インタビュー
いま「パンヤ」で何が起こっているのか――リサイクルシステムが実装されない理由と中期アップデート予定,新キャラクターについて聞いてみた
中期アップデートについても全部聞いてみた
4Gamer:
ちょっと話を戻しまして,昨年の記事の時点で「中期アップデート」といって発表した6項目についても聞かせていただけませんか。
千葉氏:
分かりました。
ええと……最後の「ナチュラルサーバー」は実装済みですね。では「キャディでプレイ可能に」はどうでしょう。
千葉氏:
現状中止になっています。
4Gamer:
なぜですか?
千葉氏:
その当時は,弊社もNtreevも,キャディでのプレイは,通常のキャラと同じようにできるのではないか,ということで考えてはいたんですけど……。
4Gamer:
具体的には,どんな理由で無理だったんでしょうか。素人考えで申し訳ないんですが,キャディといえど「キャラクターデータ」ですよね。
千葉氏:
はい,もちろん理論上はできるんです。けれど,それを実際にやろうとしたときに,モーションなどの問題が浮上してきました。あとアイテムがいっぱいあったりクラブセットがいっぱいあったり。そういうものをキャディに当てはめようとしたら,作業に非常に時間がかかってしまう,と。
4Gamer:
なるほど,モーションとかがゼロからのスクラッチになってしまう,と。
千葉氏:
はい,そうなります。
朝倉氏:
あと一つ割と重要なのが,キャディによってあまりに頭身が違うという問題です。人型だったり熊だったり,ただのボールだったりしますし……。
それらを調整したりして,これほどの手間をかけるのであれば,新キャラを作ったほうがみんな喜んでくれるんじゃないかな,と。
4Gamer:
……いましれっと言いましたけど,新キャラ作ってるんですか?
朝倉氏:
それに関しては,あとでキチンとご説明します。ともあれ,いろいろな工数を考えたときに,ユーザーさんが本当に喜んでくれる方法を考えて,キャディをプレイアブルにするより,同程度の工数で作れる新キャラにした,という感じです。
4Gamer:
ええと,では新キャラはあとでじっくり聞かせていただくとして,キャディでプレイするという件に関しては,可能か不可能かで言えば可能ではあるけれど,そのときにかかるであろう時間コストを新キャラにシフトさせた,ということですね。
千葉氏:
はい,そうなります。
4Gamer:
では続いて「オープンリーグ導入」です。
千葉氏:
オープンリーグは,今も継続して計画しています。オープンリーグというのは,自分の実力に合った人とマッチングができて……。
4Gamer:
オートマッチングですね。RTSなどでよくある。
千葉氏:
はい。そういうものを想定しているんですが,実はこれに関しても,先ほどのデータベースの問題に大きく絡んできてしまうのです。ですのでオープンリーグについても,まずデータベースの問題を解決してから,という形で考えています。
4Gamer:
では,現時点では白紙ですか? 白紙……というのは内容について,という意味です。
千葉氏:
はい。企画自体は白紙になっていませんが,プランシートはまだ白紙です。
眼の色が変更可能に……というのも,キャディの問題と同じような感じの理由だと考えてよいですか。
千葉氏:
はい,そのとおりです。
4Gamer:
……しかし,そんなに難しいことなんでしょうか,これ。
朝倉氏:
我々も最初そう思ったんです。言い方が悪いですが,眼に色付けるだけなんじゃないのかな,と思ってました。
ところが,眼の色を変えようとすると,アニメーションも全部いじらなくてはならないと言われて「今はちょっと厳しい」と。
千葉氏:
なんだか,顔全体を描き直さなくてはいけないらしいんです。
4Gamer:
あれ,そうなんですか。ということは,眼がパーツになってないんですね。
千葉氏:
そうなんです。ただ,実は今グラフィックスのエンジンを書き換える作業も同時に行っておりまして,グラフィックスエンジンに変更を加えたら,この問題に関してもあっさりクリアできる可能性はあります。
4Gamer:
そのグラフィックスエンジンについては,どういう方向での改善になるんですか? せっかくなので聞かせてください。たぶんバグフィックスとかそういう話じゃないですよね。あまり緊急な雰囲気はしませんし。
朝倉氏:
そうですね,バグフィックスとかではないです。
先ほども話に出ましたが,なにぶん作品が稼働してから長いので,グラフィックスのエンジン自体も古く,色々細かい問題が起きているんです。さらに,今後のことを考えていくと,さっきの眼の色の問題もそうですが,そういうことをもっと容易に素早くできるべきだろう,ということもあり,エンジンの改修に入っています。なんと言えばよいか……グラフィックスエンジンを,時代に沿う形で最適化する,というイメージでしょうか。
4Gamer:
なるほど,最適化というのは分かりやすいですね。リファインをかけるわけではないんですね。例えば,CryENGINEがCryENGINE 2になる,みたいな。
朝倉氏:
そういうのではないです。古いままの状態に,追加に追加が重ねられてごちゃごちゃしてる現状のグラフィックスエンジンを,キレイに並べ直して機能追加もやりやすいようにしてあげる,という感じです。
4Gamer:
それなら安心しました。いえ,今せっかくスペックが低いマシンでも動くのに,グラフィックスエンジンを変更しちゃったらちょっとなぁ……と思ってたんです。
朝倉氏:
そこは大丈夫です。……無茶苦茶キレイなパンヤもちょっと見てみたいですが。
4Gamer:
では続いてどんどんいきます。「特別コース」についてはどうでしょう。ボス戦と言い換えてもよいですが。
千葉氏:
さっきのデータベースの問題もあるんですが,開発途中で企画面に問題が発生したとのことで,企画変更中なんです。データベース調整後の実装に向けて,作業は進んでいます。
4Gamer:
具体的にはどこに問題が発生したんでしょう。
千葉氏:
その細かい内容は,実はNtreevからこっちに伝わってきていないので,ちょっとそこまでは分かりません……。
4Gamer:
単純に企画の練り直し,と考えておいてよさそうな感じですか?
朝倉氏:
はい。実現不可能とか不具合とかではないです。
千葉氏:
こういったボス戦みたいなものをパンヤに入れたいというのは,Ntreevの強い意向なので,なくなることはないんじゃないかと思います。
4Gamer:
……しかし,なぜボス戦?
朝倉氏:
とにかく「新しい遊びを提供したい」というのがNtreevの強い意向なんです。その一つの形がボス戦ですね。
なるほど……なんかちょっと力の入れどころが違うんじゃないかという気も個人的にはしてるんですが……。ええと,では最後に「スーパーシャッフルモード」の進捗はいかがでしょう。
千葉氏:
すでに韓国では導入されているものですが,日本では,これもデータベースの問題が修正されたあとで入ります。
「今年中に新しいフィーチャーを1,2個入れます」と明言
4Gamer:
これで一通り聞けた気がします。
あえて強引にまとめますけれど,とにかく今はデータベースの改修に全力を注いでいて,それが修正され次第,サスペンドされていた新機能――今回「中止です」と明言されていないものですね――は次々と導入予定だという解釈でよいでしょうか。
朝倉氏:
はい,そのとおりです。キチンと状況報告をせずにユーザーさんにはご心配をおかけしてしまいましたが,いまはデータベースの改修に注力させてください。直り次第,必ずやパンヤが変わっていくことを約束します。
4Gamer:
確かにお話を聞いている限り,データベースがちゃんと直れば,次々と……ええと,3項目もの新機能が入るというわけですよね。
千葉氏:
はい,そうなります。
4Gamer:
ではそのデータベースの改修ですが,再度お聞きしますが,現状では何月予定でしょう。
朝倉氏:
最速で今年の8月末くらいです。
4Gamer:
明言しましたね。では遅かった場合は?
朝倉氏:
遅くて10月の半ばくらいだと思います。まさにいま,そのあたりの最終スケジュールをNtreevと詰めているところです。
4Gamer:
では,今年中に新しいフィーチャーが1,2個は入りそうな感じですね。
朝倉氏:
はい。それすらできなかったら,色々と覚悟しなくてはならないでしょう。お金を取れるサービスをちゃんとできる状態で,商品を提供しているのか,と。
昔のパンヤの運営って,好き嫌いはあるかもしれませんが,いろいろなことをやってましたよね。それをまた今一度,というそういう気持ちでやっています。
千葉氏:
データベースを改修すると,メンテナンスも安定すると思います。今のパンヤのメンテナンスは,データベースのデフラグにかなり時間がかかってますので……。
4Gamer:
お話を聞いている限りそんな感じですね。
朝倉氏:
おっしゃるとおりです。そのあたりも必ず改善されるだろうと思っています。メンテ延長とか,どう考えても腹立たしいことですし。
4Gamer:
というか,メンテ延長とか,そういうことこそTwitterで流せばよいのでは。
朝倉氏:
なるほど,確かにそうかもしれません。
初公開……? 新コースと新キャラクターについて
4Gamer:
さてそろそろ……。
朝倉氏:
新キャラですね。
4Gamer:
そうです。さっきあまりにしれっと出てきたので,危うく聞き逃すところでした。
このインタビューをする前は,新しい,前向きで楽しい情報が何も出てこないような気がしてちょっと暗い気持ちになっていたんです。ユーザーさんにも申し訳ないというか。ゲームポットさんがごめんなさいして終わりなのかなぁ……と思ってたので,新情報を用意してもらえてよかったです。
朝倉氏:
我々もそう思って,今回は二つ持ってきました。新キャラと新コースです。
4Gamer:
おや,新コースも。
千葉氏:
WizCityです。……で,実はこれに関しては,我々もこの画像をつい先日もらったばかりで,何も知らされていないんです。
え。
千葉氏:
具体的にどこまで進捗しているのか,いつごろ導入予定なのか,とかは全然分かりません。ごめんなさい。要するにコンセプトアートの状態ですね。
そういうものをお持ちしてお見せするのもどうかと思ったんですが,先ほどおっしゃっていたように,何か楽しげな前向きなものを提示しなくては,と思ってあえて持ってきました。
4Gamer:
しかしコンセプトの段階で出しちゃっていいんですか?
千葉氏:
見せてもいい,という許諾はもらったので,このまま寝かせられるようなものじゃないと思います。いつ実装されるのか。どういうフィーチャーがあるのか,そういう部分がまったく分からないだけで。
4Gamer:
分かりました。……では続いて新キャラをお願いします。
千葉氏:
はい,これです。
4Gamer:
シルエットで来ましたか。
朝倉氏:
はい。ルーシアから2年,久々の新キャラです。
4Gamer:
足下のこれはネコかしら。女の子っぽいですね。
ええと,シルエットだと話が進めづらいんですけど,ゲームポットとしてこのキャラで売りの部分はどこでしょうか。
千葉氏:
どこまで話していいんだったかな……今までのパンヤにいるキャラとは,ちょっとテイストが違う感じです。
4Gamer:
といいますと?
例えば今までは,クーだったらちょっとロリっ子で,アリンだったら色っぽくて,ルーシアはアイドルで,セシリアはお姉さんで,エリカは元気があって……とか,そういう感じできたじゃないですか。今回は,そういう分かりやすい性格付けじゃない感じになっています。
4Gamer:
複雑なんですか?
朝倉氏:
複雑っていうのともちょっと違います。設定も結構細かいですよ。今までのパンヤのキャラクターって,いつも文章にして大体3行くらいだったんですけど,今回はその3倍くらいの設定があります。なんか妙に細かいんですよ。双子なんですけど,見た感じも……。
4Gamer:
双子……? 見た感じ……?
朝倉氏:
……すいません,まだ言っちゃいけないんでした。とにかく期待していてください。2年ぶりに出るだけのインパクトはあると思います。
4Gamer:
えええ……。
朝倉氏:
今回は,声優さんも結構がんばらせていただきました。まだ完全に決定したわけではないですが,アニメが好きな人だったら,まず間違いなく「おおう!」と言っていただけると思います。
千葉氏:
実力派,と言われる方になると思います。それで,その声優さんにしゃべっていただくセリフの公募もやろうと思っています。
4Gamer:
お,参加型ですか。それはいつから?
千葉氏:
まだ未定ですが,そろそろ始められると思います。
4Gamer:
いやでもちょっと待ってください。これ,シルエットのままでセリフを募集するんですか?(笑)
朝倉氏:
そうです。セリフ公募の前には,声優さんの名前も発表できると思いますし,キャラクターの設定も公開できると思います。シルエット,声優さんの名前,設定,この3種で,とびきりなセリフを送っていただきたく思います!
4Gamer:
たくましい想像力が必要になりますね。それで,この新キャラはどのくらいの期間作ってるんですか。
結構かかってます。去年くらいに初めてコンセプトがNtreevから送られてきて,データベースの問題やらなにやら途中でいろいろとありながらも,3月くらいには本格稼働を始めて,合間合間にちょこちょこと進めながら,ようやく完成しました。ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。
4Gamer:
さて,そろそろ時間も押してきました。
長々とお話を聞いてきましたが,結局のところ,新キャラ追加やデータベース改修,それに続く大きなフィーチャー追加など,ユーザーとして期待してもよい年になると考えてよいんでしょうか。
朝倉氏:
はい,そこは間違いなく。
6周年も近いですし,いろいろとやっていきます。ご迷惑ばかりおかけしてしまいましたが,どうかもう少しだけお待ちいただけると嬉しいです。よろしくお願いします!
千葉氏:
現在抱えている問題を解決し,皆様が心から楽しめるパンヤにできるように頑張ります!これからもパンヤをよろしくお願いいたします。
4Gamer:
分かりました。半年後に再びこういうインタビューをしなくて済むように期待しています。本日はありがとうございました。
――2010年6月21日収録
- 関連タイトル:
スカッとゴルフ パンヤ
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