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Intelが示す「ワイヤレスゲーム環境」の近未来
「インテル・デベロッパー・フォーラム Japan 2006」が終わり,一息ついたタイミングとなる今回は,さまざまな進捗中の案件について,説明が行われた。その中で,4Gamer読者にとって直接関係しそうなところを中心に,本稿をまとめてみたいと思う。
■ワイヤレスUSBやIEEE 802.11n
■WiMAX利用に向けての法整備が大きく進展
ワイヤレスブロードバンドの実現については,今後普及が見込まれる三つの新しい無線通信技術「UWB」「IEEE 802.11n」「WiMAX」に関して,Intel/インテルなどの働きかけによって進みつつある,日本国内における法整備の状況を明らかにした。
順に説明すると,UWBは「Ultra Wide Band」の略で,10m前後の近距離の通信を行う,いわゆる無線PAN(Personal Area Network)に分類される無線通信技術である。無線LANに比べると通信距離は短いものの,伝送速度は良く,第1世代の製品でもUSB 2.0と同じ480Mbpsを実現。そして,USBの無線版として位置づけられる「ワイヤレスUSB」が,このUWB技術を採用している。
ワイヤレスUSBは,プリンタやデジタルカメラ,HDDといった周辺機器とPCをつなぐためのインタフェースとして期待されているが,いずれ普及すればゲームコントローラでも採用が始まるだろう。
さてこのワイヤレスUSB(UWB),2006年4月の段階だとまだ法整備が終わっていないため,国内では利用できない(展示会などでは特別に免許を申請してデモを行っている)。ただし,すでに総務省が技術条件案をまとめ,一般の意見募集を開始しているという現実もあり,吉田氏は「2006年内にはワイヤレスUSB対応製品が登場するだろう」との見解を示していた。
無線LANを使ったことがある人は,無線LANアダプタにアンテナが取り付けられていたり内蔵されたりしているのを体験的に知っていると思うが,11nでは,データの伝送速度を高めるため,送信/受信側それぞれに複数のアンテナを用意し,データを“束ねて”送るMIMO(Multiple Input,Multiple Output)技術が採用されている。
このため,11nではアンテナの本数などによって伝送速度が変わることになるが,最低でも65Mbpsと11a/gより高速化され,最高では600Mbpsという速度が実現される。通信距離は数100mが確保され,さらに,11a/gと同じ周波数帯域――5.2GHzあるいは2.4GHz帯――を利用し,11a/g対応の無線LAN環境と互換性があるのも特徴である。
11nの仕様は2006年1月にドラフト(草案)が採択され,ほぼ固まっている状態。すでに無線LANチップメーカーが対応チップのサンプル出荷を開始しているほか,Intelも2007年春に登場予定の次世代モバイルプラットフォーム「Santa Rosa」(開発コードネーム)では11nをサポートする予定になっている。
日本国内でも,情報通信審議会において審議が始まっており,2006年9月頃に答申が出され,関係規定の整備が行われる予定という。
11n自体がゲーム環境を劇的に変えることはないだろうが,2007年春以降,ネットワーク接続速度が上がると,ノートPCはより便利になりそうだ。
最後のWiMAXは,無線LANよりも広いエリアをカバーする,いわゆる無線MAN(Metropolitan Area Network)の一種。通信距離は2〜10Km程度と,非常に広い。
WiMAXは,固定通信が前提の“無印”WiMAX(規格番号:IEEE 802.16-2004)と,時速120Kmの高速移動環境でも利用できるモバイルWiMAX(IEEE 802.16e)に大別できるが,いうまでもなく本命はモバイルWiMAXだ。
WiMAX/モバイルWiMAXは,Intelなどが中心となって結成された「WiMAXフォーラム」で相互運用性などの検証が行われている。国内では「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」によって,2.5GHz帯でWiMAX/モバイルWiMAXを利用する方向で提案が行われており,それを受けた総務省が,情報通信技術分科会の下に「広帯域移動無線アクセスシステム委員会」を設置し,WiMAX/モバイルWiMAXの技術的条件の審議を開始しているところである。 これから,2006年11月頃に答申が出され,関係規定の整備が行われる予定。2007年には対応製品が登場する予定で,2008年以降になれば,4Gamer読者の多くがモバイルWiMAXの恩恵を受けられるようになってくるのではなかろうか。
■数年後には,UMPCでオンラインゲームを
■快適に遊べるようになる!?
UMPCとは,PDA以上,A5ノート以下のサイズをターゲットにしたPCのこと。「サブノート」などと呼ばれる小型ノートPCでは,消費電力の目安となるTDP(熱設計消費電力)が5W程度のCPUを採用しているのに対し,Intelが理想とするUMPCを実現するためには,TDPを現状の10分の1となる0.5W程度まで下げる必要があるとした。
UMPCの位置づけや,目標とする熱設計電力の値を示したスライド |
そこでIntelは,UMPCが成長するための条件の一つとして「ゲームが十分に楽しめること」を挙げていた。PCで楽しんでいるゲームが,そのままUMPCでもプレイできれば,ちょっとした空き時間にレベルを上げをしたり,ユーザー同士でUMPCを持ち寄ってオンライン対戦を行ったりといったように,ゲームの世界はさらに広がることになる。
もちろん,今すぐにTDP 0.5WのCPUを搭載したUMPCが登場するわけではない。阿部氏は,UMPCの発展を3フェーズで考えていると語った。
1stフェーズでは,ノートPC用のCore SoloやPentium Mを使うことになるので,TDPはかなり大きくなり,いきおいバッテリー駆動時間も長くなる。「Intelとしては,中途半端なものは出したくない」(同氏)とのことで,1stフェーズにおいて,国内の主要PCメーカーからUMPCが出てくるには,もう少し時間がかかりそうだ。
だが,次の2ndフェーズでは,UMPC専用に設計された低消費電力のCPUが登場するという。TDP 0.5Wという水準は,このフェーズで実現される見通しとなっており,時期としては2008〜2009年あたりが想定されているとのことだった。3rdフェーズは,その先にあるさらなる進化を指しているようだ。
UMPCでゲームを快適にプレイするためには,CPU性能だけでなく,グラフィックスチップの性能も重要になってくるとは思われるが,そのあたりについても,Intelは積極的にUMPCを推進していくとしていた。
先ほどから将来の話が多く,ピンと来ない人も少なくないと思うが,「手のひらサイズのPCで,どこからでもオンラインゲームをプレイできる」時代は,そう遠くない未来にやってくる可能性がある。そして,その可能性は,決して低くないのである。
■デュアルコア販促キャンペーンの第2弾が開始に
阿部氏と同じく,マーケティング本部長の江田麻季子氏が,販促キャンペーンについて説明を行った。
2006年4月30日まで行われる第1弾キャンペーンに続き,2006年5月19日から8月31日まで行われるキャンペーンでは,リテールパッケージ版のIntel製デュアルコアCPUを購入すると,抽選でさまざまなプレゼントが当たるとのこと。賞品にはデジタル家電やオリジナルグッズが用意されているが,目玉は,同社がF1チーム「BMW Sauber」のスポンサーであることから実現した「F1日本グランプリへの招待」。ドライブシムやレースゲーム好きなら,要チェックといえるだろう。(石井英男)
5月19日から開始されるデュアルコアCPU販促キャンペーンの第2弾。デュアルコアCPUを購入して応募すれば,抽選でF1日本グランプリへの招待をはじめとする豪華賞品が当たる。ちなみにキャンペーンサイトはhttp://www.info-event.jp/dual-core(2006年4月27日時点では,第1弾キャンペーンが開催中) |
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