テストレポート
往年の名機+最新センサー。「Diamondback 3G」ファーストインプレッション
今回4Gamerでは,Diamondback 3Gの実機をRazerから入手し,同社にいくつか事実関係を確認しながらしばらく触ってみたので,まずはファーストインプレッションをお届けしたいと思う。
従来製品と同じ型で,最終処理が異なる外観
そしてDeathAdderとまったく同じセンサーを採用
ちなみに,マウスケーブルを含めた本体重量の4Gamerによる実測値はDiamondback 3Gが122g,旧Diamondbackは126g。センサーを含む内部構造の変化は,微妙に重量へ影響を与えているようだ。もっとも筆者には,4g程度の違いは体感できなかったが。
旧Diamondbackでは,左右2個ずつ用意されるサイドボタンが,実質的に「それぞれ1個の大きなボタンがあって,その両端にスイッチがある」という特殊な設計となっており,これが物議を醸した。しかし前述のとおり,同じ鋳型から作られていることもあって,この点に新製品で変更はない。つまり,片側の端にあるボタンを押そうとして,結果両方とも反応してしまうといううっかりミスは,残念ながら新モデルでも十分発生し得るということだ。このあたりは,古い設計の限界といえそうである。
第3世代赤外線センサーと聞いて,「Razer DeathAdder」(以下,DeathAdder)で採用され話題となったのを憶えている人も多いだろう。このセンサーに関してRazerは「Diamondback 3GとDeathAdderではまったく同じセンサーを採用する」と説明する。Razer DeathAdderだと,1800/900/450dpiの3段階をソフトウェア的な補完なしに実現するのがウリだが,Diamondback 3Gの800dpiも同じで,あくまでハードウェア的に実現されているとのことだ。
全体としてハードウェアは,当初の予想以上に旧Diamondbackの特徴を強く残している。24刻みのチルトなしスクロールホイールはまったく同じものではないかと思うほどで,旧Diamondbackのユーザーなら,形状や操作に違和感を覚えることはまずないのではなかろうか。部品の発熱で,長時間使っているとほんのり温かくなってくる点は少々気になったが,このあたりは慣れの問題かもしれない。
なお,新旧Diamondbackの主なスペックは以下のとおり。
基本的には「いつもの設定項目」だが
いくつか特徴的な部分も
設定に当たっては,一番上にある「SENSITIVITY」「SCROLL WHEEL」「BUTTONS」のタブを切り替えると,センシティビティ&ダブルクリック,スクロールホイール,ボタン割り当ての設定に入っていける。また,解像度設定がセンシティビティの「Advanced」メニューに移るなど,初見での分かりにくさはずいぶん解消しているようだ。そもそもポーリングレートの設定項目がなかったり,プロファイルの概念もなかったりと,どちらかといえばエントリーユーザー向けの雰囲気を持つコントロールパネルだが,逆にそれが,取っつきやすさにつながっている。
また注目したいのは,旧Diamondback同様,アップデート対象がドライバソフトウェアだけになっており,ファームウェアをアップデートするような仕様にはなっていない点だ。純粋に従来製品と合わせたのか,エントリーユーザーを想定した結果なのかは分からないが,初めてRazer製マウスに触れるような人にとってハードルの高いファームウェアアップデートが省略されているのは,相応に意義がある。
標準設定を行っているうちは問題ない一方で,一歩踏み出そうとすると途端に難度の高くなるSENSITIVITYの「Advanced Sensitivity Settings」メニューが持つ,何をしていいのか分からない感じは相変わらずである。いきなり「Master Sensitivity Control」「Master Accel Control」「Master Windows Control」と言われても,普通はまず分からない。
Diamondback 3Gで初めてゲーマー向けマウスに触れるなら,まずは標準設定のまま使ってみることを勧めるが,もしいろいろ設定してみたくなったら,以下の順で設定してみるといいだろう。変更したら「Apply」のクリックをお忘れなく。
- メニュー下部にある解像度設定から800/1800dpiのいずれかを選択
- Master Windows Control(※これはWindowsのコントロールパネルにある「マウス」から設定できるポインタの速度と100%連動する)で,ベースとなる感度を設定する。迷ったら中央がオススメ
- マウスポインタの加速が気になるなら,Master Accel Controlの「on」にあるチェックを外す(これで加速がオフになる。上のスクリーンショットではチェックが入っているので要注意)
- マウスパッドの形状が理由などで,縦横の感度を個別に設定したい場合は,Master Sensitivity Controlの「on」をチェックして,「X-AXIS」(X=横軸)「Y-AXIS」(Y=縦軸)を変更
また,非常に残念なのは,ウリの一つであるはずのプログラマブルマクロ機能が,それ自体の使い勝手の悪さと,ゲームごとの設定が行えないという二つの問題により,おそらくほとんど使い物にならないこと。まあ,競技性の高いアクションゲーム,あるいはオンラインゲームではマクロは禁止されることが多いので,現実のゲームプレイにおいてはそれほど問題にならないような気もするが。
あとこれはドライバのアップデート待ちだが,Version 1.00ドライバだと,On-the-Fly Sensitivityに関するボタンの割り当てを解除しても有効のままになってしまうなど,いくつかおかしな点が見られた点は,付記しておきたい。
利き手を選ばないのゲーマー向けマウスとして
間違いなく貴重な,現役の選択肢
というわけで,スペックやソフトウェア的な実装は,上でも何度か指摘したように,若干エントリーユーザーの方向を向いているといってよさそうだ。いくら人気製品の復刻版でも,同社の最新世代製品であるDeathAdderやLachesisといったあたりに,真っ正面からぶつけるわけにはいかなかったのかもしれない。DeathAdderが登場したときに世界中の“左手使いゲーマー”から寄せられたという,両手対応マウスの新型という要望に,Razerなりにできる範囲で応えた結果ともいえそうである。
本稿の立ち位置的に,使い勝手の深い部分までは踏み込まないが,旧Diamondbackの“つまみ方”に慣れている人なら,移行に戸惑うことはないだろう。このあたりは,同じ型から起こしているだけのことはあると感じた。
2007年10月17日時点の実勢価格は7000〜8000円程度。ここまで機能面を絞ったのなら,もう少し安価でもよかったと思われ,その点だけが残念だが,かつてDiamondbackに惹かれた,あるいは愛用していた人にとっては,間違いなく意味のある復刻版だ。
では,最新世代のマウスとしてはどういった価値があるのか。踏み込んだ使い勝手については,もう少しテスト期間をもらってから,あらためてお伝えしたいと思う。
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