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Access Accepted第819回:今年もゲーム開発者会議「GDC 2025」開幕。インディーゲームの頂点,IGF大賞の候補作品を紹介
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印刷2025/03/17 17:00

業界動向

Access Accepted第819回:今年もゲーム開発者会議「GDC 2025」開幕。インディーゲームの頂点,IGF大賞の候補作品を紹介

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 1988年から続く世界最大のゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2025」がまもなく開幕する。各国から多数の業界関係者がサンフランシスコに集結し,それぞれの成果や課題を語り合い,情報を共有することになるだろう。期間中に実施されるインディーゲームの祭典「Independent Games Festival」の大賞にノミネートされている個性的なタイトルを紹介しよう。

 北米時間の2025年3月17日から21日まで,カリフォルニア州サンフランシスコにあるモスコーニ・コンベンションセンターにて,世界最大かつ最古のゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2025」(GDC 2025)が開催される。
 37年の歴史を通してゲーム業界の移り変わりを見てきたイベントだが,今では3万人の来場者が700近いセッションに参加し,ゲームデザインからプログラミング,ビジュアルアーツやサウンドのテクノロジー,トレンドに加え,ビジネス,マーケティング,コミュニティマネジメント,AR/VR,Web3,人工知能など,広い分野にわたって意見が交わされる。

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 あまりにも分野が多岐にわたるため,今年の目玉を挙げるのは難しいが,Epic GamesのUnreal Engine 5,MicrosoftのDirectX,そしてNVIDIAのDLSS 4に絡んだ「ニューラルレンダリング」(Neural Rendering)はホットトピックだろう。
 ニューラルレンダリングとは,非常に高速なフレームレートで高品質のレンダリングが可能になるという最新技術だ。すでに100作以上に対応しており,GDC 2025期間中には「Half-Life 2 RTX」のデモ公開が予定されている。

 アメリカでは昨今の物価高騰により,サンフランシスコの滞在に苦労するインディーゲーム開発者や学生の悲痛な声も聞こえるが,彼らの最大の目的は業界内で知己を得る“ネットワーキング”だ。GDC 2025では初めて「GDC Nights」を開催し,現地時間の17日から20日まで(月曜日から木曜日まで),コンベンションセンターのウェストホール3階を22時まで開放する。
 さまざまな企業の協賛を得ており,Huluの新作ドラマのスクリーニングやコメディアンのパフォーマンスなどが行われ,参加者たちが自由に集まれる場所を提供する予定だ。

 もちろん,GDCのような開発者会議では,数々のセッションが見物だが,今年は高評価を得た「Balatro」や「HELLDIVERS 2」に加え,「シド・マイヤーズ シヴィライゼーションVII」「スプリット・フィクション」,そして「アサシン クリード シャドウズ」といった注目作の開発者も参加する。
 さらに,「アストロボット」を手がけたディレクターの二コラ・デュセ(Nicolas Doucet)氏をはじめ,「ファイナルファンタジーVII REBIRTH」の遠藤皓貴氏,「龍が如く」の堀井亮佑氏,「鉄拳」シリーズの原田勝弘氏らクリエイティブチームの面々,「メタファー:リファンタジオ」の後藤健一氏といった国内スタジオの開発者も多数登壇を予定している。

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 例年どおり,4Gamerでも現地に取材班を送り込み,セッションやイベント,インタビュー,エキスポなどのレポート掲載を予定している。景気後退による閉塞感が,ゲーム業界にどんな影響を及ぼしているのかを知る良い機会になるだろう。

 さて,今回の連載では,「Game Developers Choice Award」に合わせて開催されるインディーゲームの祭典,実に27年の歴史を持つ「Independent Games Festival」(IGF)のシーマス・マクナリー大賞(Seumas McNally Grand Prize)にノミネートされている6作品を紹介したい。なお,選外佳作に「ANIMAL WELL」「Balatro」「Mouthwashing」といった作品が名を連ねていることもあり,6作品はかなりユニークなラインナップになっている。

今年のGame Developers Choice Awardでは,生涯功労賞にRemedy Entertainmentのサム・レイク(Sam Lake)氏,そしてパイオニア賞に日本在住の個人開発者であるルーカス・ポープ(Lucas Pope)氏が選出されている
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Caves of Qud


開発元:Freehold Games / Kitfox Games
公式サイト:https://www.cavesofqud.com/


 「Caves of Qud」は2007年から4人のメンバーによって開発が進められ,2024年12月に正式ローンチを迎えるまで10年もアーリーアクセス版が公開されていたローグライクRPGだ。アスキーグラフィックスにインスパイアされた8bit風のアートスタイル,いわゆる“ネットハック”系のゲームだが,一部が自動生成される多様なクエストシステムが大きな特徴となっている。

 ゲームの開始時,サイバネティックな人体改造を行っていく生身の「True Kin」,または身体的や精神的に変化していく「Mutant」のいずれかの系統を選んでプレイできる。ランダムに生成される5人の古代王を始祖とする勢力により,複雑な歴史や政治関係が自動的に作り出されるため,同じゲーム展開にならないところも評価を受けているようだ。
 また,どんな素材の壁(建物)でも溶解点があるなど,高い物理シミュレーション性から「Dwarf Fortress」を連想させる。



Consume Me


開発元:Jenny Jiao Hsia, AP Thomson, Jie En Lee, Violet W-P, Ken "coda" Snyder
公式サイト:https://cconsume.tumblr.com/


 まだ正式リリースに至っていない「Consume Me」は,高校最後の1年間を迎えるジェニーが主人公だ。学業と恋愛,バイト,家事手伝いといった大忙しのスケジュールをこなしながら,大人になる準備をしていく。アメリカでは「Coming-of-age story」と呼ばれる,少女の理想と現実を面白おかしく描いたコメディタッチの成長物語になるという。

 本作では昼食から家事,ダイエットなどがさまざまなパズル形式のミニゲームに昇華されている。ベルトコンベアのように流れてくる食べ物を食べてばかりいると体重が増え過ぎするし(ダイエットが必要),カロリーが少ない食事だとミッションをこなせなくなってしまう。
 毎日の「やることリスト」にミッションをうまく詰め込みながら,自由時間にはマンションのエレベーターで出会う男の子に話しかけてみるといった冒険も……。状況はさまざまに変化するが,ほとんどがバッドエンディングとなる13種類のストーリーに分岐するようだ。



Despelote


開発元:Julián Cordero, Sebastian Valbuena / Panic
公式サイト:https://despelote.game/


 エクアドル在住の開発者が手がける「Despelote」も,まだ正式にリリースされていないタイトル。子供の頃の思い出をベースに,2002年のFIFAワールドカップ初出場が翌日の試合で決まるかもしれないという状況における人々の希望と熱狂を,サッカー少年・フリアンの視点で描く一人称視点のアドベンチャーゲームだ。
 実写の風景に1bit風のシェーダを施し,さらにモノクロの2Dキャラクターを登場させるという手の凝った作りになっている。さらに,実際のロケーションで音声を収録することで,素人っぽさも感じられる臨場感が伝わってくる。

 フリアンはどこに行くにもサッカーボールを蹴っていく。街中を駆け抜けながら学校の友達や近所の人にパスをしたり,どこかにシュートしたりするインタラクションにより,何らかのリアクションが楽しめるようだ。エクアドルに住んだ経験がなくても,どこかノスタルジックな印象を受けることだろう。



INDIKA


開発元:Odd Meter / 11 bit studios
公式サイト:https://odd-meter.com/


 「INDIKA」は,ウクライナ情勢を受けてモスクワからカザフスタンやスペインへと逃れ,2024年5月のリリースまで開発を続けてきたOdd Meterによる三人称視点のアドベンチャーゲームだ。19世紀末の帝政ロシアを舞台に,宗教的なビジョンと厳しい現実が衝突する異次元世界の狂気を描く。
 サタンに心を蝕まれたため,自分探しの旅に出た若き修道女・インディカとなり,ユニークなパズルに挑みながら,心の奥底に隠された秘密を解き明かしていく。

 つまらない修道院の生活から抜け出したインディカが見る外界は,まるでドストエフスキーやブルガーコフの小説のような喜劇と悲劇が混ざり合った過酷な現実だ。
 人々のモラルの拠りどころである宗教の限界といった核心的な問題にも焦点を当てながら,シリアスになりすぎず,どこかコミカルに描いている。カメラワークやグラフィックス,キャラクターの演技の質が高く,ピクセルアートによる2Dプラットフォームのミニゲームも盛り込まれている。



Thank Goodness You're Here!


開発元:Coal Supper / Panic
公式サイト:https://thankgoodness.game/


 2024年8月にリリースされた「Thank Goodness You're Here!」は,カートゥーン調の2Dグラフィックスが特徴的なアドベンチャーゲーム。イギリス北部のバーンズワースにやって来たセールスマンが,町の人から依頼されるさまざまな仕事に悪戦苦闘しつつ,いたずらによって乗り越えていくコメディタッチのストーリーだ。
 “ヨークシャー訛りの英語”がデフォルトになっているが,方言を微妙に変更できるというイギリス人にしか分からないような細かいこだわりが興味を引く。

 主人公は身体をミニチュアサイズに変化させる能力を持ち,歩き回ってジャンプしたり,オブジェクトに体当たりしたりして,何らかのインタラクションを引き起こしていく。何がどのように作用するのかは分からないため,水やりをしている人の蛇口の栓をひねったり,カモを驚かせて飛び立たせたり,店の陳列棚をむちゃくちゃにしたりといったことを繰り返すことになる。
 なんとかミッションをクリアすると新しいエリアが開放される仕組みだが,子供向けアニメのようなアートスタイルも非常に練られていることが分かるだろう。



UFO 50


開発元:Mossmouth
公式サイト:https://50games.fun


 「UFO 50」はその名のとおり,1980年代に存在したゲーム会社,UFO Softによる50本の作品集……という設定のオムニバス作品だ。プラットフォームアクションやシューティング,パズル,ローグライト,RPGなど,さまざまなジャンルの作品が収録されており,「Spelunky」のデレック・ユウ(Derek Yu)氏やエイリック・スルケ(Eirik Suhrke)氏,ジョン・ペリー(Jon Perry)氏らを中心に,「Downwell」の麓 旺二郎氏,「Catacomb Kids」のティリック・プラマー(Tyriq Plummer)氏も参加している。

 UFO Softは時代の先駆けとなるような作品を量産しながらも,多くの人には理解されなかったという背景が用意されており,8bit時代のゲームをノスタルジックに再現しつつ,それぞれに斬新な要素が隠されている。メニューからコマンド入力によって出現する51本目の「Miasma Tower」は,UFO Softに所属していた伝説のデベロッパであるグレゴリー・ミルク(もちろん架空の人物)が作ったという設定だ。


著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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