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[GC 2006#65]日本展開もほぼ確定,新情報をどっさり得られた「Vanguard」
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印刷2006/08/27 12:30

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[GC 2006#65]日本展開もほぼ確定,新情報をどっさり得られた「Vanguard」

今回,開発コンセプトからゲームの細部まで,さまざまな質問に答えてくれた,Sigil Game Online社のJeff Butler氏
※初出時にBrad McQuaid氏と書いてありましたが,Jeff Butler氏の間違いでした
 初代「EverQuest」を生み出したBrad McQuaid氏のSigil Game Onlineが開発しているMMORPG「Vanguard」は,もともとMicrosoftがパブリッシュ予定だったが,今年のE3 2006直前に突如,パブリッシャがSony Online Entertainment(SOE)に切り替わっている。
 そのE3 2006では,実際に動いているところを見せてもらえたのが戦闘シーンのみだった。今回はビジネスセンターのSOEブースで「E3 2006にはなかった新要素を見せてほしい」とお願いしたところ,まあ新情報が出てくる出てくる。結局,1時間以上も話を聞かせてもらった。
 それではさっそく,今回仕入れた新情報についてお伝えしていこう。

■キャラクターの容姿がグッとリファイン

 Vanguardには,「セストラ」(THESTRA,ヨーロッパ風),「ケリア」(QALIA,アラビア風),「コージャン」(KOJAN,アジア風)の3国があり,それぞれ人種も異なっている。種族は19種類,クラスは15種類ほど用意されており(クラスに関してはE3 2006の記事を参照),種族には3か国分のヒューマンや2か国分のバーバリアンなどが,それぞれ別に用意されていた。
 まずパッと見て分かるのが,キャラクターモデルがE3 2006のときより格段に美しくなっている点。とくに顔については,全体的により美しくリファインされ,美形キャラを生み出しやすくなったようだ。
 また顔のカスタマイズについては,「友達や有名人そのままの顔も作れる」くらい多種多様な操作が可能。8種類の顔パーツの中から「一つだけ」をランダムに変えるといったこともできる。このへんのカスタマイズの「やりすぎなまでの細かさ」は最近の流行りだが,Vanguardもキッチリのそのラインに乗っかっている。

■トレードスキルは一人につき1種類

 トレードスキル(生産スキル)は,1プレイヤーキャラクターにつき1種類のみ選択できる。例えばE3のときにはなかった新要素の一つとして,乗馬用のアーマーや蹄(ひづめ)なども見せてもらったのだが,これらはブラックスミスのスキルを使って生産する。また,木で造る家はカーペンタリー,石で造る家はストーンワークのスキルを必要とする,といった具合だ。現在のところ,確認できたのは以下のようなスキルの存在だ。

カーペンタリー
ストーンワーク
ブラックスミス
レザーワーキング
アルケミー


※画像は直撮りムービーの中の1シーンです。
 海を渡るための「船」も,スキルを使って自分で造り出せるものの一つ。小型船から大型船までいろいろ用意されている。造った船はさらにカスタマイズでき,見た目の変更や速度のアップグレードなどが可能である。
 完成した船は当然,移動手段として使用できる。船の操舵には,特別なスキルは必要ないようだ。なお,この世界には天候があり,風向きや風速といった要素が船の移動に影響を与える。また,川の流れも船の移動速度に影響を与え,下りは速く,上りは遅くなるという。ほかにも,こういった天候や自然の影響は何かありそうだ。

 船を集中的にフィーチャーしたムービーを1本作成したので,ぜひ「こちら」からチェックしてみてほしい。

■家が乱立しても世界が埋まる心配のない理由

※画像は直撮りムービーの中の1シーンです。
 家は,まず土地を確保してから土台を組み立てていく。最初に土地の権利を確保するので,木が足りないなどの理由で途中ストップしても,他人に奪われる心配はない。まさに「建てかけ」といった様子の家を見せてもらったが,なかなかユーモラスな光景だった。
 家の中はかなり自由な装飾品の飾りつけが可能で,せっかく入手したがあまり使わないレア装備などは,ここぞとばかりに部屋に飾りつけられる。

 「大勢のプレイヤーが家を建て,土地がなくなったらどうするのか?」という問いに対しては,「この世界はこんなに広いから大丈夫だ」「家はとても高価なので,3〜4人のプレイヤーで共同購入することになるだろうから,土地が埋まる心配はあまりないだろう」といった答えが帰ってきた。
 しかしこれに対しては,「ウルティマ オンライン」のプレイ経験がある人なら,「いやいや,それは甘い」と感じることだろう。なんせ日本人プレイヤーの家に対する執着は,凄まじいものがある。
 そのことを伝えてみると,氏はとある島のマップを見せてくれた。「この島は,4時間で作ったものなんだ。もしどうしても土地が足りなくなったら,またすぐ新しい陸地を作るから大丈夫だ」といったことを打ち明けてくれた。なるほど。埋め立てなんですね。


 ちなみに大陸のマップを見せてもらったが,これは全体の40%ほどのエリアに相当するという。「とにかく広い世界を作った」と,自信ありげに語っていた。
 街やダンジョンは,「3D,3Dと謳っていながら,街やダンジョンの構造自体は平面的で,簡単な道さえ暗記すれば誰でも迷わなくなるというゲームが多すぎる」ということを大変不満に思っていたようで,Vanguardでは高度な立体構造を実現させている。このあたりは,「EverQuestにおけるBlackburrowみたいな感じ?」と聞いたら「そう。まさにあんな感じのダンジョンこそが,“ダンジョン”と呼ぶにふさわしいと思う」とのこと。EQ1プレイヤーなら,その素晴らしさをすんなり理解できるのではなかろうか。

 家を集中的にフィーチャーしたムービーを1本作成したので,ぜひ「こちら」からチェックしてみてほしい。

■乗り物,ペットについてはどんなものでも作れるとか

 ペットはレベル10から従えられるようになる。実演では移動用にワイバーンのような騎乗用クリーチャーを召喚していたが,この乗り物は特別で,普通に手に入るものではないらしい。
 例として見せてくれた騎乗用動物は,グリフォン,ドレイク,ユニコーン,そしてどういうわけか猫(アメリカンショートヘア)。このアメショはキャラクターとの大きさが不釣合いで,色合いもゲームの世界とは異なっており,明らかに冗談で作ったものである。なんでも,「一つエンジンを作ってしまえば,どんな乗り物でもすぐに作れるはずだ」ということを実証するためのサンプルとして作ったそうだ。
 騎乗動物はいまどき珍しい要素ではないが,空を飛べる騎乗動物がこれほどまでに多く存在するゲームは珍しい。いろいろな動物の追加にも期待できる。


■Vanguard制作者のMMORPGに対する思想とは?

 あれこれ説明を聞いているうちに,MMORPGを作るうえでのこだわりや,思想のようなものを聞かずにはいられなくなってしまい,あれこれ質問をぶつけてみた。まずどうしても気になって仕方がなかったのが,「開発が進むにつれ,初代EverQuestにどんどん似てきているように見えるのですが……」という点。これについて,氏は「EQ1スタイルというのは,最もやりたかったことです。なので,そう思ってもらって構わないでしょう。まったくもって正しい認識です」と回答。答えづらい質問だったろうが,きっちり答えてくれるのはやはりさすがだ。
 ギルドについては,MMORPGのコミュニケーションで最も大切な要素だと考えており,Vanguardでも当然あるとのこと。壮大なRaidも用意されるようだ(人数制限がかかるようだが)。

 そしてデスペナルティについては,経験値が減るもの,なんのペナルティもないものなど,サーバーごとに異なる設定が用意される予定のようだ。最近はデスペナルティが一切ないのが流行る傾向にあり,Vanguardでもそのあたりは考慮するが,デスペナルティがないとプレイヤー自身とキャラクターがリンクせず,感情移入ができなくなるので,本当は重要な要素であるというのが本心だそうだ。
 「デスペナルティがないゲームなんて真剣になれなくて面白くないと思うのだが,そのあたりはどう思うか」という問いに「まったくもってそのとおり。とはいえ時代の流れというものもあるし,ゲーマーの趣味嗜好(しこう)で選べるようにするつもりだ」とのこと。

 マシンスペックについては,現在のところ「The Elder Scrolls IV: Oblivion」ぐらいのレベルを目安に開発されている(つまり結構高めだ)。MMORPGは何年も生き続けていくものだから,最初は少し高めに設定しておくぐらいがちょうどいいとのこと。

■日本での展開はほぼ確定

 Vanguardは現在,極めて限定的なクローズドβテストが実施されている。NDA(非開示契約)により,参加者はβテストで得た情報を表に出すことはできないが,テスト参加者は全世界9000人,そのうち日本人は100人弱いるという。これを多いと感じるか少ないと感じるかは人によってまちまちだろう。
 Sigilのスタッフはこの人数を少ないとは感じていないようだ。なんと本作は,すでに日本語版の開発が進められているというのだ。しかもどこかにライセンスするようなことはせず,SOEが直接運営する予定だという(現在のEQIIと同じシステムだ)。しかしサンディエゴは日本語のできる人が本当に少ないらしく,スタッフ不足に悩まされているようだった。このままでは,日本にVanguard用のオフィスを作る必要があるかもしれないと語っていた。なお,東京ゲームショウには出展しないとのこと。

 ムービー出展しかなかったころから,ゲームショウのたびにその姿を見せてもらっている「Vanguard」。元EQ1の開発者達が,長い長い時間をかけて開発しているMMORPGがどんなものになっていくのか若干の不安を覚えつつ動向を追ってきたが,昨年あたりから情報が頻繁に表に出るようになり,「あぁやっぱり彼らの作るものなのね」という(良い意味での)認識を持った。今回それをダイレクトにぶつけてみたのだが,「EQ1だと思ってくれて結構」という社長のセリフも聞けたことだし,いろいろなところが現代風にリファインされてはいるものの,もうまさにその言葉どおりの意味だと思ってよいだろう。
 それをよしとするか,残念に思うかは人それぞれだが,「EQ1」という名前に惹かれて興味を持っていた人にとっては,ますます目が離せないものになっていくようだ。今後の情報にも期待したい。(Kawamura)

  • 関連タイトル:

    Vanguard: Saga of Heroes

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