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2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー
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印刷2007/12/28 20:14

インタビュー

2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー

本インタビューでのゲーム画像は,一部をのぞき第一次プレオープン以前のもの
画像集#022のサムネイル/2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー
 2007年10月11日に正式サービスが開始されるはずだったMMORPG「三國志 Online」。しかし開始まで一週間を切った10月5日,突然の正式サービス延期が発表され,多くのプレイヤーは驚かされただろう。後日,本作の開発プロデューサー 上野 彰三氏による告知が公開され,また11月には,第二次プレオープンの開始時期が2月になることが発表されるとともに,実装される新要素が公開されている。

 今回,開発地であるシンガポールから上野氏が帰国していたという情報をキャッチ。かなり無理矢理スケジュールをねじこませてもらい,ぜひ三國志 Onlineの現在と今後について聞いてみようと,運営プロデューサー 松本 秀氏と共に,ロングインタビューを行った。明日シンガポールに帰ります,という直前で時間がもらえたので,ここにお送りしよう。
 延期決定は,コーエーとしてどのような判断により決断されたのか。そして,第二次プレオープンからの三國志 Onlineはなにが,どのように変わるのだろうか。


突然の延期発表。コーエーの看板タイトル「三國志」だからこその決断



4Gamer:
 忙しいさなかにお時間をありがとうございます。本日はよろしくお願いします。
 まずお聞きしたいのは,もちろん例の件です。プレオープンが順調に実施され,いざ正式サービス/製品版の発売直前というところで,なぜ延期ということになったんですか? 改めて聞かせてください。

(左)運営プロデューサー 松本 秀氏
(右)開発プロデューサー 上野 彰三氏
画像集#007のサムネイル/2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー
上野 彰三氏(以下,上野氏):
 様々な議論があったのですが、やはりコーエーの「三國志」シリーズとして,もっと三国志らしいところを入れていくべきではないかという話がありました。

4Gamer:
 それは上野氏の意見としてですか? それともプレイヤーから?

上野氏:
 私もそうですが,プレイヤーや社内からの意見もありました。そこで,2月の第二次プレオープンでは,三国志らしいフィーチャーが追加されます。

4Gamer:
 いわゆるコーエーの考える三国志らしいものですか。

上野氏:
 そうですね,とはいえ三国志らしいという定義は難しくて,社内でも三国志といえばこれだろう,あれだろうと意見が飛び交っています。どれを実装していくか,そのあたりの力の掛け具合が難しいです。

4Gamer:
 三国志ファンそれぞれが,さまざまな三国志観を持っていますからね……。ところで,「信長の野望 Online」(以下,信On)や「大航海時代 Online」も割とその傾向はありますが,三国志という世界設定は,歴史物とファンタジーの中間にあると思っているんですが,そのあたりはどうお考えでしょう?

上野氏:
 そうですね。三國志 Onlineでは,三国志の時代の人々が信じていたであろうものを「ファンタジー」要素として取り入れています。街のそばは普通の状態で,奥地やダンジョンに行くほど中国系のファンタジー色が強くなるというのが,基本的な設定です。

4Gamer:
 その辺を踏まえて,もう少し三国志らしくしたほうがいいんじゃないかというのが,あのドタバタの真相ということですか。

上野氏:
 皆様にお伝えするまで,社内でも非常に熱い議論が交わされました。

4Gamer:
 正式サービスを,プレイする気まんまんだったプレイヤーから見れば,「ええ!?」という感じでしたし。

画像集#001のサムネイル/2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー
松本 秀氏(以下,松本氏):
 実際には,ゲームとして満足しているから早く初めて欲しいという,プレイヤーからのご意見もたくさんいただきました。その意味では,そのままサービスを始める選択肢も考えてはいました。しかし開発として,コーエーのタイトル「三國志」を背負っているわけです。そこで,もっと三国志らしさを出したほうが良いのではないかという意見があり,我々はこの段階で満足してはいけない,もっと大きな視点で,三國志という看板を背負い,オンラインゲームでも成功を納めなければならない。そう思った次第です。
 この判断のもと,開発・運営で意見をすり合わせ,さらにもう少し手を入れて,三国志が好きな人を含めて,より多くの人が満足できるようなところまで開発を進め,きちっと提供しようということで,サービス時期の変更が決定しました。

4Gamer:
 なるほど,コーエーとしては,あの時点での三國志としてのクオリティで満足することはできなかったわけですね。しかし,例えば一度正式オープンした後に,パッチでアップデートしていくという選択はなかったんでしょうか。オンラインゲームの特徴であり,最大のメリットだと思うのですが。

上野氏:
 たしかにメリットでありますが,はたして,いまこの段階で正式に出して良い物なのか,さらにクオリティを向上させた状態をお見せしてから,正式サービスを始めた方が良いのではないのかという思いが強かったということです。

4Gamer:
 なるほど。

上野氏:
 ですので,今回は少し期間をいただいて,しっかりと作りこむことを決定したわけです。逆に,サービスをスタートしていた場合,最初のスタート期間はなかなか大きな部分に手を入れることができなくなります。つまり,今回が三國志 Onlineを,良い物に仕上げるための最後の機会だと判断しました。

4Gamer:
 たしかにパッチで済ませてしまうと,大きな変更が可能なのは拡張パックのタイミングだけになってしまいますね。
 では,先ほどから上野さんの口から聞こえている「三国志らしさ」とは何を指しますか? 例えば,世界観やゲームシステム上の演出など色々な方向性があるわけですが。

上野氏:
 まず,新しく実装したものでは,ゲームシステムとして“三国制覇”があります。今までも合戦がありましたが,一つ一つの合戦は独立しているものでした。三国制覇では,領土を取り合うという形で,状況が続いていく戦いになります。前回の戦いの結果がこうなって,今回はこう,そして次回はこうなる,そして最終的にどこの勢力が勝って,負けるのかというものを表したいです。このような,大きな合戦システム全体を統括するものが三国制覇です。
 もう一つ,大きな要素として“客将”というものを入れます。これまでは1つの部曲に関係する武将は,1勢力あたり7人しかいませんでしたがそれを拡張して,プレイヤーが作った部曲(ギルド/クラン)に三国志の様々な武将が,あるキッカケで客将として登場し,合戦場で助けてくれるなど,プレイヤーと武将が触れ合える機会を増やしたいと思っています。

4Gamer:
 確かに「らしさ」という意味では,システム的に大きな変更ポイントになりますね。

上野氏:
 この客将は,最初は主に合戦場での要素ですが,この客将と部曲の関係を入れることで,今後いろいろな関わり方を増やせると思っています。三国志が好きな方は,いくつか頭に思い浮かぶと思いますが,そういったものをゲーム中に入れようかと思っています。

4Gamer:
 プレイヤーからの要望を反映した形ですか?

上野氏:
 プレイヤーの皆様からは,三国志らしさだけではなく,プレイアビリティの向上に関しての要望が多かったです。

4Gamer:
 ちょっと中途半端な操作性は私も感じていましたが,ある程度のスペックがあれば,合戦などでほとんどカクつかないのは凄いですよね。あれはあのままですよね?

上野氏:
 クライアントについては,最初の第一次クローズドβテストから比べると,クオリティアップだけでなく,いかにラグが発生しないようにするかということを,ずっと続けてきた結果です。あれはもちろんそのまま残りますよ。

三国志といえば中国。中国といえば,パンダと“ファンタジー要素”のキョンシーは外せない。1980年代には,日本でもキョンシーブームがあったのですよ!
画像集#032のサムネイル/2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー 画像集#031のサムネイル/2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー


正式サービスに向けて重要視される“三国志らしさ”



4Gamer:
 では,先日発表された要素について,それぞれ可能な範囲で聞かせてください。まずは,三国志の世界観の強化とは?

画像集#004のサムネイル/2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー
上野氏:
 世界観の強化の中では,さきほど出てきた“三国制覇”と“客将”のシステムです。あと,初期の導入クエストを見直しました。

4Gamer:
 どのような変更でしょうか?

上野氏:
 三国志でおなじみの,あんな人や,こんな人が登場します。

4Gamer:
 名前は聞かせてもらえそうにないですね(笑)。しかし確かに,初期村のクエストは地味ではありました。桃取ってこいとか猪狩ってこいとか,あんまり三国志らしくない。いや,桃は三国志らしいかな?

上野氏:
 初期の村やクエスト辺りは違った形になります。単に名前とかアイテムが変わるのではなく,コンテンツとして変わっていく感じです。

4Gamer:
 どういったものでしょう。

松本氏:
 強い“三国志”色を求められている方もいらっしゃるので,敵との関係や村の状況を,物語の中にどう位置づけるかを,前よりも分かりやすくします。本作の世界に入りやすくしたい,という一環ですね。

上野氏:
 第一次プレオープンまでは,水鏡村は三つの勢力に挟まれて無風状態でしたが,ちょっと風が吹きます。

4Gamer:
 確かにあそこは完全に無風でしたよね。でも三国しかないので,「風」が入ると危険かなとも思うのですが。……その「風」はどの辺から吹いてくるんでしょう。

上野氏:
 三国志を想像すると,まあ……出せるものはあまり残っていないですよね(笑)。

4Gamer:
 三国のどれかではないと思うのですが。

上野氏:
 三國志 Onlineは,三国志のある特定の年代だけではなくて,三国志の時代をまとめて作っているので,大体の想像をしていただきたいかなと思います。三国志を知らない方には,なんのことか分からなくて怒られそうですね,すみません。

4Gamer:
 なるほど。一つか二つしか候補がなさそうですが。勅命とか受けられるんだろうか……。

上野氏:
 詳しくはご期待くださいということで勘弁してください(笑)。また,これまで軍略はレベル16からで,勢力に入らないとできませんでしたが,そこも変更します。

4Gamer:
 最低レベルを下げるということですか?

上野氏:
 はい。下げたり,条件を変えたりです。割と早い時期に2〜3人でプレイできる楽しみにしたいと思います。

4Gamer:
 お,それはいいですね。
 三國志 Onlineも一種PvP――というよりRvR?――のゲームなので,この手のタイトルが抱える弱点である“弱き者は不要”という風潮は否めませんよね。もちろん,システム上それは当たり前ではありますが。
 例えば「Dark Age of Camelot」などではレベル20台のRvRエリアがありますが,このようなレベル制限の戦場は考えていますか?

上野氏:
 低いレベルでの合戦などは考えています。システム的には難しいことではないですし,実現の可能性は高いでしょう。

4Gamer:
 低いレベルでの合戦となると,スキルバランスの微調整が必要じゃありません? ……ってそうか,Lv20がリミットだったプレオープンを前提に話してるからおかしいのか。

上野氏:
 ええ,実際はそうでもないと思います。
 すでにプレオープンではレベル20までで合戦をやっていますので。恐らくLvが20以上になると,スキルバランスの中で影響が大きいのは,投射系でしょうね。あとは,NPCや攻城兵器関係の制限が変わってきます。

旅立ちの場所,水鏡村に吹く「風」とは? どのようなクエストになるのだろうか
画像集#015のサムネイル/2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー


中国全土の勢力マップを塗り替える“三国制覇”



4Gamer:
 ではおそらく「核」になるであろう三国制覇ですが,どのような感じに仕上がるんですか? RvRの領土戦という感じでしょうか。

上野氏:
 領土戦……というよりは,フロントラインのせめぎあい,いう感じでしょうか。魏と蜀,蜀と呉,呉と魏という形で戦争になり,合戦をして,領土を取って広げていく感じです。

4Gamer:
 領土を取ることによるメリットはなんですか?

上野氏:
 国力が上がるので,その国に対して何か良いことがあります。

4Gamer:
 それは,戦争に参加していなくても受けられる恩恵ですか。

上野氏:
 そうです。逆にいえば,合戦の結果だけではなく,普段の冒険,戦闘,生産などが合戦にフィードバックされ,その結果,合戦場の初期状態が変わっていきます。

普段のプレイが,どのように合戦に関わっていくのだろうか
画像集#014のサムネイル/2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー 画像集#012のサムネイル/2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー 画像集#017のサムネイル/2月に再スタートする「三國志 Online」は,第二次プレオープンでどのように変化するのか。コーエー上野氏/松本氏にロングインタビュー


4Gamer:
 ええと,つまり,戦場に行ったプレイヤーだけ手にできるメリットがあって,戦場に行ってないプレイヤーには関係がないというものではないわけですね。

上野氏:
 ええ,逆に合戦に行かなくても,合戦に影響を及ぼすことができます。また,合戦は前線に立たなくても活躍できるので,今回はそれらの結果も見られるようにしようと思っています。

4Gamer:
 どういった結果でしょうか。

上野氏:
 合戦のときにこれだけ物資を拾っていたとか,回復していたとか,後衛の人は自分の果たした役割が見え辛かったと思います。そこで,建物を建てたとか,攻城兵器で攻め込んだとか,合戦に関わるあらゆる所に対して,これくらい頑張っていただきました,と公開しようかなと思っています。

4Gamer:
 なるほど,ヒーラーをやっているとその気持ちがよく分かりますね。例えば,どれだけ回復をしたとか表示してくれると楽しそうです(笑)。

上野氏:
 項目は検討中ですけれどもね(笑)。

4Gamer:
 縁の下の力持ちが分かるといった感じですね。

上野氏:
 はい。合戦をいろんな角度から見ていただこうと考えています。

松本氏:
 三国志の世界観を強めるというのにも関係があるのですが,魏・呉・蜀を取り上げるわけですから,やはり自分の所属する国に思い入れを持っていただきたいです。それに,システム的な面白さを考えて,三国制覇というものが出てきました。
 部曲からのつながりを含めて,普段の日々の生活から合戦,結果に至るまで一本筋が通ったものにし,何をしても,どこにいても,世界の影響に繋がっていく。そんな世界を感じられる形を出していきたいと思います。

4Gamer:
 それは生産やクエスト活動なども影響があるのでしょうか。

上野氏:
 ええ,そんな形でも,世界に関わっていただけたらいいなと考えています。

4Gamer:
 そうなると生産大好きっ子(?)も大喜びですね。しかし,どんな感じで考えてます?

上野氏:
 うーん……,それはもう少しお待ちください(笑)。言えるのは,やるべきことはやる世界ですね。

4Gamer:
 何やら難しいですね。当たり前だと思いつつ聞くんですが,国に属さないと参加できないものですか?

上野氏:
 三国制覇については,やはりいずれかの勢力に属していただきたいです。ただ前回のプレオープンで,一度勢力に入ったら,もう変更できないのではないかということを不安に思われるプレイヤーの方がいらっしゃいましたので,それに関してはちょっと考慮したいなと思っています。いつ,どんな時でも他の国に移籍可能というわけにはいかないのですが。

4Gamer:
 それ相応の何かが必要とかですか? クエストとかデメリットとか。

上野氏:
 この時期ならいいのではないかという感じです。

4Gamer:
 なるほど,時期の問題ということですね。

上野氏:
 三国制覇は,半年間を目安に勝ちを争っていただくのですが,その後にちょっとお休みの期間があります。第二次プレオープンが始まって,正式サービスが始まり,その先に三国制覇をスタートさせたいのですが,それまでの間などには移籍期間を考慮したいです。

4Gamer:
 なるほど。三国志らしさを強調していたので,国を変えるということは「寝返り」といった感じで,それ相応のクエストやペナルティ,メリットがあると面白そうだなと思いました。

上野氏:
 将来的にはそういうことも考えられますが,最初の段階では三国制覇の期間は同じ勢力で戦っていただきたいと考えています。これは三国志らしさの強調と,ゲームとして成り立つのかという境目になるので難しいところです。例えば,魏が勝ってしまいそうなので,みんな魏に移動しましたでは,……これも,一つのゲームの結果でしょうけど,それじゃ次が続きません。次の合戦が始まりますが,全員魏です。三国は統一されましたみたいになってしまいます(笑)。

4Gamer:
 いわゆる勝ち馬に乗るというやつですね。理論上,統一することはできるんですか?

上野氏:
 今回は統一という言い方ではなくて,最大国力を持っているところが最終的に大陸を制覇していく形にしていきます。
 
  • 関連タイトル:

    三國志 Online

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