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オフラインイベント「2007 アラド戦記 セリアとの懇談会」が開催
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印刷2007/11/19 20:48

イベント

オフラインイベント「2007 アラド戦記 セリアとの懇談会」が開催

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 2007年11月17日,NHN Japanが運営するアクションRPG「アラド戦記」のオフラインイベント,「2007 アラド戦記 セリアとの懇談会」が東京・品川,NHN Japan社内の会場で開催された。イベントは招待制で,事前に申し込みのあった1500人を超える応募者から,アラド戦記のファンサイト管理者などを中心に選ばれた30名が参加した。
 当日は,韓国の開発元であるneopleから,開発プロダクトマネージャー キム・ウンサン氏をはじめとする4名も出席。単なるファン向けの感謝祭というよりは,日本のプレイヤーの要望や不満などを直接ぶつけてもらうための場という色合いが強く,後半に行われた質疑応答が最も盛り上がりを見せるという,ユニークなイベントであった。

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まずはAct.4発表のはずが……


 懇談会イベント2:30PM頃,NHN Japanゲームエンタープライズ事業部 杉浦俊輔氏による,次期アップデート「Act.4 神よ,我が祈りを…」の紹介および,このアップデートで実装される新キャラクター「プリースト」や,バランス調整された「メイジ」などを実際に操作できる,体験プレイで幕開け……のはずだったのだが,ここでイベント内容に大幅な変更が。

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 というのも冒頭で述べたとおり,来場した30名はアラド戦記のファンサイト管理者をはじめ,以前から同タイトルを楽しんでいるコアプレイヤーが中心。そのため参加者のほとんどが,10月31日から11月20日まで公開中の「Act.4テストサーバー」を体験しており,当初予定していたAct.4の発表内容以上のことを,誰もがとっくに知っているという状況だったのだ。

一応,スライドは用意されていたらしい
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 そんなわけで,Act.4に関しては「11月21日の正式実装」というスケジュールを告げるのみで終了(これも一部メディアではとっくに報じられていたらしい。どこのメディアだ,まったく)。


対戦イベントで賞品のGPUが大量放出


誰にも賞品はやらんという勢いだった杉浦氏
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 イベントはすぐさま,ゲームエンタープライズ事業部の杉浦俊輔氏とGMナゲール氏がお相手を務める,「対戦イベント」へと突入した。
 参加者のテーブルにはノートPCが一人一台ずつ用意されており,全員が好きなクラスを選んでログイン。新キャラクターやダンジョンをその場で自由に体験できたほか,杉浦氏に自分の番号を呼ばれた参加者は,「決闘場」で杉浦氏,GMナゲールとの対戦モードに挑戦できる,対決イベントが同時進行していた。

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 勝者にはその場で,Radeon HD 2400 ProまたはRadeon X1550搭載グラフィックスカードがプレゼントされるとあって,どちらも本気モード。さすが簡単にグラフィックスカードを渡す気はないらしく,最初の3戦は杉浦氏が圧倒的な強さを見せたのだが,途中からGMナゲール氏も参戦すると,途端に雲行きが怪しくなってきた。なにしろGMナゲール氏は,10月24日,25日に実施された「100人斬りイベント」で最も戦績が悪かった“最弱”GMなのだ。
100人斬りの失態を恥じ,頭を丸めたGMナゲール氏
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 この日もGMナゲール氏は全敗,杉浦氏も何度か敗北を喫し,結果的には結構な参加者が見事グラフィックスカードを手にした。GMナゲール氏の弱点は一体どこなのか? 勝利した対戦相手に質問を向けてみると「バトルメイジなので軸をずらして戦えば,どうにでもなると思うのに……」「スキルをあまり使わず,操作がおぼつかない感じがする」など,率直すぎる意見が次々と。GMナゲール氏も思わず「普段はノートPCでプレイしないので……」と言い訳がポロリ。これに反応して,多くの参加者から「ゲームパッドを使いたい」との声が出てきたため,社内から慌ててかき集めた四つのゲームパッドをめぐる争奪戦までが行われることとなった。

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日韓アラド戦記決闘大会


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 休憩をはさんで3:30PM頃,NHN Japan GEプロモーションチームマネージャーの立花正彦氏から,「日韓アラド戦記決闘大会」に関する情報が発表された。韓国では「Dungeon & Fighter」の名前でサービスされている本タイトル。立花氏の解説によれば,韓国で圧倒的な人気を誇る「StarCraft」は別格として,Dungeon & Fighterのオフライン大会はプロゲーマーも参加するなど,人気と注目度はかなり高く,過去に何度か開催された大規模なゲーム大会の中継番組は,ゲーム専門チャンネルで15%という視聴率を叩き出しているそうだ。
 賞金総額は日本円にして約240万円,イベントとしては2万人規模というDungeon & Fighter韓国予選。日本国内ではここまで大規模,かつ派手な演出のゲーム大会はなかなか開催されないため,予習も兼ねて実際に放送された試合の中継番組が会場前方のスクリーンに映し出された。
 プロゲーマー集団を多数輩出するお国柄だけあって,テレビで中継される選手達の態度のこなれていること。彼女連れで決勝トーナメントに参加する選手も多いらしく,「アラド戦記で強いとモテるかもしれませんよ」と,立花氏はさりげなく大会参加のメリットをアピールしていた。確実にモテるという保証はないが,腕に覚えがあってモテにも興味のある人は,ぜひ奮って参加していただきたい。

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 肝心の日本代表選抜についてだが,予選は12月5日〜17日の期間,日本代表決定戦は12月26日より行われる。日韓決勝戦は2008年1月を予定してはいるが,詳細は未定。日韓両国のクライアントバージョンにかなり大きな差があることを考慮して,“大会専用バージョンおよび特別ルールを用意する”のか,または“日本のバージョン”に合わせて試合ルールを設けるのかなど,まだまだ調整は難航している様子である。
 このほか,日韓アラド戦記決闘大会への同行が決まっている,「ミスアラド」候補10名の顔写真とプロフィール紹介および投票,「アラド戦記オフィシャルガイド〜戦いの軌跡編」やコスプレ用の衣装販売のPR,そして2008年春頃にはテレビアニメ化&日本での放映決定に関する発表が行われた。さらに来場した参加者全員へ「2007 Arad Loyalist」の称号と記念品の授与式が開かれ,一人ひとりにうやうやしく記念品が手渡された。

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そしてメインイベントの質疑応答へ


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 二度目の休憩を挟み,イベント後半はプレイヤーと開発者による,質疑応答の時間が設けられた。オフラインイベントにはよくある,事前のアンケートによる質問をまとめて回答するスタイルではなく,その場で担当者が答えてくれるという形式も,30名という厳選された人数だからこそできたのかもしれない。ごく一部ではあるが質疑応答の内容を紹介しておこう。

Q.
定期メンテナンス後はクライアントが重たく感じる。また,ビルマルク試験場では強制終了されやすいが,改善はいつされるのか?

A.
どちらも報告は受けているが,はっきりとした原因が不明である。改修は進めているので今後に期待してほしい。

Q.
年内に「鬼剣士」に関する調整が行われる可能性は?

A.
大規模アップデートAct.4が年内は最優先のため,鬼剣士のバランス調整はAct.5に組み込まれる予定で,2008年春頃になると思われる。

Q.
決闘場で故意にクライアントを終了させるプレイヤーがいるが,システム上のペナルティを用意しないのか?

A.
決闘場でのマナーはプレイヤー同士で作り上げ,解決していくものと考えている。故意に回線を切る行為はシステム上防げない以上,ペナルティを課す予定はない。ただし,強制追放に関しては開発としても調整中である。

Q.
夜の混雑する時間帯になると,パーティを組みにくかったりと,不具合が増える気がする。サーバー側の問題なのか,プロバイダの問題なのか知っておきたい。

A.
実は韓国にはプロバイダが事実上二つしかなく,そういった問題があまり起きない。日本には大小さまざまなプロバイダが存在することを考えると,おそらく契約されているプロバイダ側の問題ではないかと思われる。

Q.
ペット(クリーチャー)システムの日本実装はいつになるのか?

A.
韓国でもまだ方向性が固まっていない状況なので,これについては時期未定としか申し上げられない。

 さらに質疑応答は,「Part2 お客様に聞きます」と題して,開発者からプレイヤー側への質問タイムも設けられた。中には「この中でパッドを使っている人は?」「1日の平均プレイ時間は?」「ソロとパーティプレイ,どっちが多い?」など,公式サイト上からアンケートを取ったほうが,より正確な数字が取れるのでは? と思うような質問もあったが,「PCのスペックが原因と思われるようなことでもいいので,頻繁に不具合が出るエリアがあったら,今ここで教えてほしい」「自由掲示板のほうでアイテム取引が頻繁に行われているが,取引掲示板のどこが使いづらいのか,なぜ利用者が少ないと思うか教えてほしい」といった,ゲーム外のことにいたるまで,さまざまな質問が続いた。
 出てきた答えに,さらに突っ込んだ質問を飛ばすといった場面も多々見られ,プレイヤーの顔が見えないアンケートではなく生の声を聞き,より良いゲーム造りに反映させていきたいという開発スタッフの熱意は,間違いなくこのイベントを通して伝わったであろう。

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このイベントの仕掛け人にインタビュー


しゃべり出すと止まらない金在龍(Kim Jae Young)氏
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 イベント終了後,NHN Japanのプロモーション担当,金在龍(Kim Jae Young)氏にお話を伺った。

4Gamer:
 お疲れのところお時間をいただきまして,ありがとうございます。まずはイベントが無事終わった感想を聞かせてください。

Kim氏:
 イベントの進行事態はかなり不手際が目立ち,参加者の皆様にはご迷惑をおかけしました。オンラインゲームのイベントは,なかなか人が集まりにくいものですし,ましてやこんな忙しい時期になぜ懇談会を? と 私自身が思ったぐらいですから,今日集まってくださった皆さんには本当に感謝しています。

4Gamer:
 そういえば,なぜこのタイミングだったんでしょう?

Kim氏:
 もちろん,Act.4実装のタイミングというのはあります。あと,コアプレイヤーというのはアラド戦記の面白さをすでに分かってる人達ですから,正直なところプロモーションに関係なく遊んでくれます。なので今までは,新規プレイヤー獲得に向けたプロモーションを積極的に行ってきました。しかし,おかげさまでアラド戦記は現在ハンゲームでトップクラスの人気コンテンツに成長したものの,実際に皆さんがどこからどのように集まってきたのか,よく分からないのです。

4Gamer:
 広告の効果などでは?

Kim氏:
 そういったプロモーションも行ってきましたが,実際のプレイヤーの大半は別のどこかから来ているようなのです。我々は既存のプレイヤーさんのことをよく知らなかったわけですね。なので今後は積極的に,コアプレイヤーの皆さんとの距離を縮めていくためのプロモーションを進めていこうということになったのです。

4Gamer:
 ちなみに新規向けのプロモーションというのは,どういったことを行ってきたのですか?

Kim氏:
 私自身,アラド戦記のプロモーションを担当することになって初めてプレイしたとき,実は全然面白いと思わなかったんです。ところがレベル10になった頃から,段々とその楽しさが分かり始め,今では自腹で有料アイテムを購入して遊んでいます。ではレベル10に達するまでに,新規の皆さんが離れていってしまうという問題をクリアするためにはどうしたらよいのか。そのためのプロモーションをいろいろ行ってきました(参考記事)。

4Gamer:
 今日の参加者は割とアラド戦記を遊び込んでいる上級者が多いようですが,実際には1500名の応募者の中からどのように選ばれた30名なのでしょう?

Kim氏:
 抽選にはなっていますが,今回,応募者にレベル80以上で1年以上プレイしている人が多く,実際に選ばれたのもファンサイトを運営している方など,コアなプレイヤーさんが揃いました。

4Gamer:
 上級プレイヤーが多いということで,本日上映されたオフライン大会の番組なども興味深かったでしょうね。

Kim氏:
 イベント開始時に,まずGMと対決してもらったり,ムービーを見てもらったり,称号授与を行ったりすることでリラックスしてもらい,そこから懇談会に入りたかったんです。それでも最初は皆さん静かでしたが,だんだん活発に質問や不満点を述べてくださるようになって,よかったです。

4Gamer:
 参加者からの質問は,結構手厳しい内容も多かったですね。事前に用意した質問と回答を読み上げるのとは違ってどんな質問が飛び出すか分からないですから,メディアの前で行うのは勇気が必要だったのではないですか。

Kim氏:
 私達としては,普段なかなか耳に入りにくいゲームの不具合などについて,率直な意見が聞けて良かったです。シナリオからキャラ設定まですべて完成した状態でプレイヤーに提供するコンシューマゲームと異なり,オンラインゲームは小さな規模でスタートし,アップデートを重ねて完成へ導いていくものです。だからこそ,懇談会という形でプレイヤーの声を直接聞きたいと思っていました。韓国の開発者にも,韓国と日本のプレイヤーの違いをこの懇談会で見て,感じてもらい,それをゲームに反映させていいものを作ってほしかったのです。

4Gamer:
 今後もアラド戦記で,こういったオフラインイベントが開催される予定はありますか?

Kim氏:
 今回のイベントのために用意した,会場を飾りつける小道具などは,すべて今後も使用可能なように作ってあります。つまり,今後は東京以外の各地でも同様のイベントを実施していく予定です。今回1500人の応募者の中には北海道など遠方の人も多かったので,次回イベントを開催するときには,そういった地域の可能性が高いですね。

4Gamer:
 なるほど,それは全国のアラドファンにとって朗報ですね。本日はありがとうございました。


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 というわけで,新情報に期待した「Act.4」の発表会自体が省略されてしまったものの,「コアプレイヤーからの歯に衣着せぬ厳しい意見を敢えて引き出すために,さまざまな趣向を凝らした」という今回のイベントは,「プロモーションの一環でなんとなくやってみたオフラインイベント」とは異なる,作品の品質向上のための強い目的意識が感じられる,実に面白いものであった。
 最後は軽食なども用意されたが,参加者の人々は軽食より少しでもゲームで遊びたいといった様子で,参加者側からもアラド戦記への愛が感じられるイベントであった。最後はアラド戦記ワインが全員に配られ,参加者には思い出深い一日となったのではないだろうか。

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