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[E3 2006#063]次世代を見据えるLucas Artsのゲーム戦略
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印刷2006/05/12 22:58

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[E3 2006#063]次世代を見据えるLucas Artsのゲーム戦略

 ここ数年のLucas Artsは,BioWareやPandemic Studios,Raven Software,そしてSony Online Entertainmentといったサードパーティに対し,ゲーム開発を委託するビジネス戦略を打ち出すことで,ある程度の成功を収めてきた。ところが,E3 2006では「Star Wars 2007」(仮題)及び「Indiana Jones 2007」(仮題)という2作を内部開発していることを表明。同時に,独自の次世代型エンジンまでも開発するという,気合いの入った方向転換をしている。
 ただ,Star WarsとIndiana Jonesは,Xbox 360とプレイステーション3専用とのことで,残念なことにPCでのリリース未定
 今回Lucas Artsのブースで行われていたようなテクノロジーデモは,去年までならPC系の開発者が得意としていたものであり,時代の移り変わりのようなものさえ感じるが,いずれはPCにも移植されることを願いつつ,その内容についてまとめてお伝えしたい。



■「Star War 2007」で見たDMMテクノロジー
画像は,DMMテクノロジーの画像写真で「Star Wars 2007」のものではありません

 E3 2006の開催直前,アメリカでは「Star Wars: Darth Vader」という新作ソフト開発のウワサが流れていたが,会場にダース・ベイターの気配はなかった。そのかわり……というわけではないだろうが,公開されていたのは「Star Wars 2007」(仮題)である。ただし,「Force Power for Next-Gen」というサブタイトルが付けられていたので,ダース・ベイダーが登場する可能性は十分にある。

 この新作に関連して発表されたのが,スイスのPixelux Entertainmentと共同開発したという「DMMテクノロジー」である。このDMMとは,Digital Molecular Matter(デジタル分子物質)の略で,ゲームのアセット生成の簡略化を実現し,プロダクションコストを下げるのが目的の物理技術だ。
 具体的には,ゲーム内のオブジェクトの材質を分子(ピクセル)単位で自動演算。木材であろうがガラス質の材料であろうが,自動的に指定されたとおりの物理効果を期待できるようになる。
 板であれば,その硬度を指定しておくことでベニヤ板と杉板では異なる折れ方をするし,力が加えられた場所や方向によって折れ方も毎回異なる。また,氷,ゴム,ゼリーなど,どんな素材でもリアルに表現できるようになるため,下部がクリスタルで上部が銅製の像といった一つのオブジェクトでも,そのオブジェクトを構成する素材どおりの壊れ方が再現されるのだ。

 このDMMテクノロジーを利用したのが,Star Wars 2007のレベルの一つとして紹介された,惑星ファルージャの様子だ。本作がどのようなゲームになるのかは不明だが,映画「スター・ウォーズ エピソードIII」に登場した巨大なキノコに覆われた星で,プルプルとした巨大菌類の森が表現されていた。このほかにも,プレイヤーのフォースで,雨に濡れた床の水滴ごと周囲のオブジェクトやストームトルーパーを持ち上げたり,壁に叩きつけたりといった,格好良いアクションが確認できた。



■「Indiana Jones」で実現するAI最新技術

 「Indiana Jones 2007」(仮題)は,サンフランシスコのチャイナタウン周辺でのアクションに限定されたデモンストレーションだったが,それでもかなり「どのようになるのかが分かる」ものだった。Star Warsでも利用されているが,ここで詳しく説明されたのは,秀逸なAI(思考ルーチン)プログラムによってアニメーションを制御する,「Eupholiaテクノロジー」だ。

 例えば,インディ・ジョーンズがチャイナタウンの中国系マフィア達と戦うシーンが紹介されていたのだが,相手との距離や手が出る方向,強さ,背後のオブジェクトといった諸要素により,殴り倒される敵キャラクターのアニメーションが異なる。背後に車があればボンネットを転げ落ち,ポールがあれば背中を強打……といった具合に,倒れ方に同じものがないのである。



 特筆すべきは,このアニメーションがアニメーターによって1フレームずつ作られたものではないということだ。ゲームデモの隣では,インディが吊り橋の上に立っているだけのテクノロジーデモが公開されていた。こちらでは,開発者が橋を揺らすたびに,インディはつま先で立ってみたり,膝を突っ張って腕を振り回したりと,バランスをとって転ばないように努力する動作を見せていた。
 キャラクターAIは,自分の周囲にあるオブジェクトの材質や形状も理解しているというから驚きである。先のゲームシーンでは,インディが破壊した看板が,向かいのビルの非常階段に倒れ込み,ギャングキャラクター達は傾いていく階段の上で手すりに掴まって落ちないように試みているのだ。このような仕草は,Star Wars 2007でも見られ,壁から引き離されないよう,突起に必死でつかまっているストームトルーパーが確認できた。

 次世代ソフトといわれるものの中には,高画質なテクスチャーによる美しさだけが目立つのゲームも少なくないが,このような形でキャラクターや物理などの技術は日進月歩で進化している。Lucas Artsのブースでは,近い将来に実現される新しい世代のゲームの到来を感じずにはいられなかった。(ライター:奥谷海人)

  • 関連タイトル:

    Indiana Jones 2007(仮題)

  • 関連タイトル:

    Star Wars: The Force Unleashed

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