだ。

Thermaltakeの液冷用クーラーラインナップ。AMD,NVIDIAのハイエンドGPU用にそれぞれ用意されている


MSIも液冷のGeForce 8800 GTXカードを展示していた(写真左)
 グラフィックスカードベンダー共通の認識として,次世代のハイエンドGPUは消費電力が増え,いきおい空冷時のノイズレベルがかなり高くなる,というのがある。一方でCPUの消費電力は下がっているため,PCシステム全体で,グラフィックスカードの占める動作音の割合は高まるばかり。そのため,高性能なグラフィックスカード冷却システムの開発は,今後のグラフィックスカードビジネスに不可欠というわけだ。

 先ほど説明したThermaltakeのほかにも,Zalman TechやArctic Cooling製クーラーを採用する特別モデルは数多く展示されており,グラフィックスカードベンダーと冷却ソリューションベンダーの協業体制は,ますます強化されていく傾向にある。なかにはBIOSTAR MICROTECHのように,ハイエンドモデルについてはサードパーティ製クーラーへの換装容認(=クーラーを換装しても保証を継続)を検討するところも出始めており,ひょっとすると近い将来,グラフィックスカードの冷却システムをユーザー自身が交換するのが当たり前になる時代がやってくるのかもしれない。(ライター:本間 文)

Zalman Techの「VF1000」(左)と「VNF100」(右)。前者はGeForce 8800 GTX対応のファン搭載モデル,後者は「GeForce 7950 GT」もしくは「ATI Radeon X1800 XL」までの対応となるファンレスモデルとなる。VNF100に関しては,すでに何社かが採用を検討しているという。
左:InnoVISION(Inno3D)の「iChiLL GeForce 7950GT w/ Arctic Coolinng Accelero-S1M」。製品名のとおり,Arctic Cooling製のファンレスクーラーを採用
右:Cooler Masterもファンレスクーラー「CoolViva ZI」を展示していた
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