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OCZ,“オール自社設計”のSSD「Vector」を解説。ランダムアクセス性能と継続書き込み性能の高さを強調
都内で行われた説明会には,OCZでマーケティングを担当するJohnny Prenston(ジョニー・プレンストン)氏が来日し,Vectorの製品紹介と製品デモを行ったので,今回はその内容をまとめてお伝えしてみたい。
OCZ初の「オール自社設計&製造」SSDとなるVector
ラインナップは容量128GB,256GB,512GBの3モデルで,販売代理店想定売価は順に1万3500円前後,2万4400円前後,4万9000円前後。PCパーツショップ店頭などでは11月30日(つまり本日)発売予定となっている。
OCZが韓国のSSDコントローラメーカーだったIndilinxを買収したのは2011年のことだ。また同社は,ブリッジチップメーカーとして知られる英PLX Technology(以下,PLX)に属していた開発チームの一部も同年に買収しているのだが,「Barefoot 3の開発にあたって,Indilinxがファームウェアを担当し,元PLXのメンバーがLSIの設計を担当している」とPrenston氏。
氏は,OCZの従来製品を振り返りつつ,「Vectorは,OCZとして初めて自社で(メモリチップ以外の)すべてを設計し,製造したSSDになる」とその製品の意義を強調していた。
そのBarefoot 3について,説明会ではスペック面で若干踏み込んだ解説が行われた。
氏はWrite Amplification(ライトアンプリフィケーション)について詳細に説明していなかったので推測込みだが,SSDというものは構造上,できるだけ書き込み量を減らすことが望ましいデバイスである。しかし,SSDを効率的に運用するには,さまざまな理由で,どうしても書き換え回数が増えがちだ。そして,「必要最小限な書き込み量に対する運用上の書き込み量の比」がWrite Amplicationと呼ばれ,性能の目安の1つとなっているのだが,おそらく氏は,賢いガーベッジコレクションや内部アルゴリズムで書き込み回数が低減したことを,「低いWrite Amplicationを実現した」と表現していたのだろう。
ちなみにOCZは,そんなフラッシュメモリ周り専任プロセッサに「Aragon Co-Processor」(アラゴンコプロセッサ)という名を与えている。Cortex-A9×2に加えてAragon Co-Processorがあるのではなく,Cortex-A9の片方にそういう名前がついているだけなので,3コア仕様というわけではない。この点には注意してほしい。
上のスライドにも書かれているが,メモリチャネルは8本で,チャネルあたり8個のChip Enabler(CE,チップイネーブラ。NANDフラッシュセルを選択する信号のこと)をサポートできるので,最大で64CEのフラッシュメモリを搭載できる仕様だ。
キャッシュメモリインタフェースはDDR2/DDR3 SDRAM両対応だが,VectorではDDR3を搭載しているとのこと。Vectorにおけるメモリクロックは1600MHz相当(PC3-12800相当)だそうだ。
容量128GBモデルと同256GBモデルだとキャッシュメモリ容量は512MB(4Gbitチップ×1),同512GBモデルだとキャッシュメモリ容量は1GB(4Gbitチップ×2)確保されているという。
最近ではNAND型フラッシュメモリとしてToggle DDRタイプを採用するSSDも他社から登場してきているが,「Toggle DDR対応フラッシュメモリを生産する2社のうち,東芝は,主な供給先がSanDiskだ。もう1社のSamsung Electronicsは自社で使っているため,どちらも供給が安定していない」(Prenston氏)ため,OCZでは採用を見送ったとのことだった。
新コントローラの採用により,強力なエラー訂正やガーベッジコレクション能力を獲得したことで高い耐久性を確保できたとして,Vectorでは5年保証が謳われているのも特徴だ。示されたスライドだと「書き込み量が36.5TBに達するまで」とも書かれているが,「ユーザーが実際にどれだけ書き込んだかを調べる方法がないため,仮に36.5TBを超えても,5年間保証は有効」とPrenston氏は語っていた。
現時点で最高クラスの性能が謳われるVector
序盤でスペック値を示したが,説明会でPrenston氏は,下に引用したスライドでライバルとの性能比較を行った。
容量128GBクラスだと,OCZの従来製品「Vertex 4」と比べて性能が落ちているようにも見えるが,「我々はシーケンシャルライトよりランダムライトがはるかに重要だと考えている」(Prenston氏)とのことだ。OCZとしては,Vertex 4よりも高い性能を持つという認識だという。
また,競合製品との比較でも,「エラー訂正のパフォーマンスを向上させたことが効いている」ため,ランダムライトは総じて高い水準にある。
容量256GB&512GBモデルのところでPrenston氏はランダム読み出しについて触れ,「Vectorに匹敵するのは『SSD 840 PRO』だけだが,この製品はToggle DDRを使っているため高価だ」(Prenston氏)と述べ,高価なNANDフラッシュを使わずに高い性能を実現したVectorのほうがより高い価格競争力を持つとしていた。
次に,「AS SSD Benchmark」を用いたスコアが下のスライドだ。「どういう方法で算出しているのか分からないが,リードライトの総合スコア(注:Scoreの欄)は他社のSSDだと1300とかその程度だ。Vectorは2055をマークしている」(Prenston氏)。
下の写真は,ディスクの使用率が100%になるまで書き込みを続けながら,「IOMeter」を使ってIOPS(I/Os Per Seconds)を計測したときのもの。左がスタート時,右が終了時で,数字だけ見ると大きく低下しているのだが,Prenston氏は「それでも7000 IOPS台を維持している」と,持続性能の高さを強調していた。
現在,市場ではSamsung Electronicsの「SSD 840 PRO」とPhilips&Lite-On Digital Solutionsの「Plextor M5 Pro」が高性能SSDの代名詞的に扱われているが,スペック値やデモを見る限り,Vectorにもかなりの期待をしていいのではなかろうか。新型SSDとして要注目の製品であることは間違いないだろう。
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OCZの2.5インチSSD製品情報ページ(英語)
アスクのOCZ製品情報ページ
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