「N95規格ではなかった」Razer製ゲーマー向けマスクの返金対応が米国で始まる

　米国連邦取引委員会（Federal Trade Commission 以下，FTC）はこのほど，Razer製ゲーマー向けマスク「Razer Zephyr」の購入者に対する返金対応を開始したと発表した。FTCによると，マスクの購入者は6764人で，返金の総額は100万ドル（約1億5000万円）となっている。

Razer Zephyr

　Razer Zephyrは，2021年にRazerが発表した製品で，本体に内蔵する小型ファンを使って空気を取り込んで，口元から排気する換気機能を備えているのが特徴だった。吸気を行うファン部分が目立つ外観デザインに加えて，LEDイルミネーション機能による派手な見た目はインパクトが強く，発表当時は大きな話題を集めた。


　問題となったのは，Razerが本製品に装着する交換用フィルターに対して，「N95 Grade Filter」と謳ったことにある。N95とは，米国国立労働安全衛生研究所（National Institute for Occupational Safety and Health 以下，NIOSH）が定めた規格だ。0.3μmの微粒子を95％捕集する能力が求められ，マスクにN95と表記するには，NIOSHによる検査をクリアする必要がある。

すでに削除されてしまったRazer Zephyrの製品情報ページには，「N95 Grade Filter」との表記があった

　ただ，FTCによると，Razerは，NIOSHや米国食品医薬品局（Food and Drug Administration）に対して，検査を要求した事実はなく，N95の認証を受けていなかったという。これにより，米国司法局とFTCは，Razerに対する訴訟を起こし，2024年4月には，Razer Zephyr購入者に対する返金と10万ドルの罰金をRazerがFTCに支払うという和解案が提示されていた。

　FTCによると返金は，小切手やPayPalで行うとのことで，対象者に連絡しているそうだ。

FTCのプレスリリース（英語）