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[G-Star 2010]次世代はここから始まった? ついに姿を現した「Red Blood Online」,高いアクション性のみならず,待機中のキャラも動かせるシステムとは
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印刷2010/11/21 01:58

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[G-Star 2010]次世代はここから始まった? ついに姿を現した「Red Blood Online」,高いアクション性のみならず,待機中のキャラも動かせるシステムとは

 4Gamerでは毎年夏冬に「特大アンケート」(正確には特大プレゼント,だが)を行って,さまざまな読者データを集めるわけだが,2006年冬の「やってみたいオンラインゲーム」で飛び抜けて支持を集めていたのが,「Red Blood Online」だった。

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 ちょと古い話で申し訳ないが,当時,データを集計しながら不思議に思った覚えがある。「そういえば数か月前に,そういうニュースもあったよな」程度にしか認識していなかったタイトルだったのだが,あらためて記事を確認してみると,ビジュアルとゲームシステムは斬新で,ノンターゲッティングシステムやアクション性の高い戦闘を先取りしており,たくさんの新機軸を備えたゲームであることが分かった。
 それ以来,早く実物を目にすることを待ち望んでいたわけだが,G-Star 2010でようやくそれが叶ったことになる。このゲームがこういったゲームショウに出てくるのは,実は初めてのことだ。

 一足先に「TERA」で業界を震撼させたノンターゲッティングシステムは,すでに今年のG-Starでは「ひょっとして主流?」と思えるくらい一般化してきた。
 だが2006年の時点で,ノンターゲッティングシステムをはじめ,次世代のMMORPGの姿を的確に捉えていたのが,このRed Blood Onlineなのだ。

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Kim Chanjoon氏
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 このゲームの原作となっているのは,1990年代に韓国で出版されたSFマンガ「Red Blood」だ。核戦争後に崩壊した地球を離れ,人類は宇宙に展開していった。宇宙戦争などを経て,滅亡した地球に戻り,文明を再建する人々を描いている。

 今回は,実際にRed Blood Onlineの実機動作を目にし,開発者から説明を聞くことができたので,さっそく概要を紹介していきたい。

 当時,新しく設立した会社で初タイトルを作るにあたって,なによりも目指したのは「MMORPGの進化形」だったとGorilla Banana StudioのCEO,Kim Chanjoon氏は語る。過去記事を見てもらえば,当時としては「MMORPGでそれをやるのか」と疑いたくなるような,野心的なトピックが並んでいるのが分かるだろう。

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 なにかと新機軸の多いRed Blood Onlineだが,まず特徴として挙げられたのは,

・ノンターゲッティングアクション
・ソーシャルネットワーキング


の2点で,意外なことに,Kim氏が真っ先に語ったのはハウスマネジメントシステムについてだった。
 ハウス=「家門」ということで,「グラナド・エスパダ」をご存じの人は,だいたい同じ意味の家門だと思っていいだろう。この場合は,プレイヤーが作成できるキャラクタースロットにいるキャラクター達のまとまりを意味するものである。

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 模式的に解説すると,Red Blood Onlineでは,最初はキャラクターは一人しか作れない。最初のキャラがレベル20になると,もう一人作成できるようになり,2キャラの合計レベルが50を超えると3人目のスロットがアンロックされるといった具合に,ゲームプレイに応じて作成できるキャラ数が増えていくといったものになるという。

 最初のキャラが戦士系で,次も戦士系で……と戦士系ばかり作っていると,その家門は戦士系家門とみなされ,より優秀な戦士が育つようになる。魔法系ばかり作っていると,その家門は魔法系家門となり,優秀な魔法使いが育つようになる。これだとクラスが偏りすぎるのではないかと心配になるが,Red Blood Onlineでは,家門間でのキャラクターのトレードが可能になっており,魔法系家門から筋のよい魔法使いをスカウトするといったこともできるようになっているという。
 同じ家門のキャラクターは共有倉庫を使用できるので,レベル1から作り始めたキャラクターに上等な装備を渡すということもできる。

 面白いのは,プレイできるキャラは1体ではあるものの,使用していないキャラクターも同時にバックグラウンドで動かせるという機能だ。ちょっと狩りに行ってなさいとか,生産していなさいとかいった感じで,キャラクターに指示を与えておくと,一定時間後に成果を報告してくる。もの凄く効率的というわけではないのだが,若干の経験値とお金,たまにアイテムなどを獲得してくるので,「なにもしないよりはマシ」程度ではあるものの,すべてのキャラクターを常に活用できる。

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 また,Red Blood Onlineのブラウザゲーム版というものが並行して開発されている。これはFlashを使用したもので,3D RPGではないものの,Red Bloodの世界観によるブラウザゲームとなっており,たいていのソーシャルネットワークサービスに適合可能だという。現地ではFacebookでの実演を見せてもらった。
 現状のところ,ブラウザゲーム版とMMORPG版は,部分的にリンクするものの,基本的には別ゲームとして動作する。ハウスマネジメントシステムなどは,ブラウザゲームとのリンクをかなり意識した感じのものになっており,MMORPG版のゲームと完全に連動させることも検討されたようなのだが,両方のゲームをプレイすることを強制したくないということと,主にセキュリティ上の懸念から,同期させないほうがよいという結論になったようだ。

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 ちょっと後回しになってしまったが,戦闘システムについても紹介しておこう。当時は革新的だったノンターゲッティングも,今やそれだけでは目新しいものでなくなりつつあるのだが……。
 基本攻撃は,左クリックでライトアタック,右クリックでヘビーアタックといった感じで,さまざまな攻撃がコンボするものとなっている。また,コンボ自体もキャラクターが成長するにつれて種類が増えていく。例えば,低レベルのうちは,

 ライト − ライト −ライト − ヘビー

のようにコンボしていたものが,レベルが上がることで,

 ライト − ライト −ライト − ヘビー − ヘビー(気絶)

といったコンボも可能になってくる。
 MMORPGでは珍しく防御操作が導入されていたり,ジャンプ攻撃,ダッシュ攻撃といった要素も考慮されていたりするほか,当然ながら,通常攻撃以外にもスキルを絡めたりすれば,コンボの組み合わせは膨大なものとなってくる。アクション要素はかなり高めで,最初からゲームパッドにも対応しているのもポイントといえるだろうか。

 また,モンスターは網で捕まえることもでき,捕まえたモンスターは騎乗用に調教したりといったことが可能だ。捕獲可能なモンスターは,主にプレイヤーのレベルで決まってくるという。捕獲用の網の品質や運にもよるだろうが,ある程度レベル差がないと捕獲は難しいようだ。

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 ダンジョンは,旧文明の都市地域をテーマにしたものが多いとのことで,テストプレイでは地下鉄廃墟を使ったダンジョンが確認できた。インスタンスダンジョンは,主にパーティプレイを前提としたもので,とくにボスモンスターなどにソロで挑むのは難しいだろうとのこと。
 ちなみに,パーティは最大4人まで。ダンジョン内では,チームワーク重要になってくるが,とくにクラスに制限はなく,どんなクラスの組み合わせでも楽しめるものにしているという。
 あちこちをよじ登ったりといったアクションは,主にダンジョン内の仕掛けとして用意されているもののようだ。一般フィールド部分と比較して,ダンジョン内では謎解きやアクション要素が多く詰め込まれているという。

 初期の記事で,かなり複雑なダンジョンが自動生成されるという話があったので,ちょっと期待しつつ確認してみたのだが,ダンジョンの自動生成はゲーム内に組み込まれたものではなく,開発用のツールの話だという。ゲームデザイナーがブロックを並べていくだけで,ダンジョンを簡単に生成できるようにしたツールのようだ。プレイヤーもダンジョン生成ができるようになるかもという話については,将来的に課金アイテムなどでダンジョンを作れるようなものとして公開する可能性はある,とのこと。

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 Kim氏に「開発でいちばん苦労した部分は」と聞くと,ずばり「お金」だという。原作に人気漫画家,音楽に「Oblivion」を手がけた作曲家,「リネージュ」シリーズのゲームデザイナー,「RF Online」のイラストを描いたアーティストなど,なかなか凄い制作スタッフが揃っているので,ギャラもかさむだろうというのは容易に想像できるのだが,「そうではない」とKim氏は語る。

 昨今のMMORPGに求められる要求スペックは非常に高くなってきており,それを満たすものを開発することは,非常に難しくなってきているというのだ。最先端のものとなると,大手以外で制作するのはほぼ不可能になっていきている(といいつつ,Red Blood OnlineやArche Ageのような作品が出てきているわけだが)。
 Gorilla Bananaのような小規模の会社が,このような大規模なゲームを開発できたのは,かなり運がよかったとのこと。

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 むしろ,高名な開発スタッフは共同参加者のようなもので,実際には半分ボランティアのように作品に取り組んでいる雰囲気である。「Guild Wars」やOblivionを手がけたJeremy Soule氏なども,東洋のよく分からないゲームメーカーからのオファーということで最初は断られかけたのだが,ゲームについて話しているうちに,この作品なら大丈夫だろうということで,むしろ積極的に参加してきてくれるようになったのだという。

 それ以外にも,技術的な問題,例えばノンターゲッティング一つにしても,当時は何も参考にできるようなものはなく,試行錯誤が必要だったようだ。
 またこの作品は,旧来のMMORPGで課題とされていた,ゲームが進行するにつれてゲーム内でインフレーションが起こる点などについても,問題意識を持った開発がなされている。インフレ自体を防ぐことは不可能だろうとしつつも,そのうえで平等性を保つようなシステムの構築に力を注いでいるというのだ。無名ではあるものの,同社はMMORPG開発のエキスパートを集めており,経験豊富なスタッフが知恵を絞っている。

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 そんなRed Blood Onlineは,韓国で来年頭にもクローズドβテストが開始され,9月頃にオープンβテストが予定されている。要求スペックは「AION程度」とのこと。日本での展開について聞いてみたところ,非常に多くの問い合わせがあったようで,聞き覚えのある多くの社名が挙がってきたのには驚いた。とりあえず,再来年くらいには日本でもサービスされるのではないか,とのことだった。

 さて,はっきり言って,2006年の発表当時と比べるとビジュアル面でのアドバンテージや戦闘システムの新規性などは薄れている。それでも,従来のMMORPGとはかなり違った体験のできそうなゲームに仕上がっていることは感じられた。
 Kim氏は,ゲームプレイヤーを「ゲーマー」と「ユーザー」に分け,ゲーマーはマニア層であるとしたうえで,「日本ではゲーマーの層が厚い。普通のMMORPGに飽きているという人には,Red Blood Onlineを試してもらいたい。ほかとは違った楽しみ方を提供できると思っている」と自信を見せる。

 韓国でのテスト開始とともに,もっと詳細な情報も入ってくると思われるので,今後の動向に注目したいところだ。

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