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[COMPUTEX 2007#19]Intel,新世代チップセットを正式発表。X38ではオーバークロック機能を搭載
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印刷2007/06/08 22:30

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[COMPUTEX 2007#19]Intel,新世代チップセットを正式発表。X38ではオーバークロック機能を搭載

Intel 3シリーズは計7製品が用意される
 Intelは,COMPUTEX TAIPEI 2007に合わせて,新世代チップセット「Intel 3シリーズ」を正式発表し,会場近くで製品紹介セッションを実施した。
 ミドルレンジ向けのディスクリート(グラフィックス機能非統合)チップセット「Intel P35 Express」や,エントリー向けのグラフィックス機能統合チップセット「Intel G33 Express」は,すでに搭載マザーボードが出荷,販売開始済み。また2007年第3四半期には,最上位となるハイエンド向けの「Intel X38 Express」,そしてIntel G33 Expressよりもグラフィックス機能の性能が高い「Intel G35 Express」など,5製品の出荷が控えている。

Intel X38 Expressのノースブリッジは,ヒートスプレッダを採用
 Intel 3シリーズについてあらためてまとめておこう。まず,45nmプロセスを採用するIntelの次世代CPU「Penryn」(ペンリン,開発コード名)ファミリーに対応し,1333MHzシステムバスクロックをサポートする。そのほか,Intel X38/P35/G33 ExpressはDDR3 SDRAMに対応するなど,Intel 900 Expressファミリーから機能が強化されている。
 また,すでに[COMPUTEX 2007#11]のレポートでお伝えしているとおり,最上位モデルのIntel X38 Expressのみ,世界で初めて第2世代のPCI Express(PCI Express Gen2)をサポートするという特徴がある。
 ノースブリッジ(MCH)側で16レーンのPCI Expressを2系統用意するため,PCI Express x16接続のグラフィックスカードを2枚同時に(ボトルネックを発生させることなく)利用可能だ。また,DDR3対応チップセットのうち,Intel X38 Expressだけが,デュアルチャネルDDR3-1333に対応するのも特徴である(残る2製品はDDR3-1066まで)。
Intel 3シリーズの特徴と,位置づけをまとめたスライド。ゲーマーにとって重要なのは,Intel X38 ExpressとIntel P35 Expressの2製品という理解で,基本的に問題ない


 Intelでチップセット事業を指揮するRichard Malinowski(リチャード・マリノウスキー)氏は,「今年(※2007年),この惑星上で最強のチップセットになる」とIntel X38 Expressを紹介し,性能と機能の両面で,絶対の自信を覗かせている。

■X38とP35ではOCツール&OCメモリをサポート
■NVIDIA SLIサポート実現はありやなしや?


Richard Malinowski氏(Vice President, Mobility Group兼General Manager, Chipset Group, Intel)
 さて,発表会の後に行われたQ&AセッションでMalinowski氏は,Intel純正のオーバークロック用チューニングツール「Intel Extreme Tuning」と,メモリ周りのオーバークロックを容易にする「Intel Extreme Memory」を,Intel X38/P35 Expressで提供すると説明した。

 Intel Extreme Tuningは,CPUやメモリのオーバークロックをWindows上から行うツールで,動作クロックや動作電圧を手動で設定できるだけでなく,ユーザーの手を煩わせずに自動でオーバークロック設定を行うようなモードも用意される。これまで,こういったツールはマザーボードベンダーが独自に用意していたのだが,Intelが純正ツールの提供を開始すれば,状況は変わってくるだろう。

セッションのタイトル「The art of chipset」に合わせて展示されたオブジェ。これぞまさに「チップセットで作られた芸術」(?)
 続いてセッションで話題に上ったのは,Intel Extreme Memoryについて。メインメモリのオーバークロック(※レイテンシ詰めも含む)は,設定項目が多く,より細かなタイミング設定が求められるため,CPUのオーバークロックより難度が高い。Intel Extreme Memoryは,それを容易に行えるようにする技術だ。
 メモリモジュールには,メモリタイミングや動作電圧などの情報が書き込まれたSPDという情報が保存されているのだが,Intel Extreme MemoryではこのSPD情報を拡張し,オーバークロック時における適切なレイテンシ&電圧設定をあらかじめ用意しておく。これにより,メモリオーバークロックのハードルを低くし,さらには動作互換性を高めようというわけである。
 ……ここまで説明した時点で,ピンときた人もいると思う。そう,これはNVIDIAとCorsair Memoryが提唱するEPP(Enhanced Performance Profile)と同じアプローチだ。

DDR2とDDR3のコンボマザーボードであるMSI「X38 Diamond」。Intel Extreme MemoryのサポートにはBIOS側の対応が必要とのことだが,果たして「コンボモデルでもDDR3メモリを差しているときはIntel Extreme Memoryを利用可能」かどうかはまだ分からない
 ただしMalinowski氏は,「DDR3 SDRAMは2GHz超の動作クロックも実現できるなど,DDR2と比べてパフォーマンスの向上が大きい。なのでIntelとしては,Intel Extreme MemoryでDDR3 SDRAMのみにフォーカスする」と語り,DDR2 SDRAM環境においては,当面Intel Extreme Memoryを採用しない考えであるとした。4Gamerでは,事前情報をもとにIntel P35 Expressでテストして,動作しなかったことを確認しているが,テストで使ったマザーボードはDDR2メモリ対応製品なので,どうやら“そういうこと”だったようだ。
 ちなみにIntel Extreme Memory対応製品は,EPPの主幹企業であるCorsair Memoryと,Intelとの関係が深いKingston Technologyなどから,順次市場へ投入される見通しであるという。

GIGA-BYTE TECHNOLOGYの「GA-X38-DQ6」。PCI Express x16スロットを2本用意する
 Malinowski氏は,もう一つのキーフィーチャーであるデュアルグラフィックスカード環境について,AMDのソリューションであるCrossFireのサポートこそ表明したものの,NVIDIA SLI(以下,SLI)については「NVIDIAに聞いてほしい」という従来のスタンスを崩さなかった。その後に取材したNVIDIAの関係者も,「現在のところ,Intel製チップセットでSLIを有効化する計画は存在しない」と説明する。

 ただし,先に[COMPUTEX 2007#11]のレポートで少しだけ触れたが,グラフィックスカードベンダーの関係者は,「Intel X38 ExpressでSLIサポートが行われるはずだ」と口を揃える。また,その後の取材で,NVIDIAと密に協業している複数のベンダーの関係者から「正式な合意はされていないし,口約束もないが,Intel X38 ExpressでのSLIサポートに向けて,IntelとNVIDIAが前向きに交渉を開始した」という話を聞くことができた。
 「Designed by NVIDIA」のマザーボードに注力するなど,チップセットビジネスを重視するNVIDIAが,そう簡単にSLIサポートを許すとは思えない。しかし,PCI Expressの第2世代でIntel X38 Expressが当分の間リファレンスプラットフォームとなるのも確かで,この事実をNVIDIAは無視できないはずだ。Intel X38 Expressに対してのみ,SLIライセンスが供与される可能性は,少なくともゼロではないようである。(ライター:本間 文)

  • 関連タイトル:

    Intel 3

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