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「Vanguard」のスクリーンショット集を掲載――久々到来の,色々な意味で“本格派”のMMORPG
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印刷2007/02/09 23:22

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「Vanguard」のスクリーンショット集を掲載――久々到来の,色々な意味で“本格派”のMMORPG

 というわけで,コアな欧米MMORPGファン待望の「Vanguard: Saga of Heroes」の登場だ。延期に次ぐ延期,パブリッシャの変更など,幾多もの困難を無事乗り越え,この1月30日に,ようやく製品版として姿を現した。元々の開発スタッフがEverQuest1(暫定で「1」と呼ばせていただきたい)のメンバーで構成されている,由緒正しい血統としての「正当派」(?)ともいえるEQ続編となる。

 EQ1,EQ2,DAOC,SWG,WoW,DDO,Vanguard,LotR……おそらくコアゲーマー達が興味を持つ欧米MMORPGは,一定のカラーを持った作品で統一されていると思われる。筆者も,仕事を離れたプライベートではまったくそれと同じ軌跡を辿っており,やっと2月3日にVanguardのパッケージを入手,ヒーラーを作ってノンビリと遊んでいるところだ。

 まだキャラクターがLv12程度で,Vanguardの全貌の極一部しか見られていないが,なんというか,至るところに欧米産の“匂い”があって,個人的には大変好ましい。正式サービス開始当初に果てしなくゲーム内仕様が変わっていったり(Nerf[弱体化]など日常茶飯事だ),至るところに即分かるバグが残っていたり,ごく当たり前にサーバーが突如落ちたりといった,サービスイン直後の恒例行事も,なんだかとても懐かしい。ここ最近の,「サーバーは落ちなくて当たり前」「仕様が変わったら運営にクレーム」「強いクラスはどれなのか教えてほしい」といった雰囲気が漂うオンラインゲーム業界を見ていると,こちらになんともいえない変な安心感と居心地の良さがあるのは,筆者がもうロートルだからだろうか。
 しかしおそらく,いま日本でVanguardを遊んでいるプレイヤーはみんな似たようなものなんじゃないかと勝手に思い込んでいる。というより,そうでなければこのゲームは遊べないだろう。

 しかしいくら元がEQ1スタッフとはいえ,さまざまなところが洗練されて現代風のゲームデザインになっている。管理された生産システム,HP/Manaの回復の速さ(そういえばここ最近「need medi」と言ったことがない),キャラクターが死んでも装備が残ったまま生き返る仕様,Questジャーナルシステムなど,今風の“ぬるい”要素は一通り入っている。確かに入ってはいるのだが,彼らEQ1スタッフが目指したであろうハードコアな方向性――ひと言ではうまく説明できないのだが――のうえにそれらの要素が乗っているせいで,まだいろいろな部分が垢抜けない印象があることも否めない。
 「ゲームを進めてるのではなく,ゲームに進められている感じがする」「バランス良くマップが作られているために,逆に世界が狭く感じる」「寄り道して“無駄な”冒険をする楽しみがあまりない」「果てしなく困難なことがないので,成し遂げたときの達成感があまりない」など,個人的にEQ2やWoWで感じたものは,そのままVanguardにも片鱗が再現されている。
 ボケーッとチャットしながら延々と経験値を稼いだり,滅多に出ないレアアイテムを求めて何時間もキャンプしたり,自分の死体から装備を回収するために何時間もダンジョンに潜るハメになったり,Raidで向かったダンジョンの最深部で数十名が壊滅して,その回収作業に4時間以上かかったり……。なるほど,確かにSOE社長Smedley氏の言うところである「Downtime」は,万人に受け入れられるものではない。筆者とて,今のMMOにはそれが必要なのだと,ことさらに主張するようなことはない。
 しかし果たして今の状況は,Sigilの考える理想の形なのだろうか。GCで会ったときの「EQ1スタイルというのは,最もやりたかったことです」というセリフを考えると,いまはまだ,本気でどこかの方向を向いているようには思えない。今後の路線変更がどこに振れていくのか,個人的には楽しみだ。




 仮にもゲーム業界で働く者が,2007年にもなってEQ1EQ1と連呼するのはただの懐古主義に過ぎないのは,重々承知している。それが現在の市場にまず受け入れられないものであろうことも,よく分かっているつもりだ。誰が好きこのんで,そんな面倒なゲームを遊ぶだろうか。
 それでも敢えて,そういうゲーム――なんというか,やたらめったら過剰なまでに歯応えがあるゲーム――が数作品でも残ってくれることは,個人的にはとても嬉しい。そして,そういうものが「嬉しい」と思える同好の士であれば,ぜひVanguardは遊んでみるべきだ。かつて一世を風靡した欧米MMORPG達がβテスト直後に辿った,「日を追うごとに成長していくゲーム」の姿を,久しぶりに目の当たりにできることだろう。
 パッチのたびに繰り広げられる方向転換に一喜一憂しながら,自分の愛着のあるキャラクターを,我々とは余りにも違うセンスを持つ外国人の中で育てていくことは,とても楽しい。「いまどきのゲームはヌルすぎてもうやってられない」と言い切れる人であれば,ぜひ味わってほしい。
 裏を返すならば,そう思えない人にはとうていお勧めできない作品だ。繰り返しになるが,やたらに重いゲーム画面,前触れもなく平気で落ちるサーバー,いたるところに残るバグの数々(挙げ句それが理由で死んだりする)など,いまどきの基準を満たしているとは,お世辞にも言いづらい。それでも,個人的には価値ある一本であることには違いないのだが。

 そんなことを考えながら,序盤のスクリーンショット集を作ってみた。前述のようにLv12程度のキャラクターで行けるところなど限られているのだが,インタフェースなどを意図的にすべて残しておいたので,見た感じの雰囲気は分かるだろう。

■Vanguard序盤のスクリーンショット集は「こちら」

 最後にオマケとして,これからプレイしようかな? と思っている人のために(ダウンロード販売も行っているので,連休に即遊びたい人は利用するとよい)5段階の画質設定の差も掲載しておこう。見れば分かるかもしれないが,上二つはあまりクオリティに差はない。Balanced(中くらいの設定)が,その名のとおり処理速度とクオリティのバランスが一番取れているので,この設定で遊ぶとよいだろう。(Kazuhisa)



5段階の画質クオリティ比較。上段左がHighest Quality,その右がHigh Quality。下段は左から順番に,Balanced,High Performance,Highest Performanceとなる。プレイするには,Balancedでも十分なクオリティであることが見てとれるだろう
  • 関連タイトル:

    Vanguard: Saga of Heroes

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